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ARTICLE · 廃校活用

廃校活用の全手順:施設選定からプロポーザルまでを完全解説【2026年版】

廃校活用を始めたい事業者・自治体向け。累計8,850校、未活用1,951校の現状から、現況調査→活用方針策定→財産処分→用途変更→サウンディング→プロポーザル→開業の7ステップ、省庁ごとの補助制度、着手前に避けたい3つの失敗までを、文部科学省などの資料で確かめて整理した。

この記事の要点

  • 2004〜2023年度の累計廃校数は8,850校。現存施設の25.6%(1,951校)が未活用のまま残存し、2023年度も298校が新たに廃校になった
  • 活用手順は7ステップ:現況調査→活用方針策定→財産処分手続き→用途変更→サウンディング→プロポーザル→事業者選定・開業
  • 補助制度は省庁と転用先で分かれる。建物は、用途変更の確認、石綿(アスベスト)の事前調査、耐震性の3点を着手前に確かめる
対象読者・読む前に確認したいこと

こんな方に

  • 廃校活用による事業開発を検討しているNPO・社会福祉法人・民間事業者
  • 所有する廃校施設の活用策を模索している自治体担当者
  • 公共施設への参入手順を体系的に把握したい実務者

前提となる知識

  • 特になし(入門記事)
  • PPP/PFIの基礎は「スモールコンセッションとは」記事を先に読むと理解が深まる
この記事の内容

廃校の現状:8,850校の意味と未活用の構造的要因

累計8,850校・未活用1,951校の全体像と、実態調査にある用途が決まらない理由

累計廃校数

8,850

2004〜2023年度

年間新規廃校(文部科学省のページ)

450

同省の実態調査の年度別では2023年度298校。2016年度以降450校に達していない

未活用施設数

1,951

25.6%

少子化と学校統廃合により、全国の廃校は累計で増え続けている。文部科学省の調査によると、2004年度から2023年度までの累計廃校数は8,850校に達した。同省は、新たな廃校が毎年約450校のペースで生じていると書いている。ただし同省の実態調査を年度別に見ると、2016年度以降は毎年279〜405校で450校に達した年はなく、2023年度は298校である。

廃校が再び遊休化する4つのパターン。需要予測の誤り、改修費の過小評価、運営人材の不足、地域との関係の失敗。
どれも開業してから分かる。4つのうち3つは改修に着手する前に確かめられる出典: 本記事の整理

現在施設が残存する廃校は7,612校。そのうち活用されているものは5,661校(74.4%)で、1,951校(25.6%)が未活用のまま残されている。

活用されている廃校の用途分布

用途の内訳は下表のとおりである。これは5,661校の内訳ではない。 調査は校舎と屋内運動場を別に数えた複数回答で、合計10,348件を母数としている。1つの廃校が複数の用途を持てば、その分だけ件数が増える。

用途件数割合
学校(大学を除く)4,191件40.5%
社会体育施設1,693件16.4%
企業等の施設・創業支援施設1,207件11.7%
社会教育施設・文化施設1,206件11.7%
福祉施設・医療施設等735件7.1%
体験交流施設等535件5.2%
庁舎等449件4.3%
備蓄倉庫・大学・住宅332件3.2%

前回の調査(令和3年5月1日現在)と比べると、学校(大学を除く)は3,948件から4,191件に、企業等の施設・創業支援施設は1,020件から1,207件に増えた。福祉施設・医療施設等は774件から735件に減り、そのうち障害者福祉施設は176件から177件でほぼ変わっていない。

用途が決まらない理由

未活用の1,951校のうち、活用の用途が決まっていないものは1,503校ある。調査は用途が決まっていない理由を複数回答で聞いていて、校舎(n=2,177)では「地域等からの要望がない」が903件(41.5%)、「建物が老朽化している」が902件(41.4%)、「立地条件が悪い」が387件(17.8%)、「財源が確保できない」が327件(15.0%)だった。

要望が上がる場。 文科省の調査では、現存する廃校の校舎7,211件のうち3,580件(49.6%)で地域住民からの意向聴取が行われていない。これは未活用の廃校に限った数字ではない。ただし用途が決まらない理由の一位が「地域等からの要望がない」であることと合わせて読むと、要望が上がる経路そのものが用意されていない可能性がある。

建物の古さ。 「建物が老朽化している」は一位とほぼ同じ件数である。旧耐震基準で建てた建物は、耐震診断で耐震性を確かめ、足りなければ耐震改修か建替えを考えることになる(Step 4)。

使わなくてもかかる費用。 建物を残せば維持管理の費用がかかり、取り壊すにも費用がかかる。新潟県長岡市は、廃校を法人に活用してもらったことで、施設の維持管理や解体撤去等にかかるコストの削減につながったと事例集に書いている。


活用の5類型:収益構造と前提条件の違い

福祉・教育・観光・コミュニティ・複合の5類型。それぞれの収益モデルと参入条件

廃校施設の活用は大きく5つの類型に整理できる。重要なのは、類型ごとに収益構造と参入の前提条件がまったく異なる点である。自社の事業モデルとの適合性を見極めることが、方向性の設定の第一歩になる。

1. 福祉・医療系

老人福祉施設、障害者就労支援施設、保育所、放課後等デイサービス、小規模多機能ホームなど。介護報酬や障害福祉サービスの報酬、保育の委託費など、制度に基づく収入が柱になるので、集客に頼らない事業を組みやすい。

教室・体育館・調理室・運動場は、居室や作業室、食堂などに使える。ただし用途を変えると、建築基準法や消防法の基準に合わせる改修が要ることがある。新潟県長岡市の旧島田小学校を障害者就労支援施設にした例では、老朽化で変形した柱の修復、地震の影響で下がった基礎の調整、いまの建築基準法や消防法に適合させるための改修等が必要になり、工事にかなりの費用がかかった。

交通の便が悪い場所でも、通所の施設なら送迎で補える。立地の不利を制度に基づく収入で埋められる点が、福祉転用の強みである。

2. 教育・子育て系

フリースクール、放課後児童クラブ(学童保育)、通信制高校サテライト校、子育て支援拠点など。実態調査の用途で最も件数が多いのは学校(大学を除く)の4,191件で、放課後児童クラブは124件だった。

