東遊園地 URBAN PICNIC — 神戸市三宮再開発と市民主導 8 年間の社会実験からの Park-PFI
神戸市中央区三宮の東遊園地は 2015 年からの市民主導社会実験「URBAN PICNIC」を経て 2019 年 Park-PFI(公募設置管理制度)事業者選定、2023 年 4 月賑わい創出施設供用開始。村上工務店 + ティーハウス建築設計事務所 + リバブルシティイニシアティブの 3 者共同事業体が担う 8 年サイクルの制度化プロセスを解説する。
ざっくり言うと
- 東遊園地は神戸市中央区三宮に位置する都心公園、2015 年から市民主導社会実験「URBAN PICNIC」が展開
- 2019 年 Park-PFI 事業者選定、村上工務店 + ティーハウス建築設計事務所 + リバブルシティイニシアティブの 3 者共同事業体
- 2023 年 4 月賑わい創出施設供用開始、三宮再開発の主要プロジェクトとして北側エリアを大小の芝生広場 + カフェで再整備
事業の概要
供用開始・事業者・対象範囲・市民主導社会実験からの経緯
社会実験開始
2015年
URBAN PICNIC
Park-PFI選定
2019年
8年サイクル
供用開始
2023年4月
三宮再開発の主要PJ
東遊園地は神戸市中央区の三宮エリアに位置する都心公園である。もともとは慰霊碑が建立された静的な公園だったが、2015 年から市民主導の社会実験「URBAN PICNIC」が展開され、芝生広場でのピクニック / カフェ / アウトドアライブラリー / 土曜朝のファーマーズマーケット等のプログラムを通じて都心公園の使い方の実験が積み重ねられた。
2019 年に神戸市がPark-PFI(公募設置管理制度)を適用し、事業者を公募・選定。URBAN PICNIC の運営を担ってきた村上工務店 + ティーハウス建築設計事務所 + リバブルシティイニシアティブの 3 者共同事業体が「東遊園地 賑わい創出施設運営事業」として選定された。2023 年 4 月に三宮再整備の主要プロジェクトの一つとして北側エリアが大小の芝生広場 + 眺望広場 + カフェで再整備され、賑わい公園として供用開始した。
8 年間の社会実験サイクル
2015 年 URBAN PICNIC 開始から 2023 年 Park-PFI 供用開始までの段階整備
東遊園地の特徴は 8 年間の社会実験サイクルを経て Park-PFI が制度化されたことにある。2015 年に市民団体主導で芝生化の社会実験を開始し、URBAN PICNIC の名称でカフェ / アウトドアライブラリーを期間限定で展開した。土曜朝にはファーマーズマーケットが定期開催され、公園の使い方の蓄積データが 4-5 年で集積された。
2020 年には春 + 秋の社会実験を実施し、通年でのプログラム展開と新しいパークマネジメントの可能性を検討した。この段階で市民運営の継続性と収益性の両立が課題として明確化され、Park-PFI 導入により民間事業者による継続運営の制度化が選択された。社会実験の蓄積データは Park-PFI の公募設置等指針に反映され、芝生広場の大きさ / カフェの配置 / 眺望広場の設計に反映された。
3 者共同事業体の職種構成
村上工務店 + ティーハウス建築設計事務所 + リバブルシティイニシアティブの役割分担
東遊園地の事業スキームで注目されるのは 3 者共同事業体の職種構成である。大手不動産デベロッパー主導のモデル(三井・三菱等)と対照的で、地域資本 + 専門技術 + まちづくり精神の 3 者結合をとる。
| 構成企業 | 職種 | 役割 |
|---|---|---|
| 村上工務店 | 地域工務店(神戸拠点の建設企業) | 財政 + 実施 |
| ティーハウス建築設計事務所 | 建築設計の専門企業 | 空間設計 |
| リバブルシティイニシアティブ | まちづくり企画 | 社会実験の精神の継承 |
大手デベロッパー不在の事業スキームは、資本力の制約と引き換えに、地域運営の精神の継承と社会実験の蓄積の事業化を実現する。神戸市の判断は都心公園の商業化ではなく市民運営の継続を優先する姿勢を示す。
三宮再開発との一体設計
神戸市の都心再開発の主要プロジェクトとしての位置付け
東遊園地の Park-PFI は神戸市の三宮再開発の主要プロジェクトの一つとして位置付けられている。三宮再開発は神戸市の都心中枢の再生を目指す大規模プロジェクトで、駅前広場 / 商業施設 / 公園 / 歩行者動線の一体設計が進められる。
東遊園地の再整備はこの全体設計の一部として進み、駅前の商業地区と公園の動線設計が一体化する。公園単体の最適化ではなく、都心全体の回遊性 + 都市体験の質向上を目指す上位設計に組み込まれている。
他自治体への示唆
社会実験を経ずにいきなり Park-PFI 化するのと社会実験を経る事業設計の差
東遊園地を参考にする自治体が押さえるべきポイントは 3 点ある。
第一に、社会実験を経て Park-PFI に移行する事業設計は 8 年という長期サイクルを要求する。急ぎで都心公園を民間活用する場合には選択できないが、都心公園の使い方が未確定な場合には社会実験サイクルが空間デザインの正確性を高める有効な手法となる。
第二に、社会実験の蓄積データを Park-PFI の公募設置等指針に反映させるプロセスが制度化の品質を決める。社会実験と Park-PFI 制度化を分離して進めると蓄積が失われる一方、一体プロセスで進めると制度化後も市民運営の精神が継承される。
第三に、大手デベロッパー不在の 3 者共同事業体は資本力の制約が事業性を圧迫するリスクをもつが、地域運営の精神の継承には有効である。
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