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Park-PFI(公募設置管理制度)とは?仕組み・メリット・事例をゼロから解説

横田直也
約20分で読めます

自治体担当者向け:Park-PFI(公募設置管理制度)の定義・3つの特例(20年許可・12%建ぺい率・占用物件)・全国165公園の実績・スモールコンセッションとの違いを2026年最新ガイドラインで解説。

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ざっくり言うと

  1. Park-PFIは都市公園法H29改正で新設された公募設置管理制度。カフェ等の収益施設と園路・広場等の公園整備を一体的に行う者を公募で選定する仕組み
  2. 3つの特例(20年設置許可・最大12%建ぺい率・占用物件拡大)が民間の長期投資を可能にし、自治体は財政負担を抑えながら公園の質を向上できる
  3. 令和7年3月時点で全国165公園が活用済み。人口2.3万人規模の小規模自治体でも成立事例があり、飲食以外の業態(保育所・スーパー)による活用も進む

Park-PFIとは何か

都市公園法H29改正で新設。「収益施設の設置」と「公園整備」を一体公募する制度の核心を解説

165

全国活用済み公園数

令和7年3月時点

136

検討中の公園数

令和7年3月時点

20

設置管理許可期間

年(特例)

とは、平成29(2017)年の都市公園法改正により新設された制度である(法第5条の2〜第5条の9)。

制度の核心は「収益と整備の一体化」にある。カフェ・レストラン・売店などの収益施設(公募対象公園施設)を設置・管理する者を公募で選定し、その収益の一部を周辺の園路・広場・ベンチなど公園設備(特定公園施設)の整備に充てる仕組みだ。民間の事業ノウハウと収益力を活用することで、財政負担を抑えながら公園の質を向上させることができる。

この「一体化」という設計が重要である。従来の都市公園行政では、「整備は行政、運営は民間」と役割が分離されていた。行政が整備予算を確保し、完成した施設を指定管理者が運営するという二段階構造だ。しかし、公園整備の財源が縮小する中でこの構造は限界を迎えた。Park-PFIは「民間が収益を上げ、その収益で公園を良くする」という循環構造を制度として組み込んだ点に革新性がある。

令和7年3月31日時点で全国165公園で活用済み、136公園が検討中——公園行政における最重要の官民連携手法として急速に定着しつつある。


なぜPark-PFIが生まれたのか

公園の老朽化、維持管理費の逼迫、従来手法(指定管理・占用許可)では投資回収できない構造的限界

Park-PFIは「あると便利な制度」ではない。日本の都市公園が直面する構造的な問題に対する、制度的な回答として設計されたものである。

老朽化する公園と縮む財源

全国の都市公園は約11.4万か所。その多くは高度経済成長期からバブル期にかけて整備されたものであり、遊具・トイレ・園路などの施設が一斉に更新時期を迎えている。しかし、公園管理予算は自治体全体の歳出のごく一部にすぎず、人口減少・税収減の中で増額は望めない。

結果として、壊れた遊具が撤去されたまま放置される、トイレが老朽化しても改修されない、樹木の剪定が追いつかないといった状況が全国で常態化している。公園の「量」は確保されたが、「質」が維持できなくなったのである。

従来手法では投資を回収できない

こうした課題に対し、従来の公園管理手法では構造的に対応できなかった。

は公園管理に最も広く使われている手法だが、指定期間は通常3〜5年と短い。民間事業者が数千万円の改修投資を行っても、3年後に指定を外される可能性がある以上、積極的な投資は合理的でない。

占用許可(法第6条) は公園内に施設を設置する手法だが、許可期間は最長10年。かつ、占用物件は法令で限定されており、カフェや売店のような収益施設の設置には制約が大きい。

通常の設置許可(法第5条) も最長10年であり、飲食店のように初期投資が大きい業態では投資回収が困難だ。1,000万円の内装投資に対して10年しか営業できない構造では、民間が参入するインセンティブが生まれない。

つまり、「公園をもっと良くしたい民間事業者」と「予算がない自治体」の双方にとって、既存制度では合理的な解が存在しなかった。Park-PFIは、この構造的な隙間を「許可期間の延長」「建ぺい率の特例」「整備義務とのセット化」という3つの制度設計で埋めた。


