事業の概要
事業予定者決定日・認定計画提出者・対象範囲・竣工予定
大型Park-PFI
横浜市初
JR関内駅前
共同事業体
4社
三井+東急+京急+DeNA
1-3区開園予定
2027年春
全体完了2028年度
横浜市 大通り公園は JR 関内駅前に位置する全長約1.2 km の帯状公園である。1区〜3区の3区分に対し、横浜市はPark-PFI(公募設置管理制度)を適用し、2024年10月に事業予定者を決定、三井不動産を代表法人とし東急 + 京浜急行電鉄 + DeNA を構成法人とする4社共同事業体が選定され、2025年2月に基本協定書を締結した。
大通り公園は全8区で構成され、Park-PFI の対象は関内駅側の1区〜3区のみで、阪東橋駅側の4区〜8区は市直営でリニューアルを進める。1区〜3区は 2026年1月から工事開始、2027年春に竣工・開園予定である。公園全体のリニューアル完了は 2028年度を見込む段階的なスケジュールである。
1区〜3区の事業は横浜市初の大型 Park-PFI 事業として位置付けられるが、Park-PFI 制度自体は 2019年の横浜動物の森公園(里山ガーデン)が横浜市導入の最初の事例で、2023年には山下公園レストハウスでも活用されている。大通り公園は4社共同事業体による大規模案件としての「初」となる。リニューアルコンセプトは「交流・憩い・賑わいの創出を目指した公園再生」となる。
4社共同事業体の職種構成
三井不動産(代表)+ 東急 + 京浜急行電鉄 + DeNA の異業種連合
大通り公園の Park-PFI 事業体の特徴は大手4社の異業種連合であることにある。三井不動産は代表法人として商業デベロッパー機能を担い、東急は鉄道 + 都市開発企業として沿線価値向上の視点を提供し、京浜急行電鉄はもう一つの鉄道 + 沿線開発企業として関内エリアの集客 + 回遊性設計に寄与し、DeNA は IT サービス + スポーツ(横浜 DeNA ベイスターズ)の集客ノウハウを提供する。
異業種4社連合の意義は3つある。第一に、単一企業では対応困難な大規模事業を分担して実施可能となる。第二に、各社の得意分野が補完しあい、事業スキームの総合性が高まる。第三に、都心公園の多面的な機能(商業 + 交通 + IT + スポーツ)を統合設計できる。DeNA の参画理由は一次資料に明記されていない。推測だが、横浜 DeNA ベイスターズの本拠地(横浜スタジアム)が関内駅前に近いという立地条件が背景にあると考えられる。
3区分割設計
1区(憩い)/ 2区(賑わい)/ 3区(交流)の主題別空間デザイン
大通り公園の Park-PFI では対象3区に主題を割り振る設計をとる。
| 区 | 主題 | 中核施設 |
|---|---|---|
| 1区 | 憩い | ウェルカムガーデン(静的空間) |
| 2区 | 賑わい | イベント広場(動的空間) |
| 3区 | 交流 | プレイグラウンド(参加型空間) |
各区には飲食店 + 休憩所が配置され、共通の動線としてデッキテラスが周辺に設けられる。花や緑を楽しみながら滞在できる空間となる。3区分割設計は各区の主題が異なる一方で、共通動線(デッキテラス)と共通施設(飲食店 + 休憩所)が3区を統合する役割を担う。
関内駅前立地の事業性
JR 関内駅前立地と都心公園 Park-PFI の集客潜力
大通り公園は JR 関内駅前という都心中枢立地にある。関内は横浜市の中心街の一つで、日中の商業需要 + 夜間の飲食需要 + 週末の家族需要が幅広く想定される立地である。この立地条件が大手4社連合の参画動機の前提となる。
三井不動産 + 東急 + 京浜急行電鉄 + DeNA の4社共同事業体は供用開始から20年間の認定期間に続き、Park-PFI によらない事業として10年間継続する予定で、合計30年の事業期間で事業回収を図る。都心中枢立地でしか成立しない規模の事業スキームであり、地方都市が直接模倣することは困難である。
他自治体への示唆
駅前公園 Park-PFI と大手企業連合参画の事業設計
大通り公園を参考にする自治体が押さえるべきポイントは3点ある。
第一に、大手企業の参画可能性は、都市の人口規模だけでは判断できない。公園の立地や規模、需要、投資額と収益の見込みを確認し、事業者の意向を聞く。地域企業と大手企業の役割分担は、必要な業務と各社の経験を踏まえて検討する。
第二に、3区分割型の主題設計が機能するのは、公園規模が一定以上ある場合に限られる。区ごとの空間に余白がなければ、かえって窮屈さが際立つ(広さの目安は上記コラム参照)。
第三に、異業種4社連合の事業スキームは各社の得意分野の明確な分担が前提となる。役割分担が曖昧な連合では意思決定が遅延し、事業進行が停滞するリスクをもつ。公募設計時に応募主体の役割分担を公募設置等指針で明示する手続きを組み込む。
Park-PFI 完全ガイド
公募設置管理制度の仕組み・手続き・事例を網羅的に解説
久屋大通公園 Hisaya-odori Park の独立採算型 Park-PFI
日本最大級 Park-PFI の事業スキームを解説
Park-PFI 事例集
全国の Park-PFI 事例を類型別に整理
次にやること
事例を参考に事業を検討する際は、対象公園との条件の違いを確認する。
| 順 | 確認・検討すること | 担当・相談先 |
|---|---|---|
| 1 | 事例と対象公園の面積、立地、利用者層を比較する。人口規模だけで事業性を判断しない | 公表資料、対象公園の調査資料 |
| 2 | 事例の自治体が公表した公募設置等指針と選定結果を確認する。公開されていない資料は担当課に照会する | 事例の自治体の公園担当 |
| 3 | 指針の使用料の最低額と、選定された提案の金額を比較する | 公募設置等指針、選定結果 |
| 4 | 対象公園の既存施設の建築面積と、条例で定める建蔽率を確認する | 公園担当 |
| 5 | 対象公園の条件と事例の実績を示して、民間事業者の参入意向と必要な条件を聞く | サウンディング |
事例を対象公園に当てはめる際は、公募条件と選定された提案を確認する。面積や立地、利用者層の違いも踏まえて、参考にできる条件を整理する。
この建蔽率の上乗せは、休養施設等と公募対象公園施設のそれぞれに10%が付くのではなく、両方あわせて10%である。既に休養施設や運動施設で12%に達している公園では、公募対象公園施設として便益施設を新たに設置することはできない。この10%も通常の2%も法令上参酌すべき割合で、実際の割合は各地方公共団体が条例で定める。