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公園×アウトドアフィットネス — 健康増進型Park-PFIの設計と収支
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公園×アウトドアフィットネス — 健康増進型Park-PFIの設計と収支

横田直也
約6分で読めます

Park-PFI制度を活用して公園にアウトドアフィットネス施設を設置・運営するための手順を解説。ランニングステーション、ヨガ、機能訓練、健康遊具の設計から収支モデル、自治体の健康増進政策との連動まで2026年最新情報で紹介する。

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ざっくり言うと

  1. 公園を健康増進フィットネスの拠点にするPark-PFI活用が増加しており、ランニングステーション・ヨガスタジオ・アウトドアジム等を公園内に設置する事例が全国で広がっている
  2. 健康増進型Park-PFIの収益構造は、月会費制のフィットネスプログラム(月5,000〜15,000円)とカフェ等の物販収入の組み合わせで設計する
  3. 自治体の健康増進計画・介護予防事業との連携により、行政からの業務委託収入や健康ポイント事業との連動が可能となり、収入の安定化につながる

なぜ公園でフィットネスなのか

屋内ジムとの差別化要因と健康増進政策の追い風

月5,000〜15,000円

アウトドアフィットネスプログラムの月会費の相場

屋内ジム(月8,000〜15,000円)と同等〜やや低めの価格設定が多い

最長20年

Park-PFIによる設置管理許可期間

長期的なフィットネス事業の投資回収が可能

約53兆円

国民医療費(2022年度概算)

予防医療・健康増進への公的投資拡大の追い風

Park-PFI制度では、飲食店だけでなくスポーツ施設・健康増進施設も公募対象公園施設として設置可能であり、事業者の創意工夫によりさまざまな健康関連施設の設置が進んでいる

屋内ジムとの差別化

アウトドアフィットネスは、以下の点で従来の屋内フィットネスジムと差別化できる。

差別化要素内容
自然環境緑・風・光の中での運動は心理的なリラックス効果が高い
開放感天井のない空間での運動体験は屋内にはない魅力
コミュニティ公園という公共空間が生むオープンなコミュニティ形成
低コスト建物建設費が不要(付帯施設のみ)で、会費を抑えられる
行政連携自治体の健康増進事業との連動で安定収入を確保しやすい

健康増進政策の追い風

2022年度の国民医療費は約53兆円に達し、高齢化に伴う医療費の増大が財政上の大きな課題となっている。予防医療・健康増進への投資拡大は国の重点政策であり、公園を活用した健康づくり事業は自治体にとっても優先度の高いテーマだ。


施設設計の考え方

ランニングステーション、アウトドアヨガ、健康遊具、機能訓練の配置設計

基本コンセプト

健康増進型Park-PFIの施設は、以下の要素を組み合わせて設計する。

① ランニングステーション(拠点施設)

更衣室・シャワー・ロッカーを備えた拠点施設。公園でのランニング・ウォーキングの起点となる。施設規模は30〜80㎡程度で、建設費は 1,000〜3,000万円 が目安。

② アウトドアプログラムスペース

芝生広場やウッドデッキ上でヨガ・ピラティス・ストレッチ・太極拳等のグループプログラムを実施するスペース。天然芝または人工芝の整備と、日除けシェード・音響設備の設置が必要。整備費は 500〜1,500万円

③ 健康遊具・アウトドアジム

ぶら下がり・腹筋台・背伸ばし・バランス運動等の健康遊具を公園内に配置する。遊具の設置費は1基 50〜150万円 、10基程度で 500〜1,500万円

④ 高齢者向け機能訓練スペース

介護予防・フレイル対策のための軽運動プログラムを実施するスペース。屋外のベンチ・手すり付きウォーキングコースの整備が中心。整備費は 300〜800万円

施設配置の基本パターン

┌──────────────────────────────────┐
│          公 園 全 体              │
│                                  │
│  ┌────────┐  ┌──────────────┐   │
│  │ランステ  │  │アウトドア      │   │
│  │+カフェ   │  │プログラム     │   │
│  │(拠点施設)│  │スペース       │   │
│  └────────┘  └──────────────┘   │
│                                  │
│  ○○○○○  ┌──────────────┐   │
│  健康遊具   │高齢者向け      │   │
│  エリア    │機能訓練コース   │   │
│            └──────────────┘   │
│                                  │
│  ═══════════════════════         │
│  ランニング・ウォーキングコース    │
└──────────────────────────────────┘

収支モデルの設計

4つの収入源と運営コストの損益シミュレーション

4つの収入源

健康増進型Park-PFIの収入は、以下の4本柱で構成する。

① 月会費制フィットネスプログラム

プラン月額対象
フルタイム会員10,000〜15,000円全プログラム参加可
デイタイム会員5,000〜8,000円平日昼間のみ
シニア会員3,000〜5,000円高齢者向け軽運動プログラム
ビジター1,000〜2,000円/回都度利用

