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ARTICLE · Park-PFI

公園×アウトドアフィットネス:健康増進型Park-PFIの設計と収支

Park-PFI制度を活用して公園にアウトドアフィットネス施設を設置・運営するための手順を解説。ランニングステーション、ヨガ、機能訓練、健康遊具の設計から収支モデル、自治体の健康増進政策との連動まで2026年最新情報で紹介する。

この記事の要点

  • 公園にランニングステーション・ヨガスタジオ・アウトドアジムを置くPark-PFIの設計を整理する。業態別の全国集計は公表されていないので、件数は書いていない
  • 健康増進型Park-PFIの収益構造は、月会費制のフィットネスプログラム(月5,000〜15,000円)とカフェ等の物販収入の組み合わせで設計する
  • 自治体の健康増進計画・介護予防事業との連携により、行政からの業務委託収入や健康ポイント事業との連動が可能となり、収入の安定化につながる
対象読者・読む前に確認したいこと

こんな方に

  • 公園でのアウトドアフィットネス事業の開業を検討しているフィットネス事業者
  • Park-PFI制度を活用した健康増進施設の誘致を検討している自治体の公園・健康担当者
  • 公園を活用した介護予防・フレイル対策事業に関心がある医療・福祉関係者

前提となる知識

  • Park-PFI制度の基本的な仕組み
  • フィットネス事業の基礎知識
この記事の内容

なぜ公園でフィットネスなのか

屋内ジムとの差別化要因と健康増進政策の追い風

出典を示していない収支試算の単価・金額は、説明用に仮定した数値であり、統計に基づく相場ではない。事業計画を作る際は、対象施設の状態や立地、事業内容に応じた見積もりと実績を用いる。出典を示した統計や事例の金額は、この仮定とは区別して参照する。

アウトドアフィットネスプログラムの月会費の相場

月5,000〜15,000円

屋内ジム(月8,000〜15,000円)と同等〜やや低めの価格設定が多い

Park-PFIによる設置管理許可期間

最長20年

長期的なフィットネス事業の投資回収が可能

国民医療費(令和5年度)

48兆915億円

人口一人当たり38万6,700円。対GDP比8.08%

Park-PFI制度では、飲食店だけでなくスポーツ施設・健康増進施設も公募対象公園施設として設置可能であり、事業者の創意工夫によりさまざまな健康関連施設の設置が進んでいる。

屋内ジムとの差別化

アウトドアフィットネスは、以下の点で従来の屋内フィットネスジムと差別化できる。

Park-PFI の手続き6段。方針の整理、サウンディング、指針の公示、計画の提出、選定、認定。
公募条件の検討段階で民間の意見を聞き、参入条件や運営上の課題を指針に反映する出典: 国土交通省 都市局「都市公園の質の向上に向けた Park-PFI 活用ガイドライン」(令和7年5月改正版)3.1〜3.6
差別化要素内容
自然環境緑・風・光の中での運動は心理的なリラックス効果が高い
開放感天井のない空間での運動体験は屋内にはない魅力
コミュニティ公園という公共空間が生むオープンなコミュニティ形成
低コスト建物建設費が不要(付帯施設のみ)で、会費を抑えられる
行政連携自治体の健康増進事業との連動で安定収入を確保しやすい

健康増進政策の追い風

令和5年度の国民医療費は48兆915億円。前年度の46兆6,967億円に比べて1兆3,948億円、3.0%の増加。人口一人当たりでは38万6,700円(前年度37万3,700円)、国内総生産に対する比率は8.08%(前年度8.23%)。予防医療・健康増進への投資拡大は国の重点政策であり、公園を活用した健康づくり事業は自治体にとっても優先度の高いテーマだ。


施設設計の考え方

ランニングステーション、アウトドアヨガ、健康遊具、機能訓練の配置設計

基本コンセプト

健康増進型Park-PFIの施設は、以下の要素を組み合わせて設計する。

① ランニングステーション(拠点施設)

更衣室・シャワー・ロッカーを備えた拠点施設。公園でのランニング・ウォーキングの起点となる。施設規模は30〜80㎡程度で、建設費は 1,000〜3,000万円 が目安。

② アウトドアプログラムスペース

芝生広場やウッドデッキ上でヨガ・ピラティス・ストレッチ・太極拳等のグループプログラムを実施するスペース。天然芝または人工芝の整備と、日除けシェード・音響設備の設置が必要。整備費は 500〜1,500万円 。

