Park-PFI 2025年採択動向レビュー — 地方都市の活用パターン分類
国土交通省「都市公園におけるPark-PFI制度活用」2025年動向。令和7年3月時点で182公園・検討中165公園、令和7年5月のガイドライン改正、地方都市の採択パターンと公募不調の構造分析。VFM不要のスモールコンセッション類型との接続まで整理する。
ざっくり言うと
- 令和7年3月時点でPark-PFI活用済は全国182公園、検討中は165公園。1年間で活用済が前年比約10%増加、検討中ストックも約21%拡大し、検討段階と実装段階の両方が同時に伸びている
- 2025年に動いた案件は佐賀市神野公園・国営讃岐まんのう公園・川崎市多摩川見晴らし公園・岡山市烏城公園・大阪府箕面公園他5公園など、地方都市と国営公園・広域パッケージへの広がりが目立つ
- Park-PFIとスモールコンセッションは制度上の住み分けがありつつ、令和7年5月ガイドライン改正で連携可能性が明文化された。VFM算定不要・行政負担最小化を共通設計とする運用が地方都市の入り口になる
Park-PFI制度のおさらい
都市公園法第5条の2に基づく公募設置等指針・認定計画・設置管理許可特例の3点セット
182公園
令和7年3月時点の全国Park-PFI活用済公園数(前年比約10%増)
165公園
同時点で活用を検討中の公園数(前年比約21%増)
20年
認定計画における設置管理許可の最長期間(通常10年の特例)
12%
建ぺい率の特例上限(原則2%に対し最大10%上乗せ可)
Park-PFI(公募設置管理制度)は、2017年(平成29年)の都市公園法改正で創設された制度である。根拠条文は都市公園法第5条の2であり、公園管理者が公募によって設置等予定者を選定する仕組みを定めている。制度の中核は3点で構成される。
第一に、公募設置等指針である。公園管理者が公募に先立って公示する法定文書であり、対象公園の範囲・公募対象公園施設の種類・設置管理許可期間の上限・建ぺい率特例の上限・収益施設の収益還元の方針などを示す。第二に、認定計画である。応募者が公募設置等指針に基づいて作成する計画書であり、選定後に公園管理者が認定する。第三に、設置管理許可の特例である。認定計画に基づく設置管理許可は、通常10年が上限のところを最長20年まで延長でき、建ぺい率も原則2%に対し最大10%上乗せできる。
整理すると、Park-PFIは「収益施設の設置・運営を行う民間事業者を、公募で選定し、長期の許可を与える」仕組みである。指定管理者制度が公園全体の管理運営権限を民間に委ねる手法であるのに対し、Park-PFIは収益施設の設置と運営の部分に焦点を絞る点に違いがある。
→ 制度の基本構造と指定管理者制度との比較はPark-PFIとは?仕組み・メリット・事例ゼロから解説で詳しく整理している。
2025年度の採択・公募動向
182公園・検討中165公園、前年比約10%・21%の同時拡大、2025年に動いた案件の地域・業態構成、政令市と地方都市の比率変化
全国統計の推移
令和7年3月31日時点で全国182公園でPark-PFIが活用済み、165公園が検討中である。前年(令和6年3月時点)は活用済165公園・検討中136公園であったため、1年間で活用済は約10%、検討中ストックは約21%拡大した。実装と検討の両側が同時に伸びる構図で、特に検討中ストックの増加幅が大きいことは「新規検討案件の供給が止まっていない」ことを示している。
導入自治体数は推計110自治体超で、都市規模別の構成は政令市・中核市が約5割、人口5万人未満の中小市町が約2割という分布である。残り3割は人口5〜50万人の中堅都市が占める。
2025年に動いた案件(公募中・サウンディング中・新規開業)
2025年(令和7年)に確認できる主な動きを、PPnetなど公開情報から整理する。
整備・管理運営型として公募中の案件:
| 自治体 | 公園 | 動き |
|---|---|---|
| 佐賀市 | 神野公園 | 令和8年6月公募開始 |
| 国土交通省 四国地方整備局 | 国営讃岐まんのう公園 | 特定運営事業として公募 |
| 川崎市 | 多摩川見晴らし公園 | 整備・管理運営事業者の選定 |
| 岡山市 | 烏城公園石山地区 | 令和8年4月公募予定 |
| 大阪府 | 箕面公園他5公園 | 令和9年4月業務開始予定の広域パッケージ |
官民連携可能性調査・サウンディング段階の案件:
| 自治体 | 公園 | 動き |
|---|---|---|
| 徳島市 | 眉山公園 | 民間活力導入可能性調査 |
| 沖縄市 | 美里公園 | 事業者公募資料作成検討 |
