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ARTICLE · 廃校活用

廃校の用途変更と建築基準法:福祉施設転用時の改修義務【2026年版】

廃校を福祉施設に転用するときの建築基準法と消防法の決まりを、条文で確かめて整理した。用途変更の確認が要る面積、工事が終わったときの届出、防火区画・排煙設備・廊下の幅・内装制限の条件、既存不適格の建物の扱い、スプリンクラー設備と防火管理者の条件を載せる。

この記事の要点

  • 建物の用途を変えて福祉施設などの特殊建築物にし、その用途に使う部分の床面積の合計が200㎡を超えるときは、確認の手続きが要る(建築基準法第87条第1項、第6条第1項第1号)。校舎全体ではなく、新しい用途に使う部分で数える。工事が終わったら建築主事等に届け出る
  • 学校は別表第一の(三)項、老人福祉施設・障害者支援施設・保育所などの児童福祉施設等は(二)項で、確認が要らない類似の用途の組に学校は入っていない。学校のままなら除かれていた排煙設備の規定(施行令第126条の2)も、用途を変えるとかかる
  • スプリンクラー設備の要否は消防法施行令で決まる。養護老人ホームなど(六)項ロ(1)は面積にかかわらず要り、通所の障害福祉サービスや保育所など(六)項ハは、平屋建以外で床面積の合計6,000㎡以上か、階ごとの面積で決まる
対象読者・読む前に確認したいこと

こんな方に

  • 廃校を福祉施設(高齢者施設・障害者施設・保育所等)に転用しようとしている社会福祉法人・NPO・民間事業者
  • 廃校活用プロポーザルに参加予定で、改修コストを概算したい事業者
  • 廃校活用を担当する自治体の建築・福祉部門の職員

前提となる知識

  • 建築基準法の基礎知識(確認申請・特殊建築物の概念)
  • 廃校活用の全体的な手順(「廃校活用の全手順」記事を先に読むことを推奨)
この記事の内容

用途変更とは

建築基準法別表第一の特殊建築物の区分と、学校から福祉施設への用途変更の位置づけ

用途変更で確認が要る面積。その用途に使う部分の床面積の合計がこれを超えるとき

200㎡

2018年の改正の前は100㎡

建築主事等が確認の申請書を受理してから審査する期間(建築基準法第6条第4項)

35日以内

工事が終わったら建築主事等に届け出る

養護老人ホームなど(六)項ロの施設で、防火管理者を定める収容人員(消防法施行令第1条の2第3項)

10人以上

(六)項ハは30人以上

建築基準法において、「用途変更」とは建築物の使用目的を変えることを指す。廃校を福祉施設に転用することは、この用途変更に該当する。

廃校の母数。累計8,850校、現存7,612校、活用5,661校(74.4%)、未活用1,951校でうち用途未決定1,503校。
手当てが要るのは1,503校。全体の8,850校でも未活用の1,951校でもない出典: 文部科学省 令和6年度「廃校施設活用状況実態調査」(令和6年5月1日現在)

特殊建築物の区分

建築基準法の別表第一は、特殊建築物の用途を(一)項から(六)項に分けている。(二)項は病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの、(三)項は学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの、(五)項は倉庫その他これに類するもので政令で定めるものである。(二)項の用途に類するものは児童福祉施設等である。児童福祉施設等には、児童福祉施設、老人福祉施設、有料老人ホーム、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム、障害福祉サービス事業(生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る)の用に供する施設などが入る。

学校((三)項)から福祉施設((二)項)への転用は、別表第一の別の項への用途変更である。

廃校転用に関係する主な用途変更パターン

転用前(学校)転用後別表第一の区分
小・中学校老人福祉施設(デイサービス・特養等)(三)項から(二)項(児童福祉施設等)
小・中学校障害者支援施設・就労継続支援事業所(三)項から(二)項(児童福祉施設等)
小・中学校保育所・認定こども園(三)項から(二)項(児童福祉施設等)
小・中学校倉庫(三)項から(五)項
小・中学校事務所特殊建築物ではない用途へ

確認申請の要否(200㎡基準)

その用途に使う部分の床面積で数える200㎡、類似の用途、2018年の改正、審査の期間と工事完了の届出

確認が要る面積と類似の用途

建物の用途を変えて、別表第一(い)欄の用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるものにする場合は、確認の手続きの規定が準用される。用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間のものである場合は除かれる。