③ 健康遊具・アウトドアジム

ぶら下がり・腹筋台・背伸ばし・バランス運動等の健康遊具を公園内に配置する。遊具の設置費は1基 50〜150万円 、10基程度で 500〜1,500万円 。

④ 高齢者向け機能訓練スペース

介護予防・フレイル対策のための軽運動プログラムを実施するスペース。屋外のベンチ・手すり付きウォーキングコースの整備が中心。整備費は 300〜800万円 。

施設配置の基本パターン

┌──────────────────────────────────┐
│          公 園 全 体              │
│                                  │
│  ┌────────┐  ┌──────────────┐   │
│  │ランステ  │  │アウトドア      │   │
│  │+カフェ   │  │プログラム     │   │
│  │(拠点施設)│  │スペース       │   │
│  └────────┘  └──────────────┘   │
│                                  │
│  ○○○○○  ┌──────────────┐   │
│  健康遊具   │高齢者向け      │   │
│  エリア    │機能訓練コース   │   │
│            └──────────────┘   │
│                                  │
│  ═══════════════════════         │
│  ランニング・ウォーキングコース    │
└──────────────────────────────────┘

収支モデルの設計

4つの収入源と運営コストの損益シミュレーション

4つの収入源

健康増進型Park-PFIの収入は、以下の4本柱で構成する。

① 月会費制フィットネスプログラム

プラン月額対象
フルタイム会員10,000〜15,000円全プログラム参加可
デイタイム会員5,000〜8,000円平日昼間のみ
シニア会員3,000〜5,000円高齢者向け軽運動プログラム
ビジター1,000〜2,000円/回都度利用

② 行政委託収入

自治体の健康増進事業・介護予防事業の業務委託を受託する。

  • 介護予防教室の運営委託:月10〜30万円
  • 健康ポイント事業の運用:年間50〜100万円
  • 健康測定会・健康相談会の実施:1回5〜10万円

③ カフェ・物販

ランニングステーションに併設するカフェで、スムージー・プロテインドリンク・軽食を提供。

④ イベント・企業向けプログラム

企業の健康経営支援プログラム、チームビルディングイベント等。

月次収支シミュレーション

会員200名規模のアウトドアフィットネス+カフェの月次収支モデルを示す。

収入(月額)

  • 月会費収入:会員200名 × 平均8,000円 = 160万円
  • ビジター利用:1日5名 × 1,500円 × 28日 = 21万円
  • 行政委託収入:月20万円
  • カフェ収入:月40万円
  • イベント・企業プログラム:月10万円
  • 月額収入合計:約251万円

支出(月額)

  • 人件費(インストラクター2名+スタッフ2名):月80万円
  • カフェ原材料費:月12万円
  • 光熱費・通信費:月8万円
  • 設置管理許可使用料:月10万円
  • 保険料:月5万円
  • 設備維持・修繕:月8万円
  • 広告・PR:月10万円
  • 公園整備費還元分:月8万円
  • 月額支出合計:約141万円

月次営業利益:約110万円(営業利益率 約43.8%)

建物建設費が最小限で済むため、屋内ジムに比べて固定費が低く、高い営業利益率が見込める。ただし、天候による利用者数の変動が大きいため、年間を通じた平均で判断する必要がある。


自治体の健康増進政策との連動

健康増進計画・介護予防事業・健康ポイント事業との連携スキーム

健康増進計画との接続

自治体の「健康増進計画」「スポーツ推進計画」に公園フィットネスを位置づけてもらうことで、以下のメリットが生まれる。

  • 行政からの業務委託収入の獲得
  • 公園利用者への行政広報による集客支援
  • 健康ポイント事業等との連携による利用インセンティブ
  • 補助金・交付金の活用可能性の拡大

介護予防事業との連携

高齢者向けの機能訓練・フレイル予防プログラムを提供する事業者は、「介護予防・日常生活支援総合事業」の委託先として自治体から業務を受託できる可能性がある。これは安定的な収入源となりうる。

健康経営との連携

企業の「健康経営」への取り組み支援として、福利厚生プログラムの提供(企業契約による法人会員制度)も有力な収入源だ。月額1人5,000円 × 50名で月25万円の安定収入が見込める。


先行事例と成功条件

全国の健康増進型公園事例から導く成功パターン

健康増進型公園の成功パターン

全国のPark-PFI事例から、健康増進に焦点を当てた取り組みの共通パターンを整理する。

パターン内容事例エリア
ランステ+カフェ型ランニングステーションとカフェの複合施設都市部の大規模公園
アウトドアヨガ型芝生広場でのグループレッスン海沿い・リゾート型公園
健康遊具整備型高齢者向け健康遊具の重点配置住宅地隣接の中規模公園
複合型上記全要素の統合広域公園・総合公園

成功条件の整理

条件内容
立地住宅地に隣接し、日常的に通える距離
公園の規模ランニングコース1周500m以上が確保できる規模
行政連携健康増進計画への位置づけと業務委託の獲得
指導者の質資格保有インストラクターの確保(NSCA-CPT、ヨガインストラクター等)
コミュニティ会員同士の交流イベント・SNSグループの運営