| 大津市 | 柳が崎湖畔公園 | 官民連携可能性調査 |
2024〜2025年に新規開業・選定された主な事例:
- 那覇市・漫湖公園
- 富山県・常願寺川公園「BBQ TERRACE」
- 別府市・上人ヶ浜公園「SHONIN PARK」
- 津島市・天王川公園
- 山形市・駅前公園「カスミテラス」
地域分布で目を引くのは2点である。1点目は政令市・中核市の周辺で大規模パッケージ案件が形成されていることだ。大阪府の箕面公園他5公園は府県レベルでの広域包括管理であり、川崎市の多摩川見晴らし公園は河川緑地と一体の事業設計である。2点目は地方の中核拠点での動きである。佐賀市・徳島市・大津市・沖縄市・岡山市など、人口30〜70万人の中堅都市での案件が並ぶ。
業態構成では、当初の「カフェ単体型」中心から複合業態(BBQ・キャンプ・飲食・物販の組み合わせ)への移行が進んでいる。グランピング型は地方都市の主力業態として定着し、スポーツ特化型(フィットネス・屋外運動施設)の新規参入も増えている。
採択パターンの再分類
既存6類型に加え、2024〜2025年に確認できる広域包括管理型・国営公園適用型・公園リノベ協定併用型の3パターン
既存6類型の整理
人口10万人未満の自治体での成功事例を分析した既存記事では、Park-PFIの成功パターンを6類型に整理している(小規模自治体のPark-PFI戦略)。
- 地域資源型 — 温泉・歴史資源と結合(二戸市カダルテラス金田一 等)
- 課題解決型 — 既存公園の閑散・老朽対応として保育所や福祉機能を入れる
- グランピング型 — 観光需要と連動した宿泊・キャンプ業態
- 立体化型 — 狭小地で建ぺい率特例を活用した縦方向の利用(別府市春木川パーク)
- パッケージ型 — 複数公園を束ねて事業規模を確保(八王子市高倉公園他5公園)
- まちづくり会社型 — 地元出資のSPCが代表企業となる
これら6類型は2017〜2023年の事例で確認できる範囲をカバーしている。一方、2024〜2025年に動いた案件には、この6類型では捉えきれないパターンが現れつつある。
2024〜2025年に確認できる新規パターン
パターンA:広域包括管理型
複数の公園を1事業者が府県レベルで広域包括管理するパターンである。大阪府の箕面公園他5公園は令和9年4月の業務開始予定で、府県単位での広域パッケージ化を示している。既存の「パッケージ型」を市町村単位から府県単位に拡張した形であり、小規模自治体が単独で事業を成立させづらい場合に、府県スケールで補完する設計と読める。
パターンB:国営公園適用型
国営讃岐まんのう公園で進む「特定運営事業」は、都市公園法第5条の2に基づくPark-PFI本来の枠組みではなく、国営公園法制との接続を含む新しいルートである。Park-PFIに準じた仕組みを国営公園に持ち込む動きで、地方の国営公園が立地する小都市にとって新規の事業化経路となりうる。
パターンC:公園リノベーション協定併用型
令和7年5月のガイドライン改正で新設された都市公園リノベーション協定制度を、Park-PFIと組み合わせる動きである。まちづくりと一体型での運用や、再生可能エネルギー設備の導入と連動するケースが想定される。Park-PFIとは別建ての協定スキームだが、現場では併用が進む可能性が高い。
新規パターンA〜Cは、既存の6類型を否定するものではなく、より広域・より複合的な事業を可能にする選択肢として加わる位置づけである。
地方都市の典型ケース
二戸市カダルテラス金田一・別府市春木川パーク・八王子市高倉公園他5公園の前提条件と数字
地方都市での具体的なケースを3例で見ておく。いずれも既出の事例だが、2025年動向を踏まえて再読すると論点が立体的に見えてくる。
ケース1:二戸市カダルテラス金田一(岩手県、人口約2.3万人)
地元出資のまちづくり会社「カダルミライ」がSPCを設立し、近隣公園(約2ha)に温泉・サウナ・宿泊・レストラン・屋内プールを整備した事例である。PPnetに詳細が掲載されており、土木学会デザイン賞2023年優秀賞も受賞している。
注目点は3つある。第一に、人口2.3万人という規模でも、地域資源(金田一温泉)を核に据えれば成立しうることを示した点。第二に、地元出資の第三セクター型まちづくり会社がSPCを担い、地元事業者が代表企業となる構造を組めた点。第三に、老朽化していた市営温浴施設の建替えと一体的に進めることで、Park-PFIを単独施設整備ではなく公共資産再編の枠組みで運用した点である。
ケース2:別府市春木川パーク(大分県、人口約11万人)
