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国交省「スモールコンセッションのすすめ」完全解説 — 3つの壁・VFM算定不要・契約リスクまで【2026年5月公表手引き】
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国交省「スモールコンセッションのすすめ」完全解説 — 3つの壁・VFM算定不要・契約リスクまで【2026年5月公表手引き】

横田直也
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国土交通省・内閣府が2026年5月25日に公表した「スモールコンセッションのすすめ(遊休公的施設の利活用のための手引き)」40ページを実務解説。3つの壁(イメージ・パートナー・事業化)、4 CASE STUDY、VFM算定不要要件、公募1-2年→6-12か月の簡素化、14支援制度の省庁横断マップまで網羅。

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ざっくり言うと

  1. 国土交通省・内閣府は2026年5月25日、40ページの実務手引き『スモールコンセッションのすすめ』を公表した。事業構想段階から公募・選定段階までのノウハウが体系化され、知見・経験がない自治体職員の挑戦を後押しすることを目的としている
  2. 手引きは「イメージ・パートナー・事業化」の3つの壁の越え方を実践的に解説。特に事業化の壁では、VFM算定不要(独立採算で財政支出なしの場合)、要求水準書・選定基準の募集要項一括化、基本構想・基本計画を事業構想に統合という3点の手続き簡素化により、従来PFI 1〜2年の事業者選定期間を6〜12か月に短縮可能となる
  3. 本手引きの登場でフレームの整理が進み、3手法比較(コンセッション・指定管理・賃貸借)、3リスク類型(倒産・修繕・不可抗力)、14の省庁横断支援制度が一覧化された。スモールコンセッションは概念紹介フェーズから実務実装フェーズに移行する

手引き公表の意義と位置づけ

2026年5月25日の手引き公表が既存PFIガイドライン体系の中でどこに来るか、何が新しいかを整理

40

手引き本体ボリューム

4

掲載CASE STUDY数

14

支援制度の省庁横断マップ

6〜12

簡素化後の事業者選定期間(従来1〜2年)

国土交通省総合政策局社会資本整備政策課と内閣府民間資金等活用事業推進室は令和8年(2026年)5月25日、『スモールコンセッションのすすめ(遊休公的施設の利活用のための手引き)』を共同公表した。手引き本体40ページは公式ページから無償でダウンロード可能である。

本記事は既存記事『PFIガイドライン令和7年改正の実務解説』と並ぶ、2026年公表の重要公式文書解説枠として位置づけられる。前者はPFI全般のガイドライン改正、本記事はスモールコンセッションに特化した実務手引きを扱う。

既存ガイドライン体系の中での位置づけ

PFI法とコンセッション制度に関する既存ガイドラインは以下のように体系化されている。

ガイドライン改正日主管
PFI事業導入の手引き内閣府
PFI事業実施プロセスに関するガイドライン令和6年6月3日改正内閣府
PFI事業におけるリスク分担等に関するガイドライン令和3年6月18日改正内閣府
VFM(Value For Money)に関するガイドライン令和5年6月2日改正内閣府
契約に関するガイドライン令和6年6月3日改正内閣府
モニタリングに関するガイドライン平成30年10月23日改正内閣府
公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン令和5年6月2日改正内閣府
★ スモールコンセッションのすすめ令和8年5月25日公表国交省/内閣府

既存ガイドラインがPFI事業全般の運用基準を定めるのに対し、本手引きは小規模事業に特化した実務指南という位置づけである。地方公共団体が所有する廃校や古民家等の遊休公的施設の増加が見込まれる中、官民が連携してその利活用を行い地域課題の解決を図るスモールコンセッションの取組を推進する位置づけとされている。

スモールコンセッションの定義(手引き提示)