財産処分の通知は、特別支援学校や、不登校の児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校などに使うための転用と無償の貸与・譲渡を、報告で済む事項に入れている。フリースクールはこれに当たらないので、Step 3の手続きで確かめる。

収入の組み方は事業で違う。放課後児童クラブは市町村からの委託や補助を受けて運営する形がある。フリースクールは、利用料だけで運営するか、自治体の補助や寄付を合わせるかで収入の形が変わる。

3. 観光・産業系

農家民宿・グランピング、醸造施設(ウイスキー・ワイン・クラフトビール)、コワーキング・サテライトオフィス、特産品加工・農産物直売所など。地域の文化や自然と組み合わせた体験型の事業として組み立てる例がある。

収益は集客に左右されるので、立地条件と市場調査を先に見る。用途が決まっていない理由でも、校舎(n=2,177)の17.8%が「立地条件が悪い」を挙げている。「わざわざ行く理由」をつくれるかが問われる。

4. コミュニティ系

公民館機能、地域交流スペース、防災拠点、図書館など。単独では収益を上げにくいので、の指定管理料や補助金と組み合わせて事業にする形がある。

収益の安定は指定期間の長さに左右される。指定管理者制度を導入している79,332施設のうち、指定期間は5年が77.1%で、3年が10.9%、4年が3.2%、3年未満が1.8%、5年超が7.0%だった。改修に投資するなら、回収にかかる年数と指定期間を比べ、期間や条件を先に協議する。

5. 複合型

福祉・教育・コミュニティなど複数の機能を1つの廃校施設に集約するモデル。教室棟を障害者就労支援施設に、体育館を地域スポーツ施設に、調理室を地域食堂に。廃校が元々持っている空間の多様性を活かして複数の事業を並立させる。

制度収入(福祉)と指定管理料(コミュニティ)と利用料収入(観光・産業)を組み合わせれば、収入の柱を複数持てる。

複数の機能を1つの廃校に集めた例に、三重県四日市市の旧東橋北小学校がある。市が転用して、子育て支援センターを備えた「橋北こども園」や「こども子育て交流プラザ」などが入る複合施設「橋北交流会館」にした。改修費は総額約10億円で、そのうち自治体の負担が約9.9億円である。

複数の所管部署や関係法令にまたがるので、調整に手間がかかる。四日市市は、地域内の各公共施設の状況を踏まえてどう利活用するのが合理的かを各部局間で検討する一方で、地域住民の思いをどう活用方針に反映していくかが大きな課題だったと事例集に書いている。


7ステップの全体像

現況調査から開業までの流れを俯瞰するロードマップ

廃校活用は以下の7ステップで進む。各ステップは順序が前後することもあるが、全体像を俯瞰しておくことで「今どこにいるか」「次に何をすべきか」を見失わずに済む。

Step名称主な主体所要期間目安
①現況調査事業者 / 自治体1〜3か月
②活用方針策定自治体(住民参加)3〜12か月
③財産処分手続き自治体 → 文科省1〜3か月
④用途変更・建物調査事業者(建築士)2〜6か月
⑤サウンディング自治体 → 民間1〜3か月
⑥プロポーザル自治体 → 事業者2〜6か月
⑦事業者選定・開業自治体 + 事業者6〜18か月

所要期間は、この記事が置いた目安である。施設の状態と自治体の手続きで大きく変わる。

事業者が自分で進められるのは、Step①の現況調査とStep④の建物調査である。Step②〜③は自治体の手続きを待つことになるので、自治体の日程を早めに聞いておく。


Step 1:現況調査(みんなの廃校プロジェクト)

毎月更新の文部科学省の一覧と、廃校活用推進イベントで施設の情報を集める

廃校施設の情報を集める最初の窓口は、文部科学省のみんなの廃校プロジェクトである。活用用途を募集している廃校施設の一覧は毎月更新され、いま載っているのは令和8年9月1日現在の情報に基づく版である。目次には、都道府県・市区町村・学校名・所在地が施設ごとに1行ずつ並ぶ。9月14日に取得した目次の行を数えると456件である(この記事で数えた数)。

検索方法と注意点

一覧は、目次のほかに地域別のPDF12ファイルで公開されていて、検索できる画面は無い。ファイルを開いて目で探す。地域別のPDFは1施設1ページで、所在地、交通、問い合わせ先、用途地域、土地面積、構造、施設区分、竣工年、建築面積、延床面積、階数、募集内容、貸与・譲渡条件等、備考、外観写真、平面図、教室配置図、現地周辺の様子が載っている。

一覧のページは、掲載内容への質問や応募方法は直接、地方公共団体の施設担当窓口に問い合わせるよう書いている。交渉は、自治体と事業者が直接進める。

廃校活用推進イベントの活用

文部科学省は、令和元年度から4年度に「廃校活用マッチングイベント」、令和5年度から「廃校活用推進イベント」を開いている。令和7年度は10月17日に開き、行政説明、事例発表3件のあとにマッチングタイムを設けた。マッチングタイムでは、活用用途を募集する自治体がブースを出展した。ページに参加者の条件は書いていない。次の開催はイベントのページで確かめ、分からない点は施設助成課振興地域係(minpro@mext.go.jp)に問い合わせる。

PDFに書いていない建物の状態や、自治体がどの用途を望んでいるかを、担当者に直接聞ける。

都道府県別の廃校数

2004〜2023年度の廃校の数を都道府県別に見ると、北海道が859校で最も多く、岩手県331校、福島県330校、東京都300校と続く。都市部にも廃校はあるので、立地と交通の便は1件ずつ確かめる。


Step 2:活用方針の策定

用途選定と住民合意形成の設計。事例集にある3例の進め方

施設の候補が見えてきたら、次に必要なのは「何に使うか」の方針策定である。この段階で先に決めるのは、住民との合意をどうつくるかである。

住民との合意のつくり方

文部科学省の事例集には47都道府県の事例が1件ずつ載っている。そのうち、住民との合意のつくり方が違う3つを、この記事が選んで挙げる。

  • 岩手県西和賀町(小規模多機能ホーム):旧学区4行政区の代表者等が10回以上検討して地域福祉に使うことを決め、閉校前の2011年2月に、地域住民の代表らが運営主体のNPO法人を立ち上げた
  • 新潟県長岡市(障害者就労支援施設):市は市内の大学にコーディネートを依頼し、地域住民や教育関係者からなる4つの検討部会で各12回の検討会を開いたほか、地域住民へのアンケートなどで意見を集めた
  • 三重県四日市市(子育て支援等複合施設):地域住民が活用方法を検討するために立ち上げた合議体に、市の職員がオブザーバーとして参加した