② 行政委託収入

自治体の健康増進事業・介護予防事業の業務委託を受託する。

  • 介護予防教室の運営委託:月10〜30万円
  • 健康ポイント事業の運用:年間50〜100万円
  • 健康測定会・健康相談会の実施:1回5〜10万円

③ カフェ・物販

ランニングステーションに併設するカフェで、スムージー・プロテインドリンク・軽食を提供。

④ イベント・企業向けプログラム

企業の健康経営支援プログラム、チームビルディングイベント等。

月次収支シミュレーション

会員200名規模のアウトドアフィットネス+カフェの月次収支モデルを示す。

収入(月額)

  • 月会費収入:会員200名 × 平均8,000円 = 160万円
  • ビジター利用:1日5名 × 1,500円 × 28日 = 21万円
  • 行政委託収入:月20万円
  • カフェ収入:月40万円
  • イベント・企業プログラム:月10万円
  • 月額収入合計:約251万円

支出(月額)

  • 人件費(インストラクター2名+スタッフ2名):月80万円
  • カフェ原材料費:月12万円
  • 光熱費・通信費:月8万円
  • 設置管理許可使用料:月10万円
  • 保険料:月5万円
  • 設備維持・修繕:月8万円
  • 広告・PR:月10万円
  • 公園整備費還元分:月8万円
  • 月額支出合計:約141万円

月次営業利益:約110万円(営業利益率 約43.8%)

建物建設費が最小限で済むため、屋内ジムに比べて固定費が低く、高い営業利益率が見込める。ただし、天候による利用者数の変動が大きいため、年間を通じた平均で判断する必要がある。


自治体の健康増進政策との連動

健康増進計画・介護予防事業・健康ポイント事業との連携スキーム

健康増進計画との接続

自治体の「健康増進計画」「スポーツ推進計画」に公園フィットネスを位置づけてもらうことで、以下のメリットが生まれる。

  • 行政からの業務委託収入の獲得
  • 公園利用者への行政広報による集客支援
  • 健康ポイント事業等との連携による利用インセンティブ
  • 補助金・交付金の活用可能性の拡大

介護予防事業との連携

高齢者向けの機能訓練・フレイル予防プログラムを提供する事業者は、「介護予防・日常生活支援総合事業」の委託先として自治体から業務を受託できる可能性がある。これは安定的な収入源となりうる。

健康経営との連携

企業の「健康経営」への取り組み支援として、福利厚生プログラムの提供(企業契約による法人会員制度)も有力な収入源だ。月額1人5,000円 × 50名で月25万円の安定収入が見込める。


先行事例と成功条件

全国の健康増進型公園事例から導く成功パターン

健康増進型公園の成功パターン

全国のPark-PFI事例から、健康増進に焦点を当てた取り組みの共通パターンを整理する。

パターン内容事例エリア
ランステ+カフェ型ランニングステーションとカフェの複合施設都市部の大規模公園
アウトドアヨガ型芝生広場でのグループレッスン海沿い・リゾート型公園
健康遊具整備型高齢者向け健康遊具の重点配置住宅地隣接の中規模公園
複合型上記全要素の統合広域公園・総合公園

成功条件の整理

条件内容
立地住宅地に隣接し、日常的に通える距離
公園の規模ランニングコース1周500m以上が確保できる規模
行政連携健康増進計画への位置づけと業務委託の獲得
指導者の質資格保有インストラクターの確保(NSCA-CPT、ヨガインストラクター等)
コミュニティ会員同士の交流イベント・SNSグループの運営

開業に必要な許認可と手続き

Park-PFI公募、フィットネス事業の届出、保険加入の確認事項

Park-PFIによるアウトドアフィットネス事業の開業に必要な主な手続きは以下の通りだ。

  • Park-PFI公募への応募と設置管理許可の取得
  • 建築確認申請(ランステ等の建物がある場合)
  • 飲食店営業許可(カフェ併設の場合)
  • フィットネスクラブの安全基準の確認(経済産業省ガイドライン)
  • スポーツ安全保険またはフィットネス賠償責任保険の加入
  • AED(自動体外式除細動器)の設置
  • 有資格インストラクターの配置計画
  • 自治体の健康増進担当課・スポーツ担当課への事前相談
ガイド

Park-PFI制度ガイド

Park-PFI制度の仕組み・法的根拠・特例措置を体系的に解説

ガイド

公園カフェ・レストランの開業ガイド

Park-PFIを活用した飲食事業の始め方を初心者向けに解説


参考文献

Park-PFI活用ガイドライン (2023)

国民医療費の概況(令和4年度) (2024)

PPP/PFI推進アクションプラン(令和6年改定版) (2024)

読んだ後に考えてみよう

  1. 出店を検討している公園の来園者属性(年齢層・来園目的・滞在時間)を把握しているか?フィットネスへの潜在需要はあるか?
  2. 雨天・猛暑・冬季など天候条件が悪い時期のプログラム運営をどう設計するか?屋内退避スペースの確保は可能か?
  3. 自治体の健康増進計画における公園活用の位置づけを確認しているか?行政の介護予防事業との連携が可能か?
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