沖縄のPark-PFI — 観光資源との融合モデル
沖縄県では2023年以降、コザ運動公園(沖縄市)・漫湖公園(那覇市)・21世紀の森公園(名護市)でPark-PFIが相次いで展開されている。観光資源との融合を前提とした沖縄型のPark-PFIモデルと、県内初の公園内スターバックス出店の構造を分析する。
ざっくり言うと
- 沖縄県ではコザ運動公園(沖縄市・2023年)、漫湖公園(那覇市・2025年)、21世紀の森公園(名護市・2026年以降順次)の3件でPark-PFIが展開
- 漫湖公園鏡原側では県内初の公園内店舗「スターバックスコーヒー那覇鏡原店」が2025年9月にオープン。マングローブの自然と共存する設計
- コザ運動公園ではホテル「レフ沖縄アリーナ」を核とした公園一体型の施設運営が進行中
沖縄のPark-PFI概況
県内3件のPark-PFI事例の全体像と沖縄の特性
3件
沖縄県内のPark-PFI事例
2026年時点
2025年9月
県内初の公園内店舗開業
スターバックス那覇鏡原店
年間1,000万人+
沖縄県の観光入域客数
沖縄県では2023年以降、Park-PFIの導入が急速に進んでいる。2026年時点で以下の3件が展開されている。
| 公園 | 所在地 | 事業開始 | 核施設 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| コザ運動公園 | 沖縄市 | 2023年8月 | ホテル「レフ沖縄アリーナ」 | ホテル核型 |
| 漫湖公園鏡原側 | 那覇市 | 2025年9月 | スターバックス那覇鏡原店 | 環境共生型 |
| 21世紀の森公園 | 名護市 | 2026年3月以降順次 | 飲食・物販・マリン複合 | 滞在型観光転換 |
沖縄のPark-PFIを理解する上で不可欠な前提は、年間1,000万人を超える観光入域客数である。この観光需要が、公園の収益施設に「地元住民+観光客」という二重の利用者層をもたらし、本土の公園とは異なる事業成立条件を生んでいる。
漫湖公園「スターバックスコーヒー那覇鏡原店」
県内初の公園内店舗。マングローブの自然との共存と環境循環の取り組み
県内初の公園内店舗
那覇市が実施する漫湖公園鏡原側Park-PFI事業として、2025年9月1日に「スターバックスコーヒー那覇鏡原店」がオープンした。沖縄県内初の本格的なPark-PFI事業による公園内店舗である。
店舗設計と環境共生
店舗は公園全体の景観や既存の木々と地形を活かした位置に建てられており、店舗前の大きなガジュマルと緑の芝生が特徴的である。
店舗の設計上の特徴は以下の通りである。
- 立地: 既存の木々・地形を活かし、公園の自然景観を損なわない配置
- 建築: 両サイドが大きな窓で自然光が差し込む、沖縄の風を感じられる設計
- 席数: 店内35席+テラス席14席の計50席
- 営業時間: 7:00〜21:00(不定休)
環境循環の取り組み
店舗で排出されるコーヒー豆かすと、漫湖水鳥・湿地センターでのマングローブ保全活動で抜かれた稚樹を合わせてたい肥にする実験が計画されている。たい肥を公園や地域で活用し、地域の自然循環につなげる取り組みだ。
コザ運動公園
ホテル「レフ沖縄アリーナ」を核とした公園一体型の施設運営
ホテル核型Park-PFI
2023年8月1日、沖縄市のコザ運動公園においてPark-PFI事業が始動した。ホテル「レフ沖縄アリーナbyベッセルホテルズ」を核施設とし、コンビニエンスストア、駐車場・緑地管理を含む公園一体型の運営を行っている。
事業構造の特徴
コザ運動公園のPark-PFIは、他の事例と異なるホテル核型である。通常のPark-PFIではカフェ・飲食施設が核となるが、コザ運動公園では宿泊施設がPark-PFIの中核を担う。
