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ARTICLE · 廃校活用

廃校の福祉施設転用と住民説明会:NIMBY問題への対処法【2026年版】

廃校を福祉施設に転用するときに出る住民の反対と、合意の進め方。障害者関連施設の認可等で周辺住民の同意を求めないとした衆参の附帯決議、文部科学省の事例集にある西和賀町・三春町・長岡市・うるま市の進め方、説明会の手法と5つの段階を整理した。

この記事の要点

  • 障害者差別解消法の法案に対する衆議院と参議院の附帯決議は、グループホームやケアホーム等を含む障害者関連施設の認可等に際して、周辺住民の同意を求めないことを徹底するよう求めている。説明会は同意を取る場にせず、理解を得る場として組む
  • 現存する廃校の校舎7,211件のうち、地域住民からの意向聴取を実施していないものが3,580件(49.6%)ある(文部科学省の令和6年度調査。活用が決まった校舎も含む)
  • 文部科学省の事例集では、西和賀町は旧学区4行政区の代表者等が10回以上検討してNPO法人をつくり、三春町は地域住民2名を含む候補者選定委員会で応募者に直接ヒアリングした。うるま市では、住民の理解を得られず断念した提案も多かった
対象読者・読む前に確認したいこと

こんな方に

  • 廃校を福祉施設に転用しようとしている社会福祉法人・NPO・民間事業者
  • 廃校活用に際して住民説明会を企画している自治体担当者
  • 地域の合意形成プロセスに関心のある研究者・コンサルタント

前提となる知識

  • 廃校活用の基本的な流れ(プロポーザルから運営開始まで)
この記事の内容

NIMBYとは

Not In My Backyardの意味と、廃校の福祉転用で出やすい懸念の4つの型(本記事の整理)

住民意向聴取を実施していない廃校の校舎

49.6%

現存する廃校の校舎7,211件のうち3,580件(文科省の令和6年度調査)

西和賀町で旧学区4行政区の代表者等が重ねた検討

10回以上

その結果、廃校を使って地域福祉に取り組むことが決まった(文科省の事例集、事例3)

三春町の候補者選定委員会に入った地域住民

2名

応募者に直接ヒアリングし、住民と事業者の不安の解消が図られた(文科省の事例集、事例7)

NIMBY(ニンビー)とは、"Not In My Backyard"(私の裏庭ではごめんだ)の頭文字をとった言葉である。施設が社会に必要なことは認めながら、自分の住む地域の近くにできることには反対する住民の心理や行動を指す。

廃校の福祉施設転用では、たとえば「地域に障害者施設が必要なことはわかるが、うちの近くはやめてほしい」「老人ホームができると騒がしくなる」という形で出る。

廃校転用で出やすい懸念の4つの型

本記事では、廃校を福祉施設に転用するときに出やすい懸念を、次の4つの型に分けて考える。

型懸念の中身説明会で伝えること
施設の種類への偏見障害や精神疾患に対する誤った認識からくる不安利用者の像、支援の体制
生活環境への不安送迎車の出入り、音、人の出入り送迎の台数と時間帯、開いている時間
地域のイメージへの懸念土地の価値やまちの印象が変わるという心配地域に開く部分の計画
進め方への不信決まったあとに知らされた、意見を聞く気がないという受け止め検討の段階と、意見を反映できる範囲

4つ目の型は施設の中身でなく進め方に向けられているので、施設の説明だけでは応えられない。検討のどの段階で住民に知らせるかを、計画の最初に決めておく。


なぜ廃校転用でNIMBYが起きるか

情報が届く順序、学校への思い入れ、障害への理解の不足を、実態調査と事例集と内閣府のQ&Aで読む

廃校の福祉施設転用で反対や不安が出る理由を、3つに分けて見る。

情報が届く順序

住民が計画を知るのが、自治体と事業者の協議がかなり進んだあとだと、「知らないうちに決まっていた」という受け止めになりやすい。

現存する廃校の校舎7,211件のうち、住民意向聴取を実施していないものが3,580件(49.6%)ある。この数字は用途が決まっていない廃校に限ったものではなく、活用が決まった校舎も含む。

