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用語集

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101件の用語

福祉

子育て罰(チャイルドペナルティ)Child Penalty
子どもを持つことで生じる経済的・社会的不利益の総称。賃金低下(マザーフッドペナルティ)、教育費・住居費の負担増、制度的不利益などを含む。末冨芳・桜井啓太が日本の文脈で概念化した。
介護報酬Care Reimbursement
介護保険制度において、介護サービス事業者に支払われる公定価格。3年ごとに厚生労働省が改定する。事業者の収入上限を実質的に規定するため、職員の賃金水準にも直接影響する。
処遇改善加算Treatment Improvement Allowance
介護職員の賃金改善を目的として介護報酬に上乗せされる加算制度。2024年度に3種類の加算が「介護職員等処遇改善加算」として一本化された。取得には賃金改善計画の届出やキャリアパス要件の整備が必要。
相対的貧困Relative Poverty
等価可処分所得の中央値の50%(貧困線)を下回る所得で生活する状態。2021年調査では貧困線は年127万円。絶対的貧困(生存に必要な最低限の所得)とは異なり、その社会の標準的生活水準との乖離を測る指標。

労働・雇用

マザーフッドペナルティMotherhood Penalty
出産・育児により母親の賃金・昇進・労働参加率が低下する現象。OECD諸国の研究では、第1子出産後に女性の収入が20〜60%低下するとされる。
統計的差別Statistical Discrimination
個人の能力ではなく、その属するグループの統計的傾向(離職率が高い等)に基づいて処遇を決定する差別の形態。企業が「女性は離職しやすい」という集団的傾向を個人に適用することで、採用・配置・昇進における性別格差を再生産する。
職業分離(職種分離)Occupational Segregation
特定の職業や職種に性別による偏りが存在する状態。水平的分離(男女で就く職種が異なる)と垂直的分離(同じ組織内で男性が上位職に集中する)に分類される。賃金格差の主要な構造的要因の一つ。
ワーキングプアWorking Poor
就業しているにもかかわらず、所得が貧困線を下回る状態にある労働者。日本ではひとり親世帯の就業率がOECD最高水準(86%)でありながら貧困率も最高水準(44.5%)であることが、構造的なワーキングプア問題を象徴している。
標準報酬月額Standard Monthly Remuneration
社会保険料の計算基礎となる報酬月額の等級区分。実際の給与を1〜50等級(厚生年金)に当てはめ、等級ごとの固定額に保険料率を乗じて保険料を算出する。4〜6月の報酬平均で毎年9月に改定される。

経済

住宅用地特例Residential Land Tax Exemption
住宅が建っている土地の固定資産税を最大6分の1に軽減する税制上の特例措置。空き家を解体して更地にすると適用が外れるため、老朽化した空き家を放置する経済的インセンティブとして機能している。
国民所得(NI)National Income (NI)
一国の経済活動で生み出された所得の合計。GDPから固定資本減耗と間接税を差し引き、補助金を加えた値。日本の国民負担率の分母として使用されるが、海外ではGDPベースが主流であり、同じ負担額でもNIベースの方が数値が大きく出る。
消費者物価指数Consumer Price Index (CPI)
世帯が購入する財・サービスの価格変動を総合的に測定する指数。総務省統計局が毎月公表し、基準年を100として物価の変動率を示す。金融政策や年金改定の基礎指標。
消費者物価地域差指数Regional Price Parity
全国平均を100として各地域の物価水準を相対的に比較する指数。総務省「小売物価統計調査(構造編)」で都道府県別・都市別に算出される。住居費や食料費の地域差が主な変動要因。
逆進税Regressive Tax
所得が低い層ほど所得に対する税負担率が高くなる性質を持つ税。消費税は消費支出の所得比が低所得層ほど大きいため逆進的とされるが、生涯所得ベースでは比例的とする見方もある。
実質賃金Real Wage
名目賃金を消費者物価指数で除して算出される、物価変動を考慮した賃金の購買力指標。名目賃金が上昇しても物価がそれ以上に上昇すれば実質賃金は低下する。
コストプッシュインフレCost-Push Inflation
原材料費・エネルギー価格・人件費・物流費など供給側のコスト上昇が原因で起こる物価上昇。需要拡大を伴わないため賃金が追いつかず、実質購買力が低下しやすい。
エンゲル係数Engel's Coefficient
家計の消費支出に占める食料費の割合。一般に所得水準が低いほど高くなるとされ、生活水準の指標として用いられる。食料品価格の高騰により2025年の日本では28.6%と44年ぶりの高水準を記録した。
オアハカ=ブラインダー分解Oaxaca-Blinder Decomposition
賃金格差を「属性の違いで説明できる部分」と「説明できない部分(差別的処遇等)」に分解する統計的手法。1973年にRonald OaxacaとAlan Blinderが独立に提唱した。男女賃金格差の分析に広く用いられる。

