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ARTICLE · Park-PFI

中部のPark-PFI:愛知・静岡・富山の事例と導入動向

中部地方(愛知・静岡・富山)のPark-PFI事例を解説。名古屋市鶴舞公園「TSURUMA GARDEN」、静岡市城北公園、愛知県小幡緑地、高岡おとぎの森公園の事例を通じて、中部地方のPark-PFI導入動向と地域特性を分析する。

この記事の要点

  • 名古屋市鶴舞公園では矢作地所を代表とするグループがPark-PFI事業「TSURUMA GARDEN」を2023年5月に開業。歴史ある公園の新旧共存モデル
  • 静岡市は城北公園のPark-PFI(スターバックス出店)に加え、市内16公園を対象としたサウンディングを実施。県内のPark-PFI先導役
  • 愛知県小幡緑地ではBBQ・キャンプ・レストランを備えた近郊公園型Park-PFIが展開されている
対象読者・読む前に確認したいこと

こんな方に

  • 中部地方の自治体でPark-PFIの導入を検討している担当者
  • 中部圏の公園での事業参入を検討している民間事業者
  • 地域別のPark-PFI導入動向を把握したい研究者

前提となる知識

  • Park-PFIの基本的な仕組み([Park-PFI完全ガイド](/park-pfi-guide)を参照)
この記事の内容

中部地方のPark-PFI概況

愛知・静岡・富山を中心とした中部地方の導入状況と地域特性

出典を示していない収支試算の単価・金額は、説明用に仮定した数値であり、統計に基づく相場ではない。事業計画を作る際は、対象施設の状態や立地、事業内容に応じた見積もりと実績を用いる。出典を示した統計や事例の金額は、この仮定とは区別して参照する。

全国のPark-PFI活用数

203公園

令和7年度末時点

中部地方の主要Park-PFI事例

4件+

静岡市のサウンディング対象公園数

16公園

中部地方(本稿では愛知県・静岡県・富山県を中心に取り上げる)は、全国でPark-PFIの活用が進む203公園のうち、複数の注目事例を生んでいる地域である。

Park-PFI の3つの特例。設置管理許可の期間は原則最長10年のところ最長20年、建蔽率は原則2%のところ最大12%、占用物件に自転車駐車場と催し物情報の看板・広告塔が加わる。
建蔽率の10%は休養施設等と合わせての10%。すでに12%に達している公園では便益施設を新設できない出典: 国土交通省 都市局「都市公園の質の向上に向けた Park-PFI 活用ガイドライン」(令和7年5月改正版)2.3

中部地方のPark-PFI導入には以下の地域特性が影響している。

① 製造業が盛んな経済圏: 愛知県を中心とする中部圏は製造業の集積地であり、民間企業の資金力・事業参入意欲が高い。Park-PFIへの事業者参入のハードルが相対的に低い。

② 政令市・中核市の存在: 名古屋市(約235万人)・静岡市(約66万人)・浜松市(約77万人)等の大都市がPark-PFI導入の先導役を果たしている。令和7年国勢調査の速報値では、名古屋市が2,345,892人、静岡市が659,620人、浜松市が765,750人である。

③ 観光資源の多様性: 静岡県の温泉・海岸、富山県の自然景観など、観光と公園活用の組み合わせが期待できる地域が多い。


名古屋市鶴舞公園「TSURUMA GARDEN」

明治42年開設の歴史ある公園のPark-PFIリニューアル

事業概要

名古屋市昭和区の鶴舞公園において、2023年5月27日にPark-PFI事業「TSURUMA GARDEN」がオープンした。矢作地所株式会社を代表とするグループが事業を実施している。

鶴舞公園の歴史と特殊性

鶴舞公園は明治42(1909)年11月19日に、名古屋市が設置した最初の公園であり、国の登録記念物にも登録されている。歴史的建造物(奏楽堂・鶴々亭等)や花の名所として市民に親しまれてきた。

の導入にあたっては、この歴史的価値を毀損しない設計が求められた。

整備エリアと施設構成

TSURUMA GARDENは以下の3エリアで構成される。

エリア場所主な施設
area1正面南エリアカフェ・レストラン等の商業施設
area2秋の池エリア商業施設・休憩スペース
area3秋の池エリア商業施設
熊沢山エリア熊沢山緑地・園路の整備(収益施設なし)

