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ARTICLE · 廃校活用

廃校の財産処分:手続きが要らない場合、報告で済む処分、国庫納付金と基金、必要書類と提出の時期

国庫補助を受けて整備した廃校を転用・貸与・譲渡・取壊しするときの財産処分の手続きを、文部科学省の令和8年3月31日付けの通知、財産処分手続ハンドブック(令和8年3月)、財産処分手続必要書類一覧(令和8年3月31日時点)と補助金適正化法の条文で確かめた。手続きが要らない場合、報告で済む処分と承認が要る処分、国庫納付金の算定と基金への積立て、必要書類と提出の目安を載せる。

この記事の要点

  • 国庫補助を受けて整備した学校施設を、処分制限期間内に学校教育以外の目的で転用・貸与・譲渡・取壊しするときは、文部科学大臣の承認が要る。処分制限期間は、鉄筋コンクリート造の校舎で、平成13年度以降の予算の補助事業等で取得したものが47年、平成12年度以前が60年
  • 令和8年3月31日付けの通知では、国庫補助事業の完了後10年以上たった建物等の無償による処分は、学校施設に不足を生じる場合を除き、報告書を出せば承認があったものとみなされ、国庫納付金も要らない。有償の処分は10年以上たっていても承認申請が要り、国庫に納付することになる補助金相当額以上を学校の施設整備に充てる基金に積み立てれば、国庫納付金は要らない
  • 財産処分手続ハンドブックの提出の目安は、承認申請書が処分予定時期の3か月前、報告書が2か月前。市区町村は都道府県教育委員会を経由して出す。必要書類一覧では、承認・報告とも実績報告書、額の確定通知書、公立学校施設台帳、建物配置図などを付け、処分後の施設に係る事業計画の概要等資料に事業の収支計画等は要らない
対象読者・読む前に確認したいこと

こんな方に

  • 廃校を転用・貸与・譲渡・取壊ししようとしている自治体の教育委員会・財産管理の担当者
  • 廃校を借りたり譲り受けたりする社会福祉法人・NPO・民間事業者
  • 廃校の活用に関わる法的手続きを調べている研究者・コンサルタント

前提となる知識

  • 廃校活用の全体の流れ(「廃校活用の進め方」の記事で、実態調査の数、活用用途を募集する廃校の一覧、国の補助制度を先に見るとつながる)
  • 補助金適正化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)の第22条
この記事の内容

国庫補助を受けて整備した廃校を、公民館や福祉施設に転用する、民間に貸す、譲る、取り壊す。処分制限期間のうちにこうした処分をするときは、原則として財産処分の手続きが要る。手続きの中身は、文部科学省の「公立学校施設整備費補助金等に係る財産処分の承認等について」(令和8年3月31日付け7文科施第1190号)、「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)、「財産処分手続必要書類一覧」(令和8年3月31日時点)に書いてある。この記事は、この3つと補助金適正化法の条文を読み、廃校の処分で使う部分を並べた。

無償の処分が報告で済む、国庫補助事業の完了からの年数

10年以上

学校施設に不足を生じる場合を除く(令和8年3月31日付けの通知)

鉄筋コンクリート造の校舎の処分制限期間

47年

平成13年度以降の予算の補助事業等で取得したもの。平成12年度以前は60年

承認申請書を出す目安(処分予定時期から数える)

3か月前

報告書は2か月前(財産処分手続ハンドブック)

財産処分に当たるもの

補助金適正化法第22条と施行令第14条、通知が対象とする21の補助金等、処分制限期間、承認を得ずに処分したときの条文

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)第22条は、補助事業者等が、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供することを禁じている。ただし書は「政令で定める場合は、この限りでない」である。政令が定める場合は2つで、補助事業者等が補助金等の全部に相当する金額を国又は補助実施法人に納付した場合と、「補助金等の交付の目的及び当該財産の耐用年数を勘案して各省各庁の長又は補助実施法人の代表者が定める期間を経過した場合」である。

公立学校の施設について、文部科学省の通知は、補助金等の交付を受けて取得し、又は効用の増加した財産を、交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、担保に供し、又は取り壊すこと等を「財産処分」と呼び、施行令第14条第1項に定める場合を除いて文部科学大臣の承認が要るとしている。対象は、公立学校施設整備費補助金、公立学校施設整備費負担金、学校施設環境改善交付金、公立諸学校建物其他災害復旧費補助金など21の補助金等である。この通知は、令和7年3月28日付け6文科施第950号の通知で取り扱ってきたものを、令和8年度から乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)が本格実施されることに伴って改めたものである。財産処分日が通知の発出日以降の案件から適用する。

ハンドブックは、国庫補助を受けて整備した学校施設を学校教育以外の目的に使えば補助目的を達成できないので、処分制限期間内に転用、貸与、譲渡、取壊し等を行うときは承認を受ける必要がある、と説明している。「交付の目的に反して」に当たるのは、他の公共施設への転用、所有権の移転、第三者への貸与、取壊し、小学校から中学校への転用のように補助時点と異なる学校種として使う場合などである。

施行令の「各省各庁の長が定める期間」は処分制限期間と呼ばれ、この期間を経過すれば財産処分の手続きは要らない。期間は文部科学大臣の告示で決まっていて、鉄筋コンクリート造の校舎では、平成12年度以前の予算に係る補助事業等で取得したものが60年、平成13年度以降の予算に係るものが47年である。

財産処分の手続きは法令上事前に行う必要があり、承認を得ないうちに転用等を行うことは補助金適正化法第22条に反する。同法は、補助事業者等が法令に違反したときは補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができるとし(第17条第1項)、この規定は補助金等の額の確定があった後も適用がある(同条第3項)。交付の決定を取り消した部分にすでに補助金等が交付されているときは、期限を定めてその返還を命じなければならない(第18条第1項)。