デジタル化・AI

デジタルデバイドDigital Divide
情報通信技術を利用できる人とできない人の間に生じる格差。アクセス格差(端末・回線の有無)、スキル格差(操作能力の差)、成果格差(デジタル活用で得られる便益の差)の三層構造を持つ。
Google for NonprofitsGoogle for Nonprofits
Googleが非営利団体に提供するプログラム。Google Ad Grants(月額最大$10,000相当の検索広告枠)、Google Workspace無償化、YouTube Nonprofit Programなどの特典を含む。日本ではNPO法人・非営利型一般社団法人・公益法人・社会福祉法人などが対象。
Google Ad GrantsGoogle Ad Grants
Google for Nonprofitsの一部として提供される検索広告プログラム。対象非営利団体に月額最大$10,000(年間$120,000)相当のGoogle検索広告枠を無償で付与する。CPC上限$2.00、CTR 5%以上の維持が条件。
CTR(クリック率)Click-Through Rate (CTR)
広告のインプレッション(表示回数)に対するクリック数の割合。CTR = クリック数 ÷ インプレッション数 × 100で算出。Ad Grantsではアカウント全体でCTR 5%以上の維持が義務付けられている。
レスポンシブ検索広告(RSA)Responsive Search Ads (RSA)
Google広告の検索広告フォーマットの一つ。最大15本の見出しと4本の説明文を登録すると、Googleの機械学習が検索クエリに最適な組み合わせを自動選択して表示する。Ad Grantsでは各広告グループに最低1つのRSAが必要。
ネガティブキーワード(除外キーワード)Negative Keyword
特定の検索語句で広告が表示されないようにするために設定するキーワード。無関係な検索での広告表示を防ぎ、CTRの低下を抑制する。Ad Grants運用ではCTR 5%維持のために不可欠な設定項目。
ロングテールキーワードLong-Tail Keyword
3語以上で構成される具体的な検索フレーズ。検索ボリュームは小さいが、検索意図が明確なためCTRやコンバージョン率が高い傾向がある。Ad GrantsのCPC上限$2制約下では、競合の少ないロングテールキーワードが有効。

法制度

特定空家Specified Vacant House
空家等対策特別措置法に基づき、倒壊の危険や衛生上の問題がある空き家として市区町村が指定する制度。指定後は助言・指導・勧告・命令・行政代執行の段階的措置がとられる。
管理不全空家Management-Deficient Vacant House
2023年の空家等対策特別措置法改正で新設されたカテゴリ。特定空家になる前段階の、管理が不十分な空き家を指す。勧告を受けると住宅用地特例が解除される。
NPO法人(特定非営利活動法人)NPO Corporation (Specified Nonprofit Activities Corporation)
特定非営利活動促進法に基づき設立される法人。20の活動分野のいずれかに該当する公益活動を行い、所轄庁(都道府県・政令指定都市)の認証を受けて設立される。設立には10名以上の社員が必要。
非営利型一般社団法人Non-Profit General Incorporated Association
一般社団法人のうち、定款で非営利性が確保された法人。法人税法施行令第3条の要件を満たすことで、収益事業以外の所得が非課税となる。設立は2名以上の社員で可能で、NPO法人と異なり活動分野の制限がない。
用途変更Change of Use
建築基準法第87条に基づき、既存建築物の用途を変更する手続き。変更後の用途が特殊建築物で床面積200㎡超の場合は確認申請が必要。既存不適格建築物では現行基準への適合(遡及適用)が求められ、消防法・耐震基準との整合が実務上の大きな課題となる。
既存不適格建築物Existing Non-Conforming Building
建築時点では適法であったが、その後の法改正により現行基準に適合しなくなった建築物。違法建築とは異なり、そのまま使用を継続できるが、増改築・用途変更の際に現行基準への適合が求められる場合がある。旧耐震基準(1981年以前)の建物が典型例。
交通反則通告制度Traffic Violation Notification System
軽微な交通違反に対し、刑事手続きによらず反則金の納付で処理する行政制度。いわゆる「青切符」。1968年に自動車向けに導入され、2026年4月から自転車にも適用が拡大された。反則金を納付すれば前科はつかないが、納付しない場合は刑事手続きに移行する。

