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スモコンのすすめ 2026 年 5 月版 — 国交省・内閣府 共同手引きが示す 3 ステップ × 事例 4 件の到達点
公共資産活用 — スモールコンセッション
スモールコンセッションPPP/PFI公共資産活用Park-PFI

スモコンのすすめ 2026 年 5 月版 — 国交省・内閣府 共同手引きが示す 3 ステップ × 事例 4 件の到達点

ISVD編集部
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国土交通省総合政策局と内閣府が 2026 年 5 月共同公表の『スモールコンセッションのすすめ:遊休公的施設の利活用のための手引き』を構造化解説。スモコンの定義 3 要素、3 主体への効果、事業手法の整理、進め方 3 ステップ(事業構想検討 / 事業化検討 / 公募選定契約)、先進事例 4 件(萩 / 小松 / 笠間 / 舞鶴)の到達点を網羅する。

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ざっくり言うと

  1. スモコンは地方公共団体所有の遊休公的施設(廃校・空き家等)を民間事業者と協力して活用、地域課題解決とエリア価値向上を狙う取組
  2. 要素 3 つ(身近な遊休公的施設 / 小規模 = 原則事業費 10 億円未満 / PPP/PFI 事業)
  3. 進め方 3 ステップ(事業構想検討 / 事業化検討 / 公募選定契約)、本書は『実践』に重心を置いた手引き

スモコンとは何か

国土交通省総合政策局社会資本整備政策課と内閣府民間資金等活用事業推進室は 2026 年 5 月、『スモールコンセッションのすすめ:遊休公的施設の利活用のための手引き』を共同公表した。

スモールコンセッション(以下「スモコン」)は、地方公共団体が所有している遊休公的施設(廃校・空き家等)を、民間事業者と協力しながら活用し、地域課題の解決やエリア価値の向上につなげる取組のことを指す。

本手引きの目的は次の 2 点。

  1. スモコンの『実践』に重心を置いて、事業構想段階から公募・選定段階までのノウハウ等を盛り込んでいる
  2. 知見や経験がないため、遊休公的施設の利活用を躊躇する、地方公共団体職員をはじめとした方々の挑戦を後押しする

実践を支援する手引きとして位置付けられている点が、これまでの制度解説中心の手引きとの違い。

スモコンの 3 要素

スモコンを構成する要素は 3 つに整理されている。

要素内容
身近な遊休公的施設地方公共団体が所有する廃校等の空き施設、古民家等の空き家
小規模原則、事業費 10 億円未満程度
PPP/PFI 事業コンセッションをはじめとした官民連携による事業運営

事業費 10 億円未満程度という規模感は、PFI 法に基づく PFI 事業の主流(10 億円以上)と差別化する重要な閾値。国交省 優先的検討規程の対象事業(建設製造改修を含むものは事業費 10 億円以上)の閾値とも対応している。

スモコンは「PFI の小規模版」というより、PFI 法の枠を越えた多様な手法(指定管理者制度、賃貸借、コンセッション、RO 方式 等)を含む広いカテゴリとして位置付けられている。

3 主体への効果

スモコンが想定する効果は、3 主体それぞれに対して整理されている。

主体想定される効果
地方公共団体維持管理コストの削減 / エリア価値の向上
事業者事業機会の増加 / 長期的な事業運営 / 地域への主体的な貢献、地域還元、地域企業の参画
地域・住民地域活性化、交流人口の増加 / 利便施設の増加 / 住民サービスの向上 / 思い入れのある施設の継承

特に「思い入れのある施設の継承」は廃校活用案件で重視される効果。地域住民の母校や歴史的建造物を取り壊さずに次世代に残す手段としてスモコンが位置付けられている。

事業手法の選択軸

スモコンの事業手法は、施設の公共性と事業性の 2 軸マトリクスで整理されている。

  • 公共性高 / 事業性低 → 指定管理者制度等
  • 公共性中 / 事業性中 → PFI(コンセッション、RO 方式)
  • 公共性低 / 事業性高 → 賃貸借