建物がどの国庫補助事業で整備され、いつ完了したかは、補助事業の実績報告書と額の確定通知書、公立学校施設台帳で確かめる。必要書類一覧は、実績報告書について、補助年度、建物区分、構造区分、補助面積(配分基礎面積)、補助金額、竣工(完成)年月が確認できる箇所を付けるよう求めている。申請書や報告書に無い補助が施設台帳に記載されている場合は、その補助が処分する箇所と無関係であることを施設台帳に手書きで補足する。

手続きが要らない場合

国庫補助を受けていない施設、処分制限期間の経過、1年以内の公益に資する一時的な使用、地域再生計画の認定、廃校を普通財産に改めることの扱い

ハンドブックは、次のどれかに当てはまれば財産処分の手続きは要らないとしている。

  • 国庫補助を受けずに整備した学校施設と、国庫補助を受けずに取得した用地
  • 交付の目的に反していない場合
  • 一時的な使用の場合
  • 処分制限期間を経過した場合
  • 過去の財産処分の手続きで、処分する部分の残存価額に対する補助金相当額を国庫に納付した場合

A小学校とB小学校を廃校にして統合校のC小学校を設置し、A小学校の施設をC小学校として使うのは補助目的に適った使用なので、手続きは要らない。廃校になったB小学校を他の公共施設に転用するときは、原則として手続きが要る。

1年以内の、公益に資する一時的な使用

通知は、廃校施設等の現に学校教育の目的で使っていない補助財産を、改変を行わずに一時的に転用・貸与し、かつ公益に資する用に供する場合は、財産処分に当たらず手続きは要らないとしている。ハンドブックによると、この扱いは平成30年度通知(平成31年1月7日付け)からで、「廃校施設等」には休校施設も含む。「改変を伴わない」は簡単に原状復帰できる状態、「一時的」は1年以内、「公益に資する」は観光などの経済効果の創出や地域の活性化などを指し、有償か無償かは問わない。個人の所有物として一時的に使い、個人の収益だけを挙げて地域に経済効果などをもたらさない使い方は当たらない。

1年以内の契約でも、実態として1年を超える期間の更新が見込まれるなら一時的な使用とはいえず、別の用途として使い始めた時点に遡って手続きをする。当初から更新するか分からない場合は、1年以内の契約でも手続きをする。廃校になる前に学校開放で地域の団体に貸していた屋内運動場を、廃校後も続けて貸す場合は、廃校後の期間について手続きが要る。後から公益に資する用に当たらないと分かった場合は、第22条に反したと判断されることも考えられる。

地域再生計画の認定を受けた場合

地方公共団体が地域再生法第5条により地域再生計画の認定を申請し、内閣総理大臣の認定を受けたものは、同法第18条により文部科学大臣の承認を受けたものとみなされ、通知の手続きは要らない。国庫補助事業の完了後10年を経ていないものも対象になる。ハンドブックは、対象を転用又は無償による貸与とし、認定には財産処分の承認申請や報告と同様の根拠資料が要るとしている。

廃校を普通財産に改めること

ハンドブックによると、廃校にするときは、財産を管理する権限を持つ地方公共団体の長が、他の公用又は公共用施設とする場合を除いて、その施設を行政財産から普通財産に改める。行政財産から普通財産に改めることをもって財産処分の手続きをする必要はない。手続きが要るのは、行政財産か普通財産かを問わず、学校施設以外の目的に転用、譲渡、取壊し等をする場合である。行政財産は、普通地方公共団体において公用又は公共用に供し、又は供することと決定した財産で、普通財産は行政財産以外の一切の公有財産である。

廃校を公民館などの公共施設に変え、行政財産のまま使う場合も、学校施設以外の目的への転用なので手続きが要る。報告で済むかどうかは、次の節の要件で見る。

報告で済む処分と承認が要る処分

報告で済む3つの事項、承認が要る処分の一覧、10年の数え方、用途を変えるときと貸与を更新するときの手続き

報告で済む3つの事項

通知は、次の財産処分について、財産処分報告書(別紙様式2)を文部科学大臣に出せば承認があったものとみなすとしている。学校施設に不足を生じる場合と、報告書に記載事項の不備など必要な要件が欠けている場合は、この限りでない。この3つに当たる処分は、国庫納付金も要らない。

  1. 国庫補助事業の完了後10年以上たった建物等の、無償による財産処分(関係法令の規定に反しない取扱いが要る)
  2. 通知の別表1「報告事項一覧」に並ぶ財産処分
  3. 国庫補助事業の完了後10年未満の建物等の無償による財産処分で、合併市町村基本計画に基づくもの

1の無償による処分は、転用、貸与、譲渡、取壊しのどれでもよく、相手方を問わず国庫納付金は要らない。建物等の「建物」は校舎、屋内運動場、寄宿舎で、プロパン庫のような建物以外の工作物と、建物と一体で整備した衛生設備・電気設備・消防用設備・空調設備も含む。

国の補助金全体については、補助金等適正化中央連絡会議の決定(平成20年4月10日)が、社会経済情勢の変化に対応し、既存ストックを効率的に活用した地域活性化を図るため、概ね10年経過した補助対象財産は補助目的を達成したものとみなし、報告等をもって国の承認があったものとみなす包括承認制を導入するとしている。有償の譲渡・貸付の場合に国庫納付を求めることなど、必要最小限の条件を付けることができるともしている。