健康・医療

ポリファーマシーPolypharmacy
複数の薬剤を同時に服用している状態。一般に5〜6種類以上の薬剤併用を指し、薬物相互作用や有害事象のリスクが高まる。高齢者医療における主要な課題の一つ。
処方カスケードPrescribing Cascade
薬の副作用を新たな疾患と誤認し、その症状に対してさらに薬が処方される連鎖。多剤併用の主要な発生メカニズムの一つ。
薬物有害事象Adverse Drug Event (ADE)
薬物使用に関連して生じる有害な反応の総称。副作用だけでなく、投薬過誤や薬物相互作用による意図しない健康被害を含む。高齢者では転倒・せん妄・腎機能障害が代表的。

教育

知識格差仮説Knowledge Gap Hypothesis
Tichenorら(1970)が提唱した仮説。マスメディアによる情報供給が増加すると、社会経済的地位の高い層がより速く情報を獲得するため、層間の知識格差はむしろ拡大する。情報の量的拡大が格差縮小に直結しないことを示した情報社会学の基礎理論。
情報貧困Information Poverty
Chatman(1996)がスモールワールド理論で理論化した概念。情報弱者は外部情報源への不信・自己防衛的秘匿・リスク回避・状況的関連性の4特性により、利用可能な情報からも自らを遮断する。物理的アクセスの問題とは異なる社会的・心理的な情報排除のメカニズム。
オープンアクセスOpen Access
学術論文を無料で制限なくオンライン公開すること。2002年のブダペスト・オープンアクセス・イニシアティブ(BOAI)を起点に国際的運動として展開。著者負担の論文処理費用(APC)モデルが主流化し、コスト転嫁の問題が新たな格差を生んでいる。

心理学

ストレス-素因モデルStress-Diathesis Model
自殺リスクは遠位要因(遺伝的脆弱性)と近位要因(急性ストレス)が交差した点で顕在化するという理論モデル。
内的作業モデルInternal Working Model
乳幼児期の愛着経験を通じて形成される、自己と他者に関する心的表象。対人関係の期待・感情調節・ストレス応答のテンプレートとして生涯にわたり機能し、安定型か不安定型かによって対人行動パターンが大きく異なる。
FOMO(取り残される恐怖)FOMO (Fear of Missing Out)
自分だけが取り残されているのではないかという不安・恐怖。SNS普及に伴い社会心理学で注目される概念で、不安型愛着との正の相関が確認されている。
上方社会比較Upward Social Comparison
自分より優れた・恵まれた他者と自己を比較する心理過程。SNS上で頻繁に生じ、相対的剥奪感や自己評価の低下をもたらすことがある。
相対的剥奪感Relative Deprivation
自分が受けるべきものを受けていないという主観的な不公正感。他者との比較から生じ、敵意や攻撃行動の心理的基盤となりうる。
敵意帰属バイアスHostile Attribution Bias
他者の曖昧な行動を敵意あるものとして解釈する認知的偏り。不安定な愛着スタイルや相対的剥奪感と関連し、攻撃的反応を引き起こしやすくする。
マズローの欲求階層説Maslow's Hierarchy of Needs
Abraham H. Maslowが提唱した動機付けモデル。生理・安全・愛所属・承認・自己実現の5段階を階層的に示す。愛着の問題は第2層(安全欲求)・第3層(愛所属欲求)に関わり、過剰な承認欲求(第4層)より根源的な階層に位置する。
偽の合意効果False Consensus Effect
自分の信念・行動・判断が他者にも共有されている程度を過大評価する認知バイアス。Ross et al.(1977)が命名し、115件のメタ分析で効果量r=0.31と確認されている。
選択的接触Selective Exposure
自分の既存の態度や信念と一致する情報を選好的に消費する傾向。確証バイアスの情報行動面での発現であり、SNS上のコメント・ニュース消費で顕著に観察される。
UCLA孤独感尺度UCLA Loneliness Scale
カリフォルニア大学ロサンゼルス校で開発された、孤独感を測定する心理尺度。直接的に「孤独」という言葉を使わず、社会的つながりの欠如を間接的に評価する設計が特徴。日本の全国調査でも採用されている。