施設の特性に応じてこれら 3 タイプの中から選択する。「コンセッション一択」ではなく、案件ごとの特性に応じた柔軟な手法選択が想定されている。

進め方 3 ステップ × 13 項目

本手引きが提示する進め方は 3 ステップ。各ステップは複数の項目で構成される。

STEP 1:事業構想検討

項目内容
1-1対象施設が立地しているエリアの『いま』を知る
1-2対象施設の『いま』を知る
1-3地域住民の意見をもらう
1-4事業構想のとりまとめ

エリアと施設の現状把握から始まり、地域住民の意見を反映して事業構想をまとめる流れ。地域住民の参画を STEP 1 の必須項目として位置付けている点が特徴。

STEP 2:事業化検討

項目内容
2-1事業手法を考える
2-2事業期間を考える
2-3公共・民間のリスク分担を整理する
2-4民間事業者の費用負担を検討する
2-5民間事業者から意見をもらう(サウンディング)

事業手法・期間・リスク分担・費用負担を整理した上で、サウンディングで民間意見を反映するフェーズ。

STEP 3:公募・選定・契約

項目内容
3-1公募に向けた準備を行う
3-2公募し、民間事業者を選定する
3-3契約する
3-4民間事業者と共に事業を実施する

公募準備から契約締結、事業実施までの実務手続フェーズ。

先進事例 4 件

本手引きが詳細紹介する事例 4 件は、地域・施設タイプ・事業手法のバランスを取って選定されている。

CASE 1:本と美容室 萩店(山口県萩市)

伝統的なまちなみを構成する古民家を、市内外から人を呼び込む本屋 × 美容室として活用した事例。

項目内容
対象施設重要伝統的建造物群保存地区『浜崎地区』の 10m 大間口の古民家
取得経緯元々個人所有、解体時の景観への影響大として萩市が寄付受領
事業手法コンセッション方式
事業期間約 20 年間(令和 5 年 9 月から令和 25 年 3 月、市の承認を経て約 40 年間まで延長可能)
公共負担事業費保存整備工事 約 6,400 万円(活用補助金:空き家対策総合支援事業 約 3,200 万円)
運営権対価約 1,600 万円(令和 6 年 3 月末までは無償、その後事業期間にわたり運営事業者が市に支払)
施設規模敷地面積 367㎡、延床面積 198㎡
運営事業者株式会社アタシ社(市外企業)

公共が負担した改修工事費の半分を運営権対価で 20 年かけて回収する設計。市外企業(合同会社アタシ社 ※当時)からの『本と美容室』提案を、エリアの方向性に合うと評価して選定。事業者は事業契約締結後 11 ヶ月後の令和 6 年 7 月にオープン、定住促進・雇用創出効果も得られている。

CASE 2:オーベルジュオーフ(石川県小松市)

廃校となった小学校を、若手トップシェフによる『里山オーベルジュ』に転換した事例。

  • 平成 30 年 3 月、小松市観音下地域の『旧西尾小学校』が閉校
  • 当時の校舎は平成 23 年の大規模改修によって耐震性が確保されていた
  • 学識経験者及び地元代表者で構成される『小松市小学校跡地活用検討委員会』で基本構想策定
  • 基本構想:『Satoyama Artist College 学び・食・農体験ができる環境王国こまつの活動拠点施設へ』
  • 事業手法:独立採算型指定管理者制度(指定管理料を支払わない)
  • 改修工事は設計・整備・運営を一括発注せず個別発注(地元企業参加機会確保)
  • 地域再生計画策定により国庫納付免除制度を活用

廃校 + 独立採算型指定管理者制度の組み合わせで、自治体側の財政負担を抑えながら地域活性化を実現する事例。

CASE 3:ETOWA KASAMA(茨城県笠間市)

利用者が低迷していた観光施設を、企業・若者世代をターゲットとしたグランピング施設に転換。観光振興と公共施設活用を連動させた事例。

CASE 4:atick(京都府舞鶴市)

既存観光施設エリアの未活用施設を、市内になかった新たな複合商業施設へ転換。観光エリアの再構築と公共施設活用を組み合わせた事例。

その他の先進事例

手引きには 4 件の詳細紹介の他、全国の先進事例が地図とともに紹介されている。

事例名所在地
Opark OGOSE埼玉県
やまがたクリエイティブシティセンターQ1山形県
サッポロ珈琲館北海道
いいづなコネクト長野県
goodhouse長野県
立川子ども未来センター東京都
田浦月見台住宅神奈川県
舞鶴赤れんがパーク京都府
THE 610BASE京都府
MUSUBU AI、みやわかの郷、グロッサリア福岡県
高宮庭園茶寮福岡県
なごのキャンパス愛知県
NIPPONIA HOTEL 伊賀上野 城下町三重県
ユクサおおすみ海の学校鹿児島県
Globe Sports Dome岡山県
城下小宿糀や岡山県
ushimado TEPEMOK岡山県