3例とも、用途を決める前に住民が話し合う場を持っている。住民との合意なしに進めたときに起きることは、後の「着手前に避けたい3つの失敗」で扱う。

自治体との初期協議

活用方針の策定段階では、次の点を自治体の担当者と確かめておく。

  1. 自治体が想定する活用用途の優先順位(福祉・教育・産業等)
  2. 住民合意形成のプロセスとスケジュール
  3. 既存の地域計画(過疎計画・総合戦略等)との整合性
  4. 他の遊休施設との関係(複数施設の一体活用の可能性)

Step 3:財産処分手続き

国庫補助金との関係。国庫補助事業の完了から10年以上たった建物等を無償で処分するなら報告で済む

廃校施設を学校教育以外の用途で使うときに避けて通れないのが、国庫補助金に関する財産処分手続きである。

手続きが必要な理由

公立学校施設整備費補助金等を受けて取得した財産を、補助金等の交付の目的に反して使う、譲渡する、貸し付ける、取り壊すなどの財産処分をするには、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(適正化法)第22条により、文部科学大臣の承認が要る。適正化法では、法令に違反したときは交付の決定を取り消すことができ(第17条)、取り消したときは返還を命じる(第18条)。

報告で済むもの

通知は、次の財産処分を、報告書を出せば承認があったものとみなす事項としている(学校施設に不足を生じる場合を除く)。この事項に当たる処分は、国庫納付金も要らない。

  1. 国庫補助事業の完了後10年以上たった建物等の、無償による処分
  2. 通知の別表1に並ぶ処分。たとえば、公共用・公用の施設への転用で、営利を目的とせず、統合で廃校になった学校の建物でその統合に国庫補助を受けたもの
  3. 国庫補助事業の完了後10年未満の建物等の無償による処分で、合併市町村基本計画に基づくもの

数えるのは建築年ではなく、国庫補助事業の完了年である。

有償で貸す・売るとき

国庫補助事業の完了後10年以上たった建物等を有償で処分するときは、国庫に納めることになる補助金相当額以上を、その自治体の学校の施設整備に充てる基金に積み立てれば、国庫納付金は要らない。それ以外の承認は、原則として、処分する部分の残存価額に対する補助金相当額を国庫に納めることが条件になる。期間を限った貸与では、その期間の残存価額の減少額に対する補助金相当額である。

手続きが要らないもの、みなされるもの

廃校施設のように学校教育に使っていない補助財産を、手を加えずに一時的に、公益に資する用途に転用・貸与するときは、財産処分に当たらず手続きは要らない。地方公共団体が地域再生法の地域再生計画の認定を申請し、内閣総理大臣の認定を受けたものは、国庫補助事業の完了後10年を経ていなくても、文部科学大臣の承認を受けたものとみなされる。

現行の通知は令和8年3月31日付け7文科施第1190号で、令和7年3月28日付けの通知に代わるものである。手続きの流れは文科省の財産処分手続ハンドブックに示されている。対象施設の建築年度と補助金の受給履歴は、自治体の担当窓口に照会する。


Step 4:用途変更・建物調査

建築基準法の200㎡、石綿の事前調査、耐震診断の3点

財産処分手続きの見通しが立ったら、建物そのものの調査に入る。改修費の見通しはこの段階で決まるので、見落としは後の大きな損失になる。

建築基準法上の用途変更

建築基準法では、建物の用途を変えて別表第一(い)欄の特殊建築物(福祉施設・宿泊施設など)にし、その用途に使う部分の床面積の合計が200㎡を超えるときは、確認の手続きが要る(第87条第1項、第6条第1項第1号)。政令で指定する類似の用途どうしの変更は除かれる。200㎡を超えるかは、校舎全体ではなく、新しい用途に使う部分の面積で見る。

建設物価調査会の記事は、消防法では学校は特定の者だけが使うので規制が少ないが、不特定多数の者が利用する施設に変える場合は避難誘導灯の増設や排煙窓の設置等の義務が生じ、都市計画法、建築基準法、消防法など様々な法解釈が必要になると書いている。学校は用途地域では住居専用地域に位置付けられることが多く、住宅以外の施設を置くには規制が厳しいとも書き、北海道夕張市は用途地域を第1種中高層住居専用地域から第2種住居地域に変えた。

改修費は、施設の状態と規模で大きく変わる。文部科学省の事例集では、改修費は岩手県西和賀町の小規模多機能ホーム(施設の規模489.78㎡)が総額約4,150万円、新潟県長岡市の障害者就労支援施設(2,973.68㎡)が総額約2億3,500万円、三重県四日市市の子育て支援等複合施設(約6,315㎡)が総額約10億円である。

石綿(アスベスト)の事前調査

石綿(アスベスト)は天井・床材・断熱材などの建材に使われていることがあり、改修や解体で飛散すると健康被害につながる。石綿障害予防規則の改正で、建築物の解体・改修・リフォームなどの工事では、工事対象となる全ての材料について、石綿が含まれているかを設計図書等の文書と目視で調べ、その記録を3年間保存する(令和3年4月から)。建築物の事前調査は、厚生労働大臣が定める講習を修了した者等が行う(令和5年10月から)。一定規模以上の工事は、事前調査の結果等を電子システムで届け出る(令和4年4月から)。事前調査は工事の元請事業者が行う。結果の報告が要るのは、建築物では床面積の合計80㎡以上の解体工事か、請負金額100万円以上の改修工事である。

