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ARTICLE · 廃校活用

福祉事業者のための廃校活用ガイド:借り方、建物の確認、補助金、指定基準と事例【2026年版】

社会福祉法人・NPO・株式会社が廃校を障害福祉・高齢者福祉・子ども支援の施設に使うときの進め方をまとめた。地方自治法の貸付と譲渡の決まり、文部科学省の事例集47事例の契約の形、耐震・バリアフリー・消防の確かめ方、施設の種類で分かれる整備費の補助、指定基準の設備の決まり、西和賀町・三春町・長岡市の事例を、条文と省庁の資料で確かめて載せる。

この記事の要点

  • 文部科学省の事例集の47事例を「活用事業者名」の欄で数えると、自治体が自ら転用したものが18、無償貸与が15、有償貸与が8、有償譲渡が3、土地は有償で建物は無償の譲渡が2、土地は有償で校舎は無償の貸与が1。自治体の財産を適正な対価なしに貸したり譲ったりするには、条例か議会の議決が要る(地方自治法第237条第2項)
  • 整備費の補助は施設の種類で制度が分かれる。厚生労働省の社会福祉施設整備補助金の対象は障害福祉サービス事業所や障害児入所施設などで、社会福祉法人等が整備するとき国1/2・都道府県等1/4。同じページに老健局の地域介護・福祉空間整備等交付金も並び、保育所などはこども家庭庁の交付金になる
  • 障害福祉サービスの設備の基準は、就労継続支援や生活介護の訓練・作業室を「訓練又は作業に支障がない広さ」とし、具体的な面積を数値で定めていない。グループホームの居室は1室7.43㎡以上で、住居は住宅地などにあり、入所施設や病院の敷地外に置く(指定基準第210条)
対象読者・読む前に確認したいこと

こんな方に

  • 廃校活用による障害福祉・高齢者・子ども支援施設の開設を検討している社会福祉法人・NPO・株式会社
  • 施設コストを削減して事業の財務基盤を強化したい既存の福祉事業者
  • 廃校を地域の福祉資源として活用したい自治体の担当者

前提となる知識

  • 障害福祉サービスまたは高齢者・子ども支援サービスの基本制度の概要
  • 障害福祉サービスの指定や社会福祉施設の認可の手続きの基礎知識
この記事の内容

廃校を福祉事業に使う前に確かめること

福祉施設・医療施設等への転用の件数、事例集にある福祉の3事例、施設費の差の出し方、施設の収入の種類

廃校の福祉施設・医療施設等への転用

735件

令和6年度の実態調査。このうち無償か有償かは集計されていない

学校施設の耐震診断で安全と判定する構造耐震指標(Is値)

0.7以上

住宅や事務所で使われる0.6より高い(文部科学省「学校施設耐震化推進指針」)

社会福祉施設整備補助金で社会福祉法人等が負う整備費の割合

1/4

原則は国1/2、都道府県(指定都市・中核市を含む)1/4(厚生労働省「社会福祉施設の整備・運営」)

福祉施設・医療施設等への転用は735件(7.1%)である。ただし、このうち何件が無償や低額の貸与かは同調査では集計されていない。賃料がいくらになるかは自治体ごとに違うので、公募要領で確かめる。

廃校の母数。累計8,850校、現存7,612校、活用5,661校(74.4%)、未活用1,951校でうち用途未決定1,503校。
未活用の1,951校のうち、用途が決まっていないのは1,503校出典: 文部科学省 令和6年度「廃校施設活用状況実態調査」(令和6年5月1日現在)

事例集にある福祉の3事例

文部科学省の事例集で活用用途に老人福祉施設か障害者福祉施設が付いている事例は、岩手県西和賀町、福島県三春町、新潟県長岡市の3件である。

事例元の学校(建築年度)使い方事業者と契約の形施設の規模改修費用活用した補助金等
岩手県西和賀町(事例3)旧越中畑小学校(1980年度)小規模多機能ホームNPO法人新田郷コミュニティー(土地は有償貸与、校舎は無償貸与)489.78㎡総額約4,150万円(うち事業者負担額が約850万円、補助金額が約3,300万円)介護サービス施設等整備臨時特例事業費補助金、施設開設準備経費助成特別対策事業費補助金(厚生労働省)
福島県三春町(事例7)旧沢石小学校(1971年度)福祉型農業施設㈱エコ、㈱福島あすなろ会(無償貸与)1,344.52㎡総額約400万円なし
新潟県長岡市(事例15)旧島田小学校(1904年度)障害者就労支援施設社会福祉法人長岡三古老人福祉会(土地は有償譲渡、建物は無償譲渡)2,973.68㎡総額約2億3,500万円(うち事業者負担額が約1.8億円、補助金額が約5,500万円)社会福祉施設等施設整備費補助金(厚生労働省)