公園総面積約1.17ha・西エリア約0.92haの狭小敷地で立体都市公園制度を活用した事例である。西エリアは地上1階にスーパー・テナント、地上2階に人工芝グラウンド・カフェ・管理事務所を積み重ねた垂直構造で、西日本初のPark-PFIによる立体都市公園と紹介されている。市に入る年間使用料は約1,400万円と見込まれている。
論点は「公園面積3ha以上」という一般的な目安を、立体化で実質的に乗り越えた点だ。建ぺい率特例(最大10%上乗せ)と立体都市公園制度を組み合わせれば、市街地の狭小公園もPark-PFIの対象になる。商業地・住宅地の小規模公園が眠っている地方都市にとって、有用な参照点である。
ケース3:八王子市高倉公園他5公園(東京都、人口約58万人)
0.25haの街区公園5箇所を1事業者にパッケージ発注した事例である。単体では事業性が成立しない街区公園を束ねることで、民間が代表企業として参画可能な事業規模を確保した。Park-PFIで採用された業態はボール遊び場の整備・運営である。
意義は、住宅地に点在する小規模公園を「公共施設マネジメント」の単位で再編できることを示した点にある。広域包括管理型(パターンA)の市町村版という位置づけで、地方都市の複数街区公園を束ねるモデルとして参照しうる。
Park-PFIとスモコンの接続
VFM算定不要・行政負担最小化の共通設計、福知山型スモコンとの隣接、令和7年5月改正での連携可能性
地方都市の公共資産活用を検討する際に、Park-PFIとスモールコンセッションの使い分けは避けて通れない論点である。両制度は適用対象・契約形態・収益還元の方式が異なるが、令和7年5月のガイドライン改正で連携可能性が明文化された。
VFM算定不要要件の共通点
VFM(Value for Money)はPFI法に基づく従来型PFIで義務的に算定される費用対効果指標である。一方、Park-PFIとスモールコンセッションはいずれも個別根拠法(都市公園法/公共施設等運営権関連法令)に基づくため、PFI法のVFM算定義務の対象外である。この点は両制度に共通する。
VFM算定が不要であることは、議会対応・庁内手続きの負荷を大きく軽減する。PFI法による事業はVFM算定の精度を巡る議論が議会で繰り返されるが、Park-PFIとスモールコンセッションはこの工程を回避できる。「VFMが算出できないから事業化を見送る」という典型的なボトルネックの外側で動ける制度として整理できる。
行政負担最小化の共通設計
Park-PFIは収益施設の整備費を民間負担、特定公園施設の整備費を一部公費負担(公園機能向上に資する部分の整備に対し2分の1まで)とする設計が標準である。スモールコンセッションは行政負担をさらに最小化する設計が可能で、福知山型(行政負担ゼロ・運営権設定対価ゼロ)の事例が代表的だ。
地方都市で行政負担を抑える設計を取りたい場合、まずスモールコンセッションでの事業化可能性を検討し、対象施設が都市公園であればPark-PFIを選択する流れが整理しやすい。両制度の選択は「対象が都市公園か否か」が一次基準で、副次的に「収益施設併設の必要性」「設置管理許可の長期化必要性」が判断材料となる。
→ 制度比較の詳細はスモールコンセッションとは?仕組みと事例で解説を参照されたい。
公園と隣接施設の一体活用
令和7年5月のガイドライン改正で明文化されたのは、公園に隣接する廃校・旧公民館などの公有資産をスモコンで活用しながら、公園部分をPark-PFIで一体整備する設計である。両制度を別個に走らせるのではなく、一体公募とすることで、地域全体の公共資産再編として運用できる。
具体的には次のような組み合わせが想定される。
- 旧公民館(スモコン対象)+ 隣接公園(Park-PFI対象)の一体事業化
- 廃校(スモコン対象)+ 校庭跡地に建設する都市公園(Park-PFI対象)の連動公募
- 公園隣接地の旧温浴施設(スモコン対象)+ 公園内の収益施設(Park-PFI対象)の包括管理
地方都市にとって、これらの組み合わせは「公共資産1点ずつ」の事業化を「面で再編する」アプローチに変える契機になる。
公募不調と地方都市の限界線
日立市かみね公園・愛知県大高緑地プール跡地の構造分析、人口規模・公園立地・収益モデルの3軸
Park-PFIの動向を読む際、採択事例だけを追うと制度の限界線が見えにくい。2023〜2024年に顕在化した公募不調・全員辞退の事例を構造化する。
主な公募不調事例
| 事例 | 自治体 | 人口規模 | 公園規模 | 状況 |
|---|---|---|---|---|
| かみね公園交流拠点施設 | 茨城県日立市 | 約16万人 | 大規模郊外型 | 公募終了(応募状況非公表、2024年度) |
