本文へスキップ
公共0区
PPP 事業の官民対話・事業者選定プロセス:3 省合同 2016 年運用ガイドが示す 8 段階の進め方
公共資産活用 — 公共施設マネジメント
公共施設マネジメントPPP/PFI公共資産活用スモールコンセッション

PPP 事業の官民対話・事業者選定プロセス:3 省合同 2016 年運用ガイドが示す 8 段階の進め方

ISVD編集部
約10分で読めます

内閣府・総務省・国土交通省が 2016 年 10 月に共同策定した『PPP 事業における官民対話・事業者選定プロセスに関する運用ガイド』を構造化解説。対象 PPP 事業 4 分類、事業発案から契約までの 8 段階のプロセス、官民対話 3 類型(マーケットサウンディング型 / 提案インセンティブ付与型 / 選抜・交渉型)、地元企業参画とリスク分担、庁内合意形成までを網羅する。

XFBThreads

ざっくり言うと

  1. 本ガイドは内閣府・総務省・国土交通省 3 省合同で平成 28 年 10 月(2016 年)に策定した、PPP 事業の官民対話・事業者選定プロセスに関する運用指針
  2. 対象 PPP 事業は 4 分類(整備担う / 運営担う / 整備運営担う / 公的不動産活用提案)、事業分野は公共施設等・インフラ・ソフト施策の 3 分野
  3. プロセスは 8 段階(事業発案時官民対話 / 実施事業決定 / 公募条件検討時官民対話 / 事業者選定 / 詳細協議 / 庁内議会住民説明 / 手続簡素化 / 国先進自治体専門家支援)

ガイドの位置付け

内閣府・総務省・国土交通省は 2016 年 10 月、『PPP 事業における官民対話・事業者選定プロセスに関する運用ガイド』を共同で策定した。3 省合同のガイドという点に意義がある。

PPP 事業を所管する 3 省(内閣府は PFI 法所管、総務省は地方自治、国土交通省は社会資本整備)が共通の運用指針を示すことで、自治体が PPP 導入時にどの省のガイドラインを参照すべきか迷う問題を解消した。

策定背景は、自治体における PPP 導入の加速的推進。初めて取り組む自治体だけでなく、既存の PPP 取組の質向上を目指す自治体職員も読者として想定されている。

ただし、ガイドは「先進自治体の制度等をそのまま模倣しても成果は得られない」と注意を促す。地域実情に応じたオーダーメイドの実施手順・方法を工夫・確立する必要があるとしている。

対象 PPP 事業の 4 分類

ガイドは PFI 法に基づく PFI 事業に加え、多様な PPP 事業を対象とする。

対象事業想定される PPP 手法
民間事業者が公共施設等の整備を担うものBT 方式 等
民間事業者が公共施設等の運営を担うもの指定管理者制度、包括的民間委託、公共施設等運営権方式 等
民間事業者が公共施設等の整備・運営を担うもの収益施設の併設・活用など事業収入等で費用を回収する PFI 事業、その他の PFI 事業(BOT 方式、BTO 方式、BOO 方式、DBO 方式、RO 方式)、リース方式 等
民間事業者が公的不動産を活用した事業を提案して実施するもの定期借地権方式、公共空間の活用(占用許可等)、等価交換方式、特定建築者制度を活用した再開発事業 等

PFI 法に基づく事業手続のほか、指定管理者制度を活用する場合は地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)に基づく手続きが必要となる。

事業分野 3 分野

分野代表的な施設・サービス
公共施設等文教施設、医療施設、斎場、社会福祉施設、観光施設、警察施設、庁舎、公民館、市民ホール、公営住宅、廃棄物処理施設、水道浄水場、汚泥処理施設、発電施設 等
インフラ空港、上下水道、港湾、公園、道路、河川 等
ソフト施策窓口サービス、エリアマネジメント、地域イベント、観光、福祉、教育、環境 等

PPP は箱物だけでなく、ソフト施策(窓口サービスやエリアマネジメント等)も対象として整理されている点が重要。

プロセス 8 段階の全体像

ガイドの対象プロセスは、個別事業における事業発案段階より実施する官民対話から事業者との契約に至るまで。8 つの実施手順に分かれる。

  1. 事業発案時の官民対話
  2. 実施事業の決定
  3. 公募条件検討時の官民対話
  4. 事業者の選定
  5. 詳細協議
  6. 庁内、議会、住民等への説明・調整
  7. 手続きの簡素化
  8. 国、先進自治体、専門家等による支援

