事業の概要
所有地 + 借地 + 事業者選定日 / 供用開始 / 事業者
三者連携
大阪府所有地
泉南市が借地
供用開始
2020年7月
2017年公募選定
統合設計
4領域
関西最大級
泉南りんくう公園(愛称 SENNAN LONG PARK)は大阪府泉南市に位置する大規模海辺公園である。土地は大阪府が所有し、泉南市が大阪府から借地することで事業推進主体となった。泉南市は 2017年に公募型プロポーザルを実施し、大和リース株式会社を代表とする共同事業体を事業者として選定した。共同事業体には造園デザインの実績が豊富な E-DESIGN も構成企業として加わる。当初は 2020年4月28日の開業を予定したが、新型コロナウイルスの影響で延期され、2020年7月3日に供用開始した。
SENNAN LONG PARK はPark-PFI(公募設置管理制度)を活用し、関西最大級のレクリエーション + レジャーハブとして運営されている。スポーツ + 食 + レジャー + グランピングを一体で体験できる空間として設計されている。
三者連携モデル
大阪府(所有者)+ 泉南市(借地)+ 大和リース共同事業体(事業者)の役割分担
SENNAN LONG PARK の特徴は大阪府(土地所有者)+ 泉南市(事業推進主体、借地)+ 大和リース共同事業体(事業者)の三者連携モデルにある。都道府県所有地に立地する公園で、市町村が事業推進を担うケースで採用される事業スキームである。
| 主体 | 役割 | 位置付け |
|---|---|---|
| 大阪府 | 土地所有者 | 借地契約を通じて事業用地を提供 |
| 泉南市 | 事業推進主体 | 大阪府から借地し公募・合意形成を担う |
| 大和リース共同事業体 | 事業者 | 公園整備 + 維持管理 + 運営を一体で担う |
大和リースを代表とする共同事業体は Park-PFI に基づく公園整備 + 維持管理 + 運営を一体で担う。大阪府は土地所有者として借地契約を通じて事業を認め、泉南市は借地により事業推進主体となる。市町村が事業推進主体となることで、地域住民との合意形成 + 観光振興との連携 + 経済波及効果の直接管理ができる。
三者連携の意義は3つある。第一に、都道府県所有地の民間活用の幅が大きく広がる。第二に、都道府県 + 市町村の責任分担がはっきりする。第三に、市町村の経済振興戦略と直接結びつく。
4 領域統合設計
アクティビティ + コミュニティ + マーケットプレイス + グランピングの空間デザイン
SENNAN LONG PARK は 4 領域統合設計をとる。アクティビティエリア(スポーツ + アウトドア体験)、コミュニティエリア(住民 + 観光客の交流拠点)、マーケットプレイスエリア(地元産品 + 飲食店)、グランピングエリア(宿泊型リゾート施設)の 4 領域を一体空間で提供する。
4 領域統合設計の意義は訪問者の滞在時間の拡張にある。単一機能(例: 飲食のみ)の Park-PFI 事案では訪問者の滞在時間は 1-2時間程度に留まりやすいが、4 領域統合により半日〜1日(グランピング利用時は 1 泊 2日以上)の長時間滞在が実現する。長時間滞在は商業収益の最大化に寄与し、独立採算型の事業スキームを成立させる前提となる。
海辺リゾート型 事業性
泉南マーブルビーチ隣接立地の集客潜力
SENNAN LONG PARK の立地は泉南マーブルビーチ + 樽井泉南ビーチに隣接する海辺立地である。大阪湾に面した海辺立地で、関西最大級のレクリエーション拠点となった。この立地条件が海辺リゾート型 Park-PFI の事業性を支える。
海辺立地は都心公園と異なる事業性の特徴をもつ。都心公園は通勤者 + 昼夜の商業需要 + 週末の家族需要を想定するが、海辺リゾート型は週末のレジャー需要 + 夏季の海水浴需要 + 通年のアウトドア需要を想定する。季節変動が大きい一方、単回訪問での客単価が高い傾向をもつ。
泉南マーブルビーチは大阪府初の「恋人の聖地」(2006年指定)として観光ブランド化されており、SENNAN LONG PARK と相乗効果を形成する。単独の Park-PFI 事案では得られない観光ブランド価値を、隣接施設との相乗効果で得ている。
他自治体への示唆
都道府県所有地 + 市町村借地の公民連携モデルの前提条件
SENNAN LONG PARK を参考にする自治体が押さえるべきポイントは3点ある。
第一に、都道府県所有地 + 市町村借地 + Park-PFI の三者連携モデルは都道府県と市町村の事業推進意欲が揃うことが前提となる。都道府県が直接 Park-PFI 化を望まない一方で、市町村が借地して事業推進する事例は全国的にも少数で、両者間の合意形成が事業成立の鍵となる。
第二に、海辺 / 河川 / 湖畔などの特殊立地の Park-PFI 事案は季節変動を前提とした事業設計を要する。通年運営を前提とした都心型 Park-PFI と異なり、季節ピークの収益で通年運営費を賄う設計が必要である。
第三に、4 領域統合設計は空間規模が十分に大きい場合に適する。SENNAN LONG PARK の海辺立地は広大な空間を提供するが、小規模公園で 4 領域を詰め込むと各領域の空間感が損なわれ、逆効果となる。空間規模と領域数の相性を事前検討する。
Park-PFI 完全ガイド
公募設置管理制度の仕組み・手続き・事例を網羅的に解説
久屋大通公園 Hisaya-odori Park の独立採算型 Park-PFI
日本最大級 Park-PFI の事業スキームを解説
富山県 県立都市公園 Park-PFI(3公園同時展開)
都道府県主体の Park-PFI 事業モデル
次にやること
事例を参考に事業を検討する際は、対象公園との条件の違いを確認する。
| 順 | 確認・検討すること | 担当・相談先 |
|---|---|---|
| 1 | 事例と対象公園の面積、立地、利用者層を比較する。人口規模だけで事業性を判断しない | 公表資料、対象公園の調査資料 |
| 2 | 事例の自治体が公表した公募設置等指針と選定結果を確認する。公開されていない資料は担当課に照会する | 事例の自治体の公園担当 |
| 3 | 指針の使用料の最低額と、選定された提案の金額を比較する | 公募設置等指針、選定結果 |
| 4 | 対象公園の既存施設の建築面積と、条例で定める建蔽率を確認する | 公園担当 |
| 5 | 対象公園の条件と事例の実績を示して、民間事業者の参入意向と必要な条件を聞く | サウンディング |
事例を対象公園に当てはめる際は、公募条件と選定された提案を確認する。面積や立地、利用者層の違いも踏まえて、参考にできる条件を整理する。
この建蔽率の上乗せは、休養施設等と公募対象公園施設のそれぞれに10%が付くのではなく、両方あわせて10%である。既に休養施設や運動施設で12%に達している公園では、公募対象公園施設として便益施設を新たに設置することはできない。この10%も通常の2%も法令上参酌すべき割合で、実際の割合は各地方公共団体が条例で定める。