3事例とも、校舎や建物は無償で、西和賀町は土地を有償で借り、長岡市は土地を有償で譲り受けている。施設費の差は、いまの賃料と、廃校の土地・建物の貸付料、自治体と取り決めた維持管理の負担を並べて出す。出し方は廃校×福祉施設の収支モデルの記事に表で載せた。

施設の収入の種類

社会福祉施設の運営には、利用者と施設の契約に基づく利用契約制度による介護報酬や介護給付費(自立支援給付)で運営されるものと、措置権者が要援護者を施設へ入所させる措置に基づいて支弁される措置費で運営されるものがある。就労継続支援B型の報酬の区分と試算は、廃校×福祉施設の収支モデルの記事に載せた。


廃校の取得方法と行政交渉の手順

行政財産と普通財産、無償や低額に要る条例か議会の議決、事例集の契約の形、財産処分、契約を解除できる場合、募集している廃校の一覧

行政財産か普通財産か

公有財産は行政財産と普通財産に分かれ、行政財産は公用又は公共用に供し、又は供することと決定した財産をいう。行政財産は、決まった場合を除いて貸し付けたり売り払ったりすることができず、用途又は目的を妨げない限度で使用を許可できる。この使用の許可には借地借家法が適用されない。普通財産は、貸し付け、交換し、売り払い、譲与することができる。閉校した学校がいまどちらの財産になっているかを、最初に自治体に聞く。

無償や低額には条例か議会の議決が要る

普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくして譲渡し、若しくは貸し付けてはならない(第238条の4第1項の規定の適用がある場合を除く)。無償や、適正な対価に満たない額で借りたい、譲り受けたいなら、その自治体に財産の無償貸付などを定めた条例があるか、議会の議決が要るかを先に確かめる。議決が要るなら、議会の日程も工程に入れる。

事例集の47事例の契約の形

事例集の各事例のページには「活用事業者名」の欄があり、転用、無償貸与、有償貸与、有償譲渡などの形が括弧で書かれている。47事例を本記事で数えると次のとおり。

活用事業者名の欄に書かれた形事例の数
自治体が自ら転用18
無償貸与15
有償貸与8
有償譲渡3
土地は有償譲渡、建物は無償譲渡2
土地は有償貸与、校舎は無償貸与1
合計47

国庫補助を受けて建てた校舎の財産処分

公立学校施設整備費補助金等を受けて整備した学校施設を処分制限期間内に学校教育以外の用途で活用する場合には、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づき、当該施設を所管する地方公共団体は、文部科学大臣の承認を受けた上で、国庫補助相当額を国庫に納付する手続(財産処分手続)が必要となる。国庫補助事業完了後10年以上経過した建物等の無償による財産処分は、報告書を文部科学大臣に提出すれば承認があったものとみなされ、国庫納付も要さない。廃校施設等を、改変を行わない一時的な転用又は貸与で公益に資する用に供する場合は、財産処分に該当せず手続は不要である。手続きをするのは自治体だが、補助を受けて建てた校舎か、何年経っているかで事業者の工程も変わるので、協議の最初に聞く。

自治体が契約を解除できる場合

普通財産を貸し付けた場合、その貸付期間中に国、地方公共団体その他公共団体で公用又は公共用に供するため必要を生じたときは、長は契約を解除することができ、借受人はこれによって生じた損失の補償を求めることができる。一定の用途と、その用途に供する期日及び期間を指定して貸し付けた場合に、借受人が指定された期日を過ぎてもその用途に供さないとき、又は指定された期間内に用途を廃止したときも、長は契約を解除できる。契約書では、期間、更新の条件、解除されたときの改修費の扱いを確かめる。

