エグゼクティブサマリー
2025年4月13日〜10月13日の大阪・関西万博と同じ時期に、大阪府域では水道と下水道の官民連携が続けて動いた。水道では、大阪市が基幹管路の更新をPFIで発注し、受注した企業は「全国初導入」と発表した。下水道では、大阪狭山市と河内長野市が共同で公募し、2市は「日本初の広域型ウォーターPPPレベル3.5公募」と説明している。水道事業の広域統合も、5市が加わって19市町村になった。
国は、汚水管の改築に係る国費支援に関して、緊急輸送道路等の下に埋設されている汚水管の耐震化を除き、ウォーターPPP導入を決定済みであることを令和9年度以降の要件にする。レベル3.5で「決定済み」になるのは、実施方針の公表ではなく、入札・公募の開始(募集要項等の公表)の時点である。ガイドラインは、レベル3.5の入札・公募資料等の公表までに2〜3年程度の期間が必要と考えられるとしている。
本記事では、大阪の3つの動きの中身、レベル3.5とレベル4の違い、交付要件の実務上の意味、先行するコンセッション事例(浜松・宮城)との比較、再公営化の事例の読み方、そして自治体担当者が判断すべき7軸を整理する。
万博と同時期に動いた2つの全国初と広域統合
水道の管路PFIと下水道の広域型レベル3.5という2つの全国初と、並行した府域の広域統合を、発注者の資料から整理
大阪市水道基幹管路耐震化PFI事業の事業費(税込)
525億円
契約金額は525億5,321万6,100円
同じ事業で更新する基幹管路
38 km
約100路線
同じ事業のVFM
7.19%
当初の大阪市の想定は3.82%
大阪広域水道企業団に水道事業を統合した市町村
19市町村
2025年4月の5市を加えた数
全国初その1: 大阪市水道基幹管路耐震化PFI事業(2024年4月開始)
大阪市は、南海トラフ巨大地震などの大規模地震のときに広域断水を避けるため、基幹管路約38km(約100路線)の更新を、計画から設計、施工、施工監理、運営までPFIで一括して発注した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業期間 | 令和6年度〜令和13年度(8年間) |
| 事業費(契約金額) | 525億5,321万6,100円(税込) |
| 対象 | 配水本管と送水管、約38km(約100路線) |
| VFM | 7.19%(39.43億円)。当初の大阪市の想定は3.82% |
| 事業者 | 株式会社大林組を代表企業とするグループが設立した特別目的会社「ウォーターパートナー大阪管路株式会社」 |
| 前倒し | 完了予定は令和13年度末。従来の発注手法なら令和18年度末で、大規模地震対策が5年程度前倒しになる |
「全国初」と発表したのは、受注した企業である。クボタは「老朽化した水道基幹管路の更新事業におけるPFI方式の導入は全国初」と発表し、構成企業を株式会社大林組(代表企業)、株式会社クボタ、東急建設株式会社、株式会社栗本鐵工所、株式会社オクムラ道路、株式会社日水コン、ヴェオリア・ジェネッツ株式会社の7社としている。栗本鐵工所の発表も、見出しに「水道基幹管路の更新に、PFI方式を全国初導入」と書く。大阪市水道局の概要ページと概要資料には「全国初」の記載は無い。
全国初その2: 大阪狭山市と河内長野市の広域型レベル3.5共同発注(2026年4月開始)
2市は「日本初の広域型ウォーターPPPレベル3.5公募を令和7年度に実施した」と説明している。2市の人口は大阪狭山市5.7万人、河内長野市9.7万人(令和7年3月時点)で、下水道施設の規模や財政規模が同等の隣接都市である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業務名 | 大阪狭山市公共下水道施設包括的維持管理業務(第3期)及び河内長野市下水道施設包括的管理業務 |
| 方式 | 広域型ウォーターPPPレベル3.5(更新実施型)。協定書に基づき2市が共同で事業者を選び、契約はそれぞれの市が結ぶ |
| 対象 | 2市全域の下水道施設(管路、ポンプ場、マンホールポンプ。処理場は河内長野市のみ) |
| 業務範囲 | 維持管理のすべてに、統括管理、計画策定、改築・更新、設計を加える |