200㎡を超えるかは、校舎全体の延べ床面積ではなく、新しい用途に使う部分の床面積の合計で見る。校舎の一部だけを福祉施設にするときも、その用途に使う部分の面積で数える。

確認が要らない類似の用途には、劇場・映画館・演芸場、公会堂・集会場、診療所(患者の収容施設があるもの)・児童福祉施設等、ホテル・旅館、下宿・寄宿舎、博物館・美術館・図書館、体育館・ボーリング場・スケート場・水泳場・スキー場・ゴルフ練習場・バッティング練習場などの組があり、学校はどの組にも挙がっていない。学校を児童福祉施設等に変え、その用途に使う部分が200㎡を超えれば、確認が要る。

2018年建築基準法改正の内容

2018年(平成30年)の建築基準法の改正は、既存建築ストックの活用のため、用途変更に伴って建築確認が必要となる規模を見直し、確認が不要な規模の上限を100㎡から200㎡にした。空き家等を福祉施設・商業施設等に用途変更する際に、大規模な改修工事を不要とするとともに手続を合理化し、既存建築ストックの利活用を促進するとしている。

200㎡超か否かによる手続きの違い

新しい用途に使う部分が200㎡を超える場合(確認が要る)

  • 工事に着手する前に確認の申請書を出し、確認済証の交付を受ける(法第87条第1項で準用する第6条第1項・第8項)
  • 建築主事等は、申請書を受理した日から35日以内に、計画が建築基準関係規定に適合するかを審査する
  • 用途変更では、工事を完了したときの第7条第1項の「建築主事等の検査を申請しなければならない」が「建築主事等に届け出なければならない」と読み替えられる。完了検査の申請ではなく、届出である

新しい用途に使う部分が200㎡以下の場合(確認は要らない)

  • 確認の手続きは要らないが、用途を変えた建物は、新しい用途の建築基準法の規定に合わせる
  • 消防用設備等の設置の届出と検査は、この面積とは別に、消防法の区分で決まる(福祉施設特有の注意点の節)
  • バリアフリー法の基準適合義務は、用途を変える部分の床面積の合計が2,000㎡以上のときにかかる(同じ節)

既存不適格の建物で見る点

建築当時の基準には合っていたが、その後の改正で現行の規定に合わなくなった建物(既存不適格建築物)の用途を変えるときは、どの規定を新しい用途に合わせるかが問題になる(緩和措置の節)。確認が要るかどうかにかかわらず、設計の前に建築士と確認検査機関に相談する。


主な改修義務

防火区画・排煙設備・廊下の幅・直通階段・内装制限の条文上の条件

廃校を福祉施設へ転用する場合、以下の分野の規定を確かめる。

1. 防火区画

防火区画は、火災の延焼を防ぐために、建物の中を準耐火構造の床や壁、防火設備で区切る決まりである。

面積区画

準耐火建築物や、特定主要構造部を耐火構造とした建築物などで延べ面積が1,500㎡を超えるものは、床面積の合計1,500㎡以内ごとに、1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床・壁か特定防火設備で区画する。スプリンクラー設備など自動式の消火設備を設けた部分は、その床面積の2分の1を除いて数える。

竪穴区画(縦方向の区画)

主要構造部を準耐火構造とした建築物などで、地階か3階以上の階に居室があるものは、吹抜き、階段、昇降機の昇降路、ダクトスペースなどの竪穴部分を、その他の部分と準耐火構造の床・壁か防火設備で区画する。

用途区画(特殊建築物の区画)

建築物の一部が法第27条第1項各号のいずれかに該当する場合は、その部分とその他の部分とを、1時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床・壁または特定防火設備で区画しなければならない。(二)項の用途は、3階以上の階をその用途に使うときか、2階のその用途に使う部分の床面積の合計が300㎡以上のときに、法第27条第1項に当たる。老人福祉施設や障害者支援施設などの児童福祉施設等を2階に置くときも、面積を確かめる。

2. 排煙設備

法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までの用途に供する特殊建築物で延べ面積が500平方メートルを超えるものには、排煙設備を設けなければならない。