窓口と流れ

文部科学省は、地方公共団体の希望に基づいて、活用方法や利用者を募集している未活用の廃校施設等の情報を集めて一覧にし、毎月更新している。令和8年9月1日現在の一覧は、地方ごとのPDFに分かれている。学校ごとに、所在地、問い合わせ先、用途地域、土地面積、構造、竣工年、延床面積、募集内容、貸与・譲渡条件等、平面図が載っている。問い合わせ先は教育委員会とは限らず、香川県綾川町の綾上中学校は総務課いいまち推進室である。

問い合わせから契約までの流れを、本記事の整理で並べる。

  1. 一覧に載っている問い合わせ先に、財産の種類、貸与・譲渡の条件、耐震診断の有無を聞く
  2. 現地を見る
  3. 事業計画、収支計画、改修の計画を作る
  4. 公募があれば公募要領に沿って申請する
  5. 審査を受ける
  6. 貸付又は譲渡の契約を結ぶ
  7. 改修工事をして、指定や認可の申請をする

事業者の決め方は事例で違う。長岡市は簡易評価型プロポーザルで社会福祉法人を決め、三春町は活用者を公募し、地域住民から選ばれた2名を含む候補者選定委員会で審査して、応募者に直接ヒアリングした。西和賀町では、閉校前に地域住民の代表らが運営主体のNPO法人を立ち上げた。西和賀町では同業者から介護保険料のさらなる上昇を懸念する反対の声もあり、今後の高齢者数の推移等についての説明会等を数多く開いて理解を得ている。


建物調査と改修費の見積もり

耐震診断のIs値、バリアフリー法とスプリンクラー設備の条件、長岡市と三春町の改修の進め方

優先確認事項

廃校施設の活用を検討する前に、必ず以下の3点を確認する。

①耐震性能

廃校には、新耐震基準が施行された1981年(昭和56年)より前に建てられた校舎が混じる。学校施設の耐震診断では、構造耐震指標(Is値)が0.7以上で安全と判定する。住宅や事務所で使われる0.6より高い。耐震診断をしていれば報告書は建物を持つ自治体にあるので、まず開示を求めてIs値を確かめる。西和賀町の例では、活用する前から建物が耐震基準を満たしていて、補助金も使えたので、借入金だけで開業の経費を賄えたとしている。

②バリアフリー化の状況

建築主等は、特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む)をするときは、建築物移動等円滑化基準に適合させなければならない。地方公共団体は、条例で対象の特定建築物を加えたり、規模を政令より小さく定めたりできる。義務の対象にならない場合も、基準に適合させる努力義務がある。法第14条第1項の政令で定める規模は、床面積の合計2,000平方メートル(公衆便所は50平方メートル)。用途の変更の場合は、変更に係る部分の床面積で見る。特別特定建築物には、老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するもの(主として高齢者、障害者等が利用するものに限る)、老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センターなどが入る。便所、出入口、廊下、傾斜路、昇降機などの基準と条例は、設計の前に確かめる。

③消防設備

消防法施行令は、スプリンクラー設備の要否を、別表第一の用途の区分と面積・階で定めている(第12条)。特別養護老人ホームなど(六)項ロ(1)の施設は面積にかかわらず要り、生活介護や就労継続支援など(六)項ハ(5)の施設は床面積と階で決まる。区分ごとの条件は廃校の用途変更と建築基準法の記事に表で載せた。

改修費の見積もり

改修費は建物の状態と使う範囲で変わる。3事例の総額と施設の規模は最初の節の表のとおり。

長岡市の旧島田小学校では、建物の老朽化で変形した柱の修復、地震の影響で下がった基礎の調整、いまの建築基準法や消防法に合わせる改修などが必要になり、工事にかなりの費用がかかったとしている。三春町は、建築基準法と消防法を所管する部署と協議し、学校からの用途変更に伴って必要な改修工事等を事前に事業者に伝えて、事業者が改修費用等を見積もりやすくした。見積もりを取る前に、自治体の建築と消防の担当と、用途を変えたときに要る工事を洗い出す。