| 発注金額 | 約2,016百万円(税抜き、3条予算のみが対象)。大阪狭山市が約654百万円、河内長野市が約1,362百万円 |
| 公募 | 令和7年9月 |
| 事業期間 | 令和8年4月1日〜令和18年3月31日(10年間) |
受託したのは、藤野興業株式会社を代表企業とする8者の共同企業体「南大阪広域下水道サービス」で、2026年2月19日に2市と業務委託契約を結んだ。この発表の副題も「下水道分野で全国初形態の水の官民連携(ウォーターPPP)レベル3.5事業の受託」である。
2市はそれぞれ10年以上、下水道の包括的民間委託を続けてきた。共同発注にあたって2市が挙げた課題は2つある。1つ目は、要求水準と契約書の条文をできる限りそろえることである。2つ目は、一方の市が契約を解除したときの扱いで、他方の市と受託者の両方が、他方の市との契約を解除できる権利を契約に書いた。事業期間の途中で他の団体が加わる「後乗り契約」も想定し、要求水準書に書いてある。
並行する第3の動き: 大阪広域水道企業団への統合(2025年4月)
大阪広域水道企業団への市町村の水道事業の統合は、4回に分けて進んだ。
| 統合した時期 | 団体 |
|---|---|
| 2017年4月 | 四條畷市・太子町・千早赤阪村 |
| 2019年4月 | 泉南市・阪南市・豊能町・能勢町・忠岡町・田尻町・岬町 |
| 2021年4月 | 藤井寺市・大阪狭山市・熊取町・河南町 |
| 2025年4月 | 岸和田市・八尾市・富田林市・柏原市・高石市 |
5市の統合で19市町村になり、企業団は29年度までに府内43市町村の過半数との統合を目指す。国の補助金は、企業団によれば5市の統合で計115億円になる見通しである。泉大津市・箕面市・門真市とは、令和9年4月の統合に向けて検討と協議をしている。大阪市と堺市は統合した団体に入っておらず、企業団と水道の基盤の強化に向けた連携協定を結んでいる。
「万博契機」の正確な位置づけ
ここまでの3つ、つまり管路PFI・共同発注・広域統合は、万博のための事業ではない。万博と同じ時期に大阪府域で進んだ、別々の事業である。万博に向けた水道の整備は別にある。大阪市水道局は、開発者負担で夢洲地区の上水道の供給能力を1日あたり約18,000立方メートルに増強した。この能力は、万博と、令和12(2030)年頃の開業が見込まれる大阪IRの必要水量から決めたもので、施設整備は令和6年度末に完了している。「万博がきっかけ」ではなく、「万博と同時期に大阪で進んだ」と捉えるのが正確である。
ウォーターPPPのレベル区分
レベル3.5とレベル4の違いを、ガイドライン第3.0版の比較表から
「ウォーターPPP」は、令和5年6月2日の第19回民間資金等活用事業推進会議で決定されたPPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改定版)で新たに定義され、令和8年改定版で呼び名が「水の官民連携」に変わった。コンセッション方式(レベル4)と、管理・更新一体マネジメント方式(レベル3.5)の総称である。
レベル3.5とレベル4の違い
ガイドライン第3.0版の比較表(図表1-3)から、主な行を写す。
| 項目 | レベル3.5(管理・更新一体マネジメント方式) | レベル4(コンセッション方式) |
|---|---|---|
| 事業期間 | 原則10年。例外にするときは、管理者が理由を公表情報等に基づいて説明できる必要がある | 設定は自由(先行事例は20年以上が多い) |
| 公共施設等運営権 | 設定しない(民間委託) | 設定する |
| 利用料金 | 受託者は直接収受しない | 運営権者が自らの収入として直接収受する |
| 維持管理と更新の原資 | 委託料等。3条予算と4条予算の枠内で実施する | 直接収受する利用料金等。3条予算と4条予算の枠に縛られない実施も可能 |
| プロフィットシェア | 事業期間中の民間提案で仕組みが発動した場合、費用縮減分を分配できる | 創意工夫等による費用縮減は運営権者に帰属する |
| PFI法に基づく職員派遣 | できない(公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律に基づく派遣は可能) | できる(第79条に基づく退職派遣) |