石綿が見つかれば、除去の費用と工期が加わる。改修費の見積もりは、事前調査の結果が出てから固める。

耐震診断

国土交通省は、昭和56年以前に建築された建物は、耐震基準が強化される前のいわゆる「旧耐震基準」で建てられ耐震性が不十分なものが多いとして、まず耐震診断をし、耐震性が不十分なら耐震改修や建替えを検討するよう呼びかけている。耐震診断が法律で義務づけられているのは、旧耐震基準で新築した大規模な建築物などで、小学校・中学校は階数2以上かつ床面積の合計3,000㎡以上が対象である。この大規模建築物の報告期限は平成27年末だった。住宅や小規模建築物等は、耐震診断と必要に応じた耐震改修の努力義務である。現行の耐震基準は昭和56年6月に導入された。

廃校の建物で耐震診断をしたことがあるか、結果はどうだったかを、自治体に聞く。岩手県西和賀町の例は、活用する前から建物の耐震基準をクリアしていて補助金も使えたので、借入金だけで開業経費を賄えたと事例集にある。

改修か建替えか

北海道夕張市の旧のぞみ小学校(1986年竣工、2011年閉校)を養護老人ホーム「夕張紅葉園」にした例では、調査の結果、構造躯体・外壁・屋根など主要部分は十分使える状態で、軽微な改修で済んだ。旧校舎から転用した部分(延べ面積2,145.20㎡、増築部分を除く)の最終的な契約金額は1億5,853万円、㎡単価は73,900円で、記事は新築工事で建てた場合の平均的な費用の1/3程度で済んだと書いている。

建物の状態が悪ければ、改修と建替えのどちらが安いかは変わる。建築士と一緒に、撤去して新築する場合と比べてから決める。

事前相談

用途変更の確認は、建築主事を置く自治体や指定確認検査機関に早めに相談する。建築士と一緒に、どの部分にどんな改修が要るかを先に洗い出しておく。


Step 5:サウンディング

公募の前に民間の意見を聞く対話。参加実績の扱いは実施要領で確かめる

は、自治体が公募の前に民間事業者と対話し、事業の実現可能性や参入の意向を確かめる手法である。国土交通省の手引きは、担当課が実施要領を作って地方公共団体のホームページ等で公表し、対話で得られた意見等をもとに結果の概要を作ってホームページ等で公表する流れを示している。

参加実績の扱い

手引きは、民間事業者にとってのインセンティブとして、事業の検討段階で情報提供を得られることや事業化の条件に意見が採用され得ることなどの間接的な効果と、優秀な提案をした事業者が公募時に加点されることなどの直接的な効果を挙げている。実施要領のひな形には、インセンティブを付与しない場合の書き方として「サウンディングへの参加実績は、事業者公募等における評価の対象とはなりません。」が、付与する場合は参加実績や提案内容に評価項目を設けて加点する例が載っている。どちらの扱いかは、その自治体の実施要領で確かめる。

事業者が準備しておくこと

サウンディングに臨む前に、次の情報をそろえておく。

  1. 想定する活用用途と事業計画の概要
  2. 必要な改修の範囲と概算費用
  3. 自社の事業実績(特に類似施設の運営経験)
  4. 地域との関係のつくり方

実施要領は自治体のホームページ等で公表されるので、対象にしたい地域の自治体のページを定期的に見る。


Step 6:プロポーザルへの参加

提案の内容で選ぶ方式の例と、提案書の前に確かめる5つのこと

自治体が廃校の活用事業者を公募するとき、価格だけで決める入札でなく、提案の内容で選ぶプロポーザル方式を使うことがある。提案内容・事業計画・地域への貢献などを合わせて評価するので、大規模事業者でなくても参入できる余地がある。

簡易評価型プロポーザル

新潟県長岡市は、旧島田小学校を福祉関係事業に活用する方針を決めたあと、事業者選定のための簡易評価型プロポーザルを実施し、社会福祉法人長岡三古老人福祉会を事業者に決めた。どの項目をどう評価するかは、公募ごとの募集要項で確かめる。

提案書の前に確かめる5つのこと

提案書を書く前に、次の5つを自分で確かめておく。

  1. 事業計画の実現可能性(収支シミュレーション、スタッフ体制、開業スケジュール)
  2. 地域課題への貢献(雇用、福祉サービスの提供、地域への開放)
  3. 住民との合意形成(説明会の計画、NIMBY問題への対応方針)
  4. 財務の安定性(法人の経営実績、資金調達計画)
  5. 施設への投資(改修計画の具体性、維持管理の体制)

住民との合意形成は、提案の段階で急にはつくれない。Step 2の段階から地域との関係をつくっておく。

公募の案内は自治体の公式サイトに出る。みんなの廃校プロジェクトの一覧では、施設ごとの「募集内容」の欄も見る。


Step 7:事業者選定から開業まで

契約形態の選択肢と指定管理者制度の指定期間

プロポーザル審査を経て事業者が選定された後、自治体との契約締結と開業準備が始まる。

契約形態の選択肢

契約形態は施設の状況と自治体の方針によって異なる。

形態概要メリットデメリット
無償貸与建物を無償で借りる初期費用最小化契約期間が短い場合あり
有償賃貸賃料を払って借りる長期安定契約が組みやすいランニングコスト発生
有償譲渡(売却)施設を購入する長期投資回収が可能初期費用が大きい
無償譲渡施設を無償で取得コスト最小自治体の判断による

有償で貸す・売るときの国庫納付金の扱いは、Step 3のとおりである。

岩手県西和賀町の「小規模多機能ホーム雪つばきの里」(旧越中畑小学校)では、土地は有償貸与、校舎は無償貸与である。新潟県長岡市の「和島トゥー・ル・モンド」(旧島田小学校)では、土地は有償譲渡、建物は無償譲渡である。

指定管理者制度の留意点

社会体育施設・公民館機能を残す施設では、指定管理者制度を使う場合がある。指定期間は5年が77.1%で最も多い。改修に投資するなら、回収にかかる年数と指定期間を比べ、より長い契約期間や、投資を守る条項を先に協議する。

開業までのタイムライン

事業者選定から開業までは、この記事の目安で6〜18か月である。夕張市の例では、工期は9か月だった。設計・施工・行政手続き・補助金の申請が並行して進むので、開業日から逆算して日程を組む。年度をまたぐ補助金の申請の時期には注意する。


