四国の公共資産活用 — 導入空白地帯の可能性と課題
四国4県(香川・愛媛・徳島・高知)は、全国的にPPP/PFI・Park-PFI・スモールコンセッションの導入が遅れている「空白地帯」である。その構造的要因と、讃岐まんのう公園のサウンディング、愛媛PPP/PFI地域プラットフォーム等の芽吹きを分析する。
ざっくり言うと
- 四国4県はPark-PFI・スモールコンセッションの導入事例がほとんどなく、全国的な「導入空白地帯」となっている
- 国営讃岐まんのう公園(香川県)ではサウンディング型市場調査が実施されるなど、芽吹きの動きが見られる
- 愛媛県は2022年に「愛媛PPP/PFI地域プラットフォーム」を設立し、県内自治体のPPP/PFI導入を組織的に支援する体制を構築
四国の公共資産活用の現状
四国4県のPPP/PFI導入状況と全国との比較
165
全国のPark-PFI活用数
令和5年度末
極少
四国4県のPark-PFI実施数
2022年
愛媛PPP/PFI地域PF設立
四国4県(香川県・愛媛県・徳島県・高知県)は、全国165公園でPark-PFIが活用されている中で、四国地方の事例は極めて少ない状況にある。スモールコンセッション形成推進事業の選定自治体にも四国の自治体は含まれておらず、PPP/PFI全般において「導入空白地帯」と言わざるを得ない。
全国との比較
PPP/PFIの導入状況を地域別に見ると、以下の傾向が明確である。
| 地域 | 導入状況 | 背景 |
|---|---|---|
| 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉) | 全国最多 | 人口集中・民間事業者の豊富さ |
| 関西圏(大阪・兵庫・京都) | 活発 | 大都市と観光資源の集積 |
| 九州(福岡・大分・熊本) | 増加傾向 | PPP/PFI推進首長会議の波及効果 |
| 東北 | 事例増加中 | 復興関連の経験が PPP/PFI に転化 |
| 四国 | 空白に近い | 後述の構造的要因 |
導入が遅れている3つの構造的要因
人口規模・民間事業者の不在・庁内体制の未整備
要因1: 人口規模の制約
四国4県の県庁所在地の人口は、高松市(約42万人)・松山市(約51万人)・徳島市(約25万人)・高知市(約32万人)であり、政令市が存在しない。Park-PFIが活発な横浜市(374万人)・名古屋市(230万人)・福岡市(163万人)等と比較すると、人口規模の差が歴然としている。
人口規模が小さいことは、以下の3点でPark-PFIの導入ハードルを高める。
- 公園利用者数の上限が低い: 収益施設の売上の源泉となる公園利用者数が限定的
- 民間事業者の参入意欲が低い: 収益の見通しが立ちにくく、大手事業者の参入動機が弱い
- 先行事例が少ない: 事例がないと「うちでもできる」という自信が持てず、導入が遅れる悪循環
要因2: 民間事業者の不在
PPP/PFI推進の課題として「庁内に推進体制がない」と回答する自治体が半数以上を占める全国的な課題が、四国ではさらに顕著である。
四国圏には、Park-PFIやスモールコンセッションの実績を持つ民間事業者が少ない。首都圏・関西圏の大手事業者が四国まで進出するインセンティブも限定的であり、「事業者がいない→導入できない→事業者が育たない」という悪循環が生じている。
要因3: 庁内体制の未整備
PPP/PFIの導入には、公園管理部門・財政部門・企画部門・法務部門の横断的な連携が必要である。四国の中小自治体では職員数が限られており、PPP/PFI専門の担当者を配置できない自治体が多い。
芽吹きの動き
讃岐まんのう公園のサウンディング、愛媛PPP/PFI地域PFの設立
四国が完全な空白地帯であるわけではない。いくつかの注目すべき動きが生まれている。
讃岐まんのう公園のサウンディング
国営讃岐まんのう公園(香川県まんのう町)では、民間活力導入の可能性を探るサウンディング型市場調査が実施された。
国営公園でのサウンディング実施は、四国地方における官民連携の可能性を示す重要な一歩である。サウンディング型市場調査は「まず民間に聞いてみる」という低コスト・低リスクの手法であり、PPP/PFI導入の入口として最適だ。
愛媛PPP/PFI地域プラットフォーム
愛媛県は令和4年(2022年)3月に「愛媛PPP/PFI地域プラットフォーム」を設立した。県内の地方公共団体における高度経済成長期に集中整備された公共施設の老朽化問題に対応するため、PPP/PFI事業の導入を組織的に促進する狙いがある。
地域プラットフォームの機能は以下の通りである。
- 情報共有: PPP/PFIの先行事例・制度改正等の情報を県内自治体に提供
- 研修・セミナー: 自治体職員向けのPPP/PFI研修の実施
- マッチング: 自治体と民間事業者のマッチング支援
- 広域連携: 県内複数自治体での共同事業の検討支援
四国の公共資産の特徴
遊休施設・廃校・公園の類型と活用可能性
四国4県には、PPP/PFIの対象となりうる公共資産が多数存在する。
廃校
少子化の進行により、四国4県でも廃校は着実に増加している。中山間地域・離島に多く立地しており、福祉・観光・体験学習等への転用可能性がある。
遊休公共施設
旧庁舎・旧公民館・旧教員住宅など、用途廃止後に活用方針が決まっていない施設が各自治体に存在する。スモールコンセッションの対象施設となりうるが、活用の検討すら着手されていないケースが多い。
都市公園
県庁所在地(高松・松山・徳島・高知)の都市公園は、Park-PFI導入の潜在的な候補地である。四国の県庁所在地は人口25万〜51万人規模であり、全国の事例を見ればこの規模でもPark-PFIが成立した事例は多数ある。
観光資源との組み合わせ
四国遍路・鳴門の渦潮・四万十川・道後温泉など、四国固有の観光資源は全国有数である。これらの観光資源と公園・公共施設を組み合わせた活用は、人口規模の制約を補う集客力をもたらす可能性がある。
今後の展開と必要な支援
四国でPPP/PFIを普及させるために何が必要か
四国でPPP/PFIを普及させるために必要なこと
① 県レベルの推進体制: 愛媛県のPPP/PFI地域プラットフォームを四国4県全てに展開する。個別自治体の体制不足を県が補完する仕組みが不可欠。
② 小規模成功事例の創出: 大規模Park-PFIをいきなり目指すのではなく、「カフェ1店舗」型の小規模な成功事例を積み上げる。成功体験が次の導入を生む。
③ 広域連携: 四国4県は経済圏が比較的コンパクトであり、県境を越えた広域連携が有効。四国4県合同でのサウンディング実施や、事業者プールの共有が考えられる。
④ 国の支援制度の積極活用: スモールコンセッション形成推進事業の専門家派遣制度は、費用負担なく専門家の知見を活用できる。四国の自治体がこの制度に応募することが第一歩だ。
→ PPP/PFIの手法比較については、官民連携7手法を徹底比較を参照されたい。
Park-PFI完全ガイド
公募設置管理制度の仕組み・手続きを網羅的に解説
スモールコンセッションとは?
遊休施設の活用制度の基本を解説
Park-PFI最新事例・統計【2026年版】
全国165公園の統計と地域別動向
参考文献
Park-PFI等の制度活用状況 (令和5年度)
PPP/PFI推進における主体別の課題及び支援方策に関する検討業務報告書 (2017)
愛媛PPP/PFI地域プラットフォーム (2022)
PPP/PFI事例集 (2024)