手引きはスモールコンセッションを以下の3要素で定義する。

定義の系譜については『スモールコンセッションとは?』も参照されたい。


3つの壁 — フレームの構造と各壁の解決策

手引きは、地方公共団体職員が遊休公的施設の利活用を躊躇する原因を「3つの壁」として整理し、それぞれに対する乗り越え方を示している。

壁① イメージの壁

事業の進め方や施設の活用イメージが湧きにくいという課題に対し、手引きは4つのCASE STUDY(後述)と全国20以上の先進事例マップ(手引きP冒頭)を提示する。これにより、自治体担当者は類似自治体の取組プロセスや効果を具体的にイメージできる。

壁② パートナーの壁

官民連携のメリットが分からない、民間事業者が見つからないという課題に対しては、民間事業者との意見交換(サウンディング)のコツを実例ベースで解説する。

壁③ 事業化の壁

煩雑な手続き等により実施までたどり着かないという課題に対しては、手続き簡素化と契約作成のポイントを解説する。これが手引きの最大の実務的価値であり、後述の進め方3STEPと手続き簡素化の核心セクションで詳述する。

なお、3つの壁の概念自体は『スモールコンセッションとは?』で既に紹介してきたが、本手引きによりフレームが公式化され、各壁への解決策が体系的に提示された点が今回の差分である。


4 CASE STUDY — 先進事例の構造分析

手引きが冒頭8ページに配置する4つのCASE STUDYは、3手法(コンセッション/指定管理/賃貸借)×公共負担の有無の組合せで網羅性が設計されている。以下4 CASEの数値(人口・事業費・補助金額・敷地規模)はすべて手引き本体(CASE 1: P2、CASE 2: P4、CASE 3: P6、CASE 4: P8)に明記された記載値である。

CASE 1: 本と美容室 萩店(山口県萩市 / コンセッション)

重要伝統的建造物群保存地区「浜崎地区」の10m間口大型古民家を、市が寄付受領し、コンセッション方式で活用した事例である。収益性の低い書店と収益性の高い美容室を組み合わせることで、文化財建造物としての継承と持続可能な事業性を両立した。事業契約締結から11か月後の令和6年7月オープン、スタッフ数名が萩市に移住し定住促進・雇用創出効果も得られている。

詳細は『古民家×スモールコンセッション』も参照。

CASE 2: オーベルジュオーフ(石川県小松市 / 指定管理)

平成30年3月閉校の旧西尾小学校(平成23年大規模改修で耐震性確保済)を活用した宿泊・レストラン・レンタルスペース。過去活用補助金の制約から「地域再生計画」を策定し国庫納付免除制度を活用した点が制度設計上の特徴。設計・整備・運営を一括発注すると地元企業参加ハードルが上がるため、改修工事は個別発注した点も実務上の参考になる。

CASE 3: ETOWA KASAMA(茨城県笠間市 / 賃貸借)

総合戦略「既存ストックのマネジメント強化」を契機に、公の施設としての位置づけを廃止(条例廃止)して民間自由運営化した先進事例。事業条件は公募時に詳細を定めず、選定後に民間と協議で決定するフレキシブル公募方式を採用。「車がなくても行けるグランピング施設」「OUT WORK(企業向けワーケーション)」等、有名インテリア企業監修の高付加価値内装で新規客層を開拓している。本事業経験を基に公民連携推進条例・ガイドラインを市が策定した点が制度形成効果として注目される。

CASE 4: atick(京都府舞鶴市 / 賃貸借)

老人福祉センター「文庫山学園」と隣接赤れんが倉庫群をエリア一体公募で活用した事例。高速道路全線開通による外部環境変化を契機に、内閣府の調査費補助を活用して民間活力導入可能性調査を実施。市内初のアパレルショップ・カフェ・ドッグラン・サウナ等が導入された。4 CASE STUDY中唯一の市内企業による事業であり、地銀から融資調達した点も地域内資金循環の観点で注目される。

