放課後等デイサービスに廃校を使う前に確かめること
放課後等デイサービスの定義、廃校で開く前に確かめる3つ、事例集の活用用途
時間区分2(1時間30分超3時間以下)の基本報酬(重症心身障害児と医療的ケア児を除く、利用定員10人以下)
609単位
30分以上1時間30分以下は574単位、3時間超5時間以下(学校休業日のみ)は666単位(令和6年度改定の概要)
令和8年6月1日以降に新規指定された事業所の基本報酬
1000分の982
配慮措置に当たらない場合。令和9年度の報酬改定までの措置(令和8年度改定事項)
障害児10人までの単位に置く児童指導員又は保育士
2人以上
ほかに児童発達支援管理責任者1人以上(指定通所支援の基準第66条)
放課後等デイサービスとは、学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く)又は専修学校等に就学している障害児(専修学校等に就学している障害児は、授業の終了後又は休業日における支援の必要があると市町村長が認める者に限る)につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の内閣府令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な支援、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。
廃校で開く前に、次の3つを確かめる。並べ方は本記事の整理である。
- 指定を受けられるか。指定を受けられるのは法人で、都道府県は障害児福祉計画の量に達していれば指定をしないことができる(「始め方」の節)
- 発達支援室にする部屋と設備、職員の配置(「施設基準と改修ポイント」の節)
- 建物の用途と消防設備、整備費の補助が使えるか(同じ節)
事例集の各事例のページにある「活用用途」の欄には、老人福祉施設、障害者福祉施設、児童福祉施設、放課後児童クラブなどが挙がる。本記事で47事例のページを見た限り、放課後等デイサービスの事例は載っていない。障害福祉の事例(西和賀町・三春町・長岡市)と、廃校の借り方は福祉事業者のための廃校活用ガイドにまとめた。
令和6年度改定後の報酬体系
時間区分と単位数、改定前の区分、1単位の単価、送迎加算と専門的支援の加算、令和8年6月からの新規指定事業所の特例
時間区分と単位数
放課後等デイサービスの基本報酬に、支援時間による区分「30分以上1時間30分以下」「1時間30分超3時間以下」「3時間超5時間以下」の3区分を設けた。3時間超5時間以下は学校休業日のみ算定可能。時間区分は個別支援計画に定めた支援時間で判定することを基本とし、事業所の都合で支援時間が短くなった場合は実支援時間で判定する。重症心身障害児と、判定スコア3点以上の医療的ケア児を除く障害児の単位数(1日につき)は次のとおり。
| 時間区分 | 支援時間 | 利用定員10人以下 | 11人以上20人以下 | 21人以上 |
|---|---|---|---|---|
| 時間区分1 | 30分以上1時間30分以下 | 574単位 | 382単位 | 287単位 |
| 時間区分2 | 1時間30分超3時間以下 | 609単位 | 406単位 | 305単位 |
| 時間区分3 | 3時間超5時間以下(学校休業日のみ) | 666単位 | 443単位 | 343単位 |
判定スコア3点以上の医療的ケア児は、スコアの段階(32点以上、16点以上、3点以上)ごとに別の単位数がある。重症心身障害児に行う場合も、授業の終了後と休業日で分けた別の単位数になる。
改定前の放課後等デイサービス給付費は、授業の終了後に行う場合と休業日に行う場合で分かれ、授業の終了後はさらに区分1(3時間以上)と区分2(3時間未満)に分かれていた。
1単位の単価
児童福祉法による1単位の単価は地域区分とサービスの種類で決まり、放課後等デイサービス(重症心身障害児以外の障害児)は、1級地が11.2円、7級地が10.18円、地域区分が「その他」の地域は10円。令和3年度の改定の資料にある単価である。令和6〜8年度に市町村ごとに当てる障害児サービスの地域区分は、改定の概要の別紙3に載っている。廃校のある市町村の区分と、いまの単価を、指定の窓口で確かめる。
送迎加算と専門的支援の加算
見直し後の送迎加算は、児童発達支援センターと主として重症心身障害児を支援する事業所以外では、障害児1回54単位。重症心身障害児は+40単位、医療的ケア児は医療的ケアスコア16点以上なら+80単位、その他の場合は+40単位。