学校への思い入れ

新潟県長岡市の旧島田小学校は、高台にある白亜の建物とそこから望むロケーションが地域のシンボル的な存在として愛されてきた学校で、廃校後、市は校舎の保存を求める地域住民の声を受けて活用方法を検討した。沖縄県うるま市の旧浜中学校では、複数の事業者から様々な提案が寄せられたが、学校に思い入れのある地域住民の理解を得られず断念したことも多かった。

学校がなくなったあとも、建物は地域の人の思い出の場所として残る。新しい用途の説明とは別に、学校だった場所をどう扱うかを話す場を設ける。

障害への理解の不足

内閣府のQ&Aは、障害者支援施設やグループホーム・ケアホームなどの立地をめぐる反対運動について、障害者に対する理解が十分でないことに拠るところもあると考えられるとし、行政が住民に対する啓発を行うことを挙げている。

障害者施設、精神科デイケア、認知症グループホームなどを計画するときは、施設の中身と利用者の像を、説明会の前に資料で示せるようにしておく。


住民説明会の設計

周辺住民の同意を条件にしないという前提と、目的別の手法(アンケート・説明会・ワークショップ・オープンハウス)

住民説明会は、住民の懸念を聞いて計画に反映するために開く。

障害者関連施設では周辺住民の同意を条件にしない

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案に対する衆議院と参議院の附帯決議は、国及び地方公共団体において、グループホームやケアホーム等を含む、障害者関連施設の認可等に際して周辺住民の同意を求めないことを徹底するとともに、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行うことを求めている。内閣府のQ&Aも、障害者支援施設の認可等に際して住民の同意を求める等の、他の施設の認可にはない特別な措置を行わないようにすることが適切としている。

附帯決議とQ&Aが対象にしているのは、施設の認可等である。廃校の用途や事業者を決める手続きでも、障害福祉の施設のときだけ地元の同意を条件に足さないようにしておく。そのうえで、施設の中身と進め方を伝えて理解を得る。

手法別の特徴と使い分け

手法目的使う時期の目安
アンケート(郵送・WEB)住民の意向把握・懸念事項の洗い出し計画策定前の早期段階
情報提供型説明会計画内容の周知・質疑応答計画の概要が固まった段階
ワークショップ(参加型)課題共有・アイデア出し・優先順位付け計画策定中(複数回実施)
オープンハウス少人数での個別相談・施設見学着工前・施設完成後
定期報告会進捗共有・継続的な信頼醸成着工中〜開業後定期

計画の段階に合わせて組み合わせる。アンケートとワークショップは、住民の声を聞く場として使える。

説明会の設計における5つの原則

① 早い段階から始める

計画を決めてから住民に伝えるより、計画の前の段階から住民に加わってもらう。西和賀町では、閉校の方針が町から示された段階で、旧学区の代表者等が検討を始めている(後述)。

② 決まっていないことも伝える

計画の不確実な部分、まだ決まっていない部分も、決まっていないと伝える。「全部決まってから説明します」と言われると、住民は何かを隠していると受け取りやすい。

③ 懸念を計画の材料として扱う

反対意見や懸念は、説得する相手として扱わず、計画を直すための情報として扱う。三春町では、地域住民2名を含む選定委員会が応募者に直接ヒアリングし、地域住民と事業者の相互理解や不安の解消が図られた(後述)。

④ 多様な関係者に加わってもらう

直近の住民だけでなく、元PTA・地元自治会・商店会・社会福祉協議会・地域の障害者団体等にも加わってもらう。

⑤ 開業後も対話を続ける

説明会を一回で終えず、着工中も開業後も、報告の場や地域の行事への参加を続ける。


合意形成の5ステップ

早い段階の情報開示から開業後の対話まで、本記事が置いた5つの段階

本記事では、廃校の福祉施設転用での合意形成を、次の5つの段階に分けて進める。公的な基準ではなく、本記事の整理である。

●

早期情報開示(計画策定前)