学校のままなら、この義務はかからない。同条の適用除外に「学校(幼保連携型認定こども園を除く)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場」が挙がっている。廃校を学校以外の用途に変えると、この除外から外れる。排煙設備が要るかどうかは、転用後の用途で決まる。

(二)項の用途に供する特殊建築物のうち、準耐火構造の床・壁か防火設備で区画された部分で床面積が100㎡以内のものは、排煙設備の規定から除かれる。火災のときに避難上支障のある高さまで煙やガスが降りてこない部分として、天井の高さや壁・天井の仕上げの材料などを考えて国土交通大臣が定めるものも除かれる。どの除外が使えるかは、平面図をもとに建築士と確かめる。

3. 避難施設(廊下の幅・直通階段)

廊下の幅などの規定は、別表第一(い)欄(一)項から(四)項までの特殊建築物、階数が3以上の建築物、延べ面積が1,000㎡を超える建築物などに適用する。居室の床面積の合計が200㎡(地階は100㎡)を超える階の廊下は、廊下の左右に居室があれば1.6m以上、その他は1.2m以上とする。小学校・中学校などの児童用・生徒用の廊下は、左右に居室があれば2.3m以上、その他は1.8m以上である。

避難階以外の階で、児童福祉施設等の主たる用途に供する居室の床面積の合計が50㎡を超える階には、避難階か地上に通じる2以上の直通階段を設ける。主要構造部が準耐火構造か不燃材料で造られている建物では、50㎡が100㎡になる。

福祉施設の種類ごとの設備の基準(事業者の指定の基準)にも、廊下の幅などの定めがあることがある。指定を受ける自治体の担当課に、建築基準法とあわせて確かめる。

4. 内装制限

(二)項の用途は、1時間準耐火基準に適合する耐火建築物・準耐火建築物なら3階以上の部分の床面積の合計が300㎡以上、1時間準耐火基準に適合しない準耐火建築物なら2階の部分の床面積の合計が300㎡以上、その他の建築物ならその用途に供する部分の床面積の合計が200㎡以上のときに、内装の制限を受ける。居室の壁(床面からの高さ1.2m以下の部分を除く)と天井は難燃材料(3階以上の階に居室がある建物の居室の天井は準不燃材料)、居室から地上に通じる主たる廊下・階段などの壁と天井は準不燃材料で仕上げる。


緩和措置

既存不適格の建物を用途変更するときの準用、工事を分けて進める全体計画の認定、階避難安全検証法

既存不適格の建物を用途変更するとき

既存不適格の建物の用途を変える場合は、第27条、第28条、第35条などの規定が準用される。類似の用途相互間の変更で、修繕や模様替をしないか大規模でない場合などは除かれる。あわせて第86条の7第2項・第3項が用途変更に準用され、第27条などは別の建築物とみなせる独立部分が二以上ある建物で用途を変える独立部分以外に、第28条(採光など)や第35条の廊下等に関する基準などは用途を変える部分以外に、適用しない。

工事を分けて進めるとき(全体計画の認定)

既存不適格の一の建物で、用途の変更に伴う工事を二以上の工事に分けて行う場合、特定行政庁が全体計画を認定すると、最後の工事に着手するまで第27条等の規定を準用しない。認定の基準は、工事を分けることが建物の利用状況などからやむを得ないこと、全ての工事の完了後に建物と敷地が法令に適合すること、どの工事の完了後も安全上・防火上・避難上の危険性などが増えないこと、の3つである。

避難の安全を計算で確かめる方法

主要構造部が準耐火構造か不燃材料で造られた建物の階で、階避難安全検証法によって階避難安全性能があると確かめたもの(または国土交通大臣の認定を受けたもの)は、廊下の幅(第119条)、排煙設備(第126条の2)、内装(第128条の5の一部)などの規定を適用しない。仕様どおりに改修すると費用がかさむ部分があるときは、この方法が使えるかを建築士と確かめる。


