四国の公共資産活用の現状
四国4県のPPP/PFI導入状況と全国との比較
全国のPark-PFI活用数
203公園
令和7年度末
四国4県のPark-PFI実施数
極少
愛媛PPP/PFI地域PF設立
2022年
四国4県(香川県・愛媛県・徳島県・高知県)は、全国203公園でPark-PFIが活用されている中で、四国地方の事例は極めて少ない状況にある。スモールコンセッション形成推進事業の選定自治体にも四国の自治体は含まれておらず、PPP/PFI全般において「導入空白地帯」と言わざるを得ない。
全国との比較
Park-PFIの活用状況は都道府県別に公表されている。数の差は一覧で直接確かめられる。
| 都道府県 | 国土交通省の一覧に出ている数 |
|---|---|
| 東京都 | 18箇所(全国で最も多い) |
| 福岡県 | 17箇所 |
| 神奈川県 | 14箇所 |
| 愛知県・大阪府 | 各13箇所 |
| 香川県 | 1箇所(高松市 中央公園) |
| 高知県 | 2箇所(高知県 五台山公園、高知市 桂浜公園) |
| 徳島県・愛媛県 | 一覧に出ていない |
この一覧で四国4県に出ているのは、香川県1箇所と高知県2箇所の合わせて3箇所である。徳島県と愛媛県は1箇所も出ていない。全国203箇所に対して3箇所だ。
なお九州でも熊本県は一覧に出ていない。ここから先は本記事の見方である。 数の差の理由を示した資料は見つかっていないので、以下は構造から読んだものとして扱う。
導入が遅れている3つの構造的要因
人口規模・民間事業者の不在・庁内体制の未整備
出典を示していない収支試算の単価・金額は、説明用に仮定した数値であり、統計に基づく相場ではない。事業計画を作る際は、対象施設の状態や立地、事業内容に応じた見積もりと実績を用いる。出典を示した統計や事例の金額は、この仮定とは区別して参照する。
要因1: 人口規模の制約
四国4県の県庁所在地の人口は、高松市407,208人・松山市497,041人・徳島市241,075人・高知市309,383人(令和7年国勢調査 速報値、令和7年10月1日現在)であり、政令市が存在しない。Park-PFIが活発な横浜市(約375万人)・名古屋市(約235万人)・福岡市(約166万人)等と比較すると、人口規模の差が歴然としている。
人口規模が小さいことは、以下の3点でPark-PFIの導入ハードルを高める。
- 公園利用者数の上限が低い: 収益施設の売上の源泉となる公園利用者数が限定的
- 民間事業者の参入意欲が低い: 収益の見通しが立ちにくく、大手事業者の参入動機が弱い
- 先行事例が少ない: 事例がないと「うちでもできる」という自信が持てず、導入が遅れる悪循環
要因2: 民間事業者の不在
PPP/PFI推進の課題として「庁内に推進体制がない」と回答する自治体が半数以上を占める全国的な課題が、四国ではさらに顕著である。
四国圏には、Park-PFIやスモールコンセッションの実績を持つ民間事業者が少ない。首都圏・関西圏の大手事業者が四国まで進出するインセンティブも限定的であり、「事業者がいない→導入できない→事業者が育たない」という悪循環が生じている。
要因3: 庁内体制の未整備
PPP/PFIの導入には、公園管理部門・財政部門・企画部門・法務部門の横断的な連携が必要である。四国の中小自治体では職員数が限られており、PPP/PFI専門の担当者を配置できない自治体が多い。
芽吹きの動き
讃岐まんのう公園のサウンディング、愛媛PPP/PFI地域PFの設立
四国が完全な空白地帯であるわけではない。いくつかの注目すべき動きが生まれている。
讃岐まんのう公園のサウンディング
国営讃岐まんのう公園(香川県まんのう町)では、民間活力導入の可能性を探るサウンディング型市場調査が実施された。
国営公園でのサウンディング実施は、四国地方における官民連携の可能性を示す重要な一歩である。サウンディング型市場調査は「まず民間に聞いてみる」という低コスト・低リスクの手法であり、PPP/PFI導入の入口として最適だ。
愛媛PPP/PFI地域プラットフォーム
愛媛県は令和4年(2022年)3月に「愛媛PPP/PFI地域プラットフォーム」を設立した。県内の地方公共団体における高度経済成長期に集中整備された公共施設の老朽化問題に対応するため、PPP/PFI事業の導入を組織的に促進する狙いがある。