活用できる補助金・交付金

社会福祉施設整備補助金の対象と負担割合、高齢者と子どもの施設の制度、過疎地域の交付金の交付先、福祉医療機構の融資

社会福祉施設整備補助金(障害福祉サービス事業所など)

社会福祉施設整備補助金(所管は社会・援護局障害保健福祉部)の対象施設は次の表のとおり。国は、社会福祉法人等が施設を整備する場合、原則としてその整備費の1/2を補助し、都道府県(指定都市・中核市を含む)は施設設置者に対して整備費の1/4を補助している。

施設の種類根拠
保護施設生活保護法第38条に基づく救護施設等
児童福祉施設児童福祉法第7条に基づく障害児入所施設等
障害者施設障害者総合支援法第5条に基づく障害福祉サービス事業所等
その他の施設社会福祉法第2条第2項に基づく社会事業授産施設等

文部科学省の令和8年4月現在の一覧では、障害者施設等の欄に社会福祉施設等施設整備費補助金の名前で載っている。長岡市の障害者就労支援施設はこの補助金を使い、改修費用の総額約2億3,500万円のうち補助金額は約5,500万円だった(最初の節の表)。補助の対象になる経費と額は、都道府県の担当課に確かめる。

高齢者と子どもの施設

同じページには、老健局の地域介護・福祉空間整備等交付金と、子ども家庭局の次世代育成支援対策施設整備費交付金も並ぶ。2012年度に始めた西和賀町の小規模多機能ホームは、介護サービス施設等整備臨時特例事業費補助金と施設開設準備経費助成特別対策事業費補助金(どちらも厚生労働省)を使っている(最初の節の表)。保育所、放課後児童クラブ、障害児の通所の施設は、廃校×児童福祉(保育所・学童)の記事に令和8年度の資料でまとめた。

過疎地域の交付金は市町村に交付される

過疎地域遊休施設再整備事業は、過疎地域にある遊休施設を再活用して地域間交流及び地域振興を図るための施設を整備する事業である。交付対象者は過疎地域市町村と、構成市町村の2分の1以上が過疎地域市町村である一部事務組合等。現在使用されていない家屋、廃校舎その他本来の用途を廃止した施設等を有効活用するものであることなどが要件で、交付金の額は交付対象経費に3分の1を掛けた額、1事業当たりの交付対象経費の限度額は6,000万円である。事業者は交付対象者に入っていないので、使うなら市町村の事業として組むことになる。ほかの省の制度は廃校活用で使える補助金6省庁分まとめに載せた。

文部科学省の情報提供と、福祉医療機構の融資

文部科学省は、活用用途を募集している廃校施設の一覧を毎月更新し、廃校活用事例集の公開と廃校活用推進イベントの開催を続けている。

社会福祉施設を整備するときは国や地方公共団体による助成があるが、設置者である社会福祉法人等には一定の自己負担が必要で、独立行政法人福祉医療機構が融資を行っている。西和賀町の例でも、国庫補助金と借入金を財源に事業を始めている。


サービスの種類ごとの設備の基準と事例

就労継続支援・生活介護・グループホームの設備の決まり、三春町・長岡市・西和賀町の使い方

就労継続支援と生活介護

生活介護と就労継続支援A型の事業所には、訓練・作業室、相談室、洗面所、便所、多目的室などを設ける。訓練・作業室は訓練又は作業に支障がない広さを有し、必要な機械器具等を備える。A型の規定はB型に準用される。基準は広さを数字で決めていないので、教室の広さと利用者の人数と作業の中身を、指定の窓口と照らし合わせる。

三春町の旧沢石小学校は、葉物野菜の水耕栽培で障害者等を雇用する福祉型農業施設になっている。教室ごとに部屋が間仕切られているので、一つの場所にとどまって一日中作業をするのでなく、場所を移して気分を変えながら作業ができるとしている。長岡市の旧島田小学校は、レストランやパン工房などの事業を行う障害者就労支援施設になっている。

グループホーム(共同生活援助)

共同生活住居は、住宅地又は住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあり、かつ、入所施設又は病院の敷地外にあるようにする。共同生活住居の入居定員は2人以上10人以下で、既存の建物を共同生活住居とする場合は2人以上20人(都道府県知事が特に必要があると認めるときは30人)以下にできる。ユニットの居室の定員は1人(利用者のサービス提供上必要と認められる場合は2人)で、面積は収納設備等を除き7.43㎡以上とする。