福祉施設特有の注意点

スプリンクラー設備、バリアフリー法、消防用設備等の設置の届出と検査、防火管理者

スプリンクラー設備の設置義務

消防法施行令は、スプリンクラー設備の要否を、別表第一の用途の区分と、面積・階で定めている(第12条)。

施設の例別表第一の区分スプリンクラー設備が要る主な場合(第12条)
養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、避難が困難な要介護者を主として入居・宿泊させる有料老人ホームや小規模多機能型居宅介護の施設、認知症高齢者のグループホーム(六)項ロ(1)面積にかかわらず(延焼を抑制する構造として総務省令で定めるものを除く)
障害者支援施設、短期入所・共同生活援助を行う施設(避難が困難な障害者等を主として入所させるもの)(六)項ロ(5)延べ面積275㎡以上。介助がなければ避難できない者を主として入所させるものは面積にかかわらず(延焼を抑制する構造のものを除く)
デイサービス、上の欄以外の小規模多機能型居宅介護の施設(六)項ハ(1)平屋建以外で床面積の合計6,000㎡以上か、地階・無窓階で床面積1,000㎡以上の階、4階以上10階以下で床面積1,500㎡以上の階など
保育所、幼保連携型認定こども園(六)項ハ(3)同上
児童発達支援、放課後等デイサービス(六)項ハ(4)同上
生活介護、就労移行支援、就労継続支援(六)項ハ(5)同上

(六)項ハの施設では、面積だけでなく、どの階に置くかと、その階が無窓階に当たるかで決まる。校舎の図面で、使う階と床面積を確かめる。

バリアフリー法への対応

建築主等は、特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む)をするときは、建築物移動等円滑化基準に適合させなければならない。地方公共団体は、条例で対象の特定建築物を加えたり、規模を政令より小さく定めたりできる。義務の対象にならない場合も、基準に適合させる努力義務がある。法第14条第1項の政令で定める規模は、床面積の合計2,000平方メートル(公衆便所は50平方メートル)。用途の変更の場合は、変更に係る部分の床面積で見る。特別特定建築物には、老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するもの(主として高齢者、障害者等が利用するものに限る)、老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センター、一般公共の用に供される体育館が入る。廃校の一部だけを転用する場合、この2,000平方メートルは転用する部分で数える。

建築物移動等円滑化基準の便所の規定では、不特定かつ多数の者が利用し、または主として高齢者、障害者等が利用する便所を設ける階で、そのうち1以上に車椅子使用者用便房を1以上設ける(地上階で、近くに車椅子使用者用便房を設けた施設がある場合などを除く)。出入口の段差、廊下や傾斜路の構造、昇降機などの基準もあるので、条例とあわせて設計の前に確かめる。

消防法上の手続き

建築基準法の確認とは別に、消防法の手続きがある。

消防用設備等を設置したときは、消防長又は消防署長に届け出て検査を受ける。対象は、(六)項ロと、(六)項ハのうち利用者を入居・宿泊させるものは面積にかかわらず、(六)項ハのその他は延べ面積300㎡以上などである。簡易消火用具と非常警報器具は除く。

防火管理者を定める防火対象物は、(六)項ロなら収容人員10人以上、(六)項イ・ハ・ニなどなら30人以上、学校など(七)項なら50人以上である。

どの消防用設備等が要るかは、設計の前に所轄の消防署に相談して確かめる。

工事が終わったときの手続き

用途変更の確認を受けた工事が終わったら、建築主事等に届け出る(法第87条第1項で読み替えて準用する第7条第1項)。消防用設備等は、設置の届出をして検査を受ける。福祉サービスの事業者の指定の申請で求められる書類は、指定をする自治体の担当課に確かめ、開業日から逆算して日程を組む。


改修費の目安

この表の金額は、この記事が置いた前提である。公表された統計ではない。施設の状態・地域・業態で大きく変わるので、自分の案件では見積書と近隣の実績に置き換えて使う。

廃校を福祉施設に転用する際の主要な改修工事と費用の目安をまとめる。

改修項目費用目安備考
スプリンクラー設置150〜300万円(200㎡建物の場合)㎡あたり8,000〜15,000円
防火区画改修(防火扉・防火壁)50〜200万円改修範囲による
バリアフリー(スロープ・トイレ)100〜300万円仕様・フロア数による
排煙設備50〜200万円機械排煙の場合
内装改修(準不燃仕上げ)100〜500万円改修面積による
合計概算500〜1,500万円施設規模・状態による