レベル3.5は、①長期契約(原則10年)、②性能発注、③維持管理と更新の一体マネジメント、④プロフィットシェアの4要件をすべて満たす民間委託で、運営権の設定を必要としないこと等から、レベル4よりも取り組みやすいと考えられるとされている。例外の事業期間の例には、5年間程度の更新支援型と10年間程度の更新実施型を組み合わせた、合計15年間程度の方式が挙がっている。
レベル4の主な事例
| 自治体 | 分野 | 開始 | 事業者 |
|---|---|---|---|
| 浜松市 | 下水道(西遠処理区) | 2018年4月 | 浜松ウォーターシンフォニー株式会社(ヴェオリア・JFEエンジ・オリックス・東急建設・須山建設グループが設立) |
| 宮城県 | 上下水道と工業用水(みやぎ型管理運営方式) | 2022年4月 | みずむすびマネジメントみやぎ(メタウォーターが議決権株式の51%を保有) |
浜松市は西遠処理区で、2018年度からPFI法に基づく運営委託方式を国内で初めて導入し、20年間の事業を行っている。対象は市内で最も大きい西遠処理区の3施設で、事業者の提案によれば20年間で約86億円のコスト縮減が見込まれる。宮城県の運営会社は20年間で従来比337億円のコスト削減を目指しており、県によると、開始から2年間でコスト削減額が想定より4億円上振れした。
令和9年度からの交付要件
汚水管の改築の国費支援の要件、決定済みとなる時点、公募までにかかる期間
自治体担当者にとって、本記事で最も重要な事実はこの一点である。
対象は汚水管(合流管を含む)の改築に係る国費支援で、社会資本整備総合交付金、防災・安全交付金、沖縄振興公共投資交付金、個別補助金(下水道事業費、下水道防災事業費)を想定している。処理場、ポンプ場、マンホールポンプ、送泥管の改築と、汚水管の新設は対象外で、緊急輸送道路と重要物流道路の下に埋設されている管路の耐震化は例外になる。
公募までにかかる期間
ガイドラインは、レベル3.5の入札・公募資料等の公表までに2〜3年程度かかると見ている(3.2)。大阪狭山市と河内長野市の実際の流れは次のとおりである。
令和5年度 連携の協議を始める
隣接し、同じ時期に包括委託を始めた2市は、定期的に情報交換をしていた。2市とも包括委託を最大の範囲まで広げていたため、さらに広げるには広域連携が必要と判断し、連携の協議を始めた(年4回)。
令和6年度 導入可能性調査
国土交通省のモデル都市支援事業で導入可能性調査を行い、国土交通省も協議に加わった(年4回)。レベル3.5の要件を満たすように要求水準書を直した。
令和7年度 協定書の締結、公募、契約
共同発注の協定書を結び、公募資料の作成にはウォーターPPPの導入検討費用に対する補助事業を使った。令和7年9月に公募し、2026年2月19日に契約した。
令和8年度 事業開始
2026年4月1日から10年間の事業が始まった。2市の資料は「令和5年度連携検討開始から、約3年かけて事業公募を実現した」と書いている。
2市は、10年以上の包括委託の経験があったうえで、協議の開始から公募まで約3年だった。ガイドラインの2〜3年程度を令和9年度から引くと、導入検討を令和6年度から令和7年度には始めている計算になる。まだ導入可能性調査に入っていない自治体は、要件を満たすまでの汚水管の改築を国費なしで見込むのか、改築の予定を組み直すのかを、予算で比べることになる。レベル4は実施方針の公表で要件を満たすが、運営権を設定する前に議会の議決が要る(PFI法第19条第4項)。
国の推進体制
国土交通省は令和7年度に官民連携推進会議を6回開き、第6回(2026年2月20日)では大阪狭山市と河内長野市が共同発注を報告した。
アクションプランは、令和13年度までの10年間で、水道100件、下水道100件、工業用水道25件の具体化を目標にしている。下水道は、この目標を令和8年度中に前倒しで達成するために取り組むとしている。ここでの「具体化」には、最終的に事業を実施するかどうかにかかわらず事業実施の検討を行った案件も含まれ、工業用水道の目標は、複数年度で複数業務を委託する官民連携手法も数える。