従来手法との比較

指定管理・コンセッション・賃貸借・占用許可等7つの手法との位置づけを比較表で整理

都市公園の活用・管理にはPark-PFI以外にも複数の事業手法が存在する。Park-PFIの位置づけを理解するには、これらとの違いを構造的に把握しておく必要がある。

手法根拠法許可期間民間収益整備義務
通常の設置許可(法第5条)都市公園法最長10年なしなし
Park-PFI(公募設置管理制度)都市公園法H29改正最長20年あり特定公園施設
指定管理者制度地方自治法第244条の2通常3〜5年一部可既存施設の維持管理
PFI法案件次第あり内容次第
RO方式(改修+運営)PFI法案件次第あり改修込み
賃貸借方式民法等案件次第ありなし
占用許可(法第6条)都市公園法最長10年なしなし
包括管理委託地方自治法通常1〜3年なし維持管理のみ

Park-PFIが他の手法と決定的に異なるのは、「許可期間の長さ」と「整備義務がセットになっている」の2点である。

20年という長期許可があることで、民間は大規模な初期投資を回収できる事業計画を立てられる。仮に3,000万円のカフェを建設しても、20年間の営業機会があれば年間150万円の減価償却で済む。10年なら年間300万円——この差が、事業参入の可否を分ける。

一方、整備義務(特定公園施設の整備)があることで、公共側にも確実なメリットが保証される。「民間だけが儲かる」という批判を制度設計で封じた点が、Park-PFIの政治的にも優れた特徴である。

なお、公園以外の遊休施設(廃校・古民家・旧庁舎等)を活用する場合は、が適した手法となる。この違いについては後述する。


3つの特例措置

20年許可・12%建ぺい率・占用物件。各特例の意味と「なぜこの数字なのか」の設計思想

Park-PFIの最大の魅力は、通常の設置許可では得られない3つの特例措置にある。これらは、民間事業者にとって事業参入の可否を左右する制度的インセンティブである。

特例①:設置管理許可の20年延長

通常の設置管理許可(法第5条第1項)の期間は最長10年だが、Park-PFI認定を受けると実質最長20年への延長が可能になる。

ただし、20年特例を得るためには以下の条件をすべて満たす必要がある。

  1. 法第5条の2の公募手続きを経て「設置等予定者」として選定されること
  2. 公募設置等計画を提出し、法第5条の4の認定要件を満たして認定を受けること
  3. 公募設置等指針において認定有効期間が明示されていること
  4. 特定公園施設の整備を含む計画であること(収益施設単独では不可)

4番目の条件が最も重要だ。カフェや売店だけを設置したいという計画では、20年特例は適用されない。公園設備の整備をセットで計画することが前提条件である。

なぜ「20年」なのか。 この数字には明確な根拠がある。飲食店の建築物は一般的に法定耐用年数が15〜22年(木造15年、鉄骨造19年、RC造22年)であり、20年という期間は「建物の寿命とほぼ一致する投資回収期間」を意味する。10年では短すぎて採算が合わず、30年では長すぎて事業者の交代が困難になる。20年は、民間投資のインセンティブと公園管理の柔軟性のバランス点として設計された数字である。

期間終了後の選択肢は2つある。再公募(Park-PFI継続)であれば再度20年特例が適用されるが、通常許可(法第5条第1項)に移行すると最長10年となり、建ぺい率特例は消滅する。

特例②:建ぺい率の12%上乗せ

都市公園法における建築物の建ぺい率の参酌基準は通常**2%だが、Park-PFI認定を受けた公募対象公園施設については、10%の上乗せ特例により最大12%**まで利用できる。

区分通常上限特例
通常建築物2%2%
休養施設・運動施設等2%+10%12%
公募対象公園施設2%+10%12%

なぜ「2%」が基準で「12%」が上限なのか。 都市公園の建ぺい率2%という参酌基準は、「公園の主役はオープンスペースである」という原則に基づく。1haの公園なら建築物は200m²まで——つまり10m×20mの小さな管理棟1つ分である。この制約があるからこそ公園は「緑の空間」として維持されてきた。