開業に必要な許認可と手続き

Park-PFI公募、フィットネス事業の届出、保険加入の確認事項

Park-PFIによるアウトドアフィットネス事業の開業に必要な主な手続きは以下の通りだ。

  • Park-PFI公募への応募と設置管理許可の取得
  • 建築確認申請(ランステ等の建物がある場合)
  • 飲食店営業許可(カフェ併設の場合)
  • フィットネスクラブの安全基準の確認(経済産業省ガイドライン)
  • スポーツ安全保険またはフィットネス賠償責任保険の加入
  • AED(自動体外式除細動器)の設置
  • 有資格インストラクターの配置計画
  • 自治体の健康増進担当課・スポーツ担当課への事前相談
ガイド

Park-PFI制度ガイド

Park-PFI制度の仕組み・法的根拠・特例措置を体系的に解説

ガイド

公園カフェ・レストランの開業ガイド

Park-PFIを活用した飲食事業の始め方を初心者向けに解説


次にやること

Park-PFIの導入を検討する際は、公園の条件と利用状況、民間事業者の意向を確認する。

順確認・検討すること担当・相談先
1公園の敷地面積と既存施設の建築面積を確認する。休養施設や運動施設を含め、建蔽率の現況を把握する公園担当
2条例で定める建蔽率と適用できる特例を確認する。既存施設の建築面積と照合し、新たな施設を設けられるかを判断する公園担当
3来園者数と利用状況を調べる。平日・休日や季節による違いを確認し、需要の見込みを検討する現地調査、既存の調査資料
4条件の近い公園の使用料の実績を確認する。面積や立地、施設の用途などの違いも比較する先行自治体、公表資料
5調査結果と活用方針を示して民間事業者の意見を聞く。参入意向と、事業が成立するために必要な条件を確認するサウンディング

新たな施設を設けられるかどうかは、既存施設の建築面積と条例の規定を確認して判断する。増築の余地がない場合も、既存施設の活用や別の事業手法を含めて検討する。


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Park-PFIとは?

制度の仕組み・3つの特例・導入事例をわかりやすく解説

この記事で使った統計の出典

  1. 1本記事の整理
  2. 2国土交通省 都市局「都市公園の質の向上に向けた Park-PFI 活用ガイドライン」(令和7年5月改正版)2.3(2025) 出典を開く
  3. 3厚生労働省「令和5(2023)年度 国民医療費の概況」(2025) 出典を開く
  4. 4国土交通省 Park-PFI活用ガイドライン(2023年3月改定) 出典を開く

参考文献

Park-PFI活用ガイドライン/国土交通省 都市局 (2023)

令和5(2023)年度 国民医療費の概況 結果の概要/厚生労働省 (2025)

PPP/PFI推進アクションプラン(令和6年改定版)/内閣府民間資金等活用事業推進室 (2024)

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訂正の内容

  1. :健康増進型のPark-PFIが増加し全国で広がっているという要約を直しました。

    訂正前
    公園を健康増進フィットネスの拠点にするPark-PFI活用が増加しており、ランニングステーション・ヨガスタジオ・アウトドアジム等を公園内に設置する事例が全国で広がっている
    訂正後
    公園にランニングステーション・ヨガスタジオ・アウトドアジムを置くPark-PFIの設計を整理する。業態別の全国集計は公表されていないので、件数は書いていない

    理由 業態別の全国集計は国土交通省から公表されていないので、この業態が何件あるかも、増えたかどうかも確かめられません。

  2. :国民医療費の額が出典と合っていませんでした。最新の概況に差し替えました。

    訂正前
    2022年度の国民医療費は約53兆円
    訂正後
    令和5年度の国民医療費は48兆915億円(前年度46兆6,967億円から3.0%の増加)

    理由 出典に挙げていたのは厚生労働省「令和4(2022)年度 国民医療費の概況」の入口ページで、53兆円という数字はそこにありません。同省の結果の概要では令和4年度が46兆6,967億円、令和5年度が48兆915億円です。53兆円の出どころは確認できませんでした。最新の令和5年度(令和7年10月10日公表)に差し替え、リンク先も結果の概要のPDFにしています。

ご自身の案件で確認すること

  • 出店を検討している公園の来園者属性(年齢層・来園目的・滞在時間)を把握しているか?フィットネスへの潜在需要はあるか?
  • 雨天・猛暑・冬季など天候条件が悪い時期のプログラム運営をどう設計するか?屋内退避スペースの確保は可能か?
  • 自治体の健康増進計画における公園活用の位置づけを確認しているか?行政の介護予防事業との連携が可能か?

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