事業の概要
認定計画提出者 / 供用開始 / 対象施設「LiLiLi」の情報
Park-PFI事業
札幌市初
百合が原公園
特別目的会社
SPV方式
地域主導
LiLiLi開業
2025年10月25日
公園交流施設
百合が原公園は札幌市北区に位置する大規模都市公園で、花や緑の展示 + イベント機能をもつ札幌市民の憩いの場である。札幌市はこの公園に Park-PFI(公募設置管理制度)を適用し、認定計画提出者として特別目的会社「株式会社 YURIGAHARA PARK FUTURE LAB」を選定、公園交流施設「LiLiLi(リリリ)」が 2025年10月25日に開業した。これは札幌市初となるPark-PFI事業である。
事業を担う「YURIGAHARA PARK FUTURE LAB」は当初コンソーシアムとして活動し、2025年3月に特別目的会社へ転換された。代表は一般社団法人 SAPPORO PLACEMAKING LABO で、丸美珈琲有限会社・株式会社創伸建設・株式会社どんぐりHD・アイビック食品株式会社・株式会社コクサクが構成企業として参画する(後に株式会社 commons も加わった)。大手不動産デベロッパーではなく、地域のまちづくり団体と地元企業が中心となる点が特徴である。
構成企業と地域主導モデル
SAPPORO PLACEMAKING LABO(代表)+ 丸美珈琲・創伸建設など地元企業の参画
百合が原公園 Park-PFI の特徴は、地域まちづくり団体を代表とする地元中心の構成にある。全国の Park-PFI 事案では大手不動産デベロッパー(三井 / 三菱 / 東急 / 大和リース等)が代表企業を務めるケースが多いが、百合が原公園では地域のまちづくり団体と札幌・北海道の企業が中心となる。
| 構成企業 | 位置付け |
|---|---|
| 一般社団法人 SAPPORO PLACEMAKING LABO | 代表(地域まちづくり) |
| 丸美珈琲有限会社 | カフェ(飲食・集客) |
| 株式会社創伸建設 | 建設(施設整備) |
| 株式会社どんぐりHD | 構成企業 |
| アイビック食品株式会社 | 食品 |
| 株式会社コクサク | 構成企業 |
代表を務める一般社団法人 SAPPORO PLACEMAKING LABO は、地域のまちづくり(プレイスメイキング)を担う団体である。丸美珈琲有限会社は札幌発祥のコーヒー企業として飲食・集客を、株式会社創伸建設は施設整備を担う。地元の複数企業が各分野で参画する補完型の構成である。
構成の意義は3つある。第一に、地元企業と地域団体で事業を組成することで、地元経済への波及効果が直接生じる。第二に、大手デベロッパー主導ではない分、地域のニーズに沿った運営判断がしやすい。第三に、丸美珈琲の札幌でのブランド力を集客核として活用できる。
SPV 方式の意義
地域まちづくり団体を代表に据えた特別目的会社方式の意義
百合が原公園 Park-PFI は、地域まちづくり団体を代表に据えた SPV(特別目的会社)方式をとる。大手デベロッパーが単独で主導するのではなく、地域団体と地元企業が特別目的会社に出資して事業体を組成する形は、全国の Park-PFI では確認できる範囲で少数である。この方式が成立する前提条件は3点ある。
第一に、参画企業に事業実施の十分な資本力があること。地元企業を中心に事業を組成する場合、大手企業の資本力を代替することが難しく、事業規模の上限が制約される。百合が原公園では中規模の公園交流施設「LiLiLi」に事業規模を抑えることで、地域の資本で対応できる事業設計とした。
第二に、参画者間の連携実績と信頼関係。SPV は事業実施中に頻繁な意思調整を必要とし、事前の連携実績がない場合、意思決定の遅延や責任分担の曖昧化が生じる。代表のまちづくり団体が地域企業をとりまとめる役割を担う。
第三に、自治体側の地域参画を促す公募設計。公募設置等指針で地域の事業者や団体が参画しやすい条件が設けられているケースが多く、自治体の政策的意図が反映される。
厳冬地 Park-PFI の季節変動対応
冬季の集客低下と通年運営費のバランス設計
北海道は冬季(12月 - 3月)の気温が氷点下となる厳冬地であり、屋外公園の冬季集客が大きく低下する季節変動をもつ。都心 Park-PFI(東京 / 大阪 / 名古屋等)と異なり、通年運営を前提とした事業設計を単純に持ち込めない。
百合が原公園 Park-PFI の事業設計はこの季節変動を踏まえる必要がある。冬季の集客低下期には通年運営費の一部を春 - 秋のピーク期の収益で賄う設計となる。屋内の公園交流施設「LiLiLi」は冬季も一定の集客を保つ屋内型設計で、季節変動の影響を部分的に和らげる機能をもつ。
他自治体への示唆
厳冬地 + 地元企業連合の Park-PFI 事業モデル
百合が原公園を参考にする自治体が押さえるべきポイントは3点ある。
第一に、厳冬地の Park-PFI は季節変動に対応した事業設計を要する。通年運営を前提とせず、季節ピークの収益で通年運営費を賄う事業モデルを事業者との対話ではっきりさせる。
第二に、地元企業と地域団体を中心とする構成は事業規模を中規模以下に抑える前提条件をもつ。大規模事案では地域の資本のみでは事業性が届かないため、大手企業を加える混合連合が現実的である。
第三に、地域主導のSPVでは、代表団体が関係者の調整を担う。各社の役割や決定権が曖昧なままだと、意思決定が遅れるおそれがある。公募条件や提案書で役割分担を確認し、契約時には責任と意思決定の手続きを定める。
Park-PFI 完全ガイド
公募設置管理制度の仕組み・手続き・事例を網羅的に解説
久屋大通公園 Hisaya-odori Park の独立採算型 Park-PFI
日本最大級 Park-PFI の事業スキームを解説
鶴舞公園 Park-PFI 100年の歴史
歴史ある都市公園の Park-PFI 活用
次にやること
事例を参考に事業を検討する際は、対象公園との条件の違いを確認する。
| 順 | 確認・検討すること | 担当・相談先 |
|---|---|---|
| 1 | 事例と対象公園の面積、立地、利用者層を比較する。人口規模だけで事業性を判断しない | 公表資料、対象公園の調査資料 |
| 2 | 事例の自治体が公表した公募設置等指針と選定結果を確認する。公開されていない資料は担当課に照会する | 事例の自治体の公園担当 |
| 3 | 指針の使用料の最低額と、選定された提案の金額を比較する | 公募設置等指針、選定結果 |
| 4 | 対象公園の既存施設の建築面積と、条例で定める建蔽率を確認する | 公園担当 |
| 5 | 対象公園の条件と事例の実績を示して、民間事業者の参入意向と必要な条件を聞く | サウンディング |
事例を対象公園に当てはめる際は、公募条件と選定された提案を確認する。面積や立地、利用者層の違いも踏まえて、参考にできる条件を整理する。
この建蔽率の上乗せは、休養施設等と公募対象公園施設のそれぞれに10%が付くのではなく、両方あわせて10%である。既に休養施設や運動施設で12%に達している公園では、公募対象公園施設として便益施設を新たに設置することはできない。この10%も通常の2%も法令上参酌すべき割合で、実際の割合は各地方公共団体が条例で定める。