2026年時点の統計
203公園の活用状況・都道府県別の活用数・年度別の活用数
出典を示していない収支試算の単価・金額は、説明用に仮定した数値であり、統計に基づく相場ではない。事業計画を作る際は、対象施設の状態や立地、事業内容に応じた見積もりと実績を用いる。出典を示した統計や事例の金額は、この仮定とは区別して参照する。
令和8年3月時点の全国Park-PFI活用数(2017年制度開始から約8年)
203公園
令和8年3月時点でPark-PFIの活用を検討中の公園数
187公園
公募対象施設が供用している公園数(一部供用を含む)
131公園
年度別で最も多かった令和3年度の活用数
34箇所
全国203公園の活用状況
Park-PFI(公募設置管理制度)は、令和8年3月時点で全国203公園で活用されている。2017年(平成29年)の都市公園法改正でPark-PFIが創設されてから約8年になる。一覧に載っているのは公募設置等指針を公表した公園で、指針を公表した年度で分けられている。
一覧に出ている数(令和8年3月31日時点):
- 活用した公園: 203箇所
- 活用を検討中の公園: 187箇所
- 公募対象施設が供用している公園: 131公園(一部供用を含む)
不調や事業者の撤退があった事業は、この一覧に載っていない。表に出ている数は、始まった事業と続いている事業の数である。
都道府県別の活用数
多い順に東京都18箇所、福岡県17箇所、神奈川県14箇所、愛知県13箇所、大阪府13箇所である。公園管理者には都道府県・市・区・町・一部事務組合・国土交通省が並んでいる。人口規模ごとに何箇所かを集計した資料は公表されていない。
年度別の活用数
国土交通省の一覧は、活用した年度ごとに公園を並べている。平成29年度4箇所、平成30年度17箇所、令和元年度22箇所、令和2年度23箇所、令和3年度34箇所、令和4年度30箇所、令和5年度29箇所、令和6年度21箇所、令和7年度23箇所で、合わせて203箇所である。
年度ごとの数は令和3年度の34箇所が最も多く、その後は20箇所台で続いている。増え続けているとも、減り続けているとも言えない。
業態別の全国集計は公表されていない。 国土交通省の一覧に載っているのは都道府県・公園管理者・公園名で、収益施設の業態は入っていない。カフェが何割か、グランピングが何件かを全国で数えた資料は見つかっていない。個別の事業の業態は、各自治体の公募設置等指針や選定結果で確かめる。
→ 業態ごとの収支の考え方は公園の収益施設は何がいい?業態別の売上・利益モデルを参照されたい。
PPP/PFI全体市場の中での位置づけ(2026年時点)
Park-PFIは都市公園に特化した手法である。公表統計を用いて、PPP/PFI全体に占める規模を比較する。
実施方針を公表したPFI事業数の累計(平成11年度から令和5年度まで)
1,071件
令和5年度に実施方針を公表したPFI事業数
69件
重点分野で具体化した事業件数(令和6年度末までの累計)
209件
アクションプランの事業件数10年ターゲット(令和4〜13年度、全分野)。209件は32%にあたる
650件
PPP/PFI推進アクションプラン目標: 令和8年改定版は、令和4年度から令和13年度までの10年間で40兆円の事業規模の達成を目指すとしている。公園分野の10年ターゲット目標は、公共施設等運営事業やPark-PFIによる公園全体での民間活用で35件である。この35件は公園全体を民間に開く事業の数である。一方の203箇所は公募設置等指針を公表した公園の数で、公園の一部だけを対象にした事業も入る。2つの数は同じものを数えていない。
分野横断型・広域型のPPP/PFIが増加する中で、Park-PFIも単独の公園整備にとどまらず、複数公園の包括管理や公園+福祉施設+地域エネルギーのような複合事業に発展する可能性が見えつつある。
直近の注目事例
2024〜2026年に開業・選定された注目3事例の概要と特徴
事例1: 立体都市公園の活用(別府市・春木川パーク)
