廃校をオフィスに使う前に確かめること
実態調査で企業等の施設・創業支援施設がどう数えられているかと、先に確かめる3つ
活用されている廃校の用途のうち、企業等の施設・創業支援施設
1,207件
企業や法人等の施設1,138件、創業支援施設69件。校舎と屋内運動場を分けて数えた複数回答(令和6年5月1日現在)
周防大島町が旧和田小学校をサテライトオフィスにした改修費の総額
約4,652万円
うち自治体負担額約1,931万円、事業者負担額約1,721万円、補助金額約1,000万円(事例集)
第二種中高層住居専用地域で、事務所などに使う部分の床面積の合計の上限
1,500㎡
超えるものと、3階以上の部分を事務所などに使うものは建てられない。政令で定めるものと特定行政庁の許可を受けたものを除く(建築基準法第48条第4項・別表第二(に)項)
文部科学省の実態調査は、活用されている廃校の用途を件数で数えている。企業等の施設・創業支援施設は1,207件で、企業や法人等の施設1,138件(校舎741件、屋内運動場397件)と創業支援施設69件(校舎48件、屋内運動場21件)に分かれる。前回調査(令和3年5月1日現在)では、企業や法人等の施設が947件、創業支援施設が73件だった。件数は複数回答で、校舎と屋内運動場を分けて数えている。調査は企業や法人等の施設の中身を分けておらず、オフィスだけの件数は出していない。同じ区分名を使う文部科学省の事例集では、事例1のせんべい工場や事例9の製材工場も企業や法人等の施設に入っている。前回調査は平成14〜令和2年度、今回は平成16〜令和5年度に廃校になった学校を数えているので、差をそのまま増えた数として読むことはできない。
廃校をサテライトオフィスやコワーキングスペースに使うときは、先に次の3つを確かめる。並べ方は本記事の整理である。
- 用途地域と市街化調整区域。学校は低層住居専用地域にも建てられるが、事務所は建てられる建築物に入っていない
- 建物の貸し方と改修費の分け方。事例集の10事例でも、無償で貸すか、有償で貸すか、自治体が転用するかが分かれている
- 通信回線。周防大島町の事例では、町が独自に全町へ光ケーブルを敷いて高速通信網を確保できたことも、企業の進出につながったと考えられるとしている
事例集でオフィスやコワーキングスペースを置いている10事例
10事例の使い方、契約の形、改修費、補助金等と、周防大島町・宮若市・八頭町・飯綱町・立山町・高畠町・新居浜市の進め方
文部科学省の事例集は47事例を載せている。事例のページにサテライトオフィス、起業者などに貸すオフィス、レンタルオフィス、シェアオフィス、コワーキングスペース、テレワーク用のスペースが出てくる事例を数えると10事例で、使い方と契約の形は次のとおり。数え方は本記事のもので、事例集がこの分け方をしているわけではない。
| 事例 | 元の学校 | オフィスなどの置き方 | 事業者(契約の形) |
|---|---|---|---|
| 山形県高畠町(事例6) | 旧時沢小学校 | 高畠熱中小学校。NPO法人の活動のほか、起業者へのオフィスとしての貸出しもしている | NPO法人はじまりの学校(無償貸与) |
| 富山県立山町(事例16) | 旧谷口小学校 | 立山町文化情報発信ステーション。1・4階をリングロー株式会社に貸し、2・3階は町の埋蔵文化財センターと郷土資料館 | リングロー株式会社(無償貸与) |
| 長野県飯綱町(事例20) | 旧三水第二小学校、旧牟礼西小学校 | いいづなコネクトEAST・WEST。企業の事業所、貸し会議室、コワーキングスペースなど | 飯綱町(指定管理者:株式会社カンマッセいいづな)(転用) |
| 静岡県島田市(事例22) | 旧湯日小学校 | グランピング施設。校舎にワーケーションができるテレワーク施設など | 株式会社アイワコネクト(有償貸与) |
| 鳥取県八頭町(事例31) | 旧隼小学校 | 隼Lab.。2・3階にコワーキングスペースやシェアオフィスなど | 株式会社シーセブンハヤブサ(無償貸与) |
| 山口県周防大島町(事例35) | 旧和田小学校 | 株式会社ビジコムの周防大島サテライトオフィス | 株式会社ビジコム(無償貸与) |
| 愛媛県新居浜市(事例38) | 旧若宮小学校 | ワクリエ新居浜。レンタルオフィスやコワーキングルーム | 新居浜市(転用) |
| 福岡県宮若市(事例40) | 旧吉川小学校 | AI研究開発施設。ミーティングルーム、シェアオフィス、コワーキングスペース | 株式会社トライアルリアルエステート(有償貸与) |
| 佐賀県佐賀市(事例41) | 旧富士小学校 | 佐賀古湯キャンプ。簡易宿泊施設が中心で、サテライトオフィススペースや会議室もある | 佐賀市(指定管理者:株式会社佐賀古湯キャンプ)(転用) |