しかし、2%では収益施設を設置する物理的な余地がほとんどない。12%に引き上げることで、1haの公園に1,200m²(たとえば200m²のカフェ+1,000m²の休養施設)を建てられるようになる。「公園のオープンスペースとしての性質を保ちつつ、収益事業が成立する最低限の建築面積」——12%はその均衡点として設定されている。

重要な留意点として、上記はあくまで法令上の参酌基準であり、実際に適用される数値は各自治体が条例で定めたものとなる。また、休養施設等との上乗せ分は合計10%まで共有枠となるため、両者が混在する場合は注意が必要だ。

特例③:占用物件の拡大

通常の都市公園では設置が認められない自転車駐車場・看板・広告塔等の「利便増進施設」について、Park-PFI計画に含まれる場合は占用物件として設置が可能になる。

この特例の意味は「収益源の多角化」にある。カフェの売上だけで公園整備費を賄うのは容易ではない。広告塔や看板からの広告収入、自転車駐車場の利用料など、複数の収益源を確保できることで事業計画の安定性が高まる。


事業化の全フェーズ

Phase 0〜5の各段階における具体的タスク・期間・費用感。郡山市の4年タイムライン

Park-PFIの事業化は、検討開始から開業まで複数のフェーズにわたる。郡山市・開成山公園の事例では検討開始(2020年3月)から開業(2024年4月)まで約4年を要した。各フェーズの役割と留意点を整理する。

Phase 0:機運醸成と庁内体制構築(6か月〜1年)

首長・議会・関係部署へのPark-PFI制度の説明から始まる。全般への理解が庁内で薄い場合、この段階に最も時間がかかることが多い。先進自治体の視察や国の説明会への参加が効果的だ。

費用面では、この段階でアドバイザリー業者を選定するケースが多い。郡山市ではオリエンタルコンサルタンツが「Park-PFI事業支援業務委託」として公募型プロポーザルで選定された。アドバイザリー費用は案件規模により数百万〜数千万円。国は「都市公園における官民連携の検討調査に係る支援」として費用補助を用意しているため、活用を検討すべきである。

Phase 1:マーケットサウンディング(6か月〜1年)

国交省ガイドラインは、を「事業発案時」と「事業化検討時」の2段階実施することを推奨している。

  • Step 1(事業発案時):市場性の確認・民間活用アイデアの聴取。公園概要・図面・現況建ぺい率・既存物件の取扱い方針などを提供する
  • Step 2(事業化検討時):公募条件案を開示した上で、事業参画意向と条件の確認を行う。使用料水準・特定公園施設の整備費水準についても意見を収集する

郡山市の開成山公園事業では、このサウンディングをさらに発展させた3段階設計が実施された。

段階時期目的公募時加点
トライアル・サウンディング2020年10月民間事業者が公園を試験利用し、収益性を実地検証+5点
プレサウンディング2021年9月導入可能性調査段階での民間ニーズ把握
マーケットサウンディング2022年1月公募指針策定直前の市場調査+3点

サウンディング参加者に対する公募時の加点(トライアル参加で5点、マーケット参加で3点)は、民間事業者の早期関与を促すインセンティブ設計として注目に値する。サウンディングの設計・実施方法についてはPark-PFIサウンディング完全ガイドで詳しく解説している。

Phase 2:公募設置等指針の策定と公示(3〜6か月)

公募設置等指針には法定記載事項(法第5条の2第2項第1号〜10号)がある。主な記載事項は以下の通りだ。

項目
第1号公募対象公園施設の種類(カフェ・レストラン等。幅を持たせた表記も可)
第2号公募対象公園施設の場所(設置区域・面積・現況・規制の有無)
第5号特定公園施設の建設に関する事項(整備施設の種類・仕様・数量・費用負担上限額)
第8号認定の有効期間(最長20年の範囲内)
第9号評価基準(6項目)

指針の公示から計画提出期限までは1か月以上の期間を設けることが法律上の義務となっている。実際には、民間事業者がコンソーシアム組成と事業計画策定を行う時間を考慮して、2〜3か月程度の期間を設定するケースが多い。

Phase 3:公募・審査・選定(3〜6か月)