「廃校をどうするか検討を始める」という事実を、地域住民・元保護者・地域の福祉関係者に早く伝える。自治会への回覧、広報誌、住民アンケートを使う。

●

課題の共有(計画策定中)

地域の課題(高齢化、福祉サービスの状況、空いた施設の維持管理費等)を住民と共有し、廃校をどう使うかを、その課題に照らして話し合う。

●

選択肢の提示(計画策定中)

用途を1つに決めて示すのではなく、いくつかの活用案を並べ、住民が比べて話し合える場を設ける。

●

参加型設計(計画策定後期)

用途がおおむね決まったら、地域に開く部分の使い方や運営のきまりを、住民と一緒に決める。

●

継続的な対話(着工後〜運営開始後)

着工後も開業後も報告の場を定期的に設け、利用者と地域の人が顔を合わせる行事を続ける。


事例集にある4つの進め方

西和賀町・三春町・長岡市・うるま市で、住民がどの段階から加わり、反対や不安にどう応じたか

文部科学省の事例集から、住民がどの段階から加わり、反対や不安にどう応じたかが書かれている4つの事例を取り上げる。用途は福祉が3件、地域交流拠点が1件である。

岩手県西和賀町:住民の代表がNPO法人をつくった(小規模多機能ホーム)

越中畑小学校の閉校の方針が町から示された際、学校を何かに活用したいという地域住民の機運が高まった。地域内の高齢化が進み、将来に不安を抱えている住民が多かったことから、旧学区4行政区の代表者等による10回以上の検討の結果、廃校施設を活用して地域福祉に取り組むことが決まった。閉校前の2011年2月に地域住民の代表らが運営主体のNPO法人を立ち上げ、2012年6月に事業を始めた。運営法人は研修に力を入れて設立期を乗り切り、事業開始から8年余りで累積赤字を一掃した。

町内には老人福祉施設が人口に対して比較的多く、介護保険料が高額であることが町の課題だったため、新規に介護事業を始めることについて、同業者からさらなる保険料アップを懸念する反対の声があった。今後の高齢者数の推移等についての説明会等を数多く開いて理解を得た。

住民が運営主体になっても、反対の声は出ている。この事例で反対したのは同業者で、町の高齢者数がこれからどう動くかを説明する場を重ねて応じた。

福島県三春町:住民2名が事業者の選定に加わった(福祉型農業施設)

2013年8月の閉校にあたり、地区と跡地利用を協議したうえで、同年10月から廃校の活用者を公募したところ、福祉向上に資する事業に活用する目的で株式会社エコから応募があった。地域住民から選出された2名を含む候補者選定委員会で審査し、応募者に直接ヒアリングを行うことで、地域住民と事業者の相互理解や不安の解消が図られた。公益性や地域からの雇用等の地域貢献度が評価されて賛同を得て、活用が決まった。町は、地域住民に事業者の選定段階から協議への参加を促し、議論する機会を十分に設けるよう工夫した。

施設は葉物野菜の水耕栽培で障害者等を雇用する福祉型農業施設で、運営は子会社の株式会社福島あすなろ会が行っている。住民は、決まった事業者の説明を聞く立場でなく、事業者を選ぶ場に入っている。

新潟県長岡市:大学に検討のコーディネートを頼んだ(障害者就労支援施設)

旧島田小学校は2009年3月末に廃校となった。市は校舎の保存を求める地域住民の声を受けて活用方法を検討し、福祉関係事業に活用する方針となった。学校の統合とそれに伴う廃校の活用は地域全体の重要な問題だったので、市内の大学にコーディネートを依頼し、地域住民や教育関係者からなる4つの検討部会で各12回にわたる検討会を開いたほか、地域住民へのアンケートやホームページで意見を集め、学校統合から廃校施設の活用までの検討を進めた。事業者は簡易評価型プロポーザルで選び、長年愛されてきた学校が再利用されることに、地域住民や卒業生等から喜びの声が多く寄せられている。