別表1のうち廃校に関わるのは、営利を目的とし又は利益をあげる場合を除いた、公共用又は公用に供する施設への転用で、統合又は別敷地移転等により廃校となる学校の建物等で、その統合等について国庫補助を受けたものの転用などである。特別支援学校、不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校、学齢を経過した者に夜間などに義務教育の段階の普通教育に相当する教育を行う学校の用に供するための、建物等の転用と無償による貸与・譲渡も並ぶ。この「転用」には、営利を目的とせず利益をあげない貸与も含む。統合等による廃校の建物等の転用は、補助事業の完了後10年未満でも報告で済み、統合等について補助事業の交付決定を受けていることが条件である。

公共施設に転用し、利用者から維持管理費に相当するものとして条例等で定めた使用料や利用料金を取る場合も、財産処分の手続きでは無償による処分として扱う。

承認が要る処分

報告事項に当たらない処分は、財産処分承認申請書(別紙様式1)を出して承認を受ける。国庫補助事業の完了後10年以上たった建物等でも、有償による処分は1の報告事項に当たらない。10年以上たった建物等の有償による処分で、国庫に納付することになる補助金相当額以上を、その地方公共団体が設置する学校の施設整備に要する経費に充てる基金に積み立て、適切に運用するものは、国庫納付金を要さずに承認される。この扱いは、処分の相手方や内容(貸与か譲渡か)を問わない。必要な手続きと国庫納付の要否は、使う者が地方公共団体か民間事業者などの第三者かで区別しない。

廃校の処分で出てくる主なものを並べると、次のとおりである(通知の3と4、ハンドブックQ.20・Q.37・Q.38による)。

処分国庫補助事業の完了からの年数手続き国庫納付金
建物等の無償の転用・貸与・譲渡・取壊し10年以上報告要らない
統合などで廃校になった学校の建物等で、統合などに国庫補助を受けたものを、営利を目的とせず利益もあげない公共用・公用の施設に転用する(貸与を含む)10年未満でもよい報告要らない
建物等の無償の処分で、合併市町村基本計画に基づくもの10年未満報告要らない
建物等の有償の貸与・譲渡で、国庫納付金相当額以上を学校の施設整備に充てる基金に積み立てるもの10年以上承認申請要らない
耐震補強事業などを実施した建物の無償による処分(補助事業の完了直後に取り壊すなど著しく適正を欠くものを除く)10年未満承認申請原則として要らない
10年以上たった建物等の無償の処分と併行してやむを得ず行う、大規模改造事業などの無償による処分(完了後5年以内に取り壊すなど著しく適正を欠くものを除く)10年未満承認申請要らない
上のどれにも当たらない処分(基金に積み立てない有償の処分など)問わない承認申請原則として要る

10年の数え方と、補助事業を重ねた建物

10年は、建てた年や廃校の日ではなく、国庫補助事業の完了から数える。処分制限期間の起算日は補助事業の完了の翌年度の4月1日(1年未満の端数は切り上げ)で、処分制限期間は最終年の3月31日までである。経過年数は、実務上は、財産処分予定日の前日の属する年度から補助事業の完了年度を引いて計算できる。

国庫納付金の額は、棟別・補助事業別に算出する。新増改築後10年以上たった建物の無償による処分であれば、同じ建物に行った大規模改造事業が10年未満でも、国庫納付を要さずに承認される。ただし、大規模改造事業などの施工箇所が、10年以上たった補助事業の施工箇所と物理的に切り離せない関係にあることが要り、完了後5年以内に取り壊したり改築したりするなど著しく適正を欠くものは除かれる。

用途を変えるとき、貸与を更新するとき

廃校を社会教育施設に転用したあと老人福祉施設に転用するように、当初の承認と別の用途で財産処分を行うときは、改めて申請又は報告をする。当初の処分で残存価額に対する補助金相当額を国庫に納付していれば要らない。転用中に処分制限期間が経過した建物は、その後の転用等に手続きは要らない。民間企業に無償で譲渡し、その企業が建物を取り壊したり第三者に有償で譲渡したりする場合も、当初に国庫納付をしていなければ、所有権が移っていても再度の手続きが要り、有償の譲渡では国庫納付や基金への積立ても要る。ハンドブックは、再処分するときは補助事業者等にあらかじめ連絡することなどを譲渡契約書に書いておくよう求めている。一定の年数に限った貸与は、期間が過ぎたあと、更新する期間について改めて申請又は報告をし、申し出がなければ更新される契約でも同じである。

国庫納付金と基金

国庫納付金の原則と算定式、耐震補強などを実施した建物の扱い、有償の処分で基金に積み立てる条件と期限

国庫納付金の算定

国庫納付金が要らない場合に当たらない処分を承認するときは、原則として、処分する部分の残存価額に対する補助金相当額を国庫に納付する。期間を限った貸与では、その貸与期間における残存価額の減少額に対する補助金相当額である。適正な対価による有償の処分では、残存価額に対する補助金相当額を上限に、処分で生じる収益のうちの補助金相当額を納付する。

ハンドブックは算定方法を次のように示している。国庫納付額等は棟別・補助事業別に出し、棟別の補助額は面積で按分する(難しければ設計書や実績報告書に基づく)。棟別の譲渡額・貸与額は、不動産鑑定評価額や固定資産税評価額等に基づく。

  • 処分する建物の補助金相当額は、補助額×(財産処分面積÷補助面積)×(処分制限期間から経過年数を引いた年数÷処分制限期間)
  • 無償の処分は、上の補助金相当額
  • 有償の譲渡は、上の補助金相当額と、譲渡額×(財産処分面積÷譲渡面積)×補助率の、低いほう
  • 有償の貸与は、貸与期間に係る補助金相当額と、貸与額に係る補助金相当額の、低いほう