補助金制度:省庁ごとの主な制度

文部科学省の国庫補助制度の一覧(令和8年4月現在)と、事例集にある補助金の使い方

補助制度は、転用先と、どの団体が申請するかで使えるものが変わる。1つの制度で改修費の全額が賄えるとは限らないので、組み合わせを先に考える。各制度の補助の割合と組み合わせ方は「廃校活用で使える補助金6省庁分まとめ」に書いた。

文部科学省は、廃校施設の活用に使える主な国庫補助制度を、対象となる転用施設ごとに一覧にしている。令和8年4月現在の一覧は次のとおりである。

対象となる転用施設等事業名所管官庁
地域スポーツ施設スポーツ振興くじ助成(地域スポーツ施設整備助成)スポーツ庁
国の重要文化財に指定、または国の登録有形文化財に登録された建造物重要文化財(建造物)修理、防災、公開活用事業ほか文化庁
埋蔵文化財の公開、整理・収蔵等を行うための設備地域の特色ある埋蔵文化財活用事業文化庁
児童福祉施設等(保育所を除く)次世代育成支援対策施設整備交付金こども家庭庁
保育所等、小規模保育事業所等就学前教育・保育施設整備交付金、保育対策総合支援事業費補助金こども家庭庁
私立認定こども園就学前教育・保育施設整備交付金こども家庭庁
放課後児童クラブ放課後子ども環境整備事業こども家庭庁
放課後のこどもの居場所保育対策総合支援事業費補助金(放課後居場所緊急対策事業)こども家庭庁
障害者施設等社会福祉施設等施設整備費補助金厚生労働省
地域間交流・地域振興を図るための生産加工施設、農林漁業等体験施設、地域芸能・文化体験施設等(過疎地域の廃校舎等の遊休施設を改修する費用)過疎地域持続的発展支援交付金(過疎地域遊休施設再整備事業)総務省
農山漁村における所得の向上と雇用の創出を図る取組に必要な施設等農山漁村振興交付金(農泊推進型、定住促進・交流対策型)農林水産省
交流施設等の公共施設木造公共建築物等の整備(林業・木材産業の対策のうち)林野庁
立地適正化計画に位置付けられた誘導施設等都市構造再編集中支援事業国土交通省
まちづくりに必要な地域交流センターや観光交流センター等の施設社会資本整備総合交付金(都市再生整備計画事業)国土交通省
空家等対策計画に基づき市町村が実施する空き家の活用空き家対策総合支援事業、社会資本整備総合交付金(空き家再生等推進事業)国土交通省
地方公共団体の地域独自の取組地域未来交付金(地域未来推進型)内閣府

表に文部科学省の本省の制度は無い。本省の手続きで廃校活用に関わるのは、Step 3の財産処分である。制度の名前と中身は年度で変わるので、使う年度の一覧と要綱で確かめる。

補助金活用の実際

事例集では、岩手県西和賀町の例は改修費が総額約4,150万円で、そのうち補助金が約3,300万円、事業者負担が約850万円だった。使った補助金は、厚生労働省の介護サービス施設等整備臨時特例事業費補助金と施設開設準備経費助成特別対策事業費補助金である。新潟県長岡市の例は総額約2億3,500万円で、そのうち社会福祉施設等施設整備費補助金(厚生労働省)が約5,500万円、事業者負担が約1.8億円だった。

西和賀町の活用開始は2012年度で、当時の補助金がいまもあるとは限らない。事業計画をつくる段階で、使う年度の要綱と公募の時期を確かめ、計画に組み込む。


着手前に避けたい3つの失敗

住民合意なしの進行・耐震未確認・石綿の事前調査の見落とし

着手前に確かめておけば防げる失敗を3つ挙げる。

失敗1:住民合意なしの進行

事業者と自治体の間で方針が合意されていても、地域住民の理解と納得が得られなければ事業は進まない。特に障害者福祉施設への転用では、NIMBY(Not In My Back Yard)問題、つまり「施設の必要性は認めるが、自分の地域には来てほしくない」という反応が出ることがある。

岩手県西和賀町の例では、旧学区4行政区の代表者等が10回以上検討し、閉校前に地域住民の代表らが運営主体のNPO法人を立ち上げた。新しく介護事業を始めることには、同業者から介護保険料がさらに上がることを心配する反対の声もあったが、今後の高齢者数の推移などの説明会を数多く開いて理解を得た。

対策: プロポーザル参加前の段階から、住民説明会・ワークショップ・アンケートなどの合意形成プロセスを設計する。自治体に任せきりにせず、事業者も住民との対話の場に出る。

失敗2:耐震未確認での事業着手

旧耐震基準で建てた校舎の耐震診断をしないまま改修設計に入り、後から耐震改修が要ると分かって費用が増える失敗である。耐震改修の費用は、事業の収支を大きく動かす。

対策: 旧耐震基準で建てた建物は、改修設計に入る前に耐震診断の結果があるかを自治体に確かめ、無ければ先に診断する。診断結果をもとに改修費の概算を出してから、収支シミュレーションを組む。

失敗3:石綿の事前調査の見落とし

石綿(アスベスト)の事前調査の結果を見ないまま改修費を固め、工事の途中で石綿が見つかって、工事の中断・費用の増加・工期の延長が起きる失敗である。事前調査は、工事の大きさにかかわらず、建築物の解体・改修工事で必要である(令和3年4月から)。

対策: 着工前に事前調査の結果を確かめ、それが出るまで改修費の見積もりは確定しないものとして、事業計画の初期に調査の期間と費用を見込む。


始め方

今日から踏み出せる3つのファーストステップ

廃校活用の手順を把握した上で、実際に動き始めるための3つのファーストステップを示す。

Step A:みんなの廃校プロジェクトの地域別PDFを開く 文科省のサイトで活用用途を募集している廃校施設の一覧を開き、対象エリアの施設を書き出す。自治体の担当部署に問い合わせ、条件・希望する用途・スケジュールを確かめる。

Step B:建築年と、石綿・耐震の状況を先に聞く 問い合わせのときに、建築年・過去の改修履歴・耐震診断の結果の有無を聞く。建築士に簡易な建物診断(フィジビリティスタディ)を頼み、改修費の概算をつかむ。旧耐震基準で建てた建物は耐震診断の結果を、改修する建物は石綿の事前調査にかかる期間を先に確かめる。