廃校の立地がこの地域の決まりに当たるかは、建物の広さより先に指定の窓口に確かめる。

高齢者の施設

西和賀町の旧越中畑小学校では、2階建ての建物の1階部分を事務室、居室、食堂等に改修し、旧小学校区の住民を中心に町内の高齢者を受け入れていて、2021年度の利用者数は延べ7,395人。施設の職員は大半が町民で、正規・パート併せて15人の雇用が生まれた。旧校舎以外は法人への貸与の対象外だが、校庭は地域の運動会や盆踊り等で使われている。介護保険の事業所の設備の基準は、この記事では扱っていない。指定の窓口で確かめる。


開業後の運営で確かめること

報酬改定の率、自治体が契約を解除できる場合、修繕の負担、送迎

報酬改定

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の改定率は全体で+1.12%。処遇改善加算の一本化の効果等を合わせれば+1.5%を上回る水準とされた。

改定率は全体の数字で、サービスごとの基本報酬と加算は改定の資料で確かめる。収支の計画では次の3つを見込む。

  • 利用者の数と、通う日数や入居の見込み
  • 取れる加算と、その要件を満たす職員の配置
  • 次の報酬改定で単位数が変わったときの影響

契約、修繕、送迎

契約:普通財産の貸付は、自治体で公用や公共用に必要が生じれば解除されうる(前の節)。期間、更新の条件、解除のときの改修費の扱いを契約書に書く。

修繕:修繕費をどちらが負担するかを契約書に明記しておく。長岡市の例では、変形した柱の修復や下がった基礎の調整に費用がかかっている(前の節)。

送迎:廃校の立地は必ずしも交通の便が良くない。送迎車両の確保・運行コストが収支に与える影響を事前に試算する。

西和賀町の運営法人には介護事業を立ち上げた経験者が無く、一から法律を学びながら事業を始め、各種の研修で職員の基礎力を高めて、事業開始から8年余りで累積赤字を一掃したとしている。


次のステップ

最初の行動は、文部科学省の「現在活用用途を募集している廃校施設の一覧」で候補の廃校を探し、載っている問い合わせ先に、財産の種類(行政財産か普通財産か)、貸与・譲渡の条件、耐震診断の有無を聞くことだ。