施設はレストランやパン工房を営む障害者就労支援施設で、運営は社会福祉法人長岡三古老人福祉会である。検討の場は、学校の統合を話し合う段階から開かれていた。

沖縄県うるま市:住民の理解を得られず断念した提案も多かった(地域交流拠点施設)

旧浜中学校の活用方法の検討では、複数の事業者から様々な提案が寄せられたが、学校に思い入れのある地域住民の理解を得られず断念したことも多かった。2017年10月に校舎1階部分について浜自治会による指定管理を始め、2019年6月にはコワーキングスペース等を備えた地域交流拠点施設としての活用実証イベントを約2週間開いて、参加者数の把握等から一定の効果を確認した。住民への説明会を重ね、2021年8月に浜自治会を含む共同事業体がコンソーシアムを組織し、コミュニティ複合施設として管理運営することになった。

福祉の施設の事例ではない。学校への思い入れが強い地域では、用途の中身にかかわらず提案が止まることがある例として載せた。うるま市は、短い期間の実証イベントで使い方を試してから説明会を重ねている。

4つの事例の比較

比較軸西和賀町三春町長岡市うるま市
用途小規模多機能ホーム福祉型農業施設障害者就労支援施設地域交流拠点施設
住民が加わった場旧学区4行政区の代表者等による10回以上の検討地域住民2名を含む候補者選定委員会4つの検討部会(各12回)、アンケート、ホームページ住民への説明会、浜自治会を含む共同事業体
住民などから出た声同業者から保険料の上昇を懸念する反対地域住民と事業者の不安(直接のヒアリングで解消が図られた)校舎の保存を求める声学校への思い入れから、理解を得られない提案が多かった
運営地域住民の代表らが立ち上げたNPO法人株式会社福島あすなろ会社会福祉法人長岡三古老人福祉会浜自治会を含む共同事業体
廃校が再び遊休化する4つのパターン。需要予測の誤り、改修費の過小評価、運営人材の不足、地域との関係の失敗。
改修前に需要、工事費、運営人材、地域との協力体制を確認する出典: 本記事の整理

実務上のポイント

施設の中身を具体的に伝える

説明会では、次のことを具体的に伝える。

  • 施設の利用者像(どのような状態の方が利用するか)
  • 1日の流れ(何時に何が行われるか)
  • スタッフの体制(何人が常時勤務するか)
  • 防犯・安全管理の仕組み
  • 送迎の台数と時間帯

同じ種類の既存の施設を見学する機会を設けると、説明だけでは伝わりにくい日常の様子を見てもらえる。

地域が使う部分を残す

西和賀町では、校庭は法人への貸与の対象外で、地域の運動会や盆踊り等に使われ、住民の集いの場にもなっている。うるま市の施設は、2019年に閉店した地域の売店の機能を備え、地域の方が施設の清掃や売店の運営等に加わっている。

地域の人が日常的に立ち寄る理由を、施設の計画に入れておく。

公募の前と後で、説明する人を分ける

非破壊検査機器メーカーが入った大分県国東市の例では、活用事業者の公募前に市役所主催の住民説明会を複数回開き、地域住民の思いの聞き取りや市の方針の説明を行った。公募後には企業主催の住民説明会も開き、会社概要や廃校での事業内容、今後の工事について説明した。