選定は2段階構造で行われる。

第1段階(審査):指針との適合性確認、建設・運営の確実性(客観的資料)、技術力審査(実績)、資金調達能力(直近決算で債務超過でないこと)

第2段階(評価):審査を通過した案件のみ、6つの評価項目で定量的に採点する。法律上、学識経験者2名以上で構成する評価・選定委員会の設置が義務付けられている。

6つの評価項目は以下の通りである。

#評価項目主な評価内容
事業の実施方針運営目的・基本方針、地域経済活性化、地域連携
事業実施体制コンソーシアム役割分担、人員配置、各社実績、財務健全性、地元企業の参画状況
施設の設置計画利便向上施設整備、植栽・建築デザイン、バリアフリー、施工計画
施設の管理運営計画管理計画、安全・災害対応、地域連携
事業計画資金・収支計画、持続的経営、撤退リスク対応
価額提案特定公園施設費の公園管理者負担額、使用料の額

評価項目②に「地元企業の参画状況」が含まれている点は注目に値する。大手事業者が代表企業を担いつつ、地元の造園会社・建設会社・コンテンツ企業をコンソーシアムに組み込む「混成型」の座組が高評価を得やすい設計となっている。郡山市・開成山公園では、大和リース(大和ハウスグループ)を代表に、地元4社(出版・清掃・建設・設計)を加えた混成型コンソーシアムが採択された。評価基準の詳細についてはPark-PFI評価基準の読み方で解説している。

Phase 4:認定・協定・許可

設置等予定者として選定された後は、公募設置等計画の認定申請→基本協定の締結→設置管理許可の取得という手続きが続く。建築基準法第48条の許可(用途地域の制限)や、指定管理者制度を併用する場合は議会議決も必要となる。

Phase 5:整備・開業

特定公園施設の整備工事と収益施設の建設を進め、開業を迎える。整備費の負担構造は案件により異なるが、郡山市・開成山公園の事例では、特定公園施設整備費約7億円のうち市負担上限は90%以内(約6.3億円)、民間負担は最低10%以上(約7,015万円)という費用分担が設定された。収益施設(カフェ等)は民間が全額自己負担で整備・運営する。


全国165公園の実績:どんな公園で成功しているか

令和7年3月31日時点で、全国165公園がPark-PFIを活用している。この数字の背景にある傾向を分析する。

大規模公園の代表事例:郡山市・開成山公園

開成山公園事業は、Park-PFIと指定管理者制度を組み合わせた複合型モデルとして全国的に注目度が高い。

項目内容
規模事業対象面積 約12.89ha(西側エリア119,900m²+隣接3街区公園 計9,000m²)
事業者大和リースグループ(開成山フロンティアパートナーズ)
設置許可期間認定計画開始から20年間
指定管理料上限14億4,160万4,000円(19年間合計)
年間来園者数約140万人(延べ)

この事例から読み取るべきポイントは3つある。第一に、3段階サウンディングという丁寧な官民対話プロセスが、結果として2者(2共同事業体)の応募を実現したこと。第二に、指定管理料(年間約7,587万円)+収益施設の使用料+収益還元費という複数の収入源を組み合わせた事業設計。第三に、大手(大和リース)と地元企業4社の混成コンソーシアムが、評価基準上有利に機能したことである。

小規模自治体での成立事例

2024年7月、日本公園緑地協会が「小規模公園におけるPark-PFI事例編」講習会を初開催した。Park-PFIが大都市・大規模公園に限らないことを示す5つの事例が紹介されている。

事例自治体(人口規模)業態面積特徴
PARK DAIKANYAMAむつ市(約5.6万人)グランピング・飲食・ドッグラン地元企業が代表。「本州最北端のグランピング」でブランディング
カダルテラス金田一二戸市(約2.3万人温泉・サウナ・宿泊・レストラン近隣公園(2ha)地元出資まちづくり会社が代表。土木学会デザイン賞2023年優秀賞
春木川パーク別府市(約11万人)1F:スーパー、2F:人工芝グラウンド+カフェ0.92ha西日本初の立体都市公園。市の年間収入 約1,400万円
柳町児童公園むつ市認可保育所児童公園飲食ではなく「社会インフラ」を収益施設に
高倉公園他5公園八王子市ボール遊びができるあそび場各0.25ha街区公園5か所をまとめてパッケージ化