Step C:補助制度を自治体と先に相談する 想定する用途(福祉・教育・観光等)に応じて、使える補助制度を自治体の担当者や都道府県の窓口と確かめる。事業計画の段階で、補助金の要件と公募の時期を計画に組み込んでおく。


廃校活用の手順は複雑に見えるが、本質は「自治体と事業者と住民の目的が一致するか」という点に集約される。自治体が抱える「維持管理費と解体費の回避・地域福祉の確保・雇用創出」というニーズ、住民が持つ「地域のシンボルとしての学校を残したい」という思い、事業者の事業構想。この三者を丁寧にすり合わせることが成功の鍵だ。

手順の整理は事業設計の入口に過ぎない。建物の状態、地域住民の意向、補助金の適用可否。これらを一つひとつ検証する作業は、他社の事例を読むだけでは完結しない。

基礎知識

スモールコンセッションとは?自治体担当者のための完全ガイド

廃校活用を官民連携の文脈に位置づける。対象施設・制度・3つの壁を体系的に理解する入門ガイド。

比較・選定

官民連携7手法を徹底比較

廃校活用に適した手法(スモールコンセッション・賃貸借・指定管理等)を比較表と判断フローで選ぶ。

一般社団法人 社会構想デザイン機構(ISVD)では、廃校活用の前提条件の整理から活用構想の設計まで、実務的な相談を受け付けている。

この記事で使った統計の出典

  1. 1文部科学省 令和6年度「廃校施設活用状況実態調査」(令和6年5月1日現在)(2025) 出典を開く
  2. 2文部科学省「みんなの廃校プロジェクト」(2024年) 出典を開く
  3. 3文部科学省 令和6年度「廃校施設活用状況実態調査」(令和6年5月1日現在)廃校施設の活用状況(2025) 出典を開く
  4. 4文部科学省 令和6年度「廃校施設活用状況実態調査」(令和6年5月1日現在)主な活用用途(2025) 出典を開く
  5. 5文部科学省 令和6年度「廃校施設活用状況実態調査」(令和6年5月1日現在)活用の用途が決まっていない理由(2025) 出典を開く
  6. 6文部科学省 令和6年度「廃校施設活用状況実態調査」(令和6年5月1日現在)地域住民からの意向聴取の状況(2025) 出典を開く
  7. 7文部科学省「廃校活用事例集 未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」(令和5年3月)(2023) 出典を開く
  8. 8文部科学省「公立学校施設整備費補助金等に係る財産処分の承認等について(通知)」(令和8年3月31日付け7文科施第1190号)別表1(2026) 出典を開く
  9. 9総務省「公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果」(令和6年4月1日現在)(2024) 出典を開く
  10. 10文部科学省「「みんなの廃校」プロジェクト 現在活用用途を募集している廃校施設の一覧」(2026) 出典を開く
  11. 11文部科学省「現在活用用途を募集している廃校施設の一覧(目次)」(令和8年9月1日版)(2026) 出典を開く
  12. 12文部科学省「現在活用用途を募集している廃校施設の一覧」四国(香川・愛媛・高知)(2026) 出典を開く
  13. 13文部科学省「令和7年度 廃校活用推進イベント(東京会場)」(2025) 出典を開く
  14. 14文部科学省 令和6年度「廃校施設活用状況実態調査」(令和6年5月1日現在)公立学校の都道府県別廃校発生数(2025) 出典を開く
  15. 15文部科学省「公立学校施設整備費補助金等に係る財産処分の承認等について(通知)」(令和8年3月31日付け7文科施第1190号)(2026) 出典を開く
  16. 16一般財団法人建設物価調査会「地域に愛された学校の活用を行政との協力によって実現」(建設物価2018年10月号)(2018) 出典を開く
  17. 17厚生労働省「改正石綿則のポイント」(石綿総合情報ポータルサイト)(2026) 出典を開く
  18. 18都道府県労働局・労働基準監督署「石綿(アスベスト)の事前調査は施工業者(元請事業者)が必ず行う必要があります!」(R6.8)(2024) 出典を開く
  19. 19国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」(2026) 出典を開く
  20. 20国土交通省「耐震診断義務付け建築物に係る耐震化の促進について」(2018) 出典を開く
  21. 21国土交通省「地方公共団体のサウンディング型市場調査の手引き」(平成30年6月作成、令和元年10月更新)(2019) 出典を開く
  22. 22文部科学省「廃校施設の活用に当たり利用可能な主な国庫補助制度(令和8年4月現在)」(2026) 出典を開く

参考文献

~未来につなごう~「みんなの廃校」プロジェクト/文部科学省 (2026)

「みんなの廃校」プロジェクト 現在活用用途を募集している廃校施設の一覧/文部科学省 (2026)

廃校施設活用状況実態調査(令和6年度)/文部科学省 (2025)

公立学校施設整備費補助金等に係る財産処分の承認等について(通知)(令和8年3月31日付け7文科施第1190号)/文部科学省 (2026)

財産処分手続ハンドブック(令和8年3月)/文部科学省 施設助成課 (2026)

廃校活用事例集(令和5年3月版)/文部科学省 (2023)

廃校施設の活用に当たり利用可能な主な国庫補助制度(令和8年4月現在)/文部科学省 (2026)

公立学校施設整備費補助金等に係る財産処分手続の概要について/文部科学省 (2026)

改正石綿則のポイント(石綿総合情報ポータルサイト)/厚生労働省 (2026)

耐震診断義務付け建築物に係る耐震化の促進について/国土交通省 (2018)

地方公共団体のサウンディング型市場調査の手引き(平成30年6月作成、令和元年10月更新)/国土交通省 (2019)

公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果(令和6年4月1日現在)/総務省 (2024)

用途別

フリースクール×廃校

教育機会確保の新モデル

公募

関東で活用用途を募集している廃校55件:都県ごとの数、募集の形の違い、金額を書いた4件

茨城21、栃木12、埼玉12、千葉6、群馬3、東京1、神奈川0。募集の形と金額を書いた募集の一覧

制度

文科省「みんなの廃校プロジェクト」の活用法

登録から活用先マッチングまで

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訂正履歴

  1. :活用用途を募集している廃校施設の一覧の目次(令和8年9月1日版)に並ぶ施設を454件と書いていましたが、文部科学省が同じ版の目次を差し替えていて、9月14日に取得した目次では456件でした。

