文部科学省は、地方公共団体の希望に基づいて、活用方法や利用者を募集している未活用の廃校施設等の情報を集め、地方別のファイルにして公表している。一覧は毎月更新され、いま載っているのは令和8年9月1日現在の情報に基づく版である。同省は、現時点で募集を終了している場合や募集内容に変更が生じている場合もあるとして、詳細は直接、地方公共団体の施設担当窓口に問い合わせるよう書いている。
関東の廃校を探すときに最初に開くのはこの一覧である。この記事は、関東の2つのファイル(関東1の茨城・栃木、関東2の群馬・埼玉・千葉・東京)にページがある廃校を全部数え、都県ごとの数、募集の形、金額や条件を書いている募集を並べる。9月18日に取得して数えた。
関東の2つのファイルにページがある廃校
55件
令和8年9月1日現在の情報に基づく版を9月18日に取得して、この記事で数えた数
いちばん多い茨城県
21件
常陸太田市5、鉾田市4、稲敷市4、茨城町3、筑西市3、牛久市1、小美玉市1
神奈川県
0件
一覧の地方別ファイルに神奈川県の区分そのものが無い。東京都も足立区の1件だけ
都県ごとの件数
関東の2つのファイルにページがある55件の都県別・市区町村別の内訳と、目次に無いのにページがある1件
一覧は地方別に12のファイルに分かれていて、関東は2つある。関東1が茨城県と栃木県、関東2が群馬県、埼玉県、千葉県、東京都である。神奈川県はどのファイルにも区分が無い。
| 都県 | 件数 | 市区町村(件数) |
|---|---|---|
| 茨城県 | 21 | 常陸太田市5、鉾田市4、稲敷市4、東茨城郡茨城町3、筑西市3、牛久市1、小美玉市1 |
| 栃木県 | 12 | 佐野市4、矢板市2、日光市2、真岡市1、大田原市1、栃木市1、那須塩原市1 |
| 埼玉県 | 12 | 幸手市4、嵐山町3、日高市2、飯能市2、神川町1 |
| 千葉県 | 6 | 香取市4、鴨川市1、山武市1 |
| 群馬県 | 3 | 安中市3 |
| 東京都 | 1 | 足立区1 |
| 神奈川県 | 0 | 一覧に区分が無い |
| 計 | 55 | 24市区町村 |
数えたのは、地方別のファイルに1施設1ページで載っているページである(9月18日に取得して、この記事で数えた数)。目次には無いのにページがあるものが1件ある。栃木県日光市の湯西川小中学校で、上の12件に入れている。
関東で募集が出ているのは24市区町村である。同じ自治体が複数の廃校をまとめて出している形が多く、常陸太田市の5件、佐野市の4件、幸手市の4件、香取市の4件、稲敷市の4件、鉾田市の4件で、この6市だけで25件を占める。
募集の形は3つに分かれる
譲渡先募集・事業提案の募集・利活用のアイデアの違いと、公募が始まっているかどうか
一覧の「募集内容」の欄には、募集の形が書かれている。関東の55件を読むと、譲渡先を探しているもの、事業提案を募っているもの、まだアイデアを聞いている段階のものの3つに分かれる。どの段階かで、こちらが出す書類も、決まるまでの時間も変わる。
| 募集の形 | 関東での例 | 何を出すか |
|---|---|---|
| 譲渡先募集 | 常陸太田市の5件、那須塩原市の旧大貫小学校(事業提案型の公募) | 買う前提の事業提案 |
| 事業提案の募集・公募型プロポーザル | 茨城町の3件、安中市の3件、飯能市の2件、日高市の2件、佐野市の4件、足立区 | 事業計画と改修計画 |
| 利活用のアイデア・サウンディング | 香取市の4件、嵐山町の3件、矢板市の2件、稲敷市の4件、神川町、鴨川市 | 条件が決まる前の意見 |
茨城県鉾田市の旭東小学校ほか3校は、募集内容を「事業提案型の公募」とし、貸与・譲渡条件等の欄に、地域の活性化及び振興に貢献できるような事業であること、土地建物を一体的に利活用すること、現状有姿での譲渡とすること、募集条件等はホームページに掲載予定と書いている。茨城県稲敷市の浮島小学校ほか3校は「利活用アイデア募集」で、条件は地域の理解が得られること、周辺環境との調和を考慮し地域貢献できる活用、事業の継続性が高いことである。
同じ「事業提案」でも、公募が始まっているかどうかは違う。埼玉県幸手市の権現堂川小学校と八代小学校は「事業提案の募集※令和9年度以降に公募開始予定」、埼玉県日高市の旧武蔵台中学校と旧高根中学校は「令和7年7月1日より公募型プロポーザル方式による活用事業者の募集開始」と書いている。茨城県筑西市の3校は「R7年度の事業提案型一般公募は受付を終了しました。今後の募集については未定です」、茨城県牛久市のおくの義務教育学校は「利活用方針策定中」と書いている。一覧に載っていることと、いま応募できることは別である。
金額と条件を書いている募集
金額を書いた4件、0円や無償から応募できる5件、期間を書いた2件の字面
55件のうち、金額を書いているのは4件である(この記事で数えた数)。
| 自治体と学校 | 書いてある金額 |
|---|---|
| 茨城県小美玉市の下吉影小学校 | 建物の売却予定価格246,015,000円(消費税含)、土地の売却予定価格112,950,000円 |
| 栃木県那須塩原市の旧大貫小学校等 | 売却予定価格5,660,000円以上 |
| 栃木県日光市の旧日光中学校 | 年額の賃料は約450万円を想定 |