4 CASE STUDYの構造比較

項目萩店オーベルジュオーフETOWA KASAMAatick
手法コンセッション指定管理賃貸借賃貸借
期間約20年約10年約10年約10年
公共負担約6,400万円約5億6,000万円(設計委託料上限3,100万円別)なしなし
補助金空き家対策総合支援 約3,200万円空き家対策総合支援 約2億6,500万円
事業者所在市外市外市外市内
民間負担収益源運営権対価 約1,600万円指定管理(独立採算)賃料賃料 1,482円/㎡以上

3手法すべてが採用されている点と、公共負担ありの2件は補助金(空き家対策総合支援事業)でカバーしている点が制度設計上の重要な示唆である。


進め方3STEPと手続き簡素化の核心

手引き本体(P9-31)の中核は、スモールコンセッションの進め方を3つのSTEPに整理し、各段階での実務ポイントを示すことにある。

STEP 1 事業構想検討(P9-14)

エリアの「いま」を知る(STEP 1-1)→ 施設の「いま」を知る(STEP 1-2)→ 地域住民の意見をもらう(STEP 1-3)→ 事業構想のとりまとめ(STEP 1-4)の4サブステップで構成される。

特に法規制及び補助金等による制約の整理(STEP 1-2)が重要で、過去活用補助金の返還義務、市街化調整区域における建築制限、地区計画による用途規制等を事前に整理しないと、事業者選定後に予期せぬ撤退リスクが発生する。京都府福知山市の旧六人部小学校(THE 610 BASE)は地区計画上「沿道サービス施設」が建築可能であったため用途変更が可能となり、体験型農業施設として活用された市街化調整区域における用途規制の緩和の好事例である。

STEP 2 事業化検討(P15-22)

事業手法(STEP 2-1)→ 事業期間(STEP 2-2)→ 公共・民間のリスク分担(STEP 2-3)→ 民間事業者の費用負担(STEP 2-4)→ サウンディング(STEP 2-5)の5サブステップ。

手引きP18の費用負担早見表が実務上特に有用で、4 CASE STUDYと2追加事例(サッポロ珈琲館Rinboku/高宮庭園茶寮)の地方公共団体費用負担と活用補助金を一覧化している。

STEP 3 公募・選定・契約(P23-31)

公募準備(STEP 3-1)→ 公募・選定(STEP 3-2)→ 契約(STEP 3-3)→ 事業実施(STEP 3-4)の4サブステップ。

手続き簡素化の4本柱(P24図)

手引きP24の図は、従来PFI(1〜2年)とスモコン(6〜12か月)の事業者選定期間比較を視覚化し、4つの簡素化を示している。

VFM算定の簡素化(手引きP25)

VFM(Value For Money)は、公共が自ら実施した場合の生涯費用見込額(PSC: Public Sector Comparator)と、PFIで実施した場合の公共のライフサイクル財政負担見込額(PFI-LCC)を比較した指標で、PFI-LCCがPSCを下回れば「VFMがある」と評価する(VFM ガイドライン令和5年6月2日改正)。スモールコンセッションにおいては、独立採算型のコンセッション事業の実施により財政上の支出が原則不要となる場合は、歳出削減効果が明確であるためVFMの計算によらず客観的評価が可能とされている。

なお、公共が自ら資金調達し事業初期の大規模修繕を行った上で独立採算型のコンセッション事業を行う場合もこの「VFM算定不要」の範囲に含まれる。山口県萩市の本と美容室萩店では、従前運営方法(業務委託)とコンセッションの収入・支出を算出し、その差額で簡易的な定量評価を行う方式が採用された(手引きP25 Case Study)。

基本構想・基本計画等の事業構想統合(P14)

手引きP14は「新たに施設を整備する事業等は、用地の選定、敷地内の建物配置・動線、施設の導入機能や規模、建物内部の機能配置など、検討事項が多いため、設計の前段階として、構想・計画を策定する事例が多くなっています」「基本構想・基本計画等は、100ページを超えるボリュームとなる事例もあります」と整理する。一方、スモコンでは既存施設活用の方向性提示が重要であるため、基本構想・基本計画等は事業構想に代えることが可能である。事業構想は単体での公表は必須ではなく、募集要項の添付資料として公表する事例(CASE 2 小松市はA4 1ページ程度)もある。