施設タイプ別では、廃校活用(ユクサおおすみ海の学校、なごのキャンパス、いいづなコネクト 等)、古民家・歴史的建造物活用(本と美容室 萩店、NIPPONIA HOTEL 伊賀上野 城下町、城下小宿糀や 等)、公的空間活用(舞鶴赤れんがパーク、ushimado TEPEMOK 等)が混在している。

自治体担当者の使い方

STEP 1 から順に進めるのが基本だが、案件特性に応じて並行化や反復が想定される。

  1. エリア・施設の『いま』を把握(STEP 1-1, 1-2)
  2. 地域住民の意見を集約(STEP 1-3)
  3. 事業構想をまとめる(STEP 1-4)
  4. 事業手法を 3 タイプ(指定管理 / コンセッション / 賃貸借)から選択(STEP 2-1)
  5. 事業期間とリスク分担を整理(STEP 2-2, 2-3)
  6. 民間事業者の費用負担を検討(STEP 2-4)
  7. サウンディングで民間意見を反映(STEP 2-5)
  8. 公募準備(STEP 3-1)
  9. 公募・選定(STEP 3-2)
  10. 契約締結(STEP 3-3)
  11. 事業実施・モニタリング(STEP 3-4)

事業費 10 億円未満程度の規模感が前提のため、職員自らで多くの作業を進められる難易度。難易度が高い項目(要求水準書策定、リスク分担、契約書策定)では、ハンズオン支援や専門家活用を検討する。

民間事業者の使い方

スモコン案件への参画を検討する民間事業者は、次の流れで動く。

  1. 自治体ホームページや地域プラットフォームで遊休公的施設の利活用候補を把握
  2. STEP 2-5 のサウンディング段階で意見・アイデアを提示
  3. 公募開始後、提案書作成
  4. 選定された場合、契約交渉と事業計画策定
  5. 事業開始後、地域への貢献活動と長期事業運営

CASE 1 萩のように、市外企業でも地域の方向性に合う提案であれば選定される。地域内事業者に限定する必要はなく、全国の事業者がスモコン案件に応募可能。

国交省 + 内閣府 共同公表の意味

本手引きは国土交通省総合政策局社会資本整備政策課と内閣府民間資金等活用事業推進室の共同公表。スモコン案件は事業費 10 億円未満程度のため、PFI 法の枠(10 億円以上の優先的検討対象)外で扱われることが多いが、内閣府の関与により PFI 法に基づくコンセッション方式の活用も視野に入る。

両省庁が共同で『スモコン』というカテゴリを提示することで、自治体は PFI 法と地方自治法の使い分け、コンセッションと指定管理者制度の使い分けを 1 つの手引きで判断できる。

まとめ

国土交通省総合政策局と内閣府が 2026 年 5 月に共同公表した『スモールコンセッションのすすめ』は、地方公共団体所有の遊休公的施設(廃校・空き家等)を民間事業者と協力して活用する取組の実践手引き。

要素 3 つ(身近な遊休公的施設 / 小規模 = 事業費 10 億円未満程度 / PPP/PFI 事業)と 3 主体への効果(地方公共団体 / 事業者 / 地域住民)でスモコンを定義。事業手法は施設の公共性と事業性の 2 軸マトリクスで指定管理 / コンセッション / 賃貸借から選択する。

進め方は 3 ステップ × 13 項目(事業構想検討 4 項目 / 事業化検討 5 項目 / 公募選定契約 4 項目)。詳細紹介事例 4 件(本と美容室 萩店 / オーベルジュオーフ / ETOWA KASAMA / atick)と全国先進事例 17 件 + 多数で、施設タイプ・事業手法・地域のバランスが取られている。

事業費 10 億円未満程度の規模感のため自治体職員自らで多くの作業を進められる難易度になっているが、リスク分担や契約書策定の難易度高い項目では、ハンズオン支援や専門家活用を組み合わせる経路が想定されている。

関連資料

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