成功パターンの6類型

これらの事例を分析すると、小規模Park-PFIの成功パターンは6つの類型に分類できる。

類型代表事例核心となる戦略
地域資源型カダルテラス金田一温泉等の地域固有資源で収益の柱を確立
グランピング型PARK DAIKANYAMA少投資でブランド化。地方でも高単価が狙える
立体化型春木川パーク狭小敷地を重層化で解決。商業+スポーツの共存
課題解決型柳町児童公園飲食ではなく社会インフラ(保育・福祉)を収益施設に
パッケージ型八王子5公園単独では採算不成立の小公園を複数まとめて1事業化
まちづくり会社型カダルテラス金田一地元出資SPCで「地域でお金が回る」構造を実現

特に注目すべきは二戸市・カダルテラス金田一の事例である。人口約2.3万人という小規模自治体でも、地元の温泉資源を組み合わせることで収益の柱を確立した。大手企業に頼らず、地元出資のまちづくり会社が代表企業を務めている点は、「地域でお金が回る」モデルの先行事例として重要だ。土木学会デザイン賞2023年の優秀賞を受賞しており、「デザインの質」もPark-PFI成功の重要な要素であることを示している。

また、柳町児童公園の事例は、Park-PFIの「収益施設」が飲食業に限らないことを実証した。認可保育所を公園内に設置するという発想は、待機児童対策と公園再生を一体で解決するものであり、今後の非飲食型Park-PFI活用の先行モデルとなる。

全国の事例分析についてはPark-PFI全国事例集で詳しく紹介している。


スモールコンセッションとの違い

対象施設・根拠法が異なる別制度。「どちらを選ぶべきか」の判断フロー

Park-PFIを検討する際、スモールコンセッションとの違いを正確に理解しておくことが不可欠である。両者は「公共空間の民間活用」という点では共通するが、制度的には別物である。

制度比較表

比較軸Park-PFIスモールコンセッション
根拠法都市公園法(H29改正)特定の根拠法なし(各種手法の総称)
対象都市公園(公園法適用の公園のみ)廃校・古民家・遊休公共施設等
所管国土交通省 都市局国土交通省 総合政策局
事業費規模規模の定義なし(数千万〜数十億円)10億円未満程度
許可期間特例で最長20年手法による(賃貸借・指定管理等)
整備義務特定公園施設の整備が必要なし
プラットフォーム国交省都市局がガイドラインを整備国交省総合政策局がプラットフォームを設立(2024年12月)

どちらを選ぶべきか:判断フロー

最も基本的な判断基準は「対象施設が都市公園法の適用を受ける公園かどうか」である。

  • 活用したい施設が都市公園 → Park-PFI
  • 活用したい施設が廃校・古民家・旧庁舎等 → スモールコンセッション
  • 両方ある → Park-PFIとスモールコンセッションを並行検討

両者は競合するものではなく、対象施設の種類によって使い分ける補完的な関係にある。実際に、同一の自治体がPark-PFIで公園を活用しつつ、スモールコンセッションで廃校を活用するケースも今後増えていくと考えられる。

ただし、制度の成熟度には差がある。Park-PFIは2017年の制度創設から9年が経過し、165公園の実績とガイドラインの蓄積がある。一方、スモールコンセッションは2024年12月にプラットフォームが設立されたばかりの新しい枠組みであり、事例の蓄積はこれからである。

スモールコンセッションの詳細については、スモールコンセッションとは?自治体担当者のための完全ガイドを参照されたい。


国の支援制度

Park-PFIの事業化に活用できる国の支援制度として、以下の3つが用意されている。

  1. 社会資本整備総合交付金:特定公園施設の整備費に対する国からの補助。Park-PFI事業では、この交付金を活用することで自治体の実質的な財政負担を大幅に軽減できる
  2. 都市開発資金(賑わい増進事業資金):地方公共団体が事業者に貸し付ける際、国が1/2を有利子貸付する仕組み。民間事業者の資金調達を間接的に支援する
  3. 検討調査支援:マーケットサウンディングや導入可能性調査への国の費用支援。Phase 0〜1の初期段階で活用できるため、「まずサウンディングをやってみたいが予算がない」という自治体に有効