| 沖縄県うるま市(事例47) | 旧浜中学校 | 浜比嘉島地域交流拠点施設。2階にコワーキングスペースやサテライトオフィス | うるま市(転用) |
10事例のうち、事業者に貸しているのは6事例(有償は島田市と宮若市の2事例)で、4事例は自治体が転用している。
改修費と使った補助金等は次のとおり。改修費は施設全体の額で、オフィスやコワーキングスペースの部分だけの額ではない。
| 事例 | 改修費 | 使った補助金等 |
|---|---|---|
| 高畠町(事例6) | 総額約2,797万円(うち自治体負担額約497万円、補助金額約2,300万円) | 地方創生先行型交付金(内閣府) |
| 立山町(事例16) | 総額約9,000万円(自治体負担) | 辺地対策事業債、地域活性化事業債、緊急防災・減災事業債(いずれも総務省) |
| 飯綱町(事例20) | いいづなコネクトEAST約2億2,200万円、いいづなコネクトWEST約2億5,000万円(うち自治体負担額約2億7,700万円、補助金額約1億9,500万円) | 地方創生推進交付金(内閣府) |
| 島田市(事例22) | 総額約4億600万円(うち自治体負担額約600万円、事業者負担額約3億7,600万円、補助金額約2,400万円) | 地方創生テレワーク交付金、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(いずれも内閣府) |
| 八頭町(事例31) | 総額約1.8億円(うち自治体負担額約9,000万円、補助金額約9,000万円) | 地方創生拠点整備交付金(内閣府) |
| 周防大島町(事例35) | 総額約4,652万円(うち自治体負担額約1,931万円、事業者負担額約1,721万円、補助金額約1,000万円) | ビジネス環境整備支援事業補助金、サテライトオフィス誘致推進事業補助金(いずれも山口県) |
| 新居浜市(事例38) | 総額約5億2,400万円(うち自治体負担額約2億7,400万円、補助金額約2.5億円) | 地方創生拠点整備交付金(内閣府) |
| 宮若市(事例40) | 総額約3億2,684万円(うち自治体負担額約1億1,768万円、補助金額約2億916万円) | 地方創生拠点整備交付金、地方創生推進交付金(いずれも内閣府)、一般補助施設整備等事業債(総務省) |
| 佐賀市(事例41) | 総額約7.5億円(うち自治体負担額約4億円、補助金額約3.5億円) | 過疎対策事業債(総務省)、生産性革命に資する地方創生拠点整備交付金(内閣府) |
| うるま市(事例47) | 総額約2億500万円(うち自治体負担額約1,000万円、補助金額約1億9,500万円) | 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(内閣府) |
補助金等の名前は、どれも活用を始めた当時の制度である。いまの国の制度は「使える国の制度」の節に載せた。飯綱町、島田市、佐賀市、うるま市は、活用用途に宿泊施設も付いているので、宿泊施設の記事の6事例にも入っている。
周防大島町:光ケーブルと教室の並び
旧和田小学校は2014年3月に閉校した、1995年度に整備した比較的新しい施設だった。町はまち・ひと・しごと創生総合戦略などに基づき、ケーブルテレビの光インフラを使ったICT企業の誘致などを検討していた。県を介して、東京に本社を置くICT関連企業の株式会社ビジコムから声がかかり、県と共同で条件を協議して、2016年2月に町と同社が進出協定を結び、同年7月にサテライトオフィスを開いた。民間企業による光回線網の導入の見込みが立たないなか、町が独自に全町へケーブルテレビ網(光ケーブル)を敷いており、島しょ部のサテライトオフィスと本社・顧客との高速通信網を確保できたことも、企業の進出につながったと考えられるとしている。各教室が直線の廊下でつながっていて、事務室、企画開発室、テレビ会議室などの動線が良く、大幅な改修が要らなかった点もメリットに挙げている。
宮若市:設計は企業、施設整備は市
市は、市内に研修施設などを持ちITに強みのあるトライアルグループから廃校活用の提案を受け、情報産業の育成を主な目的に官民連携の取組の検討を始めた。構想は市と企業で合意していたが、事業のスケジュールに大きな差があり、調整に苦労した。事業の速度を上げるため、首長と企業のトップが直接対話を重ね、設計業務は企業の負担、その後の施設整備は市が行う役割分担にして、市の予算計上や契約事務にかかる時間を大幅に減らした。市の財政のメリットには、維持管理費の削減に加えて貸付けで歳入を確保できていることを、企業のメリットには、施設整備を市が行うので初期費用の負担が無いことを挙げている。