    訂正前
    行を数えると454件である(この記事で数えた数)
    訂正後
    9月14日に取得した目次の行を数えると456件である(この記事で数えた数)

    誤った理由 9月13日に取得した目次と9月14日に取得した目次は、どちらも「令和8年9月1日版」と書いてありますが、行の数が違いました。9月14日のものには和歌山県紀の川市の上名手小学校と麻生津小学校の2行が加わっていて、454行から456行になっています。一覧は毎月更新されるので、件数には取得した日を添えました。

  2. :年間約450校のペースは「当面減速しない」、廃校は「統廃合の加速により増加の一途」と書いていましたが、文部科学省の実態調査の年度別の数と合っていませんでした。

    訂正前
    少子化と学校統廃合の加速により、全国の廃校数は増加の一途をたどっている/毎年約450校のペースで新たな廃校が生まれており、少子化が続く限りこのペースは当面減速しない
    訂正後
    少子化と学校統廃合により、全国の廃校は累計で増え続けている/同省は毎年約450校のペースと書いている。同省の実態調査の年度別では2016年度以降は毎年279〜405校で450校に達した年はなく、2023年度は298校

    誤った理由 約450校は、文部科学省「~未来につなごう~『みんなの廃校』プロジェクト」のページにある「全国では毎年約450校程度の廃校施設が生じています」という表現です。同省の「令和6年度 廃校施設活用状況実態調査」の資料1(公立学校の年度別廃校発生数)では、2016年度以降の各年度が279〜405校で、2023年度は298校です。2015年度以前は428〜597校でした。20年度分を足すと8,850校になり、調査の累計と一致します。年間の数はすでに減っているので、「当面減速しない」と「加速」を削除し、増え続けているのは累計であることがわかる書き方にしました。

  3. :石綿(アスベスト)の事前調査と耐震診断が法律でどこまで義務づけられているかを、資料と違う範囲で書いていました。

    訂正前
    1975年以前の建物は石綿含有建材調査が法的義務(2022年4月以降)/2022年4月以降の大規模改修・解体では事前調査が法的に義務化/1981年以前の旧耐震基準の建物は耐震診断が必須
    訂正後
    建築物の解体・改修工事では、工事の大きさにかかわらず、工事対象の全ての材料について事前調査が必要(令和3年4月から)。令和5年10月からは講習を修了した者等が行い、一定規模以上の工事は結果を電子システムで届け出る(令和4年4月から)/耐震診断が義務なのは、旧耐震基準で新築した大規模な建築物など(小学校・中学校は階数2以上かつ床面積の合計3,000㎡以上)。住宅や小規模建築物等は努力義務

    誤った理由 厚生労働省の「改正石綿則のポイント」では、事前調査の対象は建築物の解体・改修・リフォームなどの工事対象となる全ての材料で、建てた年での区切りはありません。リーフレット(R6.8)も、事前調査は全ての解体・改修工事で必要とし、報告が要るのは床面積の合計80㎡以上の解体工事か請負金額100万円以上の改修工事としていました。耐震診断は、国土交通省の資料「耐震診断義務付け建築物に係る耐震化の促進について」で、義務づけの対象が旧耐震基準で新築した大規模な建築物などに限られ、住宅や小規模建築物等は努力義務とされています。「1975年以前」「大規模改修・解体では」「必須」は削除しました。

  4. :財産処分で報告だけで済む範囲を広く書き、国庫納付金はほとんど発生しないなど、資料に無いことを書いていました。

    訂正前
    公益的目的への転用は承認手続きではなく報告書の提出のみで完了/結果として、ほとんどのケースで国庫納付金が発生しない/多くの廃校は築30年以上/2010年の転用緩和/いまの要件は毎年度出し直される通知に書かれている
    訂正後
    報告で済むのは、国庫補助事業の完了から10年以上たった建物等の無償の処分、通知の別表1に並ぶ処分など。有償の処分は、補助金相当額以上を学校の施設整備の基金に積み立てれば国庫納付金が要らない/現行の通知は令和8年3月31日付け7文科施第1190号で、令和7年3月28日付けの通知に代わるもの

    誤った理由 文部科学省の通知「公立学校施設整備費補助金等に係る財産処分の承認等について」(令和8年3月31日付け7文科施第1190号)で、報告書の提出により承認があったものとみなされるのは、10年以上たった建物等の無償の処分、別表1の報告事項などでした。公共用・公用の施設への転用で報告事項に入るのは、営利を目的とせず、統合で廃校になった学校の建物でその統合に国庫補助を受けたものの転用などに限られます。「ほとんどのケースで国庫納付金が発生しない」「多くの廃校は築30年以上」「2010年の転用緩和」「毎年度出し直される」は、裏付けになる資料が見つからないので削除しました。

  5. :みんなの廃校プロジェクトの件数・イベント・掲載項目と、補助制度の名前・所管が、いまの資料と合っていませんでした。

    訂正前
    令和7年10月1日時点で全国418件が登録・公開中/マッチングイベントは廃校活用に関心のある事業者であれば参加可能/各施設に学校種別・廃校年度が記載/総務省の過疎地域等自立活性化推進交付金/農山漁村発イノベーション整備事業/厚生労働省の児童福祉施設等整備費補助で保育所・学童保育に補助/KAKA's FACTORYは社会福祉施設等施設整備費補助金を活用した事例
    訂正後
    令和8年9月1日版の目次に並ぶ施設は454件(この記事で数えた数)/廃校活用推進イベント(令和元〜4年度は廃校活用マッチングイベント)。ページに参加者の条件は書いていない/掲載項目は地域別PDFの1施設1ページにある項目/補助制度は文部科学省の「廃校施設の活用に当たり利用可能な主な国庫補助制度(令和8年4月現在)」の表/保育所等・放課後児童クラブの制度はこども家庭庁の所管/KAKA's FACTORYの記述は削除