専門的支援加算と特別支援加算を統合し、専門的な支援を提供する体制(専門的支援体制加算)と、専門人材による個別・集中的な支援の計画的な実施(専門的支援実施加算)の2段階で評価する。放課後等デイサービスの専門的支援実施加算は、利用日数等に応じて月2回から最大月6回を限度とする。加算は要件が細かく決まっているので、取れるものを改定の資料で確かめてから収入に入れる。
2026年6月からの臨時の引き下げ
令和8年6月1日以降に新規指定された事業所に限り、放課後等デイサービスの基本報酬は所定単位数の1000分の982に相当する単位数になる。既存事業所は従前どおり。令和9年度報酬改定までの間の措置である。1,000単位なら982単位で、1.8%少ない(本記事の計算)。新規に開く場合は、この単位数で収支を組む。
配慮措置として、主として重症心身障害児を通わせる事業所の基本報酬と、医療的ケア区分や強度行動障害児支援加算などを算定する利用者の基本報酬には、従前の報酬単価を適用する。地域への配慮として、離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所と、自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所(公募によりサービスが不足する地域に設置する事業所、自治体から補助等の経済的支援を得て設置する事業所)の基本報酬にも、従前の報酬単価を適用する。
廃校の立地や開き方によっては、この引き下げが当たらない。自治体の公募で廃校に開く場合がこの配慮措置に当たるかは、指定の窓口に確かめる。
収入の見込み方
単位数・人数・日数・単価から基本報酬を出す順番と、施設費の差の出し方
基本報酬は、次の順に見込む。
- 廃校のある市町村の地域区分から、1単位の単価を確かめる
- 利用定員(10人以下、11人以上20人以下、21人以上)と、医療的ケア児などを受け入れるかで、使う単位数の表を決める
- 平日(授業の終了後)の時間区分と、学校休業日の時間区分を分け、それぞれの利用人数と日数を見込む
- 単位数×人数×日数×1単位の単価で基本報酬を出し、送迎加算など取れる加算を足す
- 令和8年6月1日以降に新しく指定を受け、配慮措置に当たらないなら、基本報酬を所定単位数の1000分の982で計算する
計算の例として、時間区分2の609単位の子どもが1日平均8人、月20日通い、1単位10円の地域なら、基本報酬は609×8×20×10=974,400円になる(人数と日数はこの計算例で仮定した値)。
いまの事業所から別の市町村の廃校に移るなら、地域区分が変わり、1単位の単価も変わることがある。施設費の差の出し方は、廃校×福祉施設の収支モデルの記事に載せた。
施設基準と改修ポイント
指定基準の設備と人員、建築基準法の用途、消防法施行令の区分、整備費の補助の対象
設備
指定放課後等デイサービス事業所は、発達支援室のほか、指定放課後等デイサービスの提供に必要な設備及び備品等を設けなければならない。発達支援室は、支援に必要な機械器具等を備えなければならない。これらの設備及び備品等は、専ら当該指定放課後等デイサービスの事業の用に供するものでなければならない(障害児の支援に支障がない場合は、この限りでない)。
基準に面積の数字は無いので、発達支援室にする教室の広さと、利用定員と、支援の中身を、指定の窓口と照らし合わせる。障害児1人あたり2.47㎡以上は、児童発達支援センターである指定児童発達支援事業所の発達支援室の基準で、同じ条で発達支援室の定員はおおむね10人、遊戯室は1人あたり1.65㎡以上とされている。放課後等デイサービスの事業所の基準ではない。
人員
指定放課後等デイサービス事業所には、単位ごとに、提供する時間帯のあいだ専ら提供に当たる児童指導員又は保育士を、障害児の数が10までは2以上、10を超えるときは2に、10を超えて5又はその端数を増すごとに1を加えた数以上置き、そのうち1人以上は常勤とする。児童発達支援管理責任者を1以上置き、そのうち1人以上は専任かつ常勤とする。機能訓練を行う場合は機能訓練担当職員を、医療的ケアを行う場合は看護職員を置く。主として重症心身障害児を通わせる事業所は、嘱託医、看護職員、児童指導員又は保育士、機能訓練担当職員、児童発達支援管理責任者をそれぞれ1以上置く。人件費は、この配置から積む。
建物の用途と消防設備
