本文へスキップ
公共資産活用の専門メディア

サイト全体のメニュー

PUBLIC AS A COMMON GOOD

公共資産の活用を、
まずは、考えるところから。

運営:一般社団法人 社会構想デザイン機構(ISVD) ↗関連メディア:構想0区 ↗プライバシーポリシーRead in English

ARTICLE · スモールコンセッション

スモールコンセッションの進め方5ステップ:構想から事業者選定まで【2026年版】

自治体担当者向け:スモールコンセッション事業化の5フェーズ(機運醸成→施設選定→事業化検討→事業計画→公募・選定)を、各ステップの期間・タスク・費用とともに解説。

この記事の要点

  • スモールコンセッションの事業化は5フェーズ。全体で2〜4年が目安
  • 最も重要なのはフェーズ3のサウンディング。民間の参入意欲を事前に把握する
  • 各フェーズで活用できる国の支援制度(専門家派遣・先導的支援事業)がある
対象読者・読む前に確認したいこと

こんな方に

  • スモールコンセッションの事業化手順を知りたい自治体職員
  • 庁内で検討を進めるための具体的なロードマップが必要な担当者

前提となる知識

  • スモールコンセッションの基本概念(A-1記事を参照)
この記事の内容

全体像

5フェーズで2〜4年。フェーズごとに明確な成果物がある

事業化フェーズ数

5

機運醸成から公募・選定まで

全体所要年数(本記事で想定した期間)

2〜4年

導入可能性調査の委託費を補助する上限(先導的官民連携支援事業)

2,000万円

定額補助。都道府県と政令指定都市はコンセッション事業に関するものを除き補助率2分の1で上限1,000万円

の事業化は、以下の5つのフェーズで進む。全体の所要年数は本記事で想定した期間で、公表された統計ではない。各フェーズに成果物を設定してある。

スモールコンセッションの基本的な仕組みについては、スモールコンセッションとは?を参照されたい。

事業化の5段階と主な課題。機運醸成、施設選定、事業化検討、事業計画、公募・選定。
事業化の5段階における主な課題と対応事項出典: 国土交通省 総合政策局「スモールコンセッション推進方策案について」(2024年)
フェーズ期間目安主な成果物
1. 機運醸成3〜6ヶ月庁内合意・検討体制の構築
2. 施設選定3〜6ヶ月遊休施設リスト・候補施設の選定
3. 事業化検討6〜12ヶ月実施結果・民間ニーズの把握
4. 事業計画6〜12ヶ月導入可能性調査報告書・収支シミュレーション
5. 公募・選定6〜12ヶ月募集要項・評価基準・事業者決定

フェーズ1: 機運醸成(3〜6ヶ月)

PPP/PFIの庁内理解を深める。首長・議会・関係部署を巻き込む

やるべきこと

に対する庁内の理解を深める段階。具体的なタスクは以下の通りである。

  • 首長への説明: スモールコンセッションの概要と期待効果を簡潔に説明し、トップダウンの検討指示を得る
  • 関係部署との連携: 財政課(予算)、管財課(財産管理)、企画課(総合計画との整合)、対象施設の所管課
  • 議会対応: 事前の情報提供。PPP/PFIに対する「民間丸投げ」という誤解を解く
  • 先進事例の視察: スモールコンセッション事例7選で紹介した自治体への視察や、スモールコンセッションプラットフォームのセミナー参加

よくある失敗

このフェーズを飛ばして「いきなりサウンディング」に進む自治体が少なくない。結果として、サウンディング結果を庁内に持ち帰っても「聞いていない」「議会が通らない」と頓挫するケースが頻発する。

活用できる支援

プラットフォームの会員登録(無料)でセミナー情報や先進事例が定期配信される。

フェーズ2: 施設選定(3〜6ヶ月)

遊休施設を棚卸しし、エリアビジョンに基づいて候補を絞る

やるべきこと

遊休施設の棚卸しを行い、スモールコンセッションの候補を絞り込む。

  • 遊休施設リストの作成: 廃校、古民家、旧庁舎、旧医院、旧保養所など、庁内の全遊休施設をリストアップ
  • エリアビジョンの策定: 施設単体ではなく、周辺エリアの将来像を含めて検討。「この施設をどう使うか」ではなく「このエリアをどうしたいか」から発想する
  • 基礎データの収集: 施設の現況(耐震性、アスベスト有無、改修費概算)、周辺の人口動態、交通アクセス、類似施設の有無

選定基準の例

評価項目高評価低評価
立地幹線道路沿い・駅近山間部・アクセス困難
建物状態耐震適合・軽微な改修で利用可大規模改修必要・アスベスト
周辺需要観光客・住民の集積あり過疎化が進行中
法的制約用途変更容易文化財指定・都市計画制限

フェーズ3: 事業化検討(6〜12ヶ月)