    誤った理由 文部科学省の一覧のページは毎月更新で、いまは令和8年9月1日現在の情報に基づく版です。418件はいまのページでは確かめられないので、目次の行を数えた454件にしました。イベントのページに参加者の条件は書いてありません。補助制度は、同省の令和8年4月現在の一覧に合わせて、転用先・事業名・所管官庁を載せ直しました。この一覧で、保育所等や放課後児童クラブの制度の所管官庁はこども家庭庁でした。KAKA's FACTORYが社会福祉施設等施設整備費補助金を使ったことは、確かめられる資料が見つかりませんでした。

  6. :改修費・管理費・解体費・指定期間などに、資料と合わない数字や裏付けの無い数字を書いていました。あわせて、資料に無い評価の言い回しを削りました。

    訂正前
    改修費は新築比1/3〜1/2(㎡単価7〜10万円)/事例集の改修費は約4,150万円から約2億3,500万円まで幅がある/年間数百万円の管理費、数千万円から1億円超の解体費、数千万円〜数億円の耐震改修費、数百万〜数千万円の石綿除去費/指定期間は通常3〜5年/夕張市の改修費約1億5,853万円(出典の年2023)/企業等の施設・創業支援施設は用途別で最も伸びている/早期にサウンディングに参加する事業者ほど有利
    訂正後
    事例集の3例の改修費は総額約4,150万円、約2億3,500万円、約10億円/夕張市の1億5,853万円は、旧校舎から転用した部分(延べ面積2,145.20㎡、増築部分を除く)の最終的な契約金額(建設物価2018年10月号)/指定期間は5年が77.1%/企業等の施設・創業支援施設は1,207件で前回の1,020件から増えた。件数の増え方は学校(大学を除く)の3,948件から4,191件のほうが大きい/参加実績を評価の対象にするかは実施要領による

    誤った理由 文部科学省の事例集では、四日市市の例の改修費が総額約10億円で、約4,150万円から約2億3,500万円までという幅は成り立ちません。新築比1/3〜1/2、㎡単価7〜10万円、管理費・解体費・耐震改修費・石綿除去費の金額は、裏付けになる資料が見つかりませんでした。夕張市の金額は、建設物価調査会の記事で転用部分だけの契約金額とされ、記事は2018年10月号のものでした。指定期間は、総務省の調査(令和6年4月1日現在)で5年が77.1%、3年が10.9%、4年が3.2%でした。サウンディングは、国土交通省の手引きの実施要領のひな形に、参加実績を評価の対象としない書き方と、加点する例の2通りが載っています。「横展開の余地」「手つかずの領域」「受容感が最も高い」「文科省は学童保育への転用を明示的に推奨」「過疎地域に集中する傾向が明確」「交付申請の通過率を高める」「3点の未確認が失敗の主因」「独自の教育プログラムと付加価値型の料金設計で事業性を確保するケースが増えている」も、裏付けが無いので削除しました。

  7. :用途別の伸びを「前回比+18.3%」と割り算した数字で書いていました。調査に載っている件数に直しました。

    訂正前
    企業・創業支援用途の伸び率が最も高く(前回比+18.3%)/障害者福祉施設は177件で前回比+1件の横ばい
    訂正後
    企業等の施設・創業支援施設は1,207件で、前回調査の1,020件から増えている/障害者福祉施設は177件で、前回の176件からほぼ動いていない

    誤った理由 +18.3%は当サイトが1,207と1,020から計算した値で、調査には載っていません。出典をたどっても見つからない数字を置かない方針に沿って、調査の件数をそのまま書く形に変えました。10年ルールの起算点も、建築年ではなく国庫補助事業の完了年に直しています。手引きの版も令和8年3月のものに差し替えました。

  8. :用途分布の表の母数を「活用中5,661件」と書いていましたが、割合はその数から計算されたものではありませんでした。

    訂正前
    活用中5,661件の用途内訳は以下のとおりである。(学校4,191件40.5%ほか、その他は残余12.6%)
    訂正後
    校舎と屋内運動場を別に数えた複数回答、合計10,348件が母数。10項目すべての件数と割合を掲載

    誤った理由 4,191件を5,661で割ると74%になり、表の40.5%と合いません。実際の母数は10,348件です。1つの廃校が複数の用途を持てば、その分だけ件数が増えます。「その他 残余 12.6%」も、実体は体験交流施設等535件・庁舎等449件・備蓄倉庫・大学・住宅332件だったため、項目ごとに分けました。

  9. :住民意向聴取の49.6%を「自治体の割合」「未活用廃校のうち」と書いていましたが、どちらも誤りでした。

    訂正前
    未活用施設を抱える自治体の約50%が住民意向聴取を実施していない
    訂正後
    現存する廃校の校舎7,211件のうち、意向聴取を実施していないものが3,580件(49.6%)

    誤った理由 文部科学省「令和6年度 廃校施設活用状況実態調査」の「地域住民からの意向聴取の状況」は、校舎7,211件・屋内運動場7,144件を母数とする複数回答です。7,211は現存廃校7,612校にほぼ相当し、活用が決まったものも含みます。単位は校舎で、自治体ではありません。あわせて出典のURLを、入口ページから数字が載っている調査結果のPDFに差し替えました。

この記事の用語

サウンディング型市場調査
公有資産の活用にあたり、公募前に民間事業者の意見・アイデアを聞く対話型の市場調査。事業の実現可能性や条件設定の妥当性を事前に検証する目的で実施される。
指定管理者制度
地方自治法第244条の2に基づき、公の施設の管理を民間事業者やNPO等に委ねる制度。2003年の法改正で導入。総務省の調査(令和6年4月1日現在、79,332施設)では指定期間は5年が77.1%、3年が10.9%、10年以上は5.7%で、この期間の短さが長期投資を妨げる課題として挙げられる。

ご自身の案件で確認すること

  • 対象としたい廃校施設は、みんなの廃校プロジェクトの一覧に載っているか?
  • 建物は旧耐震基準で建てたものか(現行の耐震基準は1981年6月に導入)?耐震診断の結果はあるか?
  • 自治体が求める活用用途(福祉・教育・観光等)と自社の事業ミッションは整合しているか?
  • 住民合意形成のプロセスを、プロポーザル参加前に設計できているか?

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一般論から、個別の条件へ。

対象施設や公募条件に合わせて、調査・方針整理・対話・提案準備をご相談いただけます。初回は状況と対応範囲を確認し、個別業務は事前にお見積もりします。

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