並行して、廃校×福祉施設の収支モデルで施設費の差を出し、廃校活用で使える補助金6省庁分まとめで使える制度を確かめる。

ガイド

廃校×福祉施設の収支モデル

就労継続支援B型の報酬と施設費の差の出し方、西和賀町・長岡市・由仁町の事例

ガイド

障害福祉報酬で公共施設を運営する

制度収入(障害福祉報酬)の仕組みと安定性、公共施設活用モデルの構造を解説

ガイド

廃校活用で使える補助金6省庁分まとめ

文部科学省の令和8年4月現在の一覧と各省の資料で、補助の割合と申請できる団体を整理した記事

制度

廃校の用途変更と建築基準法

用途変更の確認が要る面積、防火区画・排煙設備・内装制限の条件を条文で確かめた記事


この記事で使った統計の出典

  1. 1文部科学省 令和6年度「廃校施設活用状況実態調査」(令和6年5月1日現在)(2025) 出典を開く
  2. 2文部科学省「学校施設耐震化推進指針」第2章(2026) 出典を開く
  3. 3厚生労働省「社会福祉施設の整備・運営」(2026年9月14日取得) 出典を開く
  4. 4文部科学省「廃校活用事例集 未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」(令和5年3月)事例3、7、15(2023) 出典を開く
  5. 5地方自治法(昭和22年法律第67号)第238条・第238条の4・第238条の5(e-Gov法令検索) 出典を開く
  6. 6地方自治法(昭和22年法律第67号)第237条第2項(e-Gov法令検索) 出典を開く
  7. 7文部科学省「廃校活用事例集 未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」(令和5年3月)事例1〜47(2023) 出典を開く
  8. 8文部科学省「公立学校施設整備費補助金等に係る財産処分手続の概要について」(2026年9月14日取得) 出典を開く
  9. 9文部科学省「公立学校施設整備費補助金等に係る財産処分の承認等について」(令和8年3月31日付け7文科施第1190号)(2026) 出典を開く
  10. 10地方自治法(昭和22年法律第67号)第238条の5第4項〜第6項(e-Gov法令検索) 出典を開く
  11. 11文部科学省「「みんなの廃校」プロジェクト 現在活用用途を募集している廃校施設の一覧」(2026) 出典を開く
  12. 12文部科学省「現在活用用途を募集している廃校施設の一覧(四国)」(2026) 出典を開く
  13. 13文部科学省「廃校活用事例集 未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」(令和5年3月)事例3(2023) 出典を開く
  14. 14高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第14条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  15. 15高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(平成18年政令第379号)第9条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  16. 16高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(平成18年政令第379号)第5条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  17. 17文部科学省「廃校活用事例集 未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」(令和5年3月)事例7、15(2023) 出典を開く
  18. 18総務省「過疎地域持続的発展支援交付金交付要綱及び別記様式」(2024) 出典を開く
  19. 19文部科学省「~未来につなごう~「みんなの廃校」プロジェクト」(2026) 出典を開く
  20. 20障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第81条、第188条、第200条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  21. 21障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第210条(e-Gov法令検索) 出典を開く
  22. 22厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(令和6年2月6日)(2024) 出典を開く

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記事を庁内資料・議会・勉強会・研究で引用するときは、記事名・公共0区(一般社団法人 社会構想デザイン機構)・URLを明記してください。

訂正の内容

  1. :施設費を月0〜5万円、民間の賃借を月20〜40万円(地方10〜20万円)、差額を年180〜420万円と書いていました。どれも裏付けが無く、削除しました。

    訂正前
    廃校施設の無償・低額貸借時の施設費目安は月0〜5万円/通常の民間施設賃借では都市近郊で月20〜40万円、地方でも10〜20万円/廃校活用による施設費削減額は年180〜420万円
    訂正後
    文部科学省の事例集では、西和賀町は校舎を無償、土地を有償で法人に貸し、長岡市は建物を無償、土地を有償で法人に譲っている。施設費の差は、いまの賃料と、廃校の土地・建物の貸付料と維持管理の負担を並べて出す

    理由 月額と年額の幅は、この記事が置いた前提で、公表された資料の数字ではありませんでした。同じ前提を置いていた収支モデルの記事は先に書き直していて、この記事に残っていました。事例集にある建物と土地の扱いに置き換え、施設費の差の出し方はその記事に案内しました。

  2. :延床1,000〜2,000㎡の全面改修を5,000万円〜2億円とし、改修の㎡単価の表と、耐震改修費が数千万円から1億円以上になるという記述を載せていました。裏付けが無く、削除しました。

    訂正前
    延床面積1,000〜2,000㎡の小学校を全面改修する場合5,000万円〜2億円/耐震改修3〜8万円/㎡、バリアフリー化1〜3万円/㎡、内装・設備更新3〜7万円/㎡、消防設備0.5〜1.5万円/㎡/耐震改修費は数千万円から1億円以上/社会福祉施設等施設整備費補助金の活用で事業者負担を1/4程度に圧縮できる
    訂正後
    文部科学省の事例集では、西和賀町の小規模多機能ホームが総額約4,150万円(489.78㎡、うち補助金額約3,300万円)、三春町の福祉型農業施設が総額約400万円(1,344.52㎡、補助金なし)、長岡市の障害者就労支援施設が総額約2億3,500万円(2,973.68㎡、うち補助金額約5,500万円)

    理由 改修費の幅と㎡単価、耐震改修費の幅は、この記事が置いた前提で、裏付けになる資料がありませんでした。厚生労働省のページが示すのは国と都道府県の原則の負担割合で、改修費の全部が補助の対象になるとは書いていません。長岡市の例でも、総額のうち補助金額は約5,500万円でした。事例集にある改修費の実額と施設の規模に置き換えました。

  3. :社会福祉施設等施設整備費補助金の対象に保育所や高齢者施設、株式会社を挙げ、放課後等デイサービスに保育所等整備交付金を挙げていました。国の一覧に無い制度の名前も書いていました。