| 東京都足立区の旧北鹿浜小学校 | 令和6年度公募時の土地貸料の最低提案限度額は1か月1,667,000円 |
東京都足立区の旧北鹿浜小学校は、募集内容を「事業提案の募集 土地:貸付 建物:譲渡」とし、条件に、用途は文教又は研究施設(区の魅力創出、地域貢献に資するもの)、現状有姿での引き渡し、令和6年度公募時の土地貸付料の最低提案限度額は1か月1,667,000円、建物の無償譲渡は議決された場合と書いている。備考には、耐震補強実施済み、建築確認済証及び検査済証の原本なし、石綿調査は令和2年と令和4年に実施済みとある。茨城県小美玉市の下吉影小学校は、建物の売却予定価格246,015,000円(消費税含)と土地の売却予定価格112,950,000円を書いたうえで、「公益性」がより高い提案であると認められる場合は「無償譲渡」とすることがあるとしている。栃木県那須塩原市の旧大貫小学校等は売却予定価格5,660,000円以上、現況有姿での一括取引、施設改修及び光熱水費等の費用は全て提案者の負担、本市の新たな財政負担を伴わないものと書いている。栃木県日光市の旧日光中学校は、交流人口増を見込め地域の活性化につながる提案を期待したいとして、年額の賃料は約450万円を想定と書いている。
同じ金額でも意味は違う。小美玉市と那須塩原市は売るときの予定価格、日光市は貸すときの年額、足立区は前回の公募のときの下限である。売却予定価格を書いていても無償になる余地を残している募集もある(関東以外も含めた金額の一覧は廃校の賃料と売却価格の記事に載せた)。
0円や無償から応募できると書いている募集も5件ある。茨城県筑西市の旧大村小学校と旧村田小学校は「譲渡・貸与ともに0円から応募OK」、旧長讃小学校は「0円から応募OK(譲渡のみ)」と備考に書いている。3校とも、グループでの応募OK、解体・増改築OK、現状有姿での引渡しとしている。
期間を書いているものもある。栃木県栃木市の皆川中学校は「貸与先募集(最大10年)」、栃木県真岡市の山前南小学校は「令和5年8月7日から利活用事業者募集を開始(貸与)」と書いている。貸すか売るかは、改修にいくら投じられるかを左右する。
一覧で分からないこと
様式の自由記述の欄、いま応募できるか、締切と選定方法、一覧に載っていない廃校
一覧は全国統一の様式で、作成要領は、貸与・譲渡条件等の欄を募集に当たっての条件や希望する用途などを自由に書く欄としている。自由記述なので、書いてある量は自治体によって大きく違う。条件を4行書いている募集もあれば、募集の形だけの募集もある。
一覧から分からないのは次の3つである。
- いま応募できるか。同省は、現時点で募集を終了している場合や募集内容に変更が生じている場合もあるとしている。筑西市のように受付終了と書いてある例もあるが、書かれていないこともある
- 公募の締切と選定の方法。一覧には書かれていない。募集要項は自治体のページにある(一覧には問い合わせ先とURLが載っている)
- 一覧に載っていない廃校。載せるかどうかは自治体の希望による。用途が決まっていない廃校は全国で1,503校あるが、一覧のページは全国で455件である
応募の前に自治体に確かめること
受付の状況、譲渡か貸与か、金額の根拠、耐震と石綿、議決の要否の5つ
| 聞くこと | なぜ聞くか |
|---|---|
| いま応募を受け付けているか、次の公募はいつか | 一覧は毎月の更新で、募集終了や内容の変更が反映されていないことがある |
| 譲渡か貸与か、両方の選択肢があるか | 足立区のように土地は貸付、建物は譲渡と分ける例がある。改修費の回収年数が変わる |
| 金額の根拠と、下限か目安か | 足立区の1か月1,667,000円は令和6年度公募時の最低提案限度額で、次の公募で同じとは限らない |
| 耐震と石綿の調査結果があるか | 一覧の備考に書いている自治体(足立区、茨城町、稲敷市など)とそうでない自治体がある |
| 議会の議決が要る条件か | 足立区は建物の無償譲渡を「議決された場合」としている |
廃校の賃料と売却価格:募集中の廃校で自治体が書いた金額、無償や減額の条件、使用料と貸付料を決める条文
一覧の455件のうち金額を書いた16件と、無償や減額を書いた32件、使用料と貸付料を決める条文
文科省「みんなの廃校プロジェクト」の活用法
登録から活用先マッチングまで
廃校活用プロポーザルの書き方
審査で求められる提案書の構成・収支計画・地域連携計画の書き方を具体的に解説。
次にやること
一覧を参考に施設を探す際は、自治体に最新の募集状況を確認する。
| 順 | 確認・検討すること | 担当・相談先 |
|---|---|---|
| 1 | 一覧から、用途や募集形式が検討に合う施設を選ぶ | 関東1・関東2の一覧 |
| 2 | 自治体の担当課に、現在の受付状況と次の公募予定を確認する | 自治体の担当課 |
| 3 | 募集要項を取り寄せ、応募期限、参加条件、選定方法を確認する | 自治体の公式サイト |
| 4 | 現地を確認し、耐震・石綿の調査結果と図面の有無を担当課に聞く | 現地、担当課 |
| 5 | アイデアを募る段階では、サウンディングで希望する用途と必要な条件を伝える | サウンディング |
一覧の掲載内容と実際の受付状況が異なる場合がある。提案の準備を始める前に、募集の継続状況と応募条件を担当課に確認する。