事業発案(約 1 年)→ 事業化検討(基本計画策定 6 ヶ月から 1 年 + 公募要項検討約 6 ヶ月)→ 事業者選定(公募開始 3 ヶ月から 6 ヶ月 + 事業者決定 2 ヶ月から 3 ヶ月)→ 事業実施 + モニタリング、という時間軸の中で各段階が位置付けられている。

官民対話のための準備(①+③)

事業発案時と公募条件検討時の官民対話には共通の準備事項がある。

地域課題の把握と必要な情報提供

地域の課題を把握した上で、その解決のために官民対話を実施することが重要。特に有効なケースは次の通り。

  • 庁内検討だけでは、地域内の施設・土地の活用方法や運営方法の選択肢が限定的になっていると考えられる場合
  • 市場性の有無や実現性の高い事業スキームが明確でない場合

民間事業者に対して何が課題となっているか、行政が求めるものは何か(公共サービスの質の向上、公共負担の削減、公的不動産の活用等地域経済の活性化)について、対話に必要な情報を広く民間事業者が認識できる形で提供する必要がある。

窓口担当部署の指定

民間事業者からの提案の受付を円滑に行うため、部署横断的に民間提案を受け付ける専門部署の設置又は窓口担当部署の指定を行うとともに、その民間提案受付体制について公表しておくことが必要。

PPP を円滑に進めるためには、住民・議会・民間事業者その他関係者の理解を得るとともに、自治体内部における庁内調整を行う必要がある。そのためには、PPP 事業の標準的な手続きや資料等を提供するための要綱又は指針といった PPP 推進のための基本的な考え方を明文化したものを策定することが有効。

スケジュール

官民対話を含む事業スケジュールでは、官民対話に十分な時間を割く必要がある。事業発案時の官民対話は、官民対話の実施公表から説明会、エントリー受付、対話実施、結果公表までの期間で 3 ヶ月から 6 ヶ月程度が多い。公募条件検討時の官民対話は、対話の実施から公募までの期間が 1 ヶ月程度のものが多い。

結果公表から事業者公募までの期間は、民間事業者の参加意欲を削がないために可能な限りあけないことが重要となる。

官民対話の対象事項

官民対話の対象は 2 タイプある。

  1. 行政側にて設定する課題や事業
  2. 行政側では気付かない課題や事業化のきっかけを民間の発想から提案してもらう

いずれにせよ、複数の民間事業者が手を挙げる市場性のある事業スキームを構築することを念頭に、対象事項を検討する必要がある。

事業発案時の官民対話では、民間事業者から見た事業の市場性、有効性や実現可能性、施設整備に当たっての事業手法、既存施設の運営手法、保有資産の活用などについて確認する。

公募条件検討時の官民対話では、公募条件の整理など事前に公表する調査実施要領に対話の対象事項を明記し、実際に手を挙げる事業者が存在することを確認するため、実際に公募した場合の参画意向の有無の最終確認をすることが必要となる。

官民対話 3 類型

ガイドは官民対話の方法を 3 類型に整理している。

a. マーケットサウンディング型

これまでに自治体が広く実施してきた標準的な手法。複数の民間事業者を集めて意見交換を行い、市場性や課題を把握する。

b. 提案インセンティブ付与型

民間事業者から自由提案を受け、優れた提案に対して優先交渉権など何らかのインセンティブを与える方式。民間の発想やアイデアを引き出しやすい。

c. 選抜・交渉型

複数の民間事業者から提案を受けた上で、選抜された事業者と詳細な条件交渉を行う方式。事業内容を絞り込んだ上での精緻な対話に適する。

3 類型に限られるものではない。各類型および第 III 章で示される先進自治体の取組における工夫や地域の実情に応じた自治体の工夫をそれぞれ組み合わせて、各々の自治体にとって最適な官民対話の方法を確立していくことが重要。

例えば事業発案の段階では a. マーケットサウンディング型 で市場性確認、事業化検討・事業者選定段階で c. 選抜・交渉型 で民間提案の募集と契約相手事業者決定、というプロセスの組み合わせも考えられる。

官民対話の実施に当たっては、公平性・公正性の確保に十分な配慮が必要となる。

官民対話の相手

対話の対象者は、事業実施主体となり得る者とすることが基本となる。

必要に応じて、整備するテナントに入居する可能性がある者なども広く対象者とすることが重要。地域経済活性化を図る観点からも、PPP 事業の経験のある民間事業者に限るのではなく、広く地域の民間事業者との対話を行うことが有効。

地域の民間事業者との対話を円滑にするため、地域プラットフォームを活用して地域の民間事業者を対象とした研修・勉強会等を実施することも有効とされている。

実施事業の決定(②)