    訂正前
    社会福祉施設等施設整備費補助金は障害福祉施設・高齢者施設・保育所等の整備に対する最も基本的な補助制度で、対象は社会福祉法人・NPO法人・株式会社等、申請窓口は都道府県の福祉担当部局/放課後デイサービス・児童発達支援はこども家庭庁の補助金(保育所等整備交付金等)との組み合わせも検討に値する/地域づくり一括交付金(地方創生関連)、農山漁村地域整備交付金(農村集落の廃校活用等)
    訂正後
    社会福祉施設整備補助金の対象施設は、保護施設、障害児入所施設等の児童福祉施設、障害福祉サービス事業所等の障害者施設、社会事業授産施設等で、社会福祉法人等が整備するとき国1/2・都道府県等1/4/同じページに老健局の地域介護・福祉空間整備等交付金と子ども家庭局の次世代育成支援対策施設整備費交付金が並ぶ/文部科学省の令和8年4月現在の一覧には、総務省の過疎地域持続的発展支援交付金(過疎地域遊休施設再整備事業)と農林水産省の農山漁村振興交付金が載っていて、過疎地域遊休施設再整備事業の交付対象者は過疎地域市町村など

    理由 厚生労働省「社会福祉施設の整備・運営」のページで社会福祉施設整備補助金の対象に挙がっているのは、保護施設、児童福祉施設(障害児入所施設等)、障害者施設、その他の施設で、保育所や高齢者施設の名前はありません。補助するのは社会福祉法人等が整備する場合で、株式会社の名前も申請窓口の記載もありません。保育所等整備交付金は保育所の整備の交付金で、令和8年度の資料では就学前教育・保育施設整備交付金です。「地域づくり一括交付金」は文部科学省の一覧に無く、農山漁村地域整備交付金も一覧で廃校の活用には挙がっていません。過疎地域遊休施設再整備事業の交付対象者に事業者が入っていないことも書き足しました。

  4. :取得の方法を、要約では貸付・譲渡・定期借地権設定の3パターン、表では無償貸付・有償貸付・譲渡と書き分けていました。契約期間の5〜20年、5〜10年程度が多いという数字にも裏付けがありませんでした。

    訂正前
    廃校の行政手続きは「貸付(無償・有償)」「譲渡」「定期借地権設定」の3パターン/無償貸付は契約期間に制限がある(5〜20年)/有償貸付は低額の賃料(月0〜5万円程度)/無償貸付の契約期間は5〜10年程度が多く、更新時に条件が変わる可能性がある/最初の廃校活用では無償貸付または有償貸付から始めるのが一般的
    訂正後
    普通財産は貸付・売払い・譲与ができ、行政財産の貸付は決まった場合に限られる(地方自治法第238条の4・第238条の5)。適正な対価なしに貸したり譲ったりするには条例か議会の議決が要る(第237条第2項)/事例集47事例の活用事業者名の欄は、転用18、無償貸与15、有償貸与8、有償譲渡3、土地は有償譲渡で建物は無償譲渡2、土地は有償貸与で校舎は無償貸与1

    理由 契約期間と賃料の幅、「始めるのが一般的」という記述は、確かめられる資料がありませんでした。自治体が財産を貸したり譲ったりするときの決まりを地方自治法の条文で書き、実際の契約の形は事例集の各事例のページを数えて示しました。普通財産を貸したあとに公用や公共用で必要が生じれば、自治体は契約を解除でき、借りた者は損失の補償を求められることも書き足しました。

  5. :就労継続支援B型・グループホーム・デイサービス・特別養護老人ホームと廃校の相性、複合施設モデルが広がっていること、教室の標準63㎡を、裏付け無しに書いていました。