募集書類の簡素化(P26)

通常のPFI事業では募集要項・入札説明書・要求水準書・契約書案・事業者選定基準・落札者決定基準・様式集を個別に作成するが、スモコンでは公共からの条件を整理する要求水準書や複雑な審査プロセスを整理する事業者選定基準は、募集要項に一括して作成できる。これにより提案期間を短く設定でき、事業者選定期間の短縮が実現する。


3手法の比較とリスク分担

コンセッション/指定管理/賃貸借の法的根拠と運用差、倒産・修繕・不可抗力リスクの契約盛り込み

3つの主な事業手法(P16)

項目コンセッション指定管理者制度賃貸借
根拠法PFI法地方自治法地方自治法・借地借家法
対象施設公共施設公の施設(限定)用途廃止済施設(普通財産)限定
所有権公共保有公共保有公共保有
利用料金民間設定・収受、追加投資等可公共設定民間設定
典型負担運営権対価(柔軟設定可)指定管理料あり(多くは公共→民間)賃料負担
手引きCase本と美容室 萩店オーベルジュオーフETOWA KASAMA

民間事業者の事業収支における負担規模は、賃料が大(事業収支に関わらず固定的支払)に対し、運営権対価は小〜中(当初数年の減免、事業収支に応じた変動設定可能)と整理されている(P20)。

3手法比較の詳細は『スモコン vs Park-PFI』および『PPP 7手法の比較』も参照。

賃料を無償化した3事例(P27)

賃貸借でも、収益性が低く賃料負担が難しい事業で施設の活用・維持が地域にとって重要な場合等は、議会議決を経て賃料を無償化した事例がある。

施設自治体ポイント
サッポロ珈琲館 Rinboku北海道江別市登録有形文化財旧庁舎、保存・維持管理費用を事業者負担とする代わりに賃料無償化
田浦月見台住宅神奈川県横須賀市廃止市営住宅を職住一体店舗兼用住宅に再生、第一種低層住居専用地域+再開発困難な場所、提案内容審査結果、土地・建物賃料無償
THE 610 BASE京都府福知山市廃校活用、市が初期投資一切負担しない代わりに建物(校舎)及び底地賃料無償。福知山市は廃校活用共通方針として建物本体無償化を定め、議会との合意形成円滑化

福知山市のように廃校活用に関する共通方針を事前に定めることで、案件ごとの議会合意形成負荷を下げる仕組みは、自治体横展開の参考になる。

3つの留意リスク(P30)

手引きはスモコンで特に留意が必要なリスクとして3類型を挙げている。

a. 民間事業者の倒産リスク: 地域小規模事業者は社会経済情勢の影響を受けやすく、事業継続困難時の中途解約・事業承継について事前にルール化が必要。

b. 施設の修繕リスク: 既存老朽施設活用が前提のため、事業者の対象範囲・金額等、官民の役割分担をあらかじめルール化。事業者対応困難な修繕等は協議の余地を残す。

c. 不可抗力リスク: 小規模事業で不可抗力対応を民間に求めるのは負担大、事業破綻リスクあり。不可抗力の定義・民間免責範囲を契約書で明確規定し、大きな損害発生時の費用負担について協議可能規定を置く。