文部科学省の事例集に載っている改修費は、福祉・子育て・医療の用途でも、総額約400万円から約10億円まで開く。事例ごとの施設の規模と改修費用は「廃校の改修費:費目別の内訳と事例」に表にした。


実務上のポイント

確認申請前の事前相談

確認の申請を出す前に、建築主事または確認検査機関に相談する。廃校のように既存不適格の規定や用途区画が絡む計画では、事前の相談で問題点を先に洗い出せる。

建築士の早期関与

建築士でなければ設計や工事監理ができない建築物の決まりは、新築する場合と、増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替をする場合が対象である。用途変更だけの工事は挙がっていないが、どの規定をどこまで合わせるかの判断には建築の専門知識が要る。設計の段階の早いうちから建築士に相談する。

関係部署との連携

廃校の用途変更には、建築基準法の担当(確認)、消防署(消防用設備等)、福祉の担当部署(事業者の指定)、教育委員会と文部科学省(財産処分)が関わる。手続きが並行して進むので、早い段階で各部署に計画を伝えておく。


内部リンク

ガイド

廃校の財産処分:手続きが要らない場合、報告で済む処分、国庫納付金と基金、必要書類と提出の時期

手続きが要らない場合、報告で済む処分と承認が要る処分、国庫納付金の算定と基金への積立て、必要書類と提出の目安

ガイド

廃校の福祉施設転用と住民説明会

NIMBY問題への対処法と住民合意形成のポイント

廃校の財産処分手続きについては「廃校の財産処分」を参照されたい。廃校のNIMBY問題への対処については「廃校の福祉施設転用と住民説明会」で詳しく解説している。


次にやること

この記事を読んだあと、その週のうちに動かせる順に並べる。

順やることどこで目安
1入居予定者を1者でも先に見つける。用途を決めてから探すのではなく、借りる人を決めてから用途を決めるサウンディング、地元事業者1〜3か月
2耐震診断とアスベスト調査の結果を出す。無ければ先に実施する営繕担当2〜3か月
32を踏まえた改修費の概算を取る。解体費も同時に出して比べる設計事務所1か月
4財産処分の手続きを確認する。国庫補助を受けた校舎を処分制限期間内に学校以外に使うときは文科省の承認が要る(要件を満たせば報告で済む)教育委員会、文科省1〜2か月
5用途を公表する前に、卒業生・地域団体に説明の場を持つ同窓会、自治会1か月

1を飛ばすと、用途だけ決まって借り手が現れない状態になる。


この記事で使った統計の出典

  1. 1建築基準法(昭和25年法律第201号)第87条第1項・第6条第1項第1号(e-Gov法令検索) 出典を開く
  2. 2建築基準法(昭和25年法律第201号)第6条第4項(e-Gov法令検索) 出典を開く
  3. 3消防法(昭和23年法律第186号)第8条、消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条の2第3項(e-Gov法令検索) 出典を開く
  4. 4建築基準法(昭和25年法律第201号)別表第一(e-Gov法令検索) 出典を開く
  5. 5建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第115条の3・第19条第1項(e-Gov法令検索) 出典を開く
  6. 6建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第137条の18(e-Gov法令検索) 出典を開く
  7. 7国土交通省「建築基準法の一部を改正する法律案」(概要)(2018) 出典を開く
  8. 8建築基準法(昭和25年法律第201号)第87条第1項(e-Gov法令検索) 出典を開く
  9. 9建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第1項(e-Gov法令検索) 出典を開く
  10. 10建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第11項(e-Gov法令検索) 出典を開く
  11. 11建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第18項(e-Gov法令検索) 出典を開く
  12. 12建築基準法(昭和25年法律第201号)第27条第1項・別表第一(e-Gov法令検索) 出典を開く
  13. 13建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第126条の2(e-Gov法令検索) 出典を開く
  14. 14建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第126条の2第1項第2号(e-Gov法令検索) 出典を開く
  15. 15建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第126条の2第1項第1号・第5号(e-Gov法令検索) 出典を開く
  16. 16建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第117条・第119条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  17. 17建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第121条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  18. 18建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第128条の4・第128条の5(e-Gov法令検索) 出典を開く
  19. 19建築基準法(昭和25年法律第201号)第87条第3項・第4項(e-Gov法令検索) 出典を開く
  20. 20建築基準法(昭和25年法律第201号)第87条の2(e-Gov法令検索) 出典を開く
  21. 21建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  22. 22高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第14条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  23. 23高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(平成18年政令第379号)第9条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  24. 24同施行令第5条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  25. 25高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(平成18年政令第379号)第14条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  26. 26消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の2、消防法施行令(昭和36年政令第37号)第35条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  27. 27建築士法(昭和25年法律第202号)第3条〜第3条の3(e-Gov法令検索) 出典を開く