学校(専修学校及び各種学校を含む)は、体育館、病院、共同住宅などとともに特殊建築物に挙がる。児童福祉施設(幼保連携型認定こども園を除く)、助産所、身体障害者社会参加支援施設(補装具製作施設及び視聴覚障害者情報提供施設を除く)、保護施設(医療保護施設を除く)、女性自立支援施設、老人福祉施設、有料老人ホーム、母子保健施設、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム又は障害福祉サービス事業(生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る)の用に供する施設を「児童福祉施設等」とする。建築基準法別表第一の(二)項の用途に類するものは、児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む)とする。
放課後等デイサービスの事業所は、第19条の一覧に名前で挙がっていない。どの用途として扱うか、用途変更の確認が要るかは、建築主事等に確かめる。用途変更の確認の決まりは廃校の用途変更と建築基準法の記事に載せた。
小学校、中学校、義務教育学校、高等学校などは(七)項。児童発達支援センター、児童心理治療施設又は児童福祉法第6条の2の2第2項に規定する児童発達支援若しくは同条第3項に規定する放課後等デイサービスを行う施設(児童発達支援センターを除く)は(六)項ハ(4)。消防用設備の設置の条件はこの区分ごとに決まっているので、用途を変える前に消防の担当に確かめる。
建物で見ておく項目は、発達支援室にする部屋、手洗いとトイレ、空調、内装、送迎の車の動線と乗り降りの場所である。
整備費の補助
社会福祉施設整備補助金の対象施設には、児童福祉施設として「児童福祉法第7条に基づく障害児入所施設等」、障害者施設として「障害者総合支援法第5条に基づく障害福祉サービス事業所等」が挙がる。国は、社会福祉法人等が施設を整備する場合、原則としてその整備費の1/2を補助し、都道府県(指定都市・中核市を含む)は、施設設置者に対して整備費の1/4を補助している。放課後等デイサービスは児童福祉法の障害児通所支援(第6条の2の2)で、障害者総合支援法第5条のサービスではない。放課後等デイサービスの事業所がこの補助の対象になるかは、このページからは読み取れないので、都道府県の担当課に確かめる。ほかの制度は廃校活用で使える補助金6省庁分まとめに載せた。
始め方:法人格取得から指定申請まで
法人であることの要件、都道府県障害児福祉計画の量による指定の制限、準備の順番
指定を受けられるのは法人
都道府県知事は、申請者が都道府県の条例で定める者でないときは、指定障害児通所支援事業者の指定をしてはならない。都道府県がこの条例を定めるに当たっては、内閣府令で定める基準に従う。その内閣府令で定める基準は、法人であることとする。ただし、病院又は診療所により行われる児童発達支援に係る指定の申請についてはこの限りでない。法人の種類は、事業の計画と、使いたい補助の対象で選ぶ。
都道府県障害児福祉計画の量
放課後等デイサービスその他の内閣府令で定める障害児通所支援(特定障害児通所支援)の指定は、その量を定めてする。都道府県知事は、都道府県又は区域の指定通所支援の量が、都道府県障害児福祉計画で定める必要な量に既に達しているか、申請に係る事業者の指定によってこれを超えることになると認めるとき、その他の計画の達成に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、指定をしないことができる。廃校の改修に入る前に、その区域の量を指定の窓口に聞く。
準備の順番
廃校を放課後等デイサービスに転用する際の準備を、以下の順に整理した。
- 指定の窓口に、障害児福祉計画の量と、指定の要件と申請の書類を聞く
- 法人を用意する
- 廃校のある自治体に、財産の種類、貸与・譲渡の条件、耐震診断の有無を聞く(福祉事業者のための廃校活用ガイド)
- 建築主事等と消防の担当に、建物の用途と要る工事を確かめる
- 設計と工事をする
- 職員を揃えて、指定を申請する
福祉事業者のための廃校活用ガイド
地方自治法の貸付と譲渡の決まり、事例集47事例の契約の形、整備費の補助、指定基準と事例
廃校×福祉施設の収支モデル
就労継続支援B型を例に、令和8年6月からの基本報酬の区分、工賃の決まり、施設費の差の出し方、3つの事例を載せた。
廃校の改修費:費目別の内訳と事例
構造・内装・設備・消防用設備・バリアフリーの費目ごとに、改修費の考え方と文部科学省の事例集の金額を整理した。