八頭町:住民を交えた協議会とまちづくり会社
町は2015年に策定した総合戦略で、空き施設を使ったサテライトオフィスの開設を検討した。地域住民を交えた協議会と、民間企業・地域金融機関を加えたまちづくり事業会社設立準備委員会をつくり、運営体制や施設整備の意見を集めた。2017年に町が校舎をリノベーションし、地域の民間企業などを中心に新たに設立されたまちづくり会社に無償で貸した。1階にはカフェやショップ、看護協会、地域福祉組織などが入り、2・3階にはコワーキングスペースやシェアオフィスなどを置いた。事業の検討の進み具合に応じて住民説明と議会説明を行い、地域住民を交えた運営協議会もつくった。
飯綱町:住民の検討会から、まちづくり会社の指定管理へ
町は2016年に、2018年3月に町内の4つの小学校を閉校して2校にする方針を決めた。廃校になる2つの小学校区の住民を中心に約2年の検討会を行い、2017年に提言書が町に出された。町は2018年度から地方創生推進交付金を使って改修工事に着手し、いいづなコネクトEASTを2020年、WESTを2021年に開業した。まちづくり会社を設立し、その会社が指定管理者として施設を管理運営している。事業展開の財源は、自治体からふるさと納税の一部業務の委託を受けて確保したとしている。
立山町:建物の一部を貸す
旧谷口小学校は2002年に廃校になり、2007年度から町の埋蔵文化財センターと郷土資料館に使われていた。2018年度にリングロー株式会社から、文部科学省の「みんなの廃校プロジェクト」のホームページで施設情報を見たと連絡があり、協議を始めた。町議会や地元住民への説明を経て同社に無償で貸すことにし、1・4階を同社に貸して、2・3階は引き続き埋蔵文化財センターと郷土資料館にしている。町でサテライトオフィスなどを誘致した前例が無く、有償と無償のどちらで貸すか、建物の全部ではなく一部を貸すこと、埋蔵文化財センターの移設の方法と時期などの調整に苦労したとしている。
高畠町:教室を起業者に貸すオフィスに
旧時沢小学校は2009年度で閉校した。2015年度に内閣府の地方創生先行型交付金事業に採択され、総務省の「ふるさとサテライトオフィス」に指定されて、同年10月にNPO法人はじまりの学校を事務局に「高畠熱中小学校」を開いた。教室だったスペースは起業者にとって程よい広さのオフィスになるので、ネットワーク設備や空調を整えて貸出用に適した施設にしたとしている。起業者へのオフィスとしての貸出しを含め、広く町民なども使える施設にするのは町の廃校利活用で初めての試みで、関係法令の整備などに課題があったが、関係部局との調整で可能にした。
新居浜市:アクションプランを説明の土台に
旧若宮小学校は2017年度に閉校し、2020年度に改修して、2021年6月に生涯活躍のまち拠点施設「ワクリエ新居浜」になった。レンタルオフィスやコワーキングルームを置いて起業支援や新たな産業振興に取り組み、働き方改革に対応したリモートワークの拠点にも使われている。市は総合戦略の策定を受けて「RCC新居浜アクションプラン」をつくり、旧若宮小学校を生涯活躍のまち拠点施設として整備する目標を掲げた。2019年6月に「若宮小学校施設活用基本計画」を策定し、同年に財源となる地方創生拠点整備交付金の採択を受けた。アクションプランは、庁内、地域、議会への説明や民間事業者の参画で、関係者の理解を得る基礎資料になったとしている。
建築基準法と都市計画法で確かめること
用途変更の確認、大規模の修繕と模様替、用途地域の制限と許可、市街化調整区域の許可、福知山市の地区計画の例
用途変更の確認と、大規模の修繕・模様替
建築物の用途を変更して、別表第一(い)欄の用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるものにする場合は、確認の手続きの規定が準用される。別表第一(い)欄は劇場、病院、ホテル、学校、百貨店、倉庫、自動車車庫などで、事務所は入っていない。第2条第2号の特殊建築物の定義に挙がる用途にも、事務所は無い。学校を事務所に変えるだけなら、用途変更の確認の手続きは要らない。
ただし、階数が2以上か延べ面積が200㎡を超える建築物で、大規模の修繕や大規模の模様替をするときは、工事に着手する前に確認を受ける。大規模の修繕と大規模の模様替は、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕と模様替である。改修の中身がこれに当たるかは、設計の段階で確かめる。確認の手続きの流れは廃校の用途変更と建築基準法の記事に載せた。
用途地域の制限