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訂正履歴

  1. :「次にやること」の表で、財産処分の手続きがいつも承認を要するように読める書き方でした。

    訂正前
    国庫補助を受けた校舎は文科省の承認が要る
    訂正後
    国庫補助を受けた校舎を処分制限期間内に学校以外に使うときは文科省の承認が要る(要件を満たせば報告で済む)

    誤った理由 文部科学省の財産処分手続のページは、処分制限期間内に学校教育以外の用途で使うときに承認と国庫納付が要り、一定の要件を満たせば国庫納付をせず報告書の提出で済むとしています。報告で済む場合を落としていました。

  2. :確認が要る200㎡を建物全体の延べ床面積で数えると書き、保育所への転用を学校と同じ区分の中の変更と書いていました。確認の手続きの流れにも、条文と違う記述がありました。

    訂正前
    200㎡の基準は用途変更をしようとする部分の床面積ではなく、建築物全体の延べ床面積が基準/保育所・認定こども園への転用は建築基準法別表第1の同一区分(イ項)内の変更/確認申請の審査期間は標準で1〜3ヶ月/確認申請には構造計算書が必要/工事完了後に完了検査を受け、検査済証の交付を受ける。検査済証なしで運営を開始することは法令違反で、交付まで1〜2週間程度/200㎡超の確認申請には建築士による設計・申請が必要/この改正は小規模な空き家・廃校の活用促進を目的とした規制緩和
    訂正後
    特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるものにするとき(建築基準法第87条第1項、第6条第1項第1号)/学校は別表第一の(三)項、保育所などの児童福祉施設等は(二)項(施行令第115条の3・第19条)で、学校は確認が要らない類似の用途の組に入っていない(施行令第137条の18)/建築主事等は申請書を受理した日から35日以内に審査する(法第6条第4項)/用途変更では、完了検査の申請が建築主事等への届出に読み替えられる(法第87条第1項)/建築士でなければ設計・工事監理ができない建築物の決まり(建築士法第3条〜第3条の3)は、新築と増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替が対象/改正の概要は、空き家等を福祉施設・商業施設等に用途変更する際の手続の合理化と既存建築ストックの利活用の促進

    誤った理由 建築基準法第6条第1項第1号は「その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの」としていて、建物全体の延べ床面積ではありません。別表第一で学校は(三)項、児童福祉施設等は(二)項の類するもので、施行令第137条の18の類似の用途の組にも学校は入っていません。確認の審査期間は法第6条第4項で35日以内とされ、用途変更には法第87条第1項で第7条第1項が読み替えて準用されるので、工事の完了は検査の申請でなく届出になります。構造計算書が要ること、検査済証が無い運営が違法であること、交付までの日数は、確かめられる根拠が見つかりませんでした。建築士法第3条から第3条の3は用途変更を挙げておらず、国土交通省の改正の概要にも廃校の活用という目的は書いてありません。

