本文へスキップ
公共0区
沖縄のPark-PFI — 観光資源との融合モデル
公共資産活用 — Park-PFI
Park-PFI公共資産活用地方・地域

沖縄のPark-PFI — 観光資源との融合モデル

横田直也
約7分で読めます

沖縄県では2023年以降、コザ運動公園(沖縄市)・漫湖公園(那覇市)・21世紀の森公園(名護市)でPark-PFIが相次いで展開されている。観光資源との融合を前提とした沖縄型のPark-PFIモデルと、県内初の公園内スターバックス出店の構造を分析する。

XFBThreads

ざっくり言うと

  1. 沖縄県ではコザ運動公園(沖縄市・2023年)、漫湖公園(那覇市・2025年)、21世紀の森公園(名護市・2026年以降順次)の3件でPark-PFIが展開
  2. 漫湖公園鏡原側では県内初の公園内店舗「スターバックスコーヒー那覇鏡原店」が2025年9月にオープン。マングローブの自然と共存する設計
  3. コザ運動公園ではホテル「レフ沖縄アリーナ」を核とした公園一体型の施設運営が進行中

沖縄のPark-PFI概況

県内3件のPark-PFI事例の全体像と沖縄の特性

ここから先の単価と金額は、この記事が置いた前提である。公表された統計ではない。施設の状態・地域・業態で大きく変わるので、自分の案件では見積書と近隣の実績に置き換えて使う。

沖縄県内のPark-PFI事例

3件

2026年時点

県内初の公園内店舗開業

2025年9月

スターバックス那覇鏡原店

沖縄県の観光入域客数

年間1,000万人+

沖縄県では2023年以降、の導入が急速に進んでいる。2026年時点で以下の3件が展開されている。

Park-PFI の3つの特例。設置管理許可の期間は原則最長10年のところ最長20年、建蔽率は原則2%のところ最大12%、占用物件に自転車駐車場と催し物情報の看板・広告塔が加わる。
建蔽率の10%は休養施設等と合わせての10%。すでに12%に達している公園では便益施設を新設できない出典: 国土交通省 都市局「都市公園の質の向上に向けた Park-PFI 活用ガイドライン」(令和7年5月改正版)2.3
公園所在地事業開始核施設特徴
コザ運動公園沖縄市2023年8月ホテル「レフ沖縄アリーナ」ホテル核型
漫湖公園鏡原側那覇市2025年9月スターバックス那覇鏡原店環境共生型
21世紀の森公園名護市工事着手 令和7年8月15日飲食・物販・マリン複合滞在型観光転換

沖縄のPark-PFIを理解する上で不可欠な前提は、年間1,000万人を超える観光入域客数である。この観光需要が、公園の収益施設に「地元住民+観光客」という二重の利用者層をもたらし、本土の公園とは異なる事業成立条件を生んでいる。


漫湖公園「スターバックスコーヒー那覇鏡原店」

県内初の公園内店舗。マングローブの自然との共存と環境循環の取り組み

県内初の公園内店舗

那覇市が実施する漫湖公園鏡原側Park-PFI事業として、2025年9月1日に「スターバックスコーヒー那覇鏡原店」がオープンした。沖縄県内初の本格的なPark-PFI事業による公園内店舗である。

店舗設計と環境共生

店舗は公園全体の景観や既存の木々と地形を活かした位置に建てられており、店舗前の大きなガジュマルと緑の芝生が特徴的である。

店舗の設計上の特徴は以下の通りである。

  • 立地: 既存の木々・地形を活かし、公園の自然景観を損なわない配置
  • 建築: 両サイドが大きな窓で自然光が差し込む、沖縄の風を感じられる設計
  • 席数: 店内35席+テラス席14席の計50席
  • 営業時間: 7:00〜21:00(不定休)

環境循環の取り組み

店舗で排出されるコーヒー豆かすと、漫湖水鳥・湿地センターでのマングローブ保全活動で抜かれた稚樹を合わせてたい肥にする実験が計画されている。たい肥を公園や地域で活用し、地域の自然循環につなげる取り組みだ。


コザ運動公園

ホテル「レフ沖縄アリーナ」を核とした公園一体型の施設運営

ホテル核型Park-PFI

2023年8月1日、沖縄市のコザ運動公園においてPark-PFI事業が始動した。ホテル「レフ沖縄アリーナbyベッセルホテルズ」を核施設とし、コンビニエンスストア、駐車場・緑地管理を含む公園一体型の運営を行っている。