Park-PFIの始め方

Park-PFIの事業化に向けて、まず着手すべき3つのステップを示す。

対象公園の洗い出し

自治体が管理する都市公園の中から、収益施設の設置が見込めるエリアを候補化する。立地条件(周辺人口・交通アクセス)、建ぺい率の現況、既存施設の老朽化状況を確認する。

サウンディングの実施

公募前のマーケットサウンディングで、民間事業者の参入意欲を確認する。「そもそも誰も手を挙げない」という事態を防ぐことがPark-PFI成功の最優先課題だ。国の検討調査支援を活用すれば、自治体の持ち出しを最小限に抑えられる。

国交省ガイドラインの精読

国交省ガイドラインには、指針の記載事項・評価基準・サウンディングの実施方法が具体的に示されている。特に初回のPark-PFI導入では、公募設置等指針のドラフト作成や評価基準の設計にPPP専門のアドバイザリーを活用することが現実的だ。
基礎知識

スモールコンセッションとは?自治体担当者のための完全ガイド

廃校・古民家・旧庁舎など公園以外の遊休施設の活用手法。Park-PFIとの使い分けを理解する。

比較・選定

官民連携7手法を徹底比較

PFI法コンセッション・BTO・Park-PFI・スモールコンセッション・指定管理の選び方を比較表と判断フローで整理。


事例から学べることは多いが、自分の公園で同じ結果が出るとは限らない。立地条件・周辺人口・既存施設の状態・民間事業者のニーズ——これらの前提条件の整理なしに公募に進むと、応募ゼロという結果になりかねない。

ISVDでは、公園活用の前提条件を整理した上で、最適な官民連携の事業設計を一緒に検討する無料相談を受け付けている。

参考文献

都市公園の質の向上に向けたPark-PFI活用ガイドライン(令和7年5月30日改正) (2025)

Park-PFI等の活用状況(令和7年3月31日時点) (2025)

郡山市 開成山公園Park-PFI事業 公募設置等指針 (2022)

郡山市 開成山公園Park-PFI事業(公式ページ) (2022)

PPP/PFI推進アクションプラン(令和7年改定版) (2025)

Park-PFI(公募設置管理制度) (2024)

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前提条件に応じた手法の選定から事業設計まで、ISVDが対応します。初回のご相談は無料です。

読んだ後に考えてみよう

  1. あなたの担当公園で、収益施設として想定できる業態は何か?周辺の民間ニーズと合致しているか?
  2. Park-PFI認定を受けるために必要な「特定公園施設の整備」として、どの設備が候補になるか?
  3. サウンディングを実施した場合、公募条件(使用料・建ぺい率・事業期間)の設計でどの点が課題になるか?

この記事の用語

Park-PFI(公募設置管理制度)
都市公園法に基づき、飲食店等の収益施設と公園施設の整備・管理を一体的に行う民間事業者を公募する制度。2017年の法改正で創設。収益施設の設置許可期間は最長20年。
PPP/PFI
官民が連携して公共サービスの提供や公共施設の整備・運営を行う手法の総称。PFIは民間資金を活用したインフラ整備、PPPはPFIを含むより広い概念で指定管理者制度や包括的民間委託等を含む。
コンセッション方式
公共施設の所有権を行政が保持したまま、運営権を民間事業者に委託するPFI手法。水道事業では2022年に宮城県が全国初の導入事例となった。
サウンディング型市場調査
公有資産の活用にあたり、公募前に民間事業者の意見・アイデアを聞く対話型の市場調査。事業の実現可能性や条件設定の妥当性を事前に検証する目的で実施される。
スモールコンセッション
地方公共団体が所有する空き家・廃校等の遊休不動産について、民間の創意工夫を活かした小規模(事業費10億円未満程度)なPPP/PFI事業を行う取組み。2024年に国交省がプラットフォームを設立。
指定管理者制度
地方自治法第244条の2に基づき、公の施設の管理を民間事業者やNPO等に委ねる制度。2003年の法改正で導入。管理運営の効率化とサービス向上が目的だが、指定期間の短さ(通常3〜5年)が長期投資を妨げる課題がある。
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