実績報告書や額の確定通知などを紛失していて補助額が分からないときは、譲渡額などに係る補助金相当額を国庫納付額等とする。補助率が分からないときは、その事業年度に当てはまりうる補助率のうち最も高いものを使い、新増築・危険改築・不適格改築のどれか分からない場合は新増築の1/2を用いる。

耐震補強などを実施した建物

耐震補強事業、法令等に適合させるための大規模改造事業(石綿・PCB対策工事など)、法令等に適合させるための防災機能強化事業などは児童生徒の安全確保のためやむを得ず行うものなので、これらを実施した建物を無償で処分するときは、経過年数を問わず、承認申請の上、原則として国庫納付を要さない。補助事業の完了直後に取り壊すなど著しく適正を欠くものは除かれ、取壊しは個別に審査して判断する。

有償の処分で基金に積み立てるとき

承認申請のときに基金が設けられていなければ、処分の日から1年以内に基金を設け、国庫納付金相当額以上を積み立てて適切に運用する。複数年にわたって設置者に収益が生じるときは、複数年に分けて積み立てることができ、収益が生じる期間の終期を示して、終期の属する年度までに積立てを終える。

期限内に積み立てなければ、改めて承認が要る可能性がある。基金の設置は承認の前でも後でもよく、積み立てたら設置と積立ての状況を補助金等を所管する課に報告する。使い道は、その地方公共団体内の公立学校の施設整備費で、工事請負費に限られ、起債の償還や、工事請負費を伴わない備品購入・小規模な修繕には充てられない。公共施設全般に充てる基金条例しかなければ、学校の施設整備だけに充てる基金条例を新たに作るか、財産処分で積み立てたものは学校施設整備にだけ充てられるよう既存の条例を改める。分けて積み立てられるのは、複数年にわたる有償貸与と、譲渡額が複数年にわたって支払われる有償譲渡だけで、申請書等にその旨を書く。基金に積み立てず国庫納付で済ませる場合は、分割の納付は認められていない。国庫納付金相当額を売却額などに上乗せするかは、地方公共団体と処分の相手方が取り決めることである。

必要書類と提出の時期

提出の目安、財産処分日、提出先、承認と報告に共通する書類、処分の種類で加わる書類、地方自治法と建築基準法の手続き

提出の目安、財産処分日、提出先

文部科学省への提出の目安は、承認申請書が処分予定時期の3か月前、報告書が2か月前である。年度末と年度当初は全国からの申請が重なり、通常より審査に時間がかかる。期限を過ぎたときは、任意の様式で顛末書・理由書などを作って出す。申請は、経由機関となる都道府県教育委員会に相談しながら進める。市区町村(市区町村の組合を含む)が申請書や報告書を出すときは、都道府県教育委員会を経由する。

財産処分日は、転用なら公共施設の場合は条例の施行日、貸与は貸与契約の開始日、取壊しは取壊しの着工日(契約時や仮設工事の着工時ではない)、譲渡は所有権の移転日である。提出先の担当課は補助事業によって違い、災害復旧事業、一部の幼稚園、産業教育施設、GIGAスクール構想支援体制整備事業、プール・武道場等以外は、大臣官房文教施設企画・防災部施設助成課振興地域係である。処分する箇所が複数の課の補助事業にまたがるときは、それぞれの課に、その課の事業についての書類を出す。

承認と報告に共通する書類

必要書類一覧は、承認申請にも報告にも、次の書類を付けるとしている。

  • 実績報告書(補助年度、建物区分、構造区分、補助面積、補助金額、竣工年月が確認できる箇所)
  • 額の確定通知書
  • 実績報告書か額の確定通知書が無いときは理由書(承認申請では、補助を受けた年度の決算書等も)
  • 公立学校施設台帳の写し(処分予定年度か廃校年度のもの)
  • 建物配置図(補助対象範囲と処分範囲を示し、面積を確認できる寸法を書く)
  • 学校設置条例の一部改正条例(又は議会の議決等)。廃校を処分する場合に、その学校が廃校になっていることが分かるもの
  • 処分後の施設に係る事業計画の概要等資料(案でも可)。どんな事業を行うかを具体的に示すもので、事業の収支計画等は添付不要。転用では、転用後の施設の設置条例が無い場合に付ける
  • 提出期限を過ぎたときの顛末書・理由書
  • 「経過及び処分の理由」を補う資料(実施しようとする事業の実施要綱、譲渡先や貸与先からの申出書など)

報告書には、別紙様式3「財産処分報告事項照合票」も付ける。学校用のスペースを必要十分に確保しているか、教育機能は確保されているか、管理運営上の問題は生じないかの3項目と、設置者の総合的な意見を書く様式で、廃校(廃園)となる建物等の財産処分では3項目の記載は要らない。

処分の種類で加わる書類

処分の種類ごとに、次の書類が加わる。

処分加わる書類
転用転用後施設に係る設置条例の写し(案でも可)、転用後施設の図面(屋内運動場を社会体育施設に転用するなど大幅な改修を要しないものは、施設台帳の平面図で替えられる)
譲渡譲渡契約書(案)、処分相手方の概要(相手方が他の地方公共団体や自治会・個人の場合は不要)
貸与貸借契約書、目的外使用許可書等(案)、処分相手方の概要(相手方が他の地方公共団体や自治会・個人の場合は不要)
無償の譲渡・貸与無償での処分が可能な根拠(条例や議会の議決等、案でも可)
有償の譲渡・貸与(承認申請)契約額・使用料の算定根拠(計算方法を示した条例・規則等、不動産鑑定評価書や固定資産税評価書、それに基づく計算書)、基金条例の写し(案でも可。国庫納付の場合は不要)
取壊し工事工程表等、新旧建物の配置図、老朽化の状況を示す資料(写真、耐力度調査の結果等)、新たな施設整備について地方公共団体が進めようとしている施策・方針・計画等の資料