  3. :防火区画・排煙設備・廊下の幅・内装制限・既存不適格の建物について、条文と違う条件や、根拠の無い緩和の書き方がありました。

    訂正前
    用途にかかわらず1,500㎡ごとに耐火壁・防火扉による区画、スプリンクラー設備がある場合は3,000㎡ごと/3階以上の吹き抜け・エレベーター・階段部分は竪穴区画が必要/1・2階のみの転用であれば用途区画の問題は少ない/廊下幅1.8m以上で窓があれば自然排煙での対応が可能なことが多く、内廊下は機械排煙が必要/排煙設備が不要な緩和条件(100㎡以内の防煙垂れ壁・防煙区画された室、床面積50㎡以下の居室で直接外気に接する開口部、スプリンクラー設備と準不燃材料の内装)/老人ホーム・障害者施設等では片廊下1.5m以上(中廊下1.8m以上)、廃校の校舎は廊下幅1.8〜2.0m程度が多い/福祉施設の内装は準不燃材料または不燃材料/既存不適格建築物の特例(建基法第86条の7)により、用途変更の確認申請を行う場合でも既存部分は現行基準への適合を求めない/スプリンクラー設備と防炎カーテンの組み合わせで区画壁の改造を回避できる可能性
    訂正後
    準耐火建築物などで延べ面積1,500㎡超は床面積の合計1,500㎡以内ごとに区画し、スプリンクラー設備など自動式の消火設備を設けた部分は床面積の2分の1を除いて数える(施行令第112条第1項)/地階か3階以上の階に居室がある建物の竪穴部分を区画(同条第11項)/児童福祉施設等は3階以上の階に置くときか、2階のその用途の部分の床面積の合計が300㎡以上のときに法第27条第1項に当たる/(二)項の特殊建築物で準耐火構造の床・壁か防火設備で区画された床面積100㎡以内の部分は排煙設備の規定から除かれる(施行令第126条の2第1項第1号)/居室の床面積の合計が200㎡を超える階の廊下は、廊下の左右に居室があれば1.6m以上、その他は1.2m以上(施行令第119条)。児童福祉施設等の主たる用途の居室が50㎡を超える階は直通階段が2以上(第121条)/内装の制限は(二)項なら面積と階の条件で決まり、居室は難燃材料、廊下・階段などは準不燃材料(第128条の4・第128条の5)/既存不適格の建物の用途を変えると第27条などの規定が準用され(法第87条第3項)、独立部分や用途を変える部分以外に適用しない規定がある(法第87条第4項)。工事を分けるときは全体計画の認定(法第87条の2)。階避難安全検証法で確かめた階は廊下の幅や排煙設備などの規定を適用しない(施行令第129条)

    誤った理由 施行令第112条第1項の区画は準耐火建築物などが対象で、準耐火構造の床・壁か特定防火設備で区画し、竪穴区画の第11項は「地階又は三階以上の階に居室を有するもの」を対象にしています。法第27条第1項第2号の対象には、(二)項の用途の2階の部分で床面積の合計が300㎡以上のものも入っていました。排煙設備の緩和として書いた防煙垂れ壁・50㎡以下の居室・スプリンクラー設備と内装の組み合わせは、第126条の2の(二)項の特殊建築物についての除外と一致せず、確かめられる根拠がありませんでした。廊下の幅は第119条の数値と違い、校舎の廊下幅が多いという記述にも根拠がありません。内装の材料は第128条の5で居室と廊下が別に決まっていて、法第86条の7は増築等の規定なので、用途変更の扱いは法第87条第3項・第4項で見る必要がありました。防炎カーテンとの組み合わせで区画壁の改造を避けられるという記述は、根拠が見つかりませんでした。

  4. :スプリンクラー設備と防火管理者の条件、消防用設備等の届出の範囲、改修費の出典を、法令や資料と違う形で書いていました。

    訂正前
    特定施設入居者生活介護は原則全面積、有料老人ホーム・グループホームと特別養護老人ホームは延べ1,000㎡以上、就労継続支援(障害者)B型・生活介護は延べ1,000㎡以上、保育所は延べ2,000㎡以上でスプリンクラー設備/廃校の延べ床面積は小学校で1,500〜2,000㎡程度になることが多く、この規模だと多くの場合スプリンクラー設置基準に該当/消防法に基づく消防設備の設置・届出は200㎡以下でも必要/防火管理者は収容人員30人以上の特定防火対象物で必要/着工前の消防署との事前相談が必須/文部科学省の廃校活用事例集では福祉施設転用の改修費は㎡単価7〜10万円の事例が多く、新築の㎡単価20〜25万円と比べると1/3〜1/2(出典は本記事の整理)
    訂正後
    養護老人ホームなど(六)項ロ(1)(3)は面積にかかわらず、ロ(2)(4)(5)は延べ面積275㎡以上(介助がなければ避難できない者を主として入所させるものは面積にかかわらず)。(六)項ハは、平屋建以外で床面積の合計6,000㎡以上、地階・無窓階で床面積1,000㎡以上の階、4階以上10階以下で床面積1,500㎡以上の階など(消防法施行令第12条)/(六)項ハの施設では、使う階と無窓階かどうかで決まるので、図面で確かめる/設置の届出と検査は、(六)項ロと入居・宿泊させる(六)項ハは面積にかかわらず、(六)項ハのその他は延べ面積300㎡以上(消防法第17条の3の2、施行令第35条)/防火管理者は(六)項ロなら収容人員10人以上、(六)項ハなら30人以上、学校など(七)項なら50人以上(施行令第1条の2第3項)/事例集の改修費は、福祉・子育て・医療の7事例でも総額約400万円から約10億円まで開く