この設計の背景には、コザ運動公園に隣接する沖縄アリーナ(1万人収容の多目的アリーナ)の存在がある。バスケットボール(琉球ゴールデンキングス)やコンサート等のイベント来場者の宿泊需要を取り込むことで、ホテル経営の安定性を確保する設計だ。
緑地整備との一体性
コザ運動公園では、旧サッカー場跡地の緑地化が進められ、「アシャギテラス」と呼ばれる憩いの広場が整備されている。ホテルの宿泊者と公園利用者の双方が利用できる空間として設計されており、「ホテル→公園→アリーナ」という回遊動線が形成されている。
21世紀の森公園(名護市)
通過型観光から滞在型への転換を図る複合型Park-PFI
通過型観光から滞在型観光への転換
名護市の21世紀の森公園では、Park-PFI制度を活用した複合施設の整備が進行中であり、2026年3月以降の順次開業が予定されている。
21世紀の森公園は名護市役所前の国道58号線沿いに位置し、体育館・サッカー場・ラグビー場・市民会館・野外ステージ・ビーチ等を備えた名護市の中核的な都市公園である。
施設構成
Park-PFIにより整備される施設は、以下の多彩な要素で構成される。
- 飲食施設: レストラン・カフェ
- 物販施設: 地域産品の販売拠点
- イベントスペース: 屋外イベント・マーケット対応
- マリンアクティビティ: ビーチと連動した海のレジャー
- 大型遊具: 沖縄県内最大規模の大型遊具の設置が計画されている
「通過型→滞在型」の設計意図
名護市は沖縄本島北部の中核都市であり、美ら海水族館や今帰仁城跡への通過地点として多くの観光客が通るが、「名護市で滞在する」動機が弱かった。21世紀の森公園のPark-PFIは、この「通過型観光」を「滞在型観光」に転換する装置として設計されている。
沖縄型Park-PFIの構造
観光資源との融合が沖縄のPark-PFIを規定する理由と設計指針
観光資源との融合が規定する設計
沖縄の3事例に共通するのは、観光資源との融合を前提としたPark-PFI設計である。
| 公園 | 融合する観光資源 | 設計への影響 |
|---|---|---|
| コザ運動公園 | 沖縄アリーナ(スポーツ・エンタメ) | ホテル核型の採用 |
| 漫湖公園 | マングローブ湿地(自然環境) | 環境共生型の店舗設計 |
| 21世紀の森公園 | 沖縄北部観光ルート(通過型→滞在型) | 複合型施設の整備 |
本土のPark-PFIでは「地元住民の日常利用」が主要な設計前提となることが多いが、沖縄では「観光客の存在」が設計の根本条件になる。観光客の滞在時間・消費行動・移動パターンを織り込んだ上で、公園の機能と収益施設を設計する必要がある。
沖縄型Park-PFIの3つの設計原則
原則1: 「二重の利用者層」を前提とする
地元住民と観光客の双方が利用する施設設計。営業時間・価格帯・サービス内容を両者のニーズに対応させる。
原則2: 自然環境との共生を設計に組み込む
沖縄の自然環境(マングローブ・サンゴ・亜熱帯植生)は観光の核心的価値であり、これを毀損するPark-PFIは事業そのものの前提を壊す。環境保全を収益施設設計の制約条件として積極的に位置づける。
原則3: 季節変動への対応
沖縄の観光需要は夏季にピークがあるが、冬季も本土からの避寒需要がある。年間を通じた安定集客のための施設構成と運営計画が必要だ。
→ 全国のPark-PFI最新統計については、Park-PFI最新事例・統計【2026年版】を参照されたい。
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参考文献
漫湖公園鏡原側Park-PFI事業について (2025)
沖縄の豊かな自然と共存する県内初の公園内店舗「スターバックスコーヒー那覇鏡原店」 (2025)
沖縄市コザ運動公園Park-PFI事業が始動 (2023)