    訂正前
    教室(標準63㎡)は多床室・デイルームへの転用に適している/就労継続支援B型は定員20〜40名規模であれば小学校の一棟で全室を活用でき、地方自治体も支援的な傾向/廃校の一部(旧寄宿舎・校舎の一角)をグループホームとして活用するモデルがある/広い食堂スペースと送迎駐車場を確保しやすい廃校はデイサービスとの相性が良く、農福連携型デイサービスのモデルもある/廃校の全棟活用による特養整備の事例がある/複合施設モデルが広がっている/1981年以前の建物は耐震診断・改修が必要になるケースが多く、廃校活用の最大のリスク要因
    訂正後
    就労継続支援と生活介護の訓練・作業室は「訓練又は作業に支障がない広さ」で数字の定めは無い(指定基準第188条・第200条・第81条)/グループホームの居室は1室7.43㎡以上で、共同生活住居は住宅地などにあり入所施設や病院の敷地外(第210条)/事例集の福祉の事例は、西和賀町の小規模多機能ホーム、三春町の福祉型農業施設、長岡市の障害者就労支援施設

    理由 定員と一棟の関係、自治体の傾向、グループホームやデイサービス、特別養護老人ホーム、複合施設のモデルや事例は、出典を示せませんでした。グループホームは指定基準で住宅地などにあることと入所施設や病院の敷地外であることが求められていて、校舎の一角に置けるかは立地で変わります。教室の広さと、旧耐震の建物で改修が要る割合にも裏付けがありませんでした。設備の決まりは指定基準の条文で、事例は文部科学省の事例集にある3件で書き直しました。

  6. :耐震のIs値の基準を0.6と書いていました。学校施設は0.7です。出典も別の調査を指していました。

    訂正前
    廃校施設の中には1981年以前に建てられた旧耐震基準の建物が一定数含まれており、Is値(構造耐震指標)が0.6を下回る場合は耐震改修が必要(出典として文部科学省の廃校施設活用状況実態調査を表示)
    訂正後
    学校施設の耐震診断では、構造耐震指標(Is値)が0.7以上で安全と判定する。住宅や事務所で使われる0.6より高い

    理由 文部科学省の学校施設耐震化推進指針は、学校の建物について0.7以上を安全としています。0.6は住宅や事務所で使われる値で、学校には当てはまりません。出典に挙げていた廃校施設活用状況実態調査は、耐震のことを何も書いていません。指針を出典に置き直し、まず既存の耐震診断書を取り寄せる、という一文を足しました。

  7. :「低額賃借・無償貸与の福祉施設が全国に複数」「大幅削減事例が報告されている」を調査の結果として書いていました。

    訂正前
    文部科学省の調査によると、廃校施設を低額賃借・無償貸与で活用している福祉・医療施設は全国に複数存在し、施設費の大幅削減事例が報告されている
    訂正後
    福祉施設・医療施設等への転用は735件(7.1%)。このうち何件が無償や低額の貸与かは同調査では集計されていない

    理由 同調査は賃料の条件も削減額も集計していません。確かめられるのは用途別の件数だけです。件数に直し、賃料は公募要領で確かめる、という一文を足しました。もう1件、文部科学省の情報提供についての記述も、出典を実態調査からみんなの廃校プロジェクトに直しました。

  8. :報酬改定の説明を、出典に書かれている改定率に置き換えました。

    訂正前
    障害福祉サービスの報酬は「単位数×地域区分乗数」で計算される。令和6年度改定では基本報酬単価の引き上げが行われた
    訂正後
    令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の改定率は全体で+1.12%。処遇改善加算の一本化の効果等を合わせれば+1.5%を上回る水準とされた

    理由 出典に挙げていたのは厚生労働省の障害福祉サービスの入口ページで、改定の内容は書かれていません。改定率は「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(令和6年2月6日、障害福祉サービス等報酬改定検討チーム)にあります。「基本報酬単価の引き上げ」は全サービス一律ではなく、サービスごとに上げ下げがあるため、書き方を改定率に改めました。

ご自身の案件で確認すること

  • 検討している廃校の建築年は1981年以前か?耐震診断書は手元にあるか?Is値が学校施設の目安である0.7に届かない場合、耐震改修費の負担を誰がどのように分担するか合意できているか?
  • 廃校の立地(交通アクセス・周辺人口)は、想定する利用者が通所・入居できる圏内か?グループホームなら、住宅地又は住宅地と同程度に地域住民との交流の機会がある地域に当たるか?
  • 20年後の建物老朽化を見据えた修繕積立計画と、自治体との契約更新条件、解除されたときの扱いを事前に確認しているか?

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