認知科学

感覚処理感受性Sensory Processing Sensitivity
環境刺激に対する神経系の反応閾値が低い気質特性。人口の15〜20%に見られるとされ、HSP(Highly Sensitive Person)の生物学的基盤として研究されている。
メタ認知Metacognition
「認知についての認知」——自分が何を考え、なぜそう考えているかを観察・評価する能力。Flavell(1979)が定義し、自己制御・学習・意思決定の基盤として広く研究されている。
変動比率強化スケジュールVariable Ratio Reinforcement Schedule
報酬が不規則な間隔で与えられる強化条件。最も消去されにくい行動パターンを生み、スロットマシンやSNSの無限スクロールの依存性を説明する中核概念。
ドゥームスクローリングDoomscrolling
ネガティブなニュースやコンテンツを延々と消費し続ける行動。扁桃体の脅威スキャンとドーパミンの情報報酬がフィードバックループを形成し、不安・存在的不安を惹起する。
アグノトロジー(無知学)Agnotology
無知がいかに生産・維持されるかを研究する学問。Robert Proctorが2008年に体系化。知識の欠如を偶然の産物ではなく、産業・権力・制度が積極的に生産した社会的構築物として分析する。タバコ産業による疑念の製造が典型事例。
認識的不正義Epistemic Injustice
Miranda Frickerが2007年に提唱した概念。知識の生産・流通における不正義を指す。(1)偏見により話者の証言が不当に信用されない「証言的不正義」と、(2)ある経験を言い表す概念が社会に存在しないため認識されえない「解釈的不正義」の二形態がある。

遺伝学

エピジェネティクスEpigenetics
DNA配列の変化を伴わずに遺伝子の発現が変化する現象。環境ストレスがDNAメチル化などを通じて遺伝子のスイッチを書き換えることがある。
候補遺伝子仮説Candidate Gene Hypothesis
特定の遺伝子が精神疾患や行動特性に直接関与するという仮説。Border et al.(2019)の大規模研究により、うつ病に関する候補遺伝子仮説は否定された。
ポリジェニック(多遺伝子性)Polygenic
一つの表現型(形質)が多数の遺伝子変異の微小な効果の総和によって決まる性質。精神疾患や自殺リスクは高度にポリジェニックである。
ゲノムワイド関連解析Genome-Wide Association Study (GWAS)
数十万〜数百万人の遺伝子データを用いて、特定の疾患や形質に関連する遺伝子変異を網羅的に探索する手法。
セロトニントランスポーター遺伝子多型5-HTTLPR (Serotonin Transporter Gene Polymorphism)
セロトニンの再取り込みに関わる遺伝子の多型。S型(短型)保有者は不安が高いとされたが、大規模研究で否定されている。
差次感受性仮説Differential Susceptibility Hypothesis (Orchid-Dandelion)
特定の遺伝的素因を持つ個体は劣悪な環境では不適応的だが、良好な環境ではむしろ適応的に機能するという仮説。「ラン(蘭)とタンポポ」とも呼ばれる。
遺伝決定論Genetic Determinism
遺伝子が行動や特性を一方的に決定するという考え方。現代の遺伝学では科学的に不正確とされる。
遺伝率Heritability
集団内の表現型の変動のうち、遺伝的要因で説明できる割合。特定の社会における環境的介入の相対的容易さを示す指標であり、遺伝的特性の不変性を意味しない。
DNAメチル化DNA Methylation
DNA分子にメチル基が付加される化学的修飾。遺伝子の発現を抑制する主要なエピジェネティック機構の一つ。