浜松・宮城との比較
レベル4の先行2事例と、2市の共同発注の違い
| 項目 | 浜松市 | 宮城県 | 大阪狭山市と河内長野市 |
|---|---|---|---|
| 方式 | レベル4(下水道のコンセッション) | レベル4(上下水道と工業用水のコンセッション) | レベル3.5(下水道の共同発注) |
| 開始 | 2018年4月 | 2022年4月 | 2026年4月 |
| 事業期間 | 20年 | 20年 | 10年 |
| 対象 | 西遠処理区の3施設 | 県の上下水道と工業用水 | 2市全域の下水道施設 |
| 契約の形 | 市が運営権を設定 | 県が運営権を設定 | 2市が共同で選定し、各市が委託契約 |
浜松市と宮城県は、1つの団体がレベル4を選んだ。大阪府域では、大阪市が水道管路の更新をPFIで発注し、大阪狭山市と河内長野市が2市でレベル3.5を発注した。発注したのは別々の団体で、「大阪」が1つの方針で選んだものではない。
ガイドラインは、レベル3.5の後継としてレベル4を選択肢に検討してほしいとしている。一方で、レベル3.5を経ずにレベル4を実施することも可能としている。10年のレベル3.5から始めて次の契約でレベル4を検討する順番も、最初からレベル4を選ぶ順番も、どちらもガイドラインの考え方に沿う。
反対論と海外の再公営化
自治労の要請と市民団体の動き、パリとベルリンの再公営化を出典ごとに
ウォーターPPPには、国内に要件そのものへの反対があり、海外の再公営化も反対の根拠としてよく挙げられる。海外の事例は、出典によって評価が分かれている。
国内の主な批判
自治労の公営企業評議会は、2024年11月20日(水道部会)と12月3日(下水道部会)に国土交通省へ要請した。ウォーターPPPに関わる要請は次の2点である。
- 水道部会は、自治体の関与が薄れ、人材や技術力の低下やサービス悪化の懸念があるとして、ガイドラインで強引な誘導をしないことと、補助金や交付金でウォーターPPPの導入を交付要件としないことを求めた
- 下水道部会は、ウォーターPPPの導入を汚水管の改築更新に対する交付金の要件とすることは、自治体の実情にそぐわない民営化・委託化の推進に繋がる懸念があるとして、要件の撤廃を求めた
浜松市では「浜松市の水道民営化を考える市民ネットワーク」が、全国の団体とともに、ウォーターPPPを決めないと下水道管の補助金を減らす仕組みをやめるよう求める署名を集めており、2026年2月26日に1回目の署名を提出した。浜松市長は2019年1月に、上水道へのコンセッションの導入延期を表明している。宮城県では、みやぎ型管理運営方式が、2021年の前回に続き2025年の知事選でも争点の一つになった。
海外の再公営化事例
パリ(フランス)
日本政策投資銀行の足立慎一郎氏の寄稿は、次のように書いている。パリ市の水道は1985年以降、送配水をパリ市とヴェオリアとスエズが出資する第3セクターが、給水をヴェオリアとスエズの子会社が受け持っていた。2010年以降は業務を統合し、パリ市100%出資の公社「オー・ド・パリ」が実施している。再公営化の理由は、民間委託の期間中に料金が2倍以上になって市民の不満が高まったことと、市の専門知識やモニタリングのノウハウが失われつつあったことで、再公営化の際に料金を8%値下げした。ただし値上げは当初の契約の計算式に基づく予定どおりのもので、民間企業が運営したためとは言い切れない。再公営化では3,000万ユーロ(約37億4,000万円)の移転コストがかかり、その後もヴェオリアとスエズに一部の業務を委託している。
一方、岸本聡子氏の論文は、再公営化後の調査で、7%と報告されていた営業利益が実際には15〜20%だったと分かったこと、株主配当や役員報酬の支払いが不要になったことなどで民営化時代より4000万ユーロを節約し、2011年に水道料金を8%下げたことを挙げている。
ベルリン(ドイツ)
ベルリン州は、水道会社の持分を持っていたRWEから2012年に持分を6億1,800万ユーロで買い戻し、2013年にはヴェオリアの持分24.95%を5億9,000万ユーロで買い戻すことで合意した。同紙は、ヴェオリア分の価格は専門家や政治の予想を大きく下回ったと書き、2011年の住民投票の成功が一部売却を戻す圧力になったとしている。