サウンディング型市場調査で民間の参入意欲を把握する

やるべきこと

このフェーズが5段階の中で最も重要 である。民間事業者の参入意欲を事前に把握し、公募後に「応募ゼロ」という事態を回避する。

  • サウンディング型市場調査の実施: 民間事業者に対し、施設の活用アイデアや参入条件についてヒアリングする対話型の調査
  • 結果の公表: サウンディング結果の概要を公表し、透明性を確保。これにより追加の事業者を呼び込む効果もある
  • 事業スキームの方向性決定: サウンディング結果を踏まえ、どの手法(コンセッション・PFI・賃貸借・)を採用するかの方向性を定める

手法の選択については官民連携7手法を徹底比較を参照されたい。

サウンディングの設計ポイント

  • 質問項目: 施設への関心度、希望する事業内容、必要な条件整備、参入時の課題を最低限聞く
  • 参加のインセンティブ: 公募時の加点(開成山公園の事例では参加者に5点加点)を設けると参加率が上がる
  • 段階的実施: 可能であればトライアル(社会実験)→マーケットサウンディングの2段階が理想

活用できる支援

スモールコンセッション形成推進事業による専門家派遣制度。自治体の費用負担なしで、サウンディング設計の助言を受けられる。

フェーズ4: 事業計画(6〜12ヶ月)

収支シミュレーションと導入可能性調査で事業性を検証する

やるべきこと

サウンディング結果を踏まえ、事業としての成立性を具体的に検証する。

  • 導入可能性調査: 施設の現況調査、市場分析、事業スキームの設計、収支シミュレーションを一体的に実施
  • 収支シミュレーション: 初期投資(改修費)、運営コスト、収益見込みを年次で試算。NPV(正味現在価値)やIRR(内部収益率)で事業性を定量評価
  • リスク分担の設計: 需要変動リスク、施設劣化リスク、不可抗力リスクなどを官民間でどう分担するかを定める

費用の目安

導入可能性調査の委託費は、施設の規模や調査範囲によって決まる。全国の相場を示した資料は見つかっていないので、近い規模の自治体の入札結果で確かめてほしい。補助の上限は分かる。国土交通省の先導的官民連携支援事業は、地方公共団体が先導的な官民連携事業の導入検討を行う際に必要となる調査委託費を助成する制度で、補助対象経費はコンサルタント等への委託費、補助限度額は予算の範囲内で上限2,000万円の定額補助(都道府県と政令指定都市はコンセッション事業に関するものを除き補助率2分の1で上限1,000万円)である。

フェーズ5: 公募・選定(6〜12ヶ月)

募集要項の策定、評価基準の設計、事業者の選定

やるべきこと

  • 募集要項の策定: 事業範囲、費用負担、事業期間、選定基準を明示。国交省のWord雛形が参考になる
  • 評価基準の設計: 価格だけでなく、事業計画の質(40〜60%)、地域貢献(10〜20%)、運営体制(10〜20%)、経費削減(10〜20%)を総合評価する配点設計が推奨される
  • プロポーザル審査: 書類審査+プレゼンテーション。外部有識者を含む選定委員会を設置
  • 事業者決定・協定締結: 基本協定→詳細設計→各種許認可→工事→開業

評価基準設計のポイント

「価格が安い業者が勝つ」評価基準は避けるべきである。価格偏重の評価では、運営段階でサービス品質が低下するリスクが高い。Park-PFI成功事例5選で紹介した開成山公園の事例では、500点中「経費削減」の配点は70点(14%)に留め、事業計画の質と地域貢献に重みを置いている。

よくある失敗パターン

フェーズ飛ばし、サウンディング未実施、価格偏重評価の3つ

失敗1: フェーズ飛ばし

庁内合意(フェーズ1)を経ずにサウンディング(フェーズ3)に進み、結果を持ち帰っても議会が反対。全てが白紙に戻る。

失敗2: サウンディング未実施

「公募すれば事業者は集まるだろう」という楽観的前提で公募を実施し、応募ゼロ。特に人口数万人の地方では、サウンディングなしの公募は極めてリスクが高い。

失敗3: 価格偏重評価

最低価格の事業者を選定した結果、運営段階でサービス品質が低下し、住民の不満が噴出。最終的に事業撤退に至るケースもある。


比較・選定

官民連携7手法を徹底比較

フェーズ3のサウンディング結果をもとに手法を絞り込む際の比較マトリクスと5ステップ判断フロー。

民間参入ガイド

スモールコンセッション民間事業者の手引き

サウンディングに参加する民間事業者の視点から見た準備・評価基準・コンソーシアム設計。自治体担当者もプロポーザル審査設計の参考になる。

5つのフェーズのどこから始めるかは、自治体の現状によって異なる。庁内の理解が進んでいるなら施設選定(フェーズ2)から、候補施設が決まっているならサウンディング(フェーズ3)から着手できる。

重要なのは、フェーズを飛ばさないこと。各フェーズの成果物が次のフェーズの入力となる構造であり、途中を省略すると後工程で必ず問題が生じる。

一般社団法人 社会構想デザイン機構(ISVD)では、あなたの自治体が今いるフェーズを確認し、次のステップに進むための具体的なアクションプランを無料で一緒に設計する相談を受け付けている。