公衆衛生

手段制限Means Restriction
特定の自殺手段へのアクセスを物理的に困難にすることで自殺を予防するアプローチ。ホームドア、農薬規制、橋の防護ネットなどが代表例。
手段代替Means Substitution
ある自殺手段が制限された際に、別の手段に移行する現象。62カ国のメタ分析では、完全な手段代替は起きにくいことが確認されている。
ランダム化比較試験Randomized Controlled Trial (RCT)
参加者を無作為に介入群と対照群に分けて効果を検証する実験デザイン。エビデンスの質が最も高い研究手法の一つ。
社会的処方Social Prescribing
医療機関が患者の健康課題に対し、薬ではなく地域の社会活動・コミュニティ資源への参加を「処方」する仕組み。英国NHSで制度化され、リンクワーカーが患者と地域資源を仲介する。孤独・孤立対策として国際的に注目されている。
ヘルスリテラシーHealth Literacy
健康情報を入手・理解・評価・活用する能力。Nutbeam(2000)は機能的(読み書き能力)・相互作用的(社会的スキルによる情報引き出し)・批判的(情報の批判的分析と主体的活用)の3水準モデルを提唱。情報が「ある」だけでは不十分であることを示す枠組み。

公共政策

EBPMEvidence-Based Policy Making
客観的なエビデンス(統計データ、研究結果等)に基づいて政策を立案・評価する手法。
ポスト・ノーマルサイエンスPost-Normal Science
Funtowicz & Ravetz(1993)が提唱した科学論の枠組み。不確実性が高く、利害が大きく、意思決定が急がれる状況では、通常の科学的手続き(ノーマルサイエンス)だけでは不十分であり、拡張された査読共同体(市民・ステークホルダーを含む)による知識の共同生産が必要だとする。
ロジックモデルLogic Model
事業の投入(インプット)から活動、産出(アウトプット)、成果(アウトカム)までの因果関係を図式化したフレームワーク。
セオリー・オブ・チェンジTheory of Change (ToC)
長期的な社会変革の目標から逆算して、必要な中間成果と介入の因果経路を明示する計画手法。
コレクティブインパクトCollective Impact
複数のセクター(行政・企業・NPO等)が共通のアジェンダのもとで協働し、社会課題の解決を目指すフレームワーク。
社会的投資収益率Social Return on Investment (SROI)
社会的・環境的・経済的な成果を貨幣価値に換算し、投入コストとの比率で表す社会的インパクト評価手法。
制度の非捕捉(ノンテイクアップ)Non-Take-Up
福祉制度の受給資格があるにもかかわらず、制度を利用していない状態。日本の生活保護の捕捉率は約22.9%とされる。
ナッジNudge
選択の自由を残しつつ、デフォルト設定や情報の提示方法を工夫することで人々の行動を望ましい方向に誘導する手法。
ビルド・バック・ベターBuild Back Better
災害からの復興を単なる原状回復ではなく、社会の脆弱性を克服し、より強靭な社会を構築する機会とする理念。2015年の仙台防災枠組で4つの優先行動の一つとして位置づけられた。
給付付き税額控除Refundable Tax Credit
税額控除額が納税額を超える場合、超過分を現金で給付する制度。消費税の逆進性緩和策として各国で導入されており、日本でも2026年に制度設計の議論が本格化した。カナダのGST/HST Creditや米国のEITCが代表例。
休眠預金Dormant Deposits
10年以上取引のない預金。休眠預金等活用法(2018年施行)により、民間公益活動の資金として活用される。JANPIAが資金分配団体として指定され、NPO法人・公益法人・非営利型一般社団法人等が助成を受けられる。
アセットマネジメントAsset Management (Infrastructure)
公共インフラの現状把握・劣化予測・更新優先順位づけを体系的に行い、限られた財源で施設の機能を最適に維持する管理手法。水道事業では管路の経年化率や更新率の把握が基礎となる。
コンセッション方式Concession
公共施設の所有権を行政が保持したまま、運営権を民間事業者に委託するPFI手法。水道事業では2022年に宮城県が全国初の導入事例となった。
管路経年化率Pipe Aging Rate
法定耐用年数(水道管は40年)を超えた管路の割合。2022年度時点で全国平均23.6%に達し、現行の更新ペースでは2042年に約69%まで上昇すると試算されている。
障害年金Disability Pension
病気やけがによって生活や仕事が制限される場合に支給される公的年金。障害基礎年金(1・2級)と障害厚生年金(1〜3級)がある。受給には初診日要件・保険料納付要件・障害状態要件の3要件を満たす必要がある。
初診日First Medical Examination Date
障害の原因となった傷病について初めて医師等の診療を受けた日。障害年金の受給資格判定の起点となる。カルテ保存期限(5年)を超えると証明が困難になる構造的問題がある。
障害の医学モデルMedical Model of Disability
障害を個人の心身機能の損傷として捉え、医療による治療・矯正を解決手段とする考え方。社会モデルと対比される。日本の障害年金の認定基準は医学モデルに依拠しているとの批判がある。
代表制民主主義Representative Democracy
国民が選挙で選んだ代表者を通じて政治的意思決定を行う民主主義の形態。直接民主主義と対比される。国民主権の原理に基づきつつ、規模の問題を代議制で解決する仕組みだが、代表者と有権者の間の乖離が恒常的な課題となる。
政治的有効性感覚Political Efficacy
自分の政治参加が政治に影響を与えうるという主観的な感覚。内的有効性感覚(自分には政治を理解し参加する能力がある)と外的有効性感覚(政府は市民の意見に応答する)に分類される。投票行動や政治参加の主要な規定要因とされる。
スモールコンセッションSmall Concession
地方公共団体が所有する空き家・廃校等の遊休不動産について、民間の創意工夫を活かした小規模(事業費10億円未満程度)なPPP/PFI事業を行う取組み。2024年に国交省がプラットフォームを設立。
Park-PFI(公募設置管理制度)Park-PFI
都市公園法に基づき、飲食店等の収益施設と公園施設の整備・管理を一体的に行う民間事業者を公募する制度。2017年の法改正で創設。収益施設の設置許可期間は最長20年。
PPP/PFIPublic-Private Partnership / Private Finance Initiative
官民が連携して公共サービスの提供や公共施設の整備・運営を行う手法の総称。PFIは民間資金を活用したインフラ整備、PPPはPFIを含むより広い概念で指定管理者制度や包括的民間委託等を含む。
サウンディング型市場調査Sounding (Market Survey)
公有資産の活用にあたり、公募前に民間事業者の意見・アイデアを聞く対話型の市場調査。事業の実現可能性や条件設定の妥当性を事前に検証する目的で実施される。
指定管理者制度Designated Manager System
地方自治法第244条の2に基づき、公の施設の管理を民間事業者やNPO等に委ねる制度。2003年の法改正で導入。管理運営の効率化とサービス向上が目的だが、指定期間の短さ(通常3〜5年)が長期投資を妨げる課題がある。
財政力指数Fiscal Capacity Index
地方公共団体の財政力を示す指数。基準財政収入額を基準財政需要額で除した数値の過去3年間平均。1.0以上で地方交付税不交付団体となる。PPP/PFI手法の選択において自治体の財政的余力を測る基本指標。
海業(うみぎょう)Kaigyo (Marine Industry)
海や漁村の地域資源の価値・魅力を活用し、国内外からの多様なニーズに応えることで地域のにぎわい・所得・雇用を生み出す事業の総称。2023年改正漁港漁場整備法で「漁港施設等活用事業」として制度化。体験観光・直売・飲食・増養殖等を含む。