事業構造の特徴

コザ運動公園のPark-PFIは、他の事例と異なるホテル核型である。通常のPark-PFIではカフェ・飲食施設が核となるが、コザ運動公園では宿泊施設がPark-PFIの中核を担う。

この設計の背景には、コザ運動公園に隣接する沖縄アリーナ(1万人収容の多目的アリーナ)の存在がある。バスケットボール(琉球ゴールデンキングス)やコンサート等のイベント来場者の宿泊需要を取り込むことで、ホテル経営の安定性を確保する設計だ。

緑地整備との一体性

コザ運動公園では、旧サッカー場跡地の緑地化が進められ、「アシャギテラス」と呼ばれる憩いの広場が整備されている。ホテルの宿泊者と公園利用者の双方が利用できる空間として設計されており、「ホテル→公園→アリーナ」という回遊動線が形成されている。


21世紀の森公園(名護市)

通過型観光から滞在型への転換を図る複合型Park-PFI

通過型観光から滞在型観光への転換

名護市の21世紀の森公園では、Park-PFIによる整備が動いている。認定計画提出者はYAMBARU GATEWAY PARK(代表企業は株式会社ゆがふホールディングス)。公募設置等計画の認定日は令和6年10月31日、公募対象公園施設の工事着手日は令和7年8月15日で、認定の有効期間はそこから20年である。名護市は令和8年3月13日付で認定公募設置等計画の変更を認定している。

21世紀の森公園は名護市役所前の国道58号線沿いに位置し、体育館・サッカー場・ラグビー場・市民会館・野外ステージ・ビーチ等を備えた名護市の中核的な都市公園である。

施設構成

Park-PFIにより整備される施設は、以下の多彩な要素で構成される。

  • 飲食施設: レストラン・カフェ
  • 物販施設: 地域産品の販売拠点
  • イベントスペース: 屋外イベント・マーケット対応
  • マリンアクティビティ: ビーチと連動した海のレジャー
  • 大型遊具: 沖縄県内最大規模の大型遊具の設置が計画されている

「通過型→滞在型」の設計意図

名護市は沖縄本島北部の中核都市であり、美ら海水族館や今帰仁城跡への通過地点として多くの観光客が通るが、「名護市で滞在する」動機が弱かった。21世紀の森公園のPark-PFIは、この「通過型観光」を「滞在型観光」に転換する装置として設計されている。


沖縄型Park-PFIの構造

観光資源との融合が沖縄のPark-PFIを規定する理由と設計指針

観光資源との融合が規定する設計

沖縄の3事例に共通するのは、観光資源との融合を前提としたPark-PFI設計である。

公園融合する観光資源設計への影響
コザ運動公園沖縄アリーナ(スポーツ・エンタメ)ホテル核型の採用
漫湖公園マングローブ湿地(自然環境)環境共生型の店舗設計
21世紀の森公園沖縄北部観光ルート(通過型→滞在型)複合型施設の整備

本土のPark-PFIでは「地元住民の日常利用」が主要な設計前提となることが多いが、沖縄では「観光客の存在」が設計の根本条件になる。観光客の滞在時間・消費行動・移動パターンを織り込んだ上で、公園の機能と収益施設を設計する必要がある。

沖縄型Park-PFIの3つの設計原則

原則1: 「二重の利用者層」を前提とする

地元住民と観光客の双方が利用する施設設計。営業時間・価格帯・サービス内容を両者のニーズに対応させる。

原則2: 自然環境との共生を設計に組み込む

沖縄の自然環境(マングローブ・サンゴ・亜熱帯植生)は観光の核心的価値であり、これを毀損するPark-PFIは事業そのものの前提を壊す。環境保全を収益施設設計の制約条件として積極的に位置づける。

原則3: 季節変動への対応

沖縄の観光需要は夏季にピークがあるが、冬季も本土からの避寒需要がある。年間を通じた安定集客のための施設構成と運営計画が必要だ。

→ 全国のPark-PFI最新統計については、Park-PFI最新事例・統計【2026年版】を参照されたい。


基礎知識

Park-PFI完全ガイド

公募設置管理制度の仕組み・手続きを網羅的に解説

Park-PFI最新事例・統計【2026年版】

全国203公園の統計・制度改正の動向

別府市春木川パーク

温泉地のPark-PFIと年間収入1,400万円の構造

次にやること

この記事を読んだあと、その週のうちに動かせる順に並べる。

やることどこで目安
1候補公園の建蔽率の現況を出す。休養施設・運動施設で何%使っているかを数える庁内の公園担当半日
21 の結果で 10%の上乗せ余地が残っているかを確かめる。すでに12%なら便益施設は置けない同上
3候補公園の来園者数を実測する。推計ではなく平日と休日を数える現地2日
4同種の公園の使用料の実額を3件集める。来園者数ではなく、市に入った額を見る先行自治体への照会1〜2週間
51〜4 を持ってサウンディングを打つ。ここで手が挙がらなければ公募しても応募はない民間事業者2〜3か月