建築物の用途を変更する場合は、第48条第1項から第14項まで(用途地域等の制限)の規定を準用する。第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域の「建築することができる建築物」には、学校(大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校を除く)は入っているが、事務所は、住宅で事務所などを兼ねるもののうち政令で定めるものしか入っていない。第二種中高層住居専用地域では、第一種中高層住居専用地域に建築することができる建築物以外の用途に供する部分の床面積の合計が1,500㎡を超えるものと、3階以上の部分をその用途に供するものを建築してはならない。第一種住居地域では、その床面積の合計が3,000㎡を超えるものを建築してはならない(いずれも政令で定めるものを除く)。
第48条の第1項から第14項までにはそれぞれただし書があり、特定行政庁が良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるなどして許可した場合は、この限りでない。この許可をするときは、原則として、あらかじめ利害関係を有する者の出頭を求めて公開により意見を聴取し、建築審査会の同意を得る。廃校のある場所の用途地域を、市町村の都市計画の担当に確かめる。
市街化調整区域
市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、建築物を改築し、又はその用途を変更して第29条第1項第2号若しくは第3号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。第29条第1項第2号は農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物、第3号は駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所その他これらに類する公益上必要な建築物のうち政令で定めるものである。この節の都道府県知事は、指定都市又は中核市の区域内では、その市の長である。オフィスにするなら、許可が要るかと許可の基準を、開発許可の担当に確かめる。
国の手引き「スモールコンセッションのすすめ」は、学校施設が立地している地域は市街化調整区域など開発の規制が厳しいケースがあるとして、前提条件として法的規制を整理し、用途変更に向けた課題を洗い出しておくよう勧めている。例に挙げているのは京都府福知山市の旧中六人部小学校で、市街化調整区域にあり、用途変更や開発許可のハードルが非常に高い状況だった。市は元々その地区で地区計画を策定しており、学校の立地する区域は機能誘導区域で、建築可能な建築物に店舗・事務所等や沿道サービス施設が規定されていたため、用途の変更ができた。施設は民間事業者への賃貸借で体験型農業施設になった。
使える国の制度
お試しサテライトオフィスの特別交付税措置、地域未来交付金、企業版ふるさと納税、みんなの廃校プロジェクト
お試しサテライトオフィス(総務省)
総務省は、都市部の企業等がおおむね3日以上地方でお試し勤務をし、サテライトオフィスを開設するときの具体的なニーズなどを受入自治体に伝え、受入自治体がサテライトオフィスの誘致を進める取組を支援している。受入自治体がこの要綱に基づいて取り組む場合、令和9年度までの間、1団体あたり最大2年間まで特別交付税措置を講じる。対象は、都市部の企業等のお試し勤務の誘引に要する経費、お試し勤務環境の用意に要する経費、お試し勤務期間中の活動に要する経費で、算定は、対象経費の一般財源の合計額と1,000万円のいずれか低い額に0.5を乗じ、財政力補正を乗じた額である。都市部の企業等がサテライトオフィスの開設を正式に決定した後の支援の費用は対象外で、総務省への事前の申請などは要らない。
都市部企業等は、本店か主たる事務所が三大都市圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)にあり、サテライトオフィスの開設を検討していることなどが条件である。受入自治体は都道府県か市町村で、区域の全部が首都圏整備法の既成市街地・近郊整備地帯などである団体は当たらない。お試し勤務環境の用意に要する経費の例は、お試し勤務オフィスの賃料、事務機器・事務用品の賃料と購入の経費、資産価値の向上につながらない原状復旧の経費、サテライトオフィスの適地調査で、建物の改修工事は例に無い。
地域未来交付金(内閣府)