| 大高緑地プール跡地 | 愛知県(県営) | 県営 | プール跡地 | 応募者全員辞退(2023年度) |
| 北谷公園 | 東京都渋谷区 | 都心 | 0.78ha | イベント占有問題で運用上の制約 |
公募不調の3軸分類
地方都市視点で公募不調を分類すると、次の3軸が見えてくる。
軸1:収益モデル軸
周辺人口×観光需要×通年営業可否のミスマッチが要因となるパターンである。大規模郊外型の公園では来園頻度の季節・天候依存が強く、常設飲食店の収益性確保が困難になりやすい。地方都市の郊外大規模公園に常設の収益施設を置く設計は成立条件が厳しい。
軸2:要求水準軸
公共性(公園として確保すべき機能水準)と民間収益期待(事業者が提案できる範囲)の乖離が要因となるパターンである。大高緑地プール跡地は応募者が登録したものの全員辞退に至っており、要求水準と事業者想定の乖離が示唆される。
軸3:手続き軸
サウンディングが不足していた、評価項目の配点設計が不適合だった、地元事業者の参画機会が確保されていなかった、といった手続き上の問題が要因となるパターンである。事業発案時と事業化検討時の2段階サウンディングを丁寧に重ねることで予防可能な領域である。
地方都市での適用限界の論点
実例から推定される論点を3つ整理する。
第一に、採算性確保のための周辺人口下限の存在である。二戸市の2.3万人が下方成功例の境界線として参照されているが、それ未満の人口規模で成立した事例はまだ少ない。
第二に、大手事業者の参入インセンティブの低下である。地方の中小規模案件では大手事業者の収益期待に届かないケースが多く、評価項目の中で「地元企業の参画状況」「JVへの地元事業者参画」の配点をどう設計するかが鍵となる。
第三に、検討調査支援を経た案件と経ない案件の成功率差である。国費1/2補助の検討調査支援(社会資本整備総合交付金内)を活用した案件のほうが、公募不調を回避しやすい傾向が指摘される。
構造的含意と次の論点
20年契約満了の出口論点、公共資産活用の制度パッケージ化、運営パートナー選定の評価項目設計
20年契約満了後の出口論点
Park-PFI制度施行は2017年で、最早期事例の北九州市勝山公園(コメダ珈琲、2018年7月開業)が2038年に20年契約満了を迎える。制度施行8年目時点では、まだ契約満了事例は存在しない。
「制度の出口戦略」は未検証領域である。再公募・撤退・継続のオプション設計、収益施設の所有権と原状回復義務、後継事業者への引き継ぎなど、20年後の論点はまだ整理されていない。Park-PFI事業を発案する自治体は、初期の20年だけでなく、その先の20年も含めて事業設計を考える時期に入る。
公共資産活用の制度パッケージ化
Park-PFI単独の議論から、公共資産活用の制度パッケージ化への移行が進みつつある。PPP/PFIアクションプラン(事業規模30兆円・累計575件の新規案件形成目標)の文脈で、Park-PFIは「都市公園領域の主力手法」として位置づけられるが、現場では分野横断型のPPP/PFI(143件、令和6年3月末時点)・広域型のPPP/PFI(27件、同時点)と組み合わせて運用される事例が増えている。
地方都市の担当者にとっては、「Park-PFIだけで何ができるか」から「Park-PFI+スモコン+指定管理+公共施設マネジメント計画」を一体で設計する発想に切り替える局面に入る。
運営パートナー選定の評価項目設計
公募不調の構造分析が示すのは、運営パートナー選定の評価項目設計が事業成否を分けるという点である。「地元企業の参画状況」「住民利用機会の確保」「JVへの地元事業者参画」「20年事業継続の蓋然性」を、定量的にどう評価するかは、各自治体の創意工夫の余地が大きい領域である。
→ 評価項目の設計事例はPark-PFI評価項目の設計と配点で詳しく整理している。
Park-PFI最新動向2026
2026年時点の全国動向統計、直近の注目事例、ガイドライン改正の概観
小規模自治体のPark-PFI戦略
人口10万人未満の自治体でPark-PFIを成立させる6類型と公募設計
スモールコンセッション最新動向【2026年版】
VFM不要・行政負担ゼロ型の公有資産活用、Park-PFIとの接続点
参考文献
Park-PFI等の活用 (2025)
Park-PFI活用ガイドライン(令和7年5月改正版) (2025)
公募設置管理制度(Park-PFI)について (2020)
PPP/PFI推進の最新動向 (2024)
都市公園法第5条の2 (2017)
PPnet(Park-PFI推進支援ネットワーク)公募情報 (2025)
大高緑地プール跡地Park-PFI公募不調公表 (2023)