公募の前は自治体が方針を説明して住民の思いを聞き、事業者が決まったあとは事業者が中身を説明する、という分け方である。福祉の施設でも、同じ分け方を使える。


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次にやること

廃校の活用方針と改修予算を検討する際は、次の事項を確認する。

順確認・検討すること担当・相談先
1活用に関心のある事業者を探す。希望する用途や必要な条件を聞き、活用方針の検討に反映するサウンディング、地元事業者
2耐震診断とアスベスト調査の結果を確認する。未実施の場合は、調査の範囲と実施方法を検討する営繕担当
3調査結果に基づいて改修費を見積もり、解体する場合の費用と比較する設計事務所
4財産処分に必要な手続きを確認する。国庫補助を受けた校舎は、活用方法と処分制限期間に応じて、文科省の承認申請または報告の要件を確認する教育委員会、文科省
5用途を公表する前に、卒業生や地域団体に活用方針を説明し、意見を聞く同窓会、自治会

用途を確定する前に事業者の関心と必要な条件を確認し、借り手の見込みを踏まえて活用方針を検討する。


この記事で使った統計の出典

  1. 1文部科学省 令和6年度「廃校施設活用状況実態調査」(令和6年5月1日現在)地域住民からの意向聴取の状況(2025) 出典を開く
  2. 2文部科学省「廃校活用事例集 未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」(令和5年3月)事例3(2023) 出典を開く
  3. 3文部科学省「廃校活用事例集 未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」(令和5年3月)事例7(2023) 出典を開く
  4. 4文部科学省「廃校活用事例集 未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」(令和5年3月)事例15、47(2023) 出典を開く
  5. 5内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律Q&A集<地方公共団体向け>」問15-8(2026年9月14日取得) 出典を開く
  6. 6内閣府「衆/参・内閣委員会における法案に対する附帯決議|障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(衆議院の五、参議院の六)(2026年9月14日取得) 出典を開く
  7. 7文部科学省「廃校活用事例集 未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」(令和5年3月)事例15(2023) 出典を開く
  8. 8文部科学省「廃校活用事例集 未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」(令和5年3月)事例47(2023) 出典を開く
  9. 9文部科学省「廃校活用事例集 未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」(令和5年3月)事例3、47(2023) 出典を開く
  10. 10文部科学省「廃校活用事例集 未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」(令和5年3月)事例44(2023) 出典を開く

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訂正の内容

  1. :失敗事例として載せていた「宮城県A市の精神科グループホーム」は、出典を示しておらず、事例として確かめられませんでした。

    訂正前
    失敗事例:宮城県A市(精神科グループホーム)。近隣住民からの激しい反対運動が生じ、計画を断念(特定の市名は公表されていないため一般化した事例として紹介)/西和賀町・長岡市・宮城A市の3事例の比較の表
    訂正後
    この事例を削除し、文部科学省の事例集で住民の理解を得られず断念した提案が多かったと書かれている沖縄県うるま市の事例を載せた。比較の表は事例集にある4つの事例で作り直した

    理由 市名も時期も出典も書いておらず、読者が確かめる手がかりがありませんでした。確かめられない事例を失敗の構造の根拠にはできないので削除しました。

  2. :西和賀町の事例で、住民が運営主体になったのでNIMBY問題が構造的に起きえないと書いていましたが、事例集には同業者の反対が記録されていました。

    訂正前
    住民が運営の主体になったことで、NIMBY問題が構造的に発生しえない状態を作り出した/事業開始から8年で累積赤字を解消した
    訂正後
    町内に老人福祉施設が人口に対して比較的多く介護保険料が高額だったため、同業者からさらなる保険料アップを懸念する反対の声があり、今後の高齢者数の推移等についての説明会等を数多く開いて理解を得た/事業開始から8年余りで累積赤字を一掃した

    理由 文部科学省の事例集の事例3に、同業者の反対と説明会の記載があります。住民が運営主体でも反対は出ていたので、「構造的に発生しえない」は事例集と合いません。累積赤字は「8年余り」で一掃したと書かれています。