次にやること

遊休施設の活用を検討する際は、施設の状態と地域の需要、民間事業者の意向を確認する。

順確認・検討すること担当・相談先
1遊休施設の状況と周辺の需要を整理する。建物の状態や立地と、地域で必要とされる用途を照合する財産管理担当
2候補施設の耐震診断とアスベスト調査の結果を確認する。未実施の場合は、調査の範囲と実施方法を検討する営繕担当
3国交省のプラットフォームで情報を集める。会員登録は無料で、先進事例や補助金、専門家派遣の公募案内を受け取れるプラットフォームの公式サイト
4民間事業者の参入意向と必要な条件を聞く。単独での事業化が難しい場合は、近隣自治体との連携も検討するサウンディング、近隣自治体
5民間の意見を踏まえて、運営権、賃貸借、指定管理などの手法を比較する。施設の用途や収支、官民の役割分担に合う手法を選ぶ所管課、財産管理担当

プラットフォームの会員登録は、専門家派遣や補助制度の公募情報を受け取る手段になる。応募を検討する際は、募集要項で対象者、支援内容、期限を確認する。


この記事で使った統計の出典

  1. 1本記事の整理
  2. 2国土交通省「先導的官民連携支援事業」(2026) 出典を開く
  3. 3国土交通省(2026年) 出典を開く

この記事を共有・引用する

記事を庁内資料・議会・勉強会・研究で引用するときは、記事名・公共0区(一般社団法人 社会構想デザイン機構)・URLを明記してください。

訂正の内容

  1. :導入可能性調査の委託費の相場と、事業化の所要年数に出典がありませんでした。

    訂正前
    導入可能性調査の委託費は…一般的に500万〜2,000万円程度である/全体で2〜4年が目安であり
    訂正後
    委託費の全国の相場を示す資料は見つかっていないので、近い規模の自治体の入札結果で確かめてほしい。補助の上限は、先導的官民連携支援事業で上限2,000万円の定額補助(都道府県と政令指定都市はコンセッション事業に関するものを除き補助率2分の1で上限1,000万円)/所要年数は本記事が置いた目安

    理由 500万〜2,000万円という幅の出どころが確かめられませんでした。上側の2,000万円は国土交通省の先導的官民連携支援事業の補助限度額で、相場ではありません。補助制度のページで金額を確かめ、相場の主張は落としました。

  2. :数字カードの導入可能性調査費用が、出典の無い相場でした。

    訂正前
    500〜2,000/導入可能性調査費用/万円(目安)
    訂正後
    2,000万円/導入可能性調査の委託費を補助する上限(先導的官民連携支援事業)。定額補助で、都道府県と政令指定都市はコンセッション事業に関するものを除き補助率2分の1で上限1,000万円

    理由 500万〜2,000万円という幅の出どころが確かめられませんでした。上側の2,000万円は国土交通省の先導的官民連携支援事業の補助限度額で、相場ではありません。制度のページで金額を確かめ、カードを補助の上限に替えています。所要年数のカードも、本記事が置いた目安であることを見出しに書きました。

この記事の用語

PPP/PFI
官民が連携して公共サービスの提供や公共施設の整備・運営を行う手法の総称。PFIは民間資金を活用したインフラ整備、PPPはPFIを含むより広い概念で指定管理者制度や包括的民間委託等を含む。
サウンディング型市場調査
公有資産の活用にあたり、公募前に民間事業者の意見・アイデアを聞く対話型の市場調査。事業の実現可能性や条件設定の妥当性を事前に検証する目的で実施される。
スモールコンセッション
地方公共団体が所有する空き家・廃校等の遊休不動産について、民間の創意工夫を活かした小規模(事業費10億円未満程度)なPPP/PFI事業を行う取組み。2024年に国交省がプラットフォームを設立。
指定管理者制度
地方自治法第244条の2に基づき、公の施設の管理を民間事業者やNPO等に委ねる制度。2003年の法改正で導入。総務省の調査(令和6年4月1日現在、79,332施設)では指定期間は5年が77.1%、3年が10.9%、10年以上は5.7%で、この期間の短さが長期投資を妨げる課題として挙げられる。

ご自身の案件で確認すること

  • あなたの自治体は今、5フェーズのどの段階にいるか?
  • 庁内の合意形成(フェーズ1)に、どのくらいの時間がかかりそうか?
  • サウンディングに参加してくれそうな民間事業者は何社いるか?

YOUR PROJECT

一般論から、個別の条件へ。

対象施設や公募条件に合わせて、調査・方針整理・対話・提案準備をご相談いただけます。初回は状況と対応範囲を確認し、個別業務は事前にお見積もりします。

目次

サイトの動作に必要な機能は常に有効です。任意のCookieは、いつでもこの画面で変更できます。

詳しく見る ↗

記事を検索する

知りたい言葉を入力してください。複数の言葉はスペースで区切れます。

記事の題名・要点・本文全体から検索します。

一次資料用語集よくある質問