**1 と 2 は今日できる。**ここで余地が無いと分かれば、以降の検討は不要になる。


関連記事

事例集

Park-PFI成功事例5選

大規模公園から小都市まで全国の成功パターン

ガイド

Park-PFI導入ガイド

Park-PFIの仕組み・事例・手順を網羅解説

地域別

関東のPark-PFI事例まとめ

東京・神奈川・埼玉の導入状況と成功パターン

この記事で使った統計の出典

  1. 1那覇市 漫湖公園鏡原側Park-PFI事業(2025年) 出典を開く
  2. 2スターバックスコーヒージャパン プレスリリース(2025年) 出典を開く
  3. 3グルメWatch(2025年) 出典を開く
  4. 4すこやかホールディングス プレスリリース(2023年) 出典を開く
  5. 5名護市「21世紀の森公園周辺エリア活用推進事業(Park-PFI事業)について」(2026年) 出典を開く
  6. 6沖縄タイムス(2025年) 出典を開く

訂正履歴

  1. 名護市の事業の出典が新聞記事で、開業時期も確かめられませんでした。

    訂正前
    Park-PFI制度を活用した複合施設の整備が進行中であり、2026年3月以降の順次開業が予定されている(出典は沖縄タイムス)
    訂正後
    認定計画提出者はYAMBARU GATEWAY PARK(代表企業は株式会社ゆがふホールディングス)。計画の認定日は令和6年10月31日、工事着手日は令和7年8月15日、認定の有効期間は20年(名護市)

    誤った理由 出典にしていた沖縄タイムスの記事は開けなくなっていました。名護市が公開している「21世紀の森公園周辺エリア活用推進事業(Park-PFI事業)について」に差し替えています。開業時期は同ページに書かれていないため落とし、市が告示している認定の内容に書き換えました。

  2. Park-PFI の全国活用箇所数が古く、活用と検討中の数を取り違えていました。最新の一次資料に差し替えました。

    訂正前
    令和7年3月時点で全国165公園が活用済み(検討中136公園)
    訂正後
    令和7年度末(令和8年3月31日)時点で203箇所が活用中、そのほか187箇所が活用を検討中

    誤った理由 国土交通省「公募設置管理制度(Park-PFI)の活用状況(令和8年3月31日時点)」に「Park-PFIは令和7年度末(令和8年3月31日)時点において203箇所で活用されており、そのほか187箇所において活用を検討中」とあります。当サイトが活用数として使っていた165は、令和6年度末時点の検討中の数でした。同じ誤りがサイト内の45記事に及んでいたため、一括で確認して直しています。

読んだ後に考えてみよう

  1. あなたの自治体の公園は、沖縄のように観光資源と組み合わせたPark-PFIが可能か?
  2. 漫湖公園のような環境共生型の設計は、自分の公園にも適用できるか?
  3. コザ運動公園のホテル核型モデルは、スポーツ施設を持つ公園に応用できないか?

この記事の用語

Park-PFI(公募設置管理制度)
都市公園法に基づき、飲食店等の収益施設と公園施設の整備・管理を一体的に行う民間事業者を公募する制度。2017年の法改正で創設。収益施設の設置許可期間は最長20年。
XFBThreads

Park-PFI・スモールコンセッション等の導入を検討されていますか?

立地条件の整理、サウンディング設計、プロポーザル支援まで、公共資産活用をプロデュースします。初回のご相談は無料です。

ニュースレター (無料)

最新の公共資産活用情報をお届けします

制度改正・補助金情報・成功事例を月1〜2回配信。自治体・民間問わずご登録いただけます。

  • 新着記事ダイジェスト (月1〜2回)
  • 制度改正・補助金情報のアラート
  • ISVDイベント・セミナー告知

登録無料・いつでも解除可能

関連コンテンツ

同じカテゴリの記事