0.92haという狭小公園 でPark-PFIを実現した先進事例として注目されたのが、大分県別府市の春木川パークだ。Park-PFIを使える公園の面積に、都市公園法にもガイドラインにも下限はない。面積の線が引かれているのは交付金のほうで、社会資本整備総合交付金(官民連携型賑わい拠点創出事業)の事業要件が面積0.25ha以上の都市公園である(ガイドライン 4.2)。0.92haの春木川パークはこの線を超えている。同パークは都市公園法の 立体都市公園 制度を使い、地上・地上2階・地上3階に機能を積み重ねた。
- 地上1階: スーパーマーケット・テナント(民間収益施設)
- 地上2階: 人工芝グラウンド・屋上緑地(特定公園施設)
- 地上3階: カフェ・眺望デッキ(収益施設)
この事例が示したのは「公園面積が小さい」という制約が、垂直方向の利活用によって克服できることだ。市への使用料等を年約1,400万円と見込む計画は、0.92haの公園としては高い水準である。ただし実際にいくら入ったかを示す資料は公表されていない。
事例2: 温泉×Park-PFIの融合(二戸市・カダルテラス金田一)
岩手県二戸市(人口2.3万人)の事例は、 人口2万人台の小規模自治体でもPark-PFIが成立する ことを示した代表的事例だ。地元出資のまちづくり会社「カダルミライ」がSPCを設立し、近隣公園(2ha)に温泉・サウナ・宿泊・レストラン・屋内プールを整備。
土木学会デザイン賞2023年優秀賞を受賞し、地方中小都市の公園再生モデルとして全国から注目を集めた。地域の温泉資源を活かした「その土地でしかできない」事業設計が評価されている。
事例3: グランピング型
宿泊型グランピングをPark-PFIで展開した例に、青森県むつ市のPARK DAIKANYAMAがある。「本州最北端のグランピング」として売り出した事業だ。全国で何件あるかを数えた資料は見つかっていない。
グランピング事例の共通点:
- 自然環境・立地の希少性 をコンセプトの核に据える
- 移動可能なトレーラーハウス・グランピングテントを活用してリスクを低減
- 食事・体験プログラムを付加して客単価を上げる(1泊15,000〜40,000円/人)
ガイドラインに書いてあること
令和7年5月改定版の記載事項4点と、スモールコンセッションとの関係
令和7年5月改定版から実務で使う4点
令和7年5月30日に改定された国土交通省のガイドラインから、実務で確認すべき4点を整理する。改正前の版との差分は一覧の形で公表されていないので、ここに挙げるのは改定版の本文に書いてある内容である。括弧の数字はガイドラインの節番号だ。
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マーケットサウンディングの段階: 「実施する段階は、事業発案時、事業検討時の2段階がある」とされる(3.2)。どちらの段階でも、公園の概要と図面、公園のコンセプト、既存の公園施設が占める建築面積、現状の維持管理費と指定管理料などを示すことが望ましいと書かれている
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サウンディング参加者への加点: 公園管理者が「優秀な提案を行った民間事業者は公募時に加点する」といった仕組みを設けることも考えられる、とされる(3.2)
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調査費の2分の1が国費: 官民連携型公園計画策定調査は、データの収集分析・マーケットサウンディング調査・実施方針の策定・事業者公募資料の検討が対象で、国費率は調査に要する費用の2分の1である(4.4)。令和5年度予算で創設された
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詳細な定量評価は外部委託が望ましい: 収益施設の事業性と使用料の水準を評価する必要があるため、専門的な外部コンサルタント等に委託して事業化の検討を進めることが望ましいとされる(4.1)
ガイドラインに出てこない言葉がある。 令和7年5月30日改定版の本文には「GX」「ZEB」「再生可能エネルギー」「脱炭素」「スモールコンセッション」「廃校」がいずれも1回も出てこない。人口5万人未満・面積3ha未満といった規模の線引きも書かれていない。
スモールコンセッションとの関係