地域未来交付金は令和7年度補正予算で創設された。地域未来推進型は、地場産業の付加価値向上など、地方公共団体の地域独自の取組を幅広く支援する。ソフト事業と拠点整備事業の補助率は1/2で、拠点整備事業の1事業あたりの事業計画期間の交付上限額(国費)は市区町村で10億円が目安。当初予算の推移の図では、令和7年度が新しい地方経済・生活環境創生交付金、令和8年度が地域未来交付金である。交付を受けられるのは地方公共団体で、地域未来推進型の交付を受けようとする地方公共団体は、交付金を充てて行う事業を記載した地域再生計画を作り、内閣総理大臣に認定を申請する。
令和7年6月の内閣府の資料は、その年度の新しい地方経済・生活環境創生交付金(第2世代交付金)が、サテライトオフィスの整備・利用促進などの取組を含めて地域の独自の取組を支援するとし、デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ 地方創生テレワーク型)を廃止としていた。廃校をサテライトオフィスにする事業に地域未来交付金を充てられるかは、自治体が地域再生計画に書く事業として、内閣府の資料で確かめる。
事例集では、宮若市・八頭町・新居浜市が地方創生拠点整備交付金、佐賀市が生産性革命に資する地方創生拠点整備交付金、宮若市と飯綱町が地方創生推進交付金、島田市が地方創生テレワーク交付金、高畠町が地方創生先行型交付金を使っている。どれも活用を始めた当時の交付金である。
企業版ふるさと納税
国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに企業が寄附すると、法人関係税の税額控除で、企業の実質負担が約1割まで軽減される(適用期限は令和9年度末)。内閣府はサテライトオフィスの整備にも活用できるとし、整備の事例などをまとめた事例集・手引きを令和5年12月に作った。
みんなの廃校プロジェクト(文部科学省)
文部科学省は、活用用途を募集している全国の廃校施設の情報をみんなの廃校プロジェクトで集めて発信している。補助金ではない。立山町の事例では、企業がこのホームページで施設情報を見て町に連絡したことが、協議の始まりだった。
神山町の資料が書いていること
光ファイバー網、ITベンチャー企業など12社、社会増、空き家を改修したお試しハウスと蔵オフィス、ワークインレジデンス
徳島県神山町は2005年9月に光ファイバー網を完備し、ITベンチャー企業など12社がサテライトオフィスの設置・本社移転・新会社設立に動いた。2011年度の社会動態人口は町史上初の社会増となった。資料が紹介するオフィスには、空き家を改修した、クリエイターが仕事をするためのお試しハウス「オフィス・イン神山」や、プラットイーズの蔵オフィスがある。2014年度の神山町の法人税収の7%がサテライト関連だった。地域に雇用や仕事が無いなら、町の将来に必要と考えられる働き手や起業家を逆指名して移住してもらう「ワークインレジデンス」も紹介している。この資料に出てくるオフィスは、廃校ではなく空き家や蔵を使ったものである。
廃校×観光・宿泊施設:旅館業法の許可、用途地域と消防、農泊の補助、事例集の6事例
活用用途に宿泊施設が付いている6事例。うち飯綱町、島田市、佐賀市、うるま市は、この記事の10事例にも入る
廃校の用途変更と建築基準法:福祉施設転用時の改修義務【2026年版】
用途変更の確認が要る面積、防火区画・排煙設備・内装制限の条件を条文で確かめた記事
廃校活用の進め方:実態調査の数、活用用途を募集する廃校の一覧、財産処分の手続き、国の補助制度
実態調査の数と用途が決まらない理由、活用用途を募集する廃校の一覧、財産処分が報告で済む場合と国庫納付金が要らない場合、国庫補助制度の一覧
廃校活用で使える補助金6省庁分まとめ【2026年版】
文部科学省の令和8年4月現在の一覧と各省の資料で、補助の割合と申請できる団体を整理した記事
次にやること
廃校の活用方針と改修予算を検討する際は、次の事項を確認する。
| 順 | 確認・検討すること | 担当・相談先 |
|---|---|---|
| 1 | 活用に関心のある事業者を探す。希望する用途や必要な条件を聞き、活用方針の検討に反映する | サウンディング、地元事業者 |
| 2 | 耐震診断とアスベスト調査の結果を確認する。未実施の場合は、調査の範囲と実施方法を検討する | 営繕担当 |
| 3 | 調査結果に基づいて改修費を見積もり、解体する場合の費用と比較する | 設計事務所 |
| 4 | 財産処分に必要な手続きを確認する。国庫補助を受けた校舎は、活用方法と処分制限期間に応じて、文科省の承認申請または報告の要件を確認する | 教育委員会、文科省 |
| 5 | 用途を公表する前に、卒業生や地域団体に活用方針を説明し、意見を聞く | 同窓会、自治会 |
用途を確定する前に事業者の関心と必要な条件を確認し、借り手の見込みを踏まえて活用方針を検討する。