静岡市の複数公園展開

城北公園のPark-PFIと16公園サウンディングの戦略

城北公園のPark-PFI

静岡市は城北公園において、Park-PFIを活用した再整備事業を実施している。開園から約40年が経過した施設の老朽化に対応するため、民間活力を導入した。

設置等予定者として「つなぐ公園プロジェクト」が選定され、スターバックスコーヒーなどのカフェ施設と全天候型屋内施設の設置が計画されている。

16公園一括サウンディング

静岡市の取り組みで特筆すべきは、市内16公園を対象としたサウンディング型市場調査を一括実施したことである。

通常、は公園ごとに個別に実施されるが、静岡市は16公園を一度にまとめて民間事業者からアイデアを募った。このアプローチには以下のメリットがある。

  • 事業者の選択肢拡大: 事業者は16公園の中から自社に最適な立地・規模の公園を選べる
  • 行政の効率化: 個別実施よりサウンディングの実施コスト(広報・会場・人員)を削減
  • 比較検討の促進: 複数公園の提案を横断的に比較し、Park-PFIに適した公園の優先順位を決定

大浜公園のPark-PFI

静岡市ではさらに、大浜公園の再整備事業でもPark-PFIが活用されている。2025年夏にリニューアルオープンが予定されており、2040年3月まで民間主導で運営・維持管理される計画だ。


愛知県小幡緑地

近郊公園型のBBQ・キャンプ・レストラン事業

愛知県の小幡緑地(守山区)では、中部土木と岩間造園グループによるPark-PFI事業が実施されている。BBQサイト・キャンプ場・ビュッフェレストラン等の便益施設・遊戯施設が整備されており、近郊公園型のPark-PFIモデルとなっている。

近郊公園型Park-PFIの特徴

小幡緑地の事例は「都市近郊の大規模緑地」での典型的なPark-PFIパターンを示している。

  • ターゲット: 名古屋市内の家族連れ・若年層(車で30分圏内)
  • 業態: アウトドアレジャー(BBQ・キャンプ)+飲食(レストラン)
  • 集客モデル: 週末・祝日の日帰りレジャー需要を中心とする
  • 季節性: 春〜秋のアウトドアシーズンに集中するため、冬季の収益確保が課題

富山県高岡おとぎの森公園

地方中核都市のカフェ型Park-PFI

富山県高岡市の高岡おとぎの森公園では、カフェ型のPark-PFI事業が実施されている。

高岡市は人口約16万人の地方中核都市であり、大都市型とは異なる「地方都市の日常利用型公園」でのPark-PFIモデルだ。カフェ1店舗という小規模な収益施設でも、公園の利便性向上と維持管理費の軽減に寄与している。


中部地方の今後の展開

導入が進む背景

都道府県別では愛知県13箇所、静岡県6箇所、富山県6箇所である。愛知県は東京都18箇所・福岡県17箇所・神奈川県14箇所に次ぐ。

ここから先は本記事の見方である。 数の差の理由を示した資料は見つかっていない。

  • 自動車産業の企業城下町: トヨタ自動車をはじめとする製造業の存在が、地域経済の安定と民間企業の事業参入意欲を支えている
  • 名古屋市のリード効果: 鶴舞公園の成功事例が周辺自治体への波及効果を生んでいる
  • 静岡市の積極姿勢: 16公園一括サウンディングという先進的な取り組みが、Park-PFIの裾野を広げている

今後注目される動き

  • 浜松市: 静岡県第2の政令市として、Park-PFI導入の検討が進んでいる
  • 富山県: 総合運動公園への民間活力導入に向けた社会実験の実施
  • 愛知県内の中核市: 豊田市・岡崎市・豊橋市等での導入検討が予想される

→ 全国のPark-PFI最新統計については、Park-PFI最新事例・統計【2026年版】を参照されたい。


基礎知識

Park-PFI完全ガイド

公募設置管理制度の仕組み・手続きを網羅的に解説

Park-PFI最新事例・統計【2026年版】

全国203公園の統計・制度改正の動向

Park-PFIのサウンディング

サウンディング型市場調査の進め方と設計のポイント

次にやること

Park-PFIの導入を検討する際は、公園の条件と利用状況、民間事業者の意向を確認する。

順確認・検討すること担当・相談先
1公園の敷地面積と既存施設の建築面積を確認する。休養施設や運動施設を含め、建蔽率の現況を把握する公園担当
2条例で定める建蔽率と適用できる特例を確認する。既存施設の建築面積と照合し、新たな施設を設けられるかを判断する公園担当
3来園者数と利用状況を調べる。平日・休日や季節による違いを確認し、需要の見込みを検討する現地調査、既存の調査資料
4条件の近い公園の使用料の実績を確認する。面積や立地、施設の用途などの違いも比較する先行自治体、公表資料
5調査結果と活用方針を示して民間事業者の意見を聞く。参入意向と、事業が成立するために必要な条件を確認するサウンディング