すでに承認や報告をした処分で、処分の内容を変えずに処分期間だけを変える場合は、一覧で「●」を付けた書類(申請書や報告書、直近の承認通知書や報告書の写し、更新履歴一覧など)だけでよい。貸与額を変える場合など処分の内容が変わるときは、この簡素化は当たらない。市町村合併で保管場所が的確に記録されていなかったなど、やむを得ない事情で書類の所在を確かめられないときは、その旨を簡潔に書いた理由書を出す。

地方自治法は、普通地方公共団体の財産は、第238条の4第1項の規定の適用がある場合を除き、条例又は議会の議決による場合でなければ、適正な対価なくして譲渡し、若しくは貸し付けてはならないと定め(第237条第2項)、条例で定める場合を除いて、適正な対価なく財産を譲渡し、若しくは貸し付けることを議会の議決事件にしている(第96条第1項第6号)。

財産処分と別に要る手続き

建物の用途を変えて、別表第一(い)欄の用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるものにする場合は、確認の手続きの規定が準用される。財産処分の手続きとは別の手続きなので、転用の計画を立てる段階で、確認が要るかを建築の担当に確かめる。

制度

廃校の用途変更と建築基準法:福祉施設転用時の改修義務【2026年版】

用途変更の確認が要る面積、防火区画・排煙設備・内装制限の条件を条文で確かめた記事

ガイド

廃校活用の進め方:実態調査の数、活用用途を募集する廃校の一覧、財産処分の手続き、国の補助制度

実態調査の数と用途が決まらない理由、活用用途を募集する廃校の一覧、財産処分が報告で済む場合と国庫納付金が要らない場合、国庫補助制度の一覧

手順

廃校活用の全手順:施設選定からプロポーザルまでを完全解説【2026年版】

現況調査、財産処分手続き、用途変更と建物調査、サウンディング、プロポーザルの7ステップ

比較

廃校は売るか貸すか:募集中の廃校で自治体が示す形と金額、事例集で譲渡と有償貸与を選んだ14事例

活用用途を募集している廃校の一覧で数えた譲渡と貸与の示し方、金額と期間を書いた募集、事例集の改修費の負担


次にやること

廃校の活用方針と改修予算を検討する際は、次の事項を確認する。

順確認・検討すること担当・相談先
1活用に関心のある事業者を探す。希望する用途や必要な条件を聞き、活用方針の検討に反映するサウンディング、地元事業者
2耐震診断とアスベスト調査の結果を確認する。未実施の場合は、調査の範囲と実施方法を検討する営繕担当
3調査結果に基づいて改修費を見積もり、解体する場合の費用と比較する設計事務所
4財産処分に必要な手続きを確認する。国庫補助を受けた校舎は、活用方法と処分制限期間に応じて、文科省の承認申請または報告の要件を確認する教育委員会、文科省
5用途を公表する前に、卒業生や地域団体に活用方針を説明し、意見を聞く同窓会、自治会

用途を確定する前に事業者の関心と必要な条件を確認し、借り手の見込みを踏まえて活用方針を検討する。


この記事で使った統計の出典

  1. 1文部科学省「公立学校施設整備費補助金等に係る財産処分の承認等について(通知)」(令和8年3月31日付け7文科施第1190号)(2026) 出典を開く
  2. 2文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.4・Q.5(2026) 出典を開く
  3. 3文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.9(2026) 出典を開く
  4. 4補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)第22条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  5. 5補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令(昭和30年政令第255号)第14条第1項(e-Gov法令検索) 出典を開く
  6. 6文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.1・Q.3(2026) 出典を開く
  7. 7文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.8(2026) 出典を開く
  8. 8補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)第17条・第18条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  9. 9文部科学省「財産処分手続必要書類一覧」(令和8年3月31日時点)(2026) 出典を開く
  10. 10文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.1(2026) 出典を開く
  11. 11文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.57(2026) 出典を開く
  12. 12文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.10・Q.44(2026) 出典を開く
  13. 13文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.10・Q.44・Q.48(2026) 出典を開く
  14. 14文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.34(2026) 出典を開く
  15. 15文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.52(2026) 出典を開く
  16. 16地方自治法(昭和22年法律第67号)第238条第4項(e-Gov法令検索) 出典を開く
  17. 17文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.11(2026) 出典を開く
  18. 18文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)所収「補助金等適正化中央連絡会議の決定事項の通知について(抄)」(平成20年4月10日財計第1087号)(2026) 出典を開く
  19. 19文部科学省「公立学校施設整備費補助金等に係る財産処分の承認等について(通知)」(令和8年3月31日付け7文科施第1190号)別表1(2026) 出典を開く
  20. 20文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.19・Q.20(2026) 出典を開く
  21. 21文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.56(2026) 出典を開く
  22. 22文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.35・Q.67(2026) 出典を開く
  23. 23文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.66(2026) 出典を開く
  24. 24文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.38・Q.53・Q.65(2026) 出典を開く
  25. 25文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.54・Q.55(2026) 出典を開く
  26. 26文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.65(2026) 出典を開く
  27. 27文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.36・Q.37(2026) 出典を開く
  28. 28文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.68〜Q.73(2026) 出典を開く
  29. 29文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.62・Q.63(2026) 出典を開く
  30. 30文部科学省「公立学校施設整備費補助金等に係る財産処分の承認等について(通知)」(令和8年3月31日付け7文科施第1190号)別紙様式3(2026) 出典を開く
  31. 31文部科学省「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.55・Q.64(2026) 出典を開く
  32. 32地方自治法(昭和22年法律第67号)第237条第2項・第96条第1項第6号(e-Gov法令検索) 出典を開く
  33. 33建築基準法(昭和25年法律第201号)第87条第1項・第6条第1項第1号(e-Gov法令検索) 出典を開く