社会学

チェリーピッキングCherry Picking
全体のデータから都合のよい部分だけを選んで提示する手法。期間・対象・変数の恣意的な選択により、同じデータセットから正反対の結論を導き出せる。
交絡変数Confounding Variable
研究対象の2変数の両方に影響を与える第三の変数。交絡変数を見落とすと、見せかけの相関を因果関係と誤認する原因となる。
プロクセミクスProxemics
人間が対人距離をどのように知覚・管理するかを研究する学問分野。文化人類学者Edward T. Hallが1966年に4つのゾーン(密接・個体・社会・公衆距離)を体系化した。
接触文化Contact Culture
対人コミュニケーションにおいて身体接触や近い対人距離が一般的な文化圏。南欧・中東・ラテンアメリカなどが該当し、非接触文化(北欧・東アジア)と対比される。
社会的包摂Social Inclusion
貧困・差別・障害などにより社会から排除された人々が、社会に参加し、その恩恵を享受できるようにする取り組み。社会的排除(social exclusion)の対概念。
感情労働Emotional Labor
職務上、自分の感情を管理・抑制し、適切な感情表現を行うことが求められる労働形態。社会学者ホックシールドが提唱。介護・看護・接客業などの対人サービス職で顕著であり、バーンアウト(燃え尽き症候群)の主要因とされる。
マタイ効果Matthew Effect
Merton(1968)が名付けた累積的優位性の概念。聖書マタイ伝25章29節「持つ者はさらに与えられ」に由来する。科学における業績認知の偏りから始まり、教育・情報アクセス・経済格差にも適用される。初期条件の有利さが時間とともに増幅される構造を指す。