世界の件数
岸本聡子氏の論文は、2000年から2016年末までに、世界で少なくとも267件の水道再公営化を確認したと書く。日経BPの寄稿は、フランスでは2010〜15年に、民間委託から公共直営に戻した例が68件(人口で約60万人)、公共直営から民間委託に移した例も68件(約100万人)で、「再公営化が増えている」とは言えないとしている。
日本の制度との違い
日本のコンセッション方式は、施設の所有権を公共主体が持ったまま、施設の運営権を民間事業者に設定する(ガイドライン第3.0版1.1)。ベルリンは水道会社の持分を民間に売っていたので、戻すには持分の買い戻しが必要だった。パリについて日経BPの寄稿は、再公営化の前も後も水道事業の最終責任は公共が負っており、フランスには水道事業のすべてを民間企業に委ねる「完全な民営化」という概念は無いと書く。
同じ寄稿は、日本への示唆として、直営であれ民間委託であれ事業の透明性を確保する体制を整えることが最も重要で、民間委託は公共に適切なガバナンスやモニタリングの能力と体制があって機能すると書く。小規模自治体は、委託した民間企業の運営を単独でモニタリングするのが難しいとも書いている。大阪狭山市と河内長野市は、年次報告会での共同モニタリングと、一方の市が解除したときの契約解除権を、共同発注に入れている。
自治体が判断すべき7軸
対象の改築、発注の単位、委託の経験、モニタリング、解除、議会、公表の期限の7軸
ガイドライン第3.0版と、ここまでの事例から、判断の軸を7つに分ける。
各軸は、自団体の経営状況・施設状況・人材体制と照らし合わせて判断する。「やる/やらない」の二択ではなく、どの施設を対象に、単独か共同かで、どのレベルから始めるかを決める問題として捉えるのが実務的である。
まとめ:2026年度がターニングポイント
大阪府域では、大阪市の管路PFIと、大阪狭山市・河内長野市の広域型レベル3.5という、発注者も方式も違う2つの「全国初」が動いた。一方、令和9年度(2027年度)からは、汚水管の改築の国費支援にウォーターPPP導入の決定が要件になる。レベル3.5では、決定済みとなる募集要項等の公表までに2〜3年程度かかる。
2市は、10年以上の包括委託を経て、協議の開始から約3年で公募に至った。これから始める自治体がまず確かめるのは、令和9年度以降の改築計画に、対象の汚水管の改築があるかどうかである。
具体的な制度詳細(レベル3.5の4要件、対象になる改築、間に合わないときの道)は ウォーターPPP完全解説:令和9年度の交付要件とレベル3.5への自治体準備ガイド を参照。本記事はその上で、大阪府域の事例という「地域・時系列」の視点を加えるものである。
次にやること
この記事を読んだあと、その週のうちに動かせる順に並べる。
| 順 | やること | どこで | 目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 令和9年度以降の改築計画に、対象の汚水管の改築があるかを確かめる(処理場・ポンプ場の改築、汚水管の新設は対象外。緊急輸送道路と重要物流道路の下の管路の耐震化は例外) | 庁内の下水道の計画担当。迷ったら都道府県の下水道担当課か国交省 | 半日 |
| 2 | 管路施設の情報がGISのデータベースで管理されているかを確かめる(ウォーターPPPとは別建ての交付要件) | 庁内の下水道台帳担当 | 半日 |
| 3 | 令和9年度の汚水管改築の予定額を出す。交付金が無い場合にいくら足りないかを数える | 予算担当 | 1週間 |
| 4 | 1〜3を持って、レベル3.5で公募まで走るか、レベル4に切り替えるか、近隣と共同で発注するか、令和10年度以降に回すかを決める | 部内の意思決定 | - |
| 5 | 共同発注を考えるなら、大阪狭山市と河内長野市の資料(協定書、要求水準の統一、契約解除権)を読んだうえで、近隣自治体に声をかける | 近隣自治体 | - |
| 6 | 走ると決めたらサウンディングを先に打つ | 民間事業者 | 2〜3か月 |
1と2は、この記事を読んだ人が今日できる。1で対象の改築が無いと分かれば、以降は不要になる。