  3. :長岡市の事例で、大学が住民の疑念を払拭した、建物を活かした飲食業態が住民の気持ちを引き出したと書いていましたが、どちらも事例集にありませんでした。

    訂正前
    中立的な第三者(大学)がコーディネーターとして介在することで、「自治体や事業者の思惑で誘導されている」という住民の疑念を払拭した。また、歴史的建造物という地域の誇りを活用した飲食業態が、住民の「かかわりたい」気持ちを引き出した
    訂正後
    廃校後、市は校舎の保存を求める地域住民の声を受けて活用方法を検討し、市内の大学にコーディネートを依頼して、地域住民や教育関係者からなる4つの検討部会で各12回にわたる検討会を開いたほか、アンケートやホームページで意見を集めた。学校が再利用されることに、地域住民や卒業生等から喜びの声が多く寄せられている

    理由 文部科学省の事例集の事例15にある記載に置き換えました。事例集は大学を中立的な第三者とは書いておらず、住民の疑念を払拭したという記載もありません。

  4. :NIMBY問題の重さや原因、合意形成の手順について、裏付けの無い言い切りをしていました。

    訂正前
    NIMBY問題は廃校の福祉施設転用において最大のリスク要因の一つ/住民の反対意見の多くは「情報不足」と「不確実性への不安」に由来する/成功事例に共通するのは、学区内住民が計画の初期段階から関与していること/数字カード「5ステップ:合意形成プロセスの標準段階数」/最も対処しにくいのが「プロセスへの不信」であり、早期の情報開示と参加型プロセスの設計によってのみ解消できる/偏見は「騒音」「交通量」等の具体的な不安として表面化することが多い/自治体と共同で開催することで信頼性が増す/合意形成を劇的に促進する/関連記事の紹介文「単一用途より採算が安定する複合型モデル」
    訂正後
    重さや原因を言い切る記述は外し、4つの型と5つの段階は本記事の整理と書いた。障害への理解の不足は内閣府のQ&A、学校への思い入れと説明会の開き方は事例集の記載で示した。数字カードは実態調査と事例集の数字にした。関連記事の紹介文は、その記事が扱う中身だけを書いた

    理由 どの記述にも調査や資料の裏付けを示していませんでした。成功事例に共通するという記述は2件から広げたもので、5つのステップは本記事が置いた段階で、公的な基準ではありません。

  5. :「次にやること」の表で、財産処分の手続きがいつも承認を要するように読める書き方でした。

    訂正前
    国庫補助を受けた校舎は文科省の承認が要る
    訂正後
    国庫補助を受けた校舎を処分制限期間内に学校以外に使うときは文科省の承認が要る(要件を満たせば報告で済む)

    理由 文部科学省の財産処分手続のページは、処分制限期間内に学校教育以外の用途で使うときに承認と国庫納付が要り、一定の要件を満たせば国庫納付をせず報告書の提出で済むとしています。報告で済む場合を落としていました。

  6. :住民意向聴取の49.6%を「自治体の割合」「未活用廃校のうち」と書いていましたが、どちらも誤りでした。

    訂正前
    未活用廃校のうち住民意向聴取を実施していない自治体が49.6%
    訂正後
    現存する廃校の校舎7,211件のうち、意向聴取を実施していないものが3,580件(49.6%)

    理由 文部科学省「令和6年度 廃校施設活用状況実態調査」の「地域住民からの意向聴取の状況」は、校舎7,211件・屋内運動場7,144件を母数とする複数回答です。7,211は現存廃校7,612校にほぼ相当し、活用が決まったものも含みます。単位は校舎で、自治体ではありません。あわせて出典のURLを、入口ページから数字が載っている調査結果のPDFに差し替えました。

ご自身の案件で確認すること

  • 住民に最初に知らせるのは、計画が固まったあとか、検討を始めた時点か?
  • 説明会の目的を、住民の同意を取ることにしていないか?障害者関連施設の認可等では、周辺住民の同意を求めないことが求められている
  • 学区内の住民や元PTA・地元企業等、廃校にかかわりのある人たちに、どの段階から加わってもらう予定か?

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