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訂正の内容

  1. :題名などで、無償の財産処分が報告で済むのは国庫補助事業の完了から「10年超」としていました。文部科学省の通知は「10年以上」と書いています。

    訂正前
    【無償なら10年超で報告だけ】/国庫補助事業の完了から10年超で無償処分が報告だけで済む仕組み/または10年超経過の場合は報告が必要
    訂正後
    国庫補助事業の完了後10年以上たった建物等の無償による処分は、学校施設に不足を生じる場合を除き、報告書を出せば承認があったものとみなされる

    理由 文部科学省の通知(令和8年3月31日付け7文科施第1190号)の3(1)①は、「国庫補助事業完了後10年以上経過した」建物等の無償による財産処分を報告事項にしています。題名、説明文、要点、節の要約、振り返りの問い、投稿文、本文の「10年超」を「10年以上」に揃え、学校施設に不足を生じる場合は報告で済まないことも書き足しました。

  2. :補助金適正化法第22条のただし書、承認を得ずに処分したときの条文、施行令第14条の引用が、e-Gov法令検索の条文と違っていました。

    訂正前
    ただし、あらかじめ各省各庁の長の承認を受けたときはこの限りではない/承認なしで処分を行った場合は同法第17条による補助金返還命令の対象となる/承認なしの処分は違法となり補助金返還が求められる/補助金等の交付の目的及び当該財産の耐用年数を勘案して各省各庁の長が定める期間を経過した場合
    訂正後
    第22条のただし書は「政令で定める場合は、この限りでない」。法令に違反したときは交付の決定の全部又は一部を取り消すことができ(第17条第1項)、額の確定の後も適用があり(同条第3項)、取り消した部分に交付済みの補助金等があれば返還を命じる(第18条第1項)。施行令第14条第1項第2号は「補助金等の交付の目的及び当該財産の耐用年数を勘案して各省各庁の長又は補助実施法人の代表者が定める期間を経過した場合」

    理由 第22条は、承認を受けないで交付の目的に反して使用、譲渡、交換、貸付け、担保に供することを禁じる条文で、ただし書が除いているのは政令(施行令第14条第1項)で定める場合です。交付の決定を取り消すのは第17条、返還を命じるのは第18条で、取消しは「できる」と書かれているので、承認なしの処分で必ず返還を求められるとは読めません。条文どおりに直し、施行令第14条の引用も現行の条文の「各省各庁の長又は補助実施法人の代表者」に合わせました。

  3. :廃校に関係する国庫補助金として、負担率1/3の国庫負担金とスポーツ振興くじ助成金を挙げ、廃校や公立学校の施設は国庫補助を受けたものが多いと書いていました。通知の対象の一覧と合わず、多いことの裏付けも無いので直しました。

    訂正前
    廃校は、その建設や大規模改修に際して多くの場合、学校施設整備費の国庫補助金を受けている/義務教育諸学校等施設費国庫負担金: 公立小・中・特別支援学校の建設費に対する国庫負担(負担率1/3)/スポーツ振興くじ助成金: 体育施設整備に対する助成/公立学校の施設整備は国庫補助を受けているものが多く
    訂正後
    通知の対象は、公立学校施設整備費補助金、公立学校施設整備費負担金、学校施設環境改善交付金、公立諸学校建物其他災害復旧費補助金など21の補助金等。建物がどの国庫補助事業で整備され、いつ完了したかは、実績報告書と額の確定通知書、公立学校施設台帳で確かめる

    理由 文部科学省の通知(令和8年3月31日付け7文科施第1190号)が対象にする補助金等は21あり、「スポーツ振興くじ助成金」は入っていません。財産処分手続ハンドブックのQ.65は、補助率が分からず事業も分からないときは新増築の1/2を用いるとしていて、国の負担や補助の割合を1/3と一律には書けません。廃校や公立学校の施設のうち国庫補助を受けたものが多いことを示す資料も、ありませんでした。

  4. :廃校を行政財産のまま学校教育以外の公用・公共用に使う場合は財産処分に当たらない、と書いていました。文部科学省のハンドブックは、行政財産か普通財産かを問わず、学校施設以外の目的に転用等をするときは手続きが要るとしています。

    訂正前
    以下の行為は財産処分には当たらない/廃校後も行政財産として学校教育以外の公用・公共用に使用する場合(例:行政窓口、公民館)/廃校後に普通財産に移管したのち、行政財産としての管理を継続する場合/普通財産への移管後に民間への売却・貸付を行う場合は財産処分の手続きが必要になる
    訂正後
    行政財産から普通財産に改めることをもって財産処分の手続きをする必要はない。手続きが要るのは、行政財産か普通財産かを問わず、学校施設以外の目的に転用、譲渡、取壊し等をする場合。必要な手続きと国庫納付の要否は、使う者が地方公共団体か民間事業者などの第三者かで区別しない

    理由 財産処分手続ハンドブック(令和8年3月)のQ.52とQ.67に合わせました。Q.3は他の公共施設への転用を「交付の目的に反して」の例に挙げていて、公民館などに転用するのも財産処分です。民間への売却・貸付のときだけ手続きが要るように読める書き方も直しました。

  5. :交付決定から工事の完了まで1年から2年空くことが多いと書き、複数の補助金を受けた施設は最も新しい国庫補助事業の完了日で数えるとしていました。前者は裏付けが無く、後者はハンドブックの扱いと違いました。