アクションプランは「スモールコンセッションの推進」を独立した項目として置き、スモールコンセッションプラットフォームの活用、専門家の派遣、実践のための手引きの策定を挙げている。そこで対象として書かれているのは低未利用の公的不動産と遊休の公的施設で、都市公園ではない。
Park-PFI活用ガイドラインにスモールコンセッションへの言及はない。2つの制度をつなぐ規定は、どちらの資料にも見つかっていない。公園に隣接する廃校を一緒に使う案件を組むなら、2つの制度をそれぞれ別に進めることになる。
→ スモールコンセッション制度については、スモールコンセッション最新動向【2026年版】を参照されたい。
今後の見通し
年度別の活用数から見た今後の数と、自治体が今準備すべき事項
今後の数をどう読むか
年度別では令和3年度の34箇所が最も多く、令和5年度29箇所、令和6年度21箇所、令和7年度23箇所と続いている。直近3年の水準がこのまま3年続くとすれば270箇所前後になる。これは本記事で仮定した条件に基づく計算で、国土交通省が出した見通しではない。
活用を検討中の公園は187箇所ある。この187箇所がすべて公募まで進むとはかぎらない。一覧には、不調や事業者の撤退があった事業は載っていない。
ここから先は本記事の見方である。 数が伸びるか止まるかは、公園の整備費をどこまで民間の収益で賄えるか、同じ規模の公園で先に成立した事例があるか、国の支援制度が続くかで決まると考えている。3つ目については、官民連携型公園計画策定調査(調査費の2分の1が国費)が令和5年度予算で創設され、ガイドライン4.4に載っている。
自治体が今準備すべき3点
Park-PFIを3〜5年以内に実施したいと考える自治体は、以下の3点から着手することが推奨される。
準備1: 対象公園の候補を絞る
すべての公園でPark-PFIが成立するわけではない。年間来園者数・周辺の民間需要・建ぺい率緩和の余地・既存施設の老朽化度合いを整理し、有望な候補公園を2〜3件 ピックアップする。
この上乗せの10%は、休養施設等と合わせての10%である。それぞれに10%が付くわけではない。すでに休養施設や運動施設で建蔽率が12%に達している公園には、Park-PFI で便益施設を新設できない(ガイドライン 2.3)。
準備2: 庁内の合意形成を始める
Park-PFIは公園担当部署だけでは進められない。財政・法制・都市計画・議会対応の担当部署を巻き込んだ 庁内横断チームの発足 が不可欠だ。首長・副首長への早期報告も重要だ。
準備3: 近隣成功事例の視察
同規模・近似条件の事例を視察し、運営上の課題や必要な体制を確認する。国土交通省が出しているPark-PFI活用事例集にも、同じ規模の自治体の事例が載っている。
Park-PFI(公募設置管理制度)完全ガイド
仕組み・特例・全工程の概要。制度の基本から事業化フローまで入門者向けに解説
Park-PFI小規模事例ガイド
人口2〜5万人の自治体・1ha未満の公園でも成立する小規模Park-PFIの設計と事例
次にやること
Park-PFIの導入を検討する際は、公園の条件と利用状況、民間事業者の意向を確認する。
| 順 | 確認・検討すること | 担当・相談先 |
|---|---|---|
| 1 | 公園の敷地面積と既存施設の建築面積を確認する。休養施設や運動施設を含め、建蔽率の現況を把握する | 公園担当 |
| 2 | 条例で定める建蔽率と適用できる特例を確認する。既存施設の建築面積と照合し、新たな施設を設けられるかを判断する | 公園担当 |
| 3 | 来園者数と利用状況を調べる。平日・休日や季節による違いを確認し、需要の見込みを検討する | 現地調査、既存の調査資料 |
| 4 | 条件の近い公園の使用料の実績を確認する。面積や立地、施設の用途などの違いも比較する | 先行自治体、公表資料 |
| 5 | 調査結果と活用方針を示して民間事業者の意見を聞く。参入意向と、事業が成立するために必要な条件を確認する | サウンディング |
新たな施設を設けられるかどうかは、既存施設の建築面積と条例の規定を確認して判断する。増築の余地がない場合も、既存施設の活用や別の事業手法を含めて検討する。