PPP/PFI事業のリスク分担一般論については『PPPリスク分担の設計』および『運営事業者の倒産時対応』も参照されたい。


14支援制度の省庁横断マップ

国交省/内閣府/文科省/文化庁の14制度を相談・補助・整備の3軸で整理

手引きP32-33は、スモールコンセッションで活用可能な14制度を省庁横断で一覧化している。本記事では相談系・補助系・整備系の3軸で再整理する。

専門家相談・伴走型支援系

制度主管内容
スモールコンセッション形成推進事業国交省スモコン検討に関する伴走型支援
国土交通省PPPサポーター制度国交省国交省認定の知識豊富な専門家による相談対応・助言
国土交通省PPPパートナー制度国交省国交省認定民間企業等による個別事業相談・セミナー実施
民間提案型官民連携モデリング事業国交省地方公共団体の課題と民間の提供可能サービスに関する導入検討支援
PPP/PFI専門家派遣制度内閣府専門家による個別相談対応・助言
高度専門家による課題検討支援内閣府専門家による年間を通じた課題検討の支援
官民連携地域金融力促進事業内閣府地域金融機関等と自治体が連携した公有不動産・遊休資産活用検討支援
文教施設における多様なPPP/PFIの先導的開発事業文科省文教施設におけるPPP/PFI導入検討の個別相談窓口
文化施設サービス刷新・活動活性化等運営改善推進支援事業文化庁文化施設におけるコンセッション運営改善支援

調査委託費の補助系

制度主管内容
先導的官民連携支援事業国交省先導的な官民連携事業導入検討時の調査委託費助成
民間資金等活用事業調査費補助事業内閣府公共施設等運営事業等の導入検討に係る調査委託費助成
文化施設サービス刷新・活動活性化等運営改善推進支援事業(再掲)文化庁文化施設におけるコンセッション導入検討経費補助

施設整備の補助系

制度主管内容
都市再生整備計画事業国交省都市再生整備計画に位置付けられたまちづくりに必要な施設等の整備
空き家対策総合支援事業国交省市区町村が実施する空き家の除却・活用に係る取組等を支援(CASE 1, 2で活用)
地域の観光資源充実のための環境整備推進事業観光庁地域における体験の質や回遊性の向上に資する施設整備支援
まちづくりファンド支援事業国交省民間まちづくり事業に対する民都機構を通じた金融支援
まち再生出資・社債取得事業国交省市町村が定める特定の区域で行われる優良な民間都市開発事業に対する民都機構を通じた金融支援
地域未来交付金(地域未来推進型)内閣府地方創生地方の自主性と創意工夫に基づく地域独自の取組を計画から実施まで後押し

支援制度の詳細は『スモコン補助金まとめ』および専門家派遣の詳細は『専門家派遣制度ガイド』を参照されたい。


プラットフォームと運営委員会

SCPFの会員機能と運営委員会10名の構成・専門性

スモールコンセッションプラットフォーム(SCPF)

スモールコンセッションに関心を持つ方は誰でも参加可能、会費は無料。関連するイベント等の情報提供を受けたり、参加したり、自らも情報発信ができる。会員機能の詳細は『SCPFプラットフォーム活用法』を参照されたい。

PFI/PPPに関する情報・ノウハウを横展開する地方ブロックプラットフォームも9ブロック(北海道・東北・関東・北陸・中部・近畿・中国・四国・九州・沖縄)に設置されており、セミナーやサウンディングイベントが開催されている。

スモールコンセッションプラットフォーム運営委員会(令和8年3月時点、10名)

手引き策定にあたって運営委員会から指導・助言を受けたとされる10名の構成は以下の通り。

役職氏名所属
委員長根本祐二東洋大学 国際PPP研究所 シニア・リサーチパートナー
委員長代理馬場正尊東北芸術工科大学 デザイン工学部建築・デザイン学科 教授/株式会社オープン・エー 代表取締役
委員入江智子株式会社コーミン 代表取締役
委員川口義洋合同会社コトプレイス 代表社員
委員中嶋善浩株式会社民間資金等活用事業推進機構 官民連携支援センター長
委員林有理有理舎 主宰/公共R不動産 シニアマネージャー
委員福島隆則株式会社三井住友トラスト基礎研究所 執行役員 PPP・インフラ投資調査部門長
委員宮澤伸日本商工会議所 地域振興部長
委員山口照美大阪市 港区長
委員横山幸司滋賀大学 経済学部 教授/産学公連携推進機構 社会連携センター長