新たな施設を設けられるかどうかは、既存施設の建築面積と条例の規定を確認して判断する。増築の余地がない場合も、既存施設の活用や別の事業手法を含めて検討する。


関連記事

事例集

Park-PFI成功事例5選

大規模公園から小都市まで全国の成功パターン

地域別

関東のPark-PFI事例まとめ

東京・神奈川・埼玉の導入状況と成功パターン

この記事で使った統計の出典

  1. 1国土交通省「公募設置管理制度(Park-PFI)の活用状況」(令和8年3月31日時点)(2026年) 出典を開く
  2. 2本記事の整理
  3. 3日経BP 新・公民連携最前線(2024年) 出典を開く
  4. 4総務省統計局「令和7年国勢調査 人口速報集計結果」(2026年) 出典を開く
  5. 5PPnet Park-PFI推進支援ネットワーク(2023年) 出典を開く
  6. 6名古屋市「鶴舞公園」(2026) 出典を開く
  7. 7静岡市 城北公園Park-PFI事業(2024年) 出典を開く
  8. 8Park-PFI事例集(2024年) 出典を開く
  9. 9PPnet Park-PFI推進支援ネットワーク 実施事例(2024年) 出典を開く

参考文献

名古屋市 鶴舞公園「TSURUMA GARDEN」(Park-PFI)/PPnet Park-PFI推進支援ネットワーク (2023)

城北公園における公募設置管理制度(Park-PFI)を活用した再整備事業/静岡市 (2024)

Park-PFI事例集/国土交通省 (2024)

Park-PFI等の制度活用状況/国土交通省 (令和5年度)

この記事を共有・引用する

記事を庁内資料・議会・勉強会・研究で引用するときは、記事名・公共0区(一般社団法人 社会構想デザイン機構)・URLを明記してください。

訂正の内容

  1. :名古屋市・静岡市・浜松市の人口が古いままでした。

    訂正前
    名古屋市(約230万人)・静岡市(約68万人)・浜松市(約78万人)
    訂正後
    名古屋市2,345,892人・静岡市659,620人・浜松市765,750人(令和7年国勢調査 速報値)

    理由 令和7年国勢調査の人口速報集計(令和8年5月29日公表、令和7年10月1日現在)で数え直しました。記事の数字は令和2年の調査のころのもので、万の位で見て食い違っていました。出典を付けています。

  2. :中部地方でPark-PFIの導入が進んでいるという記述を、県別の数に替えました。

    訂正前
    中部地方でPark-PFIの導入が進んでいる背景には、以下の構造的要因がある
    訂正後
    都道府県別では愛知県13箇所、静岡県6箇所、富山県6箇所である。愛知県は東京都18箇所・福岡県17箇所・神奈川県14箇所に次ぐ

    理由 国土交通省「公募設置管理制度(Park-PFI)の活用状況」(令和8年3月31日時点)に都道府県別の数が載っています。構造的な理由を示した資料は見つかっていないので、以降は本記事の見方だと明記しました。

  3. :鶴舞公園の開園の記述を、名古屋市の公表している日付に合わせました。

    訂正前
    名古屋市が明治42年(1909年)に設置した第1号公園(出典はWikipedia)
    訂正後
    明治42(1909)年11月19日に、名古屋市が設置した最初の公園(名古屋市)

    理由 出典がWikipediaでした。名古屋市の鶴舞公園のページに差し替え、日付も同ページの記載どおり11月19日まで書いています。

  4. :Park-PFI の全国活用箇所数が古く、活用と検討中の数を取り違えていました。最新の一次資料に差し替えました。

    訂正前
    令和7年3月時点で全国165公園が活用済み(検討中136公園)
    訂正後
    令和7年度末(令和8年3月31日)時点で203箇所が活用中、そのほか187箇所が活用を検討中

    理由 国土交通省「公募設置管理制度(Park-PFI)の活用状況(令和8年3月31日時点)」に「Park-PFIは令和7年度末(令和8年3月31日)時点において203箇所で活用されており、そのほか187箇所において活用を検討中」とあります。当サイトが活用数として使っていた165は、令和6年度末時点の検討中の数でした。同じ誤りがサイト内の45記事に及んでいたため、一括で確認して直しています。

この記事の用語

Park-PFI(公募設置管理制度)
都市公園法に基づき、飲食店等の収益施設と公園施設の整備・管理を一体的に行う民間事業者を公募する制度。2017年の法改正で創設。収益施設の設置許可期間は最長20年。
サウンディング型市場調査
公有資産の活用にあたり、公募前に民間事業者の意見・アイデアを聞く対話型の市場調査。事業の実現可能性や条件設定の妥当性を事前に検証する目的で実施される。

ご自身の案件で確認すること

  • 鶴舞公園の「歴史的公園×現代的商業施設」の共存設計は、自分の自治体の公園に応用できるか?
  • 静岡市のように複数公園を対象としたサウンディングを一括実施することのメリットは何か?
  • 中部地方の事例の中で、自分の自治体に最も近い条件はどれか?

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