    訂正前
    交付決定から工事完了まで1年から2年空くことが多い/実際より1年から2年早く10年に達したと誤認する/複数の補助金を受けている施設では、最も新しい国庫補助事業の完了日で数える/廃校後に補助金を使って修繕・改修を行った場合は、その事業の完了日で数え直す
    訂正後
    国庫納付金の額は棟別・補助事業別に算出する。新増改築後10年以上たった建物の無償による処分であれば、同じ建物に行った大規模改造事業が10年未満でも、施工箇所が物理的に切り離せない関係にあれば国庫納付を要さずに承認される(完了後5年以内に取り壊すなど著しく適正を欠くものを除く)

    理由 財産処分手続ハンドブックのQ.65は国庫納付金の額を棟別・補助事業別に算出するとし、Q.38とQ.53は、10年以上たった建物の無償の処分と併行して行う、10年未満の大規模改造事業などの無償の処分を、国庫納付を要さない承認の対象にしています。いちばん新しい事業の完了日から建物全体を数え直す扱いではありません。交付決定から完了までが1年から2年であることが多いと示す資料は、見つかりませんでした。

  6. :手続きの流れで文部科学省への事前相談を「強く推奨」とし、承認申請の必要書類と標準的なスケジュールを載せていましたが、文部科学省の必要書類一覧とハンドブックに合っていませんでした。

    訂正前
    10年に届かない場合でも、文部科学省への事前相談/文部科学省への事前相談(強く推奨)/承認申請が必要な場合(10年以内の処分)/補助金交付決定通知書の写し/処分後の利用計画書/転用後の用途・事業者・収支計画等/処分実施の少なくとも6ヶ月前から開始することが望ましい/3〜6ヶ月程度(内容の複雑さによる)/10年超経過施設についても、文部科学省(大臣官房文教施設企画防災部)への事前相談は実務上強く推奨される/相談なしに進めてトラブルになる事例も存在する
    訂正後
    提出の目安は、承認申請書が処分予定時期の3か月前、報告書が2か月前。経由機関となる都道府県教育委員会に相談しながら進める。承認・報告とも、実績報告書、額の確定通知書、公立学校施設台帳、建物配置図、廃校を処分するときの学校設置条例の一部改正条例、処分後の施設に係る事業計画の概要等資料(事業の収支計画等は添付不要)などを付ける。有償の処分は10年以上たっていても承認申請が要る

    理由 文部科学省の財産処分手続必要書類一覧(令和8年3月31日時点)に「補助金交付決定通知書」は無く、処分後の施設に係る事業計画の概要等資料は「事業の収支計画等は添付不要」とされています。財産処分手続ハンドブックのQ.8は、提出の目安を承認申請書で3か月前、報告書で2か月前とし、経由機関の都道府県教育委員会に相談しながら事務を進めるよう求めています。承認申請は10年未満の処分に限らず、有償の処分なら10年以上たっていても要るので、「10年以内の処分」という書き方も直しました。6か月前からの事前相談、承認まで3〜6か月、文部科学省への事前相談を強く勧めること、相談せずに進めてトラブルになった事例は、どれも資料で確かめられませんでした。

  7. :簡素化を定めた通知は毎年度出し直され、番号も日付も毎年変わると書いていました。確かめられたのは、令和8年3月の通知が令和7年3月の通知に代わるものだということまでで、毎年度出し直すという決まりは見当たりませんでした。

    訂正前
    文部科学省が毎年度出し直す通知で運用されている/要件と様式を定めているのが、毎年度出し直される通知である/番号も日付も毎年変わる。転用の対象や要件も年度ごとに足されていて
    訂正後
    この通知は、令和7年3月28日付け6文科施第950号の通知で取り扱ってきたものを、令和8年度から乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)が本格実施されることに伴って改めたもの。財産処分日が通知の発出日以降の案件から適用する

    理由 令和8年3月の通知は、令和7年3月28日付けの通知で取り扱ってきたものを、乳児等通園支援事業の本格実施に伴って改めたと書いています。財産処分手続ハンドブックには平成27年度通知、平成30年度通知(平成31年1月7日付け)、令和6年5月通知、令和7年3月通知が出てきますが、毎年度出し直すという決まりは書かれていません。

  8. :よくある誤解と実務上のポイントの節などで、地方債や都道府県補助金による別の手続き、消防法とバリアフリー法の手続き、一定額以上の財産処分の議会議決、指定管理者制度は財産の処分と異なること、コンセッションのガイダンス、誤解が多いこと、校舎の維持管理が財政を圧迫することなどを書いていました。裏付けが無いものと条件を書いていないものを外し、確かめた条文に替えました。

    訂正前
    地方債を活用した施設については、一部の自治体で地方財政法上の手続きが必要な場合がある/都道府県補助金がある場合は都道府県への届出・承認が別途必要になることがある/消防法上の消防設備の設置・変更届/地方自治法上の財産の処分に関する議会議決(一定額以上の財産処分)/バリアフリー法に基づく整備基準への適合/自治体が引き続き施設を保有したまま民間に管理運営を委ねる形態であるため、財産の「処分」とは異なる/文部科学省が別途ガイダンスを整備しており/「無償だから問題ない」「古い施設だから不要」という誤解が多い/実務の現場では、廃校の財産処分手続きについて以下のような誤解が見られる/使われないまま残る校舎の維持管理は自治体の財政を圧迫する/累計で何件の活用が決まったかは公表されていない/廃校活用の実務で最も効くのが「10年ルール」だ
    訂正後
    地方自治法は、条例又は議会の議決による場合でなければ、財産を適正な対価なくして譲渡し、若しくは貸し付けてはならないと定め(第237条第2項)、必要書類一覧は無償の譲渡・貸与に「無償での処分が可能な根拠(条例や議会の議決等)」を求めている。建物の用途を変えて特殊建築物にし、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超える場合は、建築基準法の確認の手続きの規定が準用される(第87条第1項)