学界(東洋大・東北芸工大・滋賀大)、現場実装企業(コーミン・コトプレイス・オープン・エー)、金融・調査(民都機構・三井住友トラスト)、自治体(大阪市港区長)、経済団体(日本商工会議所)、公共R不動産系列(林氏)と、多様なバックグラウンドの専門家が手引き策定に関与している点は、手引きの実務妥当性を支える要素として読み取れる。


ISVDの視点 — ターゲット別の実務アクション

自治体・民間事業者・コンサルそれぞれが手引き公表を機に取るべきアクション

自治体担当者向けアクション

民間事業者向けアクション

民間事業者向けの詳細ガイドは『スモコン民間事業者向けガイド』を参照されたい。

コンサル・伴走支援者向けアクション


今後の論点

スモールコンセッションの実装フェーズへの移行

本手引きの公表により、スモールコンセッションは「概念紹介・先進事例紹介」フェーズから「実務手順の体系化・横展開」フェーズに移行した。今後数年で予想される動向は以下の通り。

  1. 手引き準拠の案件増加: 自治体が手引きを参照して3STEP・4簡素化を採用する案件が増加。事業者選定期間6〜12か月の実装事例が積み上がる。
  2. 専門家派遣制度応募の活発化: 国交省スモールコンセッション形成推進事業の応募自治体・伴走支援者が拡大。
  3. 賃料無償化の制度化進展: 福知山市モデル(廃校活用共通方針で建物本体無償化)が他自治体に波及。
  4. 地域内資金循環の強化: 4 CASE中3件が市外企業だったが、atick(市内企業ウッディーハウス)モデルのように地元企業×地銀融資の組合せが増えることが地域経済波及効果の鍵となる。

残された課題

  1. CASE STUDYのアフター指標の継続モニタリング: 4事例とも事業開始から数年程度の評価で、長期的な事業安定性・地域貢献効果の継続把握が必要。
  2. 倒産・破綻時のセーフティネット: 手引きP30で3リスク類型が示されたが、契約ひな形レベルでの標準化は今後の課題。
  3. 小規模自治体の制度浸透: 人口10万人未満の市区町村における優先的検討規程の策定率は4.7%(69/1,461団体)にとどまる。これはPFI制度全体の浸透度を示す代理指標であり、優先的検討規程未策定でもスモールコンセッションの個別実施は可能だが、地域内に制度知見が薄い傍証として読める。詳細は『PFIガイドライン令和7年改正』を参照。

関連記事


出典・参考文献

スモールコンセッションのすすめ(遊休公的施設の利活用のための手引き) (2026)

『スモールコンセッションのすすめ(遊休公的施設の利活用のための手引き)』を公表!(報道発表資料) (2026)

スモールコンセッションプラットフォーム (2026)

PFI事業実施プロセスに関するガイドライン(令和6年6月3日改正) (2024)

VFM(Value For Money)に関するガイドライン(令和5年6月2日改正) (2023)

読んだ後に考えてみよう

  1. 自団体が保有する遊休公的施設のうち、独立採算が成立し得る施設はどれか — 手引きのVFM算定不要要件に整合する案件をリストアップできているか
  2. 公募スケジュールを従来PFIの1〜2年から6〜12か月に短縮するための4つの簡素化(詳細計画・VFM算定・募集書類・短期公募)のうち、自団体で実装可能なものはどれか
  3. 民間事業者として、地域内サウンディング機会を能動的に作るために、地域金融機関や商工会議所とのチャネルが構築できているか
  4. 民間事業者の倒産リスク・施設修繕リスク・不可抗力リスクの3類型について、契約書ひな形に「協議可能規定」が盛り込まれているか
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