地域プラットフォームの機能は以下の通りである。
- 情報共有: PPP/PFIの先行事例・制度改正等の情報を県内自治体に提供
- 研修・セミナー: 自治体職員向けのPPP/PFI研修の実施
- マッチング: 自治体と民間事業者のマッチング支援
- 広域連携: 県内複数自治体での共同事業の検討支援
四国の公共資産の特徴
遊休施設・廃校・公園の類型と活用可能性
四国4県には、PPP/PFIの対象となりうる公共資産が多数存在する。
廃校
平成16年度から令和5年度までの廃校発生数は、都道府県別で高知県142校、徳島県139校、愛媛県138校、香川県109校である。4県を足すと528校で、全国8,850校に対して6.0%にあたる(この足し算と割り算は本記事が行った)。中山間地域・離島に多く立地しており、福祉・観光・体験学習等への転用可能性がある。
全国の年度別発生数は2016年度以降279〜405校で、それ以前の年度(2004年度578校)より少ない。四国4県だけの年度別の数を出した資料は見つかっていない。
遊休公共施設
旧庁舎・旧公民館・旧教員住宅など、用途廃止後に活用方針が決まっていない施設が各自治体に存在する。スモールコンセッションの対象施設となりうるが、活用の検討すら着手されていないケースが多い。
都市公園
県庁所在地(高松・松山・徳島・高知)の都市公園は、Park-PFI導入の潜在的な候補地である。四国の県庁所在地は人口24万〜50万人規模であり、全国の事例を見ればこの規模でもPark-PFIが成立した事例は多数ある。
観光資源との組み合わせ
四国遍路・鳴門の渦潮・四万十川・道後温泉など、四国固有の観光資源は全国有数である。これらの観光資源と公園・公共施設を組み合わせた活用は、人口規模の制約を補う集客力をもたらす可能性がある。
今後の展開と必要な支援
四国でPPP/PFIを普及させるために何が必要か
四国でPPP/PFIを普及させるために必要なこと
① 県レベルの推進体制: 愛媛県のPPP/PFI地域プラットフォームを四国4県全てに展開する。個別自治体の体制不足を県が補完する仕組みが不可欠。
② 小規模成功事例の創出: 大規模Park-PFIをいきなり目指すのではなく、「カフェ1店舗」型の小規模な成功事例を積み上げる。成功体験が次の導入を生む。
③ 広域連携: 四国4県は経済圏が比較的コンパクトであり、県境を越えた広域連携が有効。四国4県合同でのサウンディング実施や、事業者プールの共有が考えられる。
④ 国の支援制度の積極活用: スモールコンセッション形成推進事業の専門家派遣制度は、費用負担なく専門家の知見を活用できる。四国の自治体がこの制度に応募することが第一歩だ。
→ PPP/PFIの手法比較については、官民連携7手法を徹底比較を参照されたい。
Park-PFI完全ガイド
公募設置管理制度の仕組み・手続きを網羅的に解説
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遊休施設の活用制度の基本を解説
Park-PFI最新事例・統計【2026年版】
全国203公園の統計と地域別動向
次にやること
指定管理者の辞退や公募不調に対応する際は、理由を把握したうえで管理方法と募集条件を見直す。
| 順 | 確認・検討すること | 担当・相談先 |
|---|---|---|
| 1 | 辞退や公募不調の理由を事業者に聞く。指定管理料、指定期間、修繕負担、人員など、どの条件が問題になったかを確認する | 現指定管理者、関心を示した事業者 |
| 2 | 指定管理料の算定根拠を確認する。人件費の前提を現在の最低賃金などと照合する | 担当課 |
| 3 | 直近5年の修繕要望と予算措置の実績を確認する。未対応の修繕と、今後必要になる費用を整理する | 営繕・予算担当 |
| 4 | 辞退の理由、管理料、修繕費を踏まえて、直営、非公募、条件を見直した再公募、別の事業手法を比較する | 所管課、意思決定を担う部署 |
| 5 | 再公募する場合は、物価変動への対応、指定期間、修繕の負担ルールを見直す | 募集要項の作成担当 |
再公募に当たっては、辞退や不調の理由を確認し、事業者が継続して運営できる条件へ見直す。事業者固有の事情と、募集条件の問題を分けて検討する。
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