    理由 地方財政法と都道府県補助金による別の手続き、コンセッションについての文部科学省のガイダンス、誤解が多いこと、校舎の維持管理が自治体の財政を圧迫すること、10年の扱いが実務で最も効くことは、どれも出典を示せませんでした。指定管理者制度で管理する公共施設に廃校を転用する場合も、財産処分の手続きは要ります(ハンドブックQ.3・Q.52)。消防法とバリアフリー法の手続きは、どの用途と規模で要るかを書いていなかったので外し、議会の議決は、無償の譲渡・貸付けに関わる地方自治法第237条第2項に替えました。活用が決まった件数を公表していないという記述は、無いことを確かめる手立てが無いので外しました。

  9. :財産処分の類型の表で、地域住民活動への開放を含むどの類型にも、原則として承認が要ると書いていました。改変を伴わない1年以内の公益に資する使用は手続きが要らず、10年以上たった建物等の無償の処分は報告で済みます。

    訂正前
    無償貸付/地域住民活動への開放/要承認(原則)/取り壊し(除却)/要承認(一部条件あり)
    訂正後
    廃校施設等を改変を伴わずに1年以内で公益に資する用に供する転用・貸与は、有償か無償かを問わず手続きが要らない。国庫補助事業の完了後10年以上たった建物等の無償による転用・貸与・譲渡・取壊しは報告で済み、国庫納付金も要らない

    理由 文部科学省の通知の2(1)と3(1)①、財産処分手続ハンドブックのQ.10・Q.11・Q.44に合わせて、類型の表を、手続きと国庫納付金の要否で分けた表に替えました。

  10. :数字カードで「約450校」を毎年生じる廃校の数としていました。文部科学省の実態調査を年度別に見ると、2016年度以降は450校に届いていません。

    訂正前
    毎年生じる廃校の数 約450校(文部科学省 みんなの廃校プロジェクト)
    訂正後
    毎年生じる廃校の数 約450校(文部科学省のページ)。同省の実態調査の年度別では2023年度298校、2016年度以降450校に達していない

    理由 約450校は、文部科学省「~未来につなごう~『みんなの廃校』プロジェクト」のページにある「全国では毎年約450校程度の廃校施設が生じています」という表現です。同省の「令和6年度 廃校施設活用状況実態調査」の資料1(公立学校の年度別廃校発生数)では、2016年度以降の各年度が279〜405校で、2023年度は298校です。2015年度以前は428〜597校でした。20年度分を足すと8,850校になり、調査の累計と一致します。450校を今の年間の数と読まれないよう、数字カードに年度別の数を添えました。

  11. :「次にやること」の表で、財産処分の手続きがいつも承認を要するように読める書き方でした。

    訂正前
    国庫補助を受けた校舎は文科省の承認が要る
    訂正後
    国庫補助を受けた校舎を処分制限期間内に学校以外に使うときは文科省の承認が要る(要件を満たせば報告で済む)

    理由 文部科学省の財産処分手続のページは、処分制限期間内に学校教育以外の用途で使うときに承認と国庫納付が要り、一定の要件を満たせば国庫納付をせず報告書の提出で済むとしています。報告で済む場合を落としていました。

  12. :未活用の廃校のうち国庫補助を受けた施設の数を、出典にない書き方で示していました。確かめられる数字だけに直しました。

    訂正前
    令和6年度調査では、未活用廃校約1,951校のうち相当数が国庫補助を受けた施設
    訂正後
    現存する7,612校のうち1,951校(25.6%)が未活用。このうち何校が国庫補助を受けた施設かは同調査では集計されていない

    理由 出典に挙げていた文部科学省の実態調査は、補助の有無別の内訳を集計していません。「相当数」が何校を指すのかもたどれませんでした。調査で確かめられる数字だけを残し、補助の有無は案件ごとに教育委員会で確かめる、という書き方に変えました。出典のURLも、入口ページから数字が載っているPDFに差し替えました。

  13. :10年ルールの根拠・起算点・適用範囲が誤っていました。文部科学省の通知に当たって全面的に直しました。

    訂正前
    補助金適正化法施行令第14条第3項により処分制限期間は原則10年。起算点は最後の補助金交付決定日。10年超なら承認申請は不要で国庫納付も不要。2015年の施行令改正で簡素化された
    訂正後
    10年は法律にも施行令にもない。文部科学省の通知が、国庫補助事業の完了から10年以上経った建物等の無償による財産処分を報告だけで済むと定めている。有償は10年を過ぎても承認申請が要り、国庫納付を避けるには補助金相当額以上の基金積立が要る

    理由 施行令第14条には第3項がなく、条文は年数を書いていません。「補助金等の交付の目的及び当該財産の耐用年数を勘案して各省各庁の長が定める期間」とあるだけです。10年の線は文部科学省の通知(令和8年3月31日付け7文科施第1190号)にあり、起算点は交付決定日ではなく国庫補助事業の完了日、対象は無償の処分に限られます。2015年の施行令改正が転換点だったという説明も裏づけが取れませんでした。簡素化は毎年度出し直される通知で運用されています。処分制限期間と10年の線を同じものとして書いていた点も直しました。

ご自身の案件で確認すること

  • 処分しようとしている建物は、どの国庫補助事業で整備され、それぞれ完了から何年たっているか。実績報告書と額の確定通知書は手元にあるか
  • 処分は無償か有償か。有償なら、国庫納付金相当額以上を処分の日から1年以内に学校の施設整備に充てる基金に積み立てられるか
  • 財産処分日(転用なら公共施設の条例の施行日、貸与なら契約の開始日)から数えて、承認申請書は3か月前、報告書は2か月前に出せる日程になっているか

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