事業の概要
供用開始日・事業者・対象範囲の一次資料検証情報
公園全体面積
約3.1ha
西中洲1.1ha+天神2ha
年間利用者数
約845万人
天神中央公園全体
供用開始
2019年8月
HARENO GARDEN
天神中央公園は福岡市中央区に位置し、公園全体で約3.1ヘクタール、年間利用者数は約845万人と推計される九州最大級の都心公園である。この公園の西中洲エリア(約1.1ha)を対象に 2018年度認定のPark-PFI(公募設置管理制度)が導入され、2019年8月に「HARENO GARDEN EAST&WEST」として供用開始した。
認定計画提出者は西日本鉄道株式会社(西鉄)を代表とする企業グループである。事業期間は 20年で、飲食施設の設置・運営・公共整備を一体で担う構造をとる。天神中央公園全体の残る天神エリア(約2ha)は別途の公募プロセスで進行中である。
西鉄グループ主導の事業スキーム
地方交通事業者が認定計画提出者となる意義と事業性の設計
天神中央公園の特徴は地方交通事業者(西鉄)が認定計画提出者を務めることにある。全国の Park-PFI 事案では商業デベロッパー(三井不動産・三菱地所・東急不動産等)が代表企業を務めるケースが多いが、天神中央公園では交通事業者が主導する。
この背景には西鉄が天神バスセンター + 西鉄天神駅を中心とする天神エリアの交通ハブを所有していることがある。公園整備を通じてバスセンター + 駅前の回遊性を向上させることが、西鉄の交通事業と一体化した戦略に位置づけられる。地方交通事業者と都市公園の空間的近接が事業性の前提条件となる典型事案である。
分割公募方式の特徴
1.1haと2haの 2 エリアを別公募にかけた福岡市の判断
天神中央公園の Park-PFI では3.1ha全体を一括公募せず、西中洲エリア(1.1ha)と天神エリア(2ha)の 2 エリアに分割公募を採用した。この判断には3つの意義がある。
| 意義 | 内容 |
|---|---|
| 応募敷居の調整 | 1.1haは単一の飲食業態複合施設で対応可能、2haはより大規模な複合商業施設が必要。両方の事業者層に応募機会を提供 |
| 実施リスクの分散 | 西中洲エリアが 2019年に先行供用し、運営実績と課題を反映して天神エリアの公募設計を進める学習型アプローチ |
| 事業期間中の柔軟性 | 片方のエリアの事業契約が生きている間にもう片方で対応可能 |
選定サイクルと標準運用
サウンディング 2018年 1-3月から選定 9月、供用 2019年8月の標準的な 1年半サイクル
天神中央公園の Park-PFI 選定サイクルは国土交通省手引きが想定する標準的なタイムラインに沿う。2018年1月から 3月にサウンディング(民間事業者への意見聴取)を3ヶ月実施し、5月に公募開始、9月に事業者選定、2019年8月に供用開始という約1年半のサイクルである。
サウンディング3か月、公募4か月、審査1か月、供用まで合わせて1年半だった。この長さを標準と呼べる根拠になる国の資料は見つかっていないので、同じ規模の事例と並べて判断してほしい。
他自治体への示唆
地方大都市が天神中央公園の事業スキームを模倣する際の前提条件
天神中央公園の事業スキームを他自治体が参考にする際の押さえどころは3点ある。
第一に、都心公園の Park-PFI は年間利用者数の規模が事業性の前提条件となる。天神中央公園の年間845万人という規模は政令市 + 都心中枢立地でしか実現しない水準で、地方中核市の郊外公園に直接適用はできない。
第二に、地方交通事業者や都市開発会社との事業連携が選択肢に入る場合、公募設計時に地元事業者の参画敷居を下げる工夫が有効である。
第三に、分割公募方式は事業リスクの分散だけでなく、公園全体の段階的な使い方の学習と適応にも貢献する。ただし全体の空間デザインの一貫性を損なわないよう、両エリアの公募設置等指針で共通の空間設計原則を明示する必要がある。
Park-PFI 完全ガイド
公募設置管理制度の仕組み・手続き・事例を網羅的に解説
久屋大通公園 Hisaya-odori Park の独立採算型 Park-PFI
日本最大級 Park-PFI の事業スキームを解説
Park-PFI 事例集
全国の Park-PFI 事例を類型別に整理
次にやること
事例を参考に事業を検討する際は、対象公園との条件の違いを確認する。
| 順 | 確認・検討すること | 担当・相談先 |
|---|---|---|
| 1 | 事例と対象公園の面積、立地、利用者層を比較する。人口規模だけで事業性を判断しない | 公表資料、対象公園の調査資料 |
| 2 | 事例の自治体が公表した公募設置等指針と選定結果を確認する。公開されていない資料は担当課に照会する | 事例の自治体の公園担当 |
| 3 | 指針の使用料の最低額と、選定された提案の金額を比較する | 公募設置等指針、選定結果 |
| 4 | 対象公園の既存施設の建築面積と、条例で定める建蔽率を確認する | 公園担当 |
| 5 | 対象公園の条件と事例の実績を示して、民間事業者の参入意向と必要な条件を聞く | サウンディング |
事例を対象公園に当てはめる際は、公募条件と選定された提案を確認する。面積や立地、利用者層の違いも踏まえて、参考にできる条件を整理する。
この建蔽率の上乗せは、休養施設等と公募対象公園施設のそれぞれに10%が付くのではなく、両方あわせて10%である。既に休養施設や運動施設で12%に達している公園では、公募対象公園施設として便益施設を新たに設置することはできない。この10%も通常の2%も法令上参酌すべき割合で、実際の割合は各地方公共団体が条例で定める。