    誤った理由 消防法施行令第12条は、スプリンクラー設備の要否を別表第一の用途の区分ごとに定めていて、表に書いた面積の区切りはありません。有料老人ホームは避難が困難な要介護者を主として入居させるもの、認知症高齢者のグループホームはそのものが(六)項ロ(1)に入り、面積にかかわらず要るので、延べ床面積が1,500〜2,000㎡の建物で多くの場合設置基準に当たるという記述も条件と合いませんでした。消防用設備等の設置の届出と検査は施行令第35条で用途と面積ごとに対象が決まり、防火管理者は第1条の2第3項で(六)項ロが10人以上です。事前相談は法令上の義務ではありません。事例集に載る改修費の㎡単価が7〜10万円の事例が多いという資料は無く、出典の欄も本記事の整理でした。

  5. :廃校の延べ床面積を、出典にない数字として示していました。実務の目安だと明記する書き方に変えました。

    訂正前
    廃校の平均延べ床面積(小学校)は約1,500〜2,000㎡程度(文部科学省 廃校施設活用状況実態調査を出典として表示)
    訂正後
    廃校の延べ床面積は、小学校で1,500〜2,000㎡程度になることが多い。これは実務でよく見る幅で、公表された統計ではない

    誤った理由 文部科学省の廃校施設活用状況実態調査に床面積の集計はありません。この調査を出典として平均値を示すのは誤りでした。幅そのものは実務で見る目安として残し、統計ではないと明記したうえで、手元の案件は建物の登記か図面で確かめるよう書き足しました。

  6. :法令へのリンクが開けない状態でした。条文の引用も、法律から施行令に直しました。

    訂正前
    建築基準法のリンク先の法令ID(325AC0000000219)。施行令第112条第18項の内容を建築基準法のページに結び付けていた
    訂正後
    建築基準法は325AC0000000201(昭和25年法律第201号)、施行令第112条第18項は建築基準法施行令325CO0000000338(昭和25年政令第338号)へ

    誤った理由 e-Gov法令検索の法令IDが1文字違っており、たどっても法令が表示されませんでした。2026-09-12にe-Gov法令APIで引き直し、正しいIDに直しています。区画の規定は施行令にあるため、リンク先も施行令に変えました。条文の引用も、施行令第112条第18項の文言に合わせています。

  7. :排煙設備とバリアフリーの根拠を、条文そのものに差し替えました。学校が排煙設備の対象外であることも書き足しました。

    訂正前
    排煙設備もバリアフリーも、国土交通省住宅局のページ(いずれも同じURL)を出典にしていた。特別特定建築物の例として保育所を挙げていた
    訂正後
    排煙設備は建築基準法施行令第126条の2、バリアフリーは高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令第9条・第5条へ

    誤った理由 出典にしていたページは建築物のバリアフリーの案内で、排煙設備の記述はありません。条文を開くと、排煙設備の設置義務には「学校(幼保連携型認定こども園を除く)、体育館」等の適用除外があり、廃校を学校以外に変えるとこの除外から外れます。判断に直結するので本文に足しました。バリアフリー法の2,000平方メートルは、用途の変更の場合は変更に係る部分の床面積で見ると条文にあります。特別特定建築物の一覧(同施行令第5条)に保育所は挙がっていないため、条文どおりの並びに直しました。

ご自身の案件で確認すること

  • 新しい用途に使う部分の床面積の合計と、それが何階にあるかを把握しているか?200㎡を超えるかで手続きが変わる
  • 廃校の建築年(旧耐震基準かどうか)と既存不適格の状況を確認しているか?
  • 福祉施設の種類(障害者施設・高齢者施設・保育所等)によってスプリンクラー設置基準が異なることを理解しているか?

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