事業化を判断する段階での留意事項は次の 4 項目。

  1. 課題解決のための提案事業の評価
  2. 事業検討・実施体制
  3. 官民のリスク分担
  4. 地元企業の参画機会を確保するための工夫

特に「官民のリスク分担」は PPP 事業の成否を左右する論点で、事業期間中のリスク(需要変動 / 物価変動 / 災害 / 法令変更 / 施設老朽化 / 利用者クレーム 等)を契約段階で明確に分担しておくことが必要。

「地元企業の参画機会を確保するための工夫」は地域経済活性化の観点からも重視されている。大手事業者のみが応募できる公募要件では、地元企業の参画機会が失われる。応募コンソーシアムでの地元企業参画を加点要件にするなどの工夫が想定される。

共通の工夫

3 類型のいずれにおいても共通してみられる工夫が以下の 4 項目。

課題等の把握体制

民間事業者による営業活動の一環としての個別のアイデア・ノウハウの売り込みを専門部署又は窓口担当部署において受け付けることにより、課題そのものや事業化のきっかけとなる民間提案の把握をしていること。

参加募集

官民対話の参加募集のための事業の条件や応募要件等を定めた要領を作成し、広く公募していること。要領においては、民間に意見を求める項目を明示している。広く募集が行われていることを周知するため、記者発表、説明会・現地見学会の開催、メールマガジンの配信などを実施。

参加資格

参加事業者の資格は、事業参画を検討している事業者又はそれらのグループを基本とする。融資を行う金融機関等の考えを聞く場合もあるが、個人や単なる情報収集を目的とする者を含むことは効果的ではない。

課題等の明示

官民対話の対象となる課題、事業を明確に設定し、官民対話の具体項目をあらかじめ示すこと(複数事業をリスト化して一度に募集するものや個別案件を示して行うものがある)。当該事業に直接的・間接的に関連する情報を分かりやすく、幅広く民間事業者に提供する。

実務での使い方

自治体担当者

PPP 事業の検討を始める際、本ガイドを次の流れで活用する。

  1. 自治体内で PPP 推進のための要綱・指針を策定(事業発案以前の段階)
  2. 民間提案受付の専門部署または窓口担当部署を設置
  3. 個別事業について事業発案時の官民対話を実施(3 類型のいずれか)
  4. 実施事業を決定(リスク分担と地元企業参画を意識)
  5. 公募条件検討時の官民対話で参画意向を最終確認
  6. 公募・事業者選定・詳細協議
  7. 庁内・議会・住民への説明・調整は並行して継続
  8. 国・先進自治体・専門家の支援を活用

民間事業者

参画する自治体の PPP 推進体制を確認する。要綱・指針の有無、民間提案窓口部署の存在、過去の PPP 事業実績によって、提案の受け入れ態勢が判断できる。

事業発案時の官民対話に参加することは、後続の公募で有利な条件設定に影響を与える機会となる。マーケットサウンディング型・提案インセンティブ付与型・選抜交渉型のどの類型で官民対話が運営されるかで、提案資料の精度や深度を調整する。

まとめ

『PPP 事業における官民対話・事業者選定プロセスに関する運用ガイド』は、内閣府・総務省・国土交通省 3 省が 2016 年 10 月に共同策定した運用指針。対象 PPP 事業は 4 分類、事業分野は公共施設等・インフラ・ソフト施策の 3 分野。

プロセスは 8 段階(事業発案時官民対話、実施事業決定、公募条件検討時官民対話、事業者選定、詳細協議、庁内議会住民説明、手続簡素化、国先進自治体専門家支援)で進む。

官民対話は 3 類型(マーケットサウンディング型 / 提案インセンティブ付与型 / 選抜交渉型)に整理されており、事業段階に応じて組み合わせて使う。

地域実情に応じたオーダーメイド設計が必要で、先進自治体の模倣だけでは成果は得られないとガイドは注意を促す。自治体の PPP 推進体制(要綱・指針 + 専門部署設置)が事業を円滑に進めるための前提条件として位置付けられている。

関連資料

XFBThreads

公共空間ビジネスへの参入、一緒に設計しませんか?

大手コンサル寡占の市場で、中小・地域企業・スタートアップが参入できる道筋を作ります。公募分析・提案書作成・SPC組成・自治体との対話設計まで、必要な範囲だけ依頼可能です。初回は無料。

ニュースレター (無料)

最新の公共資産活用情報をお届けします

制度改正・補助金情報・成功事例を月1〜2回配信。自治体・民間問わずご登録いただけます。

  • 新着記事ダイジェスト (月1〜2回)
  • 制度改正・補助金情報のアラート
  • ISVDイベント・セミナー告知

登録無料・いつでも解除